身の回りの物質は,大きく分けて2つに分類できます。
それは「無機物」と「有機物」です。
例えば食塩や水,金属などは無機物に分類されます。
一方で,砂糖やデンプン,紙などは有機物に分類されます。
これらの違いは何でしょうか。
この記事では,有機物と無機物がどのように分類されているのか,また,それらは物質の性質としてどのような違いがあるのかなどを,簡単に解説していきます。
有機物と無機物
有機物と無機物の分類方法
身に周りにある物質は,一般的にはそこに「炭素(C)」が含まれているかどうかで大きく2つに分けることができます。
例えば,食塩(塩化ナトリウム,NaCl),水(H2O),金属などは物質中に炭素(C)を含んでおらず,このような物質たちは「無機物」と呼ばれます。
一方で,砂糖やデンプン,紙,木などは物質中に炭素(C)を含んでおり,このような物質たちは「有機物」と呼ばれます。
といっても,これらのような分類方法では,それぞれの物質がどんな元素からできているかを知っていないと,なかなか区別が難しい部分もありますよね。
そこで,有機物と無機物の性質の違いについて着目してみましょう。
有機物と無機物の性質の違い
「有機物」の場合は,火などで強く加熱したとき,こげて炭になったり,燃えることで二酸化炭素になるような性質をもっています。
例えば木や紙なんかを燃やした時に,焦げて黒くなっていくのを見たことがある人は多いのではないでしょうか。
一方で,「無機物」を火で加熱しても焦げたりはしません。水を火で加熱してもせめて沸騰するだけであり,焦げたり二酸化炭素が発生することはありませんね。
食塩なんかも同じです。
砂糖は有機物なので燃やすと焦げてしまいますが,食塩は無機物なので火で加熱しても焦げることはありません。
このように,物質が何からできているかが分からなくても,その性質を調べることで有機物や無機物の分類を行うことはできるのです。
有機物や無機物の分類と歴史
ここまで有機物や無機物は,そこに炭素が含まれているのかそうでないのか,加熱したときに焦げたり二酸化炭素を出すかどうかで分類できると説明してきました。
大体の場合はそうなのですが,多くの例外が存在します。
ここからは有機物や無機物の分類の例外について解説していきます。
歴史的な部分も少し加わりますので,その辺に触れながらもより知識や理解を深めていきましょう。
実は,炭素そのものだけでできている黒鉛やダイヤモンドといった物質,他にも炭素を含んでいるはずの二酸化炭素や一酸化炭素,コンクリートといった物質はなんと「無機物」に分類されます。
これはなぜでしょうか。
実は昔,現在に比べて化学が十分に発達していないころ,「有機物」とは生物からしかとれない特別な物質とされている時代がありました。
このとき「有機物」は生命だけが生み出すものであり,人工的に作り出すことができないとされていました。
ですから,例えば炭素を含む鉱石である「石灰岩」があります。もちろん鉱石は生物ではないのでこれも「無機物」として分類されていました。
そしてここへ塩酸をかけることで発生する「二酸化炭素」も炭素を含んでいますが,人工的に発生させることができるので「無機物」とされていました。
このように考えると,ダイヤモンドやコンクリートが炭素を含んでいるにもかかわらず,なぜ「無機物」に分類されるかが見えてきますね。
しかし,化学が発展してくると,ドイツの科学者 フリードリヒ・ヴェーラー が,無機物から「尿素」という有機物を作り出すことに成功し,有機物は人工的に作れるものであることが証明されました。
すると,この「有機物」や「無機物」の分類というものは次第に形式的になっていったというわけです。
現在は昔の定義がある程度あてはまるような,かつ性質を踏まえた便宜的な分類になっています。
しかし化学の歴史に触れることができたり,身の回りの物質を炭素の有無や燃焼の性質といった視点で見るよい切り口になっているのではないでしょうか。
実際に有機物と無機物の間ではその性質に大きな違いがあり,便宜的とはいえ現在でもよく用いられている分類です。
それぞれの良さを生かし,今では有機物と無機物を一緒に混ぜたような物質も様々なところで研究が進んでいるのも事実です。
ぜひ身の回りの物質の性質について,有機物や無機物といったスタートラインからその性質を見つめ,知識を深めるのに役立ててみてください。
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まとめ
有機物や無機物を分類するカギは「炭素をふくむかどうか」,「燃えたときに焦げたり二酸化炭素が発生するかどうか」です。
「炭素を含み」,「燃えたときに焦げたり二酸化炭素を発生させる」物質は「有機物」
「炭素を含まず」,「燃えたときに焦げず,二酸化炭素を発生させない」物質は「無機物」です。
しかし例外もあり,「黒鉛」や「ダイヤモンド」,「コンクリート」などは炭素を含みますが「無機物」です。
これには歴史的な背景が絡んでいる部分もあります。