【中学受験】今だからできる!理科勉強法・克服法 化学編

受験勉強を進めていくうえで、理科の化学分野を克服することはひとつの大きなハードルと言えるのではないでしょうか。化学分野に苦手意識を持つ受験生は少なくありません。なぜでしょうか。暗記しなければいけない知識や実験、計算問題も出題されるので、単に知識を覚えただけでは点数をとることができず、弱点となってしまうことが非常に多いです。

化学分野で代表的な単元としては水溶液、気体、燃焼などがありますが、特に水溶液については色、においをはじめ暗記することが多いです。それをもとに実験問題に取り組み、計算もしなければいけない、何段階にもわたる学習をしなければならないのが苦手意識の根幹にあると考えられます。

理科については、単に覚えることが多い分野だという意識を持っている受験生や保護者の方は多いですが、たしかに暗記することは多いですが、単なる知識の暗記だけでなく、さまざまな問題についての解法を身につけなければならないという点では、算数にも共通するところがあり、特に化学分野はその両方が求められるので単なる暗記と思っているとそのうち太刀打ちできなくなります。

また、化学分野では実験についての知識や実験器具についての知識も必須です。学校の理科の授業くらいしか実験をする機会がないので、その手順がきちんと頭に入っている受験生は意外と多くありません。ですが、実体験があるかどうかで化学の出来は大きく違ってきます。

理科にはご存じの通り生物、地学、化学、物理の4分野があり、知識問題だけでなく文章読解、計算問題、それらを組み合わせた融合問題が出題されます。受験生が考える以上に理科の学習範囲が広く、勉強時間のわりに負担大きい教科だということを意識して1回1回を丁寧に学習する必要があります。

単なる暗記で何とかなると思っていると、化学の単元がすべて終わった後総合問題に入ったときに覚えるべきところを覚えておらず、またどのようなときにどの知識を使えば良いのかがわからなくなり、一から弱点を探さなければなりません。また、計算問題も、正しい知識があってこそできるものですし、解法はそれほど多くありませんが、順序だてて学習していなければ問題に出てくる数字を勝手に組み合わせて答えを出そうとするケースも少なくありません。もし算数でもそのようなことをしているなら、理科であればなおさらです。

近年の中学入試の問題では、1問1答の知識問題というのはほぼ出題されません。知識は設問を解く前提で合って、長い問題分野実験内容を把握するために必須の存在です。いわゆる単純な知識問題があまり出ないからといって暗記をおろそかにすると大問1つまるまる落とすということにもなりかねません。そういった意味では知識は非常に重要です。また、最近では一見初めて見るような実験を題材にした問題も出題される傾向がありますが、よくよく見ると聞かれ方が異なっているだけで持っている知識で十分対応できるものも多いです。

化学分野では実験をもとにした融合問題が多く出題されます。基本として学んできた実験を少し目線を変えて一目では同じことを聞いていると分からないように出題することができるので、非常にバリエーション豊かな問題が出題されます。出題者にとっても問題を作りやすい分野と言えるでしょう。聞き方を変えることによって、本当に正確に知識を理解し、覚えているのか、またそれを応用できるのか見やすい分野、それが科学分野だとも言えます。受験生にとってみると、本来知っているはずの問題なのに見た目に惑わされてしまい解けなかったということになりかねません。また、模試などでも入試の傾向を踏まえて出題される傾向が強いので、解けないとそれがそのまま苦手意識に直結してしまいがちです。

必要な知識と出題の見た目は実は表裏一体の関係です。形式上知らない知識を聞いているように見える問題であっても、じつは受験生ならだれでも知っている基本的な知識、それも正確な知識が身についていることを前提として問題が作られています。そのことに気づかず、ただ問題のパターンを覚えようとしても点数をとることはできません。中には知識を聞いてくる問題もありますが、おろそかにしていると実験内容が理解できず、問題に手を付けられないということになってしまうので注意が必要です。

化学分野は、多くを5年生の間に、場合によっては6年生の初めに学習します。毎回のカリキュラムで新しいことを学習するという理科という科目の特徴から、次の回に進むと前の回の内容を忘れてしまう、あるいは知識が整理・定着しておらず次回の内容が理解できないという状態に陥りがちです。皆さんはどうでしょうか。授業では計算問題が中心になるので、「計算だけできればいい」と錯覚してしまうこともまた、化学分野の学習の際には注意が必要な点です。単純な暗記部分が計算問題で大きな意味を持つこともあるからです。ですが、暗記部分については「覚えておいて」で終わらせられることが多いので、結局後回しになってしまうことが多いです。

最近の入試問題の傾向として、化学分野では長いリード文を読み、条件を色々変えた実験の内容と結果を把握しながら設問に答えていき、最後には計算問題が待っているという出題形式が目立ちます。生物や地学分野でも言えることなのですが、長いリード文を正確に読むためには、高度な読解力が必要です。理科の問題の場合、問題文に書かれている情報が問題を解くために必要なすべての条件ともいえるので、正確に問題文を読み、また実験の内容や結果も正しく読み解くことが大切です。そのため、高度な読解力が要求されているのです。そこに気づかず、大切な条件を読み飛ばしてしまうと、正解することは難しいです。

そして、前提となる正確な知識必要です。長いリード文や実験について内容を把握するためには、一つひとつ知っている知識を総動員していかなければ、何についての実験なのか、何が問われているのか、そのために必要な条件は何か、それはどの知識に関連するものか、ということを理解することができません。実際に設問を解くために必要な情報の意味がわからず、時間がかかったり途中で止まったりすると、実際に問題を解く時間が無くなってしまうという危険性があるので、その点について意識しながら学習することが必要です。

化学分野で必要な知識は、実験に直結するので正確に理解し、整理しておかなければなりません。また、他の分野と同様、繰り返し確認を続けないとすぐに忘れてしまいます。もし知識の暗記ができても、どのような問題に使うべき知識なのかわからずにただやみくもに暗記していたら正解できません。知識を覚えるなら、どのような出題に対しても使いこなせるまでに正確に、体系立てて覚える必要があります。理科の化学分野は、覚えれば何とかなる分野ではありません。覚えた知識をいかに使いこなすか、ということが合否の分かれ目になると言っても過言ではないのです。

今回は、受験生が苦手としがちな理科の化学分野について、勉強法と弱点の克服法についてご紹介します。どこから手を付けたらいいのかわからない分野と思われがちなのですが、早いうちに弱点を克服していると、これからが非常に楽になりますよ。ぜひ参考にしてください。

化学の知識はおろそかにされがち

化学分野は、水溶液、気体、燃焼などが代表的な単元です。本来、化学は小学校でも実験をよくしますから、好きなお子さんが多いです。しかし、中学受験の勉強となると、覚えなければならない知識の量ばかりに目が行き、覚えるのが面倒だと後回しにする間に弱点になってしまうことが多いのです。

理科は学習範囲が広い

化学に限らず、理科は学習範囲が広いです。そのため、1回ごとのカリキュラムで学習する内容が違います。前回勉強した内容と今回勉強する内容は違うだけでなく、前回の内容がわかっていることを前提として次の回に進みます。つまり、前回の内容がしっかり理解できていないと土台のないところに新しい内容が入ってくるので、混乱しやすいです。

また、塾では知識の確認を繰り返してやってくれることはまずありません。カリキュラム上、毎回違うことをやっていくので、同じ内容を繰り返すことが難しいのです。夏期講習で全体を見る機会がある、と思われるかもしれませんが、コロナウィルスの影響もあり、夏期講習でどこまで網羅してもらえるかはよくわからないのが実情です。おそらく算数に多くの時間が割かれるので、理科については時間配分が少なくなることが考えられます。また、扱う内容も計算問題などが中心になるため、知識については自分で覚えておくように、と指示される可能性が高いです。つまり、自分任せなのです。

時間がたてば知識は忘れる

化学分野は主に5年生で学習します。また、水溶液や気体、燃焼などの単元が回ごとにバラバラに出てくる傾向にあります。そのため、学習した他の単元と知識が混乱してしまい、以前学習した内容を忘れてしまっている可能性は高いです。そうすると、場合によっては最初から一つひとつ覚え直さないといけません。皆さんはいかがでしょうか。一から覚え直さなければならない状態になっていないでしょうか

今の時期は、化学に加えて物理分野の学習が中心となり、しかも内容がかなり高度です。中学受験の化学の内容は、中学生や高校生が学習する内容を一見わかりやすくつまみ食いしている状態です。しかも計算問題も、方程式を使えば立式が難しいものでも、中学受験では方程式が使えないため、解法の理解とある程度の問題パターンの暗記が必要になります。

忘れてしまっていれば覚え直すのに時間がかかるだけでなく、計算問題を解こうとしても前提となる知識が無ければ解けません。毎週理科の学習の時間を学習計画の中に入れている受験生であっても、どうしてもその週にやったことの内容の学習で精いっぱいなので、化学分野で必須となる基礎知識の暗記はおろそかになりがちです。塾によっては、水溶液の色やにおい、気体の種類、といったことについて小テストで確認してくれることもありますが、現状ではなかなかできない状態です。

復習の機会はなかなかない

塾では、「復習は自分でするように」と言われることが多いですが、「どのように学習するか」というところまではまず指示してもらえません。塾によっては講師の裁量が大きく、「第〇回と第〇回を関連させて一緒に勉強しよう」などと具体的に教えてくれる先生もいますが、正直言って少数です。

毎週の自宅学習は、その週に学習した内容を振り返るので精一杯ですから、復習のために他の回の復習をするところまでは手が回らないでしょう。その結果、前提となっている以前学習した内容はやはり覚えられていない、理解できていないままになってしまいます。弱点分野も含めて1週間の学習計画を立ててそれを実行するのは、小学生にとっては非常に難しいことです。また、学習しなければならない量が多くなりすぎれば理解しきれず、知識が穴だらけになってしまいます。

今年はコロナウィルスの影響もあって、自宅学習の時間が例年より多くとれます。段階的に登校が始まっても登校時間が少ないこの時期に、できるだけこれまで積み残してきた「覚えたはずだけど忘れてしまっている知識」を再度学習しておきましょう。全てできなくても構いません。抜けてしまった化学の学習に手をつけることが大切です。すでに一度やったはずの単元を見直して知識を確認し、あいまいになっているところは見逃さずにチェックして覚え直しましょう。知識を体系立てて覚え直し、その知識を実際の融合問題で使いこなせるようになるためには、今のうちにしっかり復習を始めることが重要です。

単体の知識は定着しにくい

理科の知識問題は順番にひとつずつ覚えていけば何とかなる、と思っていないでしょうか。今の時期、知識をまとめたテキスト、たとえばサピックスであればコアプラス、四谷大塚や早稲田アカデミーではサブノートや演習問題集などをお使いではないでしょうか。塾からも、コアプラス何ページから何ページまで、という形で宿題が出ているかもしれません。

コアプラスも、四谷大塚の教材もコンパクトに受験に必要な知識がまとめられています。そういった点で、知識だけを確認するなら非常によくできたテキストだと言えるでしょう。ただし、こういったテキストには大きな落とし穴があります。単元ごとの知識問題を順に並べているので、入っている問題がとても短いのです。答えは単体の知識であることがほとんどです。ピンポイントの知識を問う1問1答形式の問題なら対処できるかもしれませんが、融合問題や総合問題を解く際に使いこなすことができる知識は身につきにくいのです。

最近の中学入試では、1対1対応の知識問題はまず出題されません。特に化学分野では、最初に長いリード文を読み、実験の内容と条件、結果を正確に読み取ってから設問に答えていくという出題が主流です。設問の中には単体の知識を聞くものが入ることもありますが、単純な知識問題が出題されることは過去問を見てもまずないと言えます。模試では最初に知識だけを瞬時にこたえていく小問集合問題が出ることはありますが、配点の高い大問では、長いリード文と実験、考察をもとにした出題が増えています。

化学は前提条件を色々変えればそれだけさまざまな問題を作ることができます。出題者にとってはどんな受験生に入ってきてほしいかというポリシーを前面に出して問題を作ることができるので、中学校ごとに見た目から全く異なる問題が出題されます。一見初見の問題に見える問題も多いので、知識の丸覚えだけでは実際の入試問題には歯が立ちません。

重要なポイントは、設問の「聞き方」にはいくらでもバリエーションがあるということです。少し聞き方を変えるととたんに答えられなくなる受験生は非常に多いです。出題者の思うつぼという状態ですが、たくさん問題演習を行っても、問題を見た段階で「この問題だ」とわからなければ、実際に問題を解き始めることすら難しいのが化学の特徴であり怖さでもあります。

単なる知識の丸覚えは、結果的に正確な理解をおろそかにしてしまいます。設問と答えを1問1答で順番に暗記していると、問題の順番もその通りでないと解けないということになりかねません。それでは何回暗記を繰り返しても、点数は伸びません。化学の知識は単体で覚えるものもありますが、ひと固まりで覚えてその特徴をつかみながら使っていくという特徴があります。ですから、単体の知識をたくさん覚えようとしてもなかなか覚えられるものではありませんし、実戦的な問題で点数をとることも難しいです。では、どのように克服したらいいのでしょうか。

知識どうしのつながりと実験を意識して理解しよう

化学分野は、水溶液や気体、燃焼といった単元がありますが、知識だけでなく、その知識についての理由付けや、どうしてそのような色になるのか、などのメカニズムについてもセットで覚えることが重要です。大切なのは「知識とメカニズム・理由付け」を意識することです。

知識どうしの意識のしかた

化学で主に出題されるのは、水溶液、気体、燃焼のメカニズムを問う問題や計算問題です。物理分野と共通するところが多いのですが、知識問題と計算問題との両方をバランス良く対策していかなければならない点が重要です。特に化学は、物理に比べて多くの知識を多く要求されます。

実験についての知識が非常に重要なのも化学分野の特徴です。実験道具についての知識や使い方について正確に覚えていることも必要です。物理と同じようにメカニズムやなぜそうなるのかという理由付けの理解も必要です。計算問題の場合、計算自体はそれほどたくさん式を立てなければいけないわけではありませんが、苦手とする受験生も多いです。知識、理論、計算という段階を踏まえながら、一つひとつを確実に理解していくことが大切です。そうすると知識も混乱せずにすみます。

混乱しないための学習法

理科の学習と他科目の学習との違いは、知識問題と計算問題との両方をバランス良く対策していかなければならない点です。特に化学では両方のバランスをしっかりとることが大事だと言えるでしょう。まずは、実験器具や反応の名称など、問題を解く上で必要となる基礎的な知識を定着させましょう。

基礎知識を定着させたあとは、理論の学習に移ります。たとえば、「中和」ということばは皆さんも覚えていると思いますが、そのことばが指す化学反応自体についてしっかり理解できているでしょうか。つまり、中和反応とは何なのか、という説明はきちんとできるかということです。中和とは、酸性の物質とアルカリ性の物質とが反応し合い、塩(えん)と水が生成されるという化学反応です。ごくまれに水は生成されない場合もあることも知っておきましょう。

中和の問題は難しい、と思いがちですが、中和の問題だということさえわかれば、実はこの「酸性物質」「アルカリ性物質」「塩」の部分に当てはまる物質が問題によって異なってくるだけなのです。まずはこのような反応の説明の型を、理論の基礎知識としてしっかりと覚えておきましょう。

理論が理解できたら、次は計算の演習に取り組みましょう。理科の計算は、算数と比べると単純な数字で構成されていることが多いです。しかし、算数で苦手とする受験生の多い、グラフや表を分析して計算に利用する問題が非常に多く出題されるので、問題演習をする際にはとにかく図表を正確に把握できるように、何についてのグラフなのか、条件を書き出せるまで良く図表を理解できるように練習していきましょう。丸覚えは禁物ですが、問題演習を重ねてある程度基本的なパターンに慣れていくことも大切です。正確な知識をもとに基本的な解法パターンが頭の中に蓄積されていけば、初めて見たの問題がどのパターンに当てはまるかどうかも見えてくるようになります。

このように、中和の知識ひとつをとっても、ただある物質とある物質の反応を単体で覚えていては問題の形式や設問での聞かれ方を変えられる、また見たことのない図やグラフが出てくると急に答えられなくなります。それは、メカニズムや理由付けをしっかり理解していないため、知っているはずの知識を適切に思い出すことができないからです。これを克服するためには、単純に知識をひとつ覚えるのではなく、「なぜ」そのような反応が起こるのか、その結果どうなるか、というメカニズムや理由付けまで意識して学習することが、化学の知識を定着させるために大切なことです。

化学分野は、知識だけでなくメカニズムや理由付けもセットで覚える必要があり、さらに計算問題も出題されるので、直前期まで持ち越してしまうと、まず間に合いません。メカニズムや理由付けまで理解するのにはある程度時間が必要だからです。だからこそ、今のうちからこまめに知識を見直して、その根拠となるメカニズムや理由付けをしっかりセットで覚えていきましょう。そして、それらを利用して解く計算問題の種類や解法のパターンも含めて一緒に理解していくことが理解を進めるポイントです。

ピンポイントで単体の知識を覚えていては、増え続けていく知識を次々詰め込むことしかできないので、新しい知識を覚えたら前に覚えていた知識は忘れてしまうなどして、混乱してしまい、正確な理解ができなくなります。整理せずに知識を詰め込もうとしても必要な時に取り出せません。化学分野は覚えるべき知識も多いですが、計算問題も多く出題されるので、いつ、どんな問題でその知識が必要になるのか、ということまで整理しておくことが必要です。正しい理解に基づいていないのは、結果的に何も覚えられていないのと同じことです。「知識とメカニズム・理由付け」をセットにして、理解を深めながら覚えていくことを忘れないようにしましょう。

融合問題では頭の切り替えが大切

最近の入試問題でも、模試でも、大問での場合長いリード文があり、その中で実験が行われて、条件を整理し、考察していく問題が化学分野の主流です。実験に対して、さまざまな角度からいくつもの知識が問われる傾向にあります。

たとえば、先ほどの中和についての出題は入試でも頻出ですが、長い説明文の中に実験が入っており、条件を色々変えながら何種類か実験を行い、結果を検討させる、という問題が多いです。設問では、リード文を正確に読めているかどうか、実験の内容や条件をしっかり把握できているかについて多面的に聞かれます。どの物質とどの物質の中和の場合どうなるかという単純な知識ではなく、知らない物質が出てきて、中和の条件が問題文に書かれているといった初見の問題も出題されます。

知らない物質であっても、酸性・アルカリ性のものであれば中和反応することがあり得るので、条件を冷静に分析すれば初めて見たパターンであっても基本パターンに寄せて考えることができます。近年は非常にバラエティー豊かな設問が出題されますが、自分の知識に引き寄せて考えることができれば、化学の計算問題もそれほど大敵ではないので、安心して学習してください。

また、理科、1つの大問あたりの設問の数が多いです。ただし、その設問の多さの目的は1対1対応の知識を聞くためにあるのではなく、1つの知識から次の知識、応用的な知識に発展させていくのについてこられるかを見るのが目的です。設問一つひとつ問われる内容が一見関係ないように見えるほど異なるのも特徴です。しっかり得点するためには、問題文や実験の内容。条件を問題を解く際に応用できる力が必要です。言い換えれば、設問を読み進みながら1問ずつ頭を切り替えていく力です。

また、特に化学では、前の設問の答えが次の設問の前提になっていることがとても多いです。前の設問に正解していれば次の問題もそれを利用して正解することができますが、逆にひとつ間違えてしまうとその後の問題は芋づる式に不正解となってしまいかねません。だからこそ、1問ごとに正確に答えていくことが大事なのです。設問ごとに頭を切り替えながら、でも前の問題を意識しつつ次の設問にしっかり答える、ということを最後の問題を解ききるまで継続することが求められます。

化学分野の計算は難しいから知識で稼ごうと1問1答の問題集をつぶすだけでは、融合問題には対応できませんし、そもそも知識問題だけで点数が取れるほど入試問題は甘くありません。また、化学の実験問題は出題しない学校がないほど頻出です。計算問題を必要以上に怖がる必要はありません。また、記述問題も出題されますが、それは、問題文に入っている条件からわかることを記述させたり、ある「もの」を観察させてその結果を書かせたりというものが多いので、大記述を展開する必要はありません。あくまで出題の意図を理解しているかどうかを確認するために出題されています。

たとえば、武蔵中学校の理科で有名な問題に「おみやげ問題」があります。袋の中にひとつ「もの」が入っています。毎年変わりますが、椅子の足部分のローラーだったり、発光ダイオードだったりと様々です。入試が終わったら持って帰ることができるので「おみやげ問題」と呼ばれています。そこで求められるのは、問題文に書いてある条件を頭に入れながら、その「もの」の特徴や、どのような動きをするか、ある条件に当てはめるとどうなるか、といったことを書いていくことです。初見であることが多いので、その場でどれだけ観察することができるかが大切です。また、答えはひとつではないので、問題文の条件に沿っているか確認しながら思ったことを書いていけばいい、良質な初見問題と言えるでしょう。

このような問題に対応できるようになるためには、化学分野を単なる暗記分野と考えるのではなく、知識と知識のつながりを考えながら、1問ごとに瞬時に頭を切り替えて次の問題に進むこと、初見の問題であっても自分の知識に引き寄せて考えること、ほかの分野や教科の知識も必要に応じて思い出して使いこなすことが求められます。化学分野では知識どうしのつながり、知識とメカニズム・理由付けの組み合わせがとても大切です。この観点を忘れずに理解を深めていきましょう。

学校の教科書や理科の実験を大切に

化学分野の学習では、学校の理科の教科書の化学部分と、学校で行う理科実験がとても大切な役割を果たします。実験問題が多く出題される化学分野だからこそ、実験を実際に自分の手でやってみて器具の使い方や実際の化学反応を見て記憶しておくことが大切です。学校の実験ではひとつの条件のもとで行う実験でも、「もしこういう条件が加わったらこうなるだろうな」という想像力を常に持ちながら実験結果をまとめておくこともとても重要です。どの分野もそうですが、特に化学分野は実体験しておくことが必要です。ぜひ、学校で行う理科の実験やレポートは大切にしてください。

また、理科の場合、学校の教科書がとても役に立ちます。教科書には実験に関する表やグラフはもちろん、カラー写真を用いた実験に関する資料も充実しています。視覚的にも理解を進められるように作られています。塾のテキストの、文字だけの学習だけではイメージしきれない部分を、教科書は表やカラー写真を交えてわかりやすく説明してくれます。だからこそ、受験勉強にも十分活用したいですね。

化学分野の場合、仮定に基づく実験内容を出題し、この場合だったらどうなるかということを考えさせる問題がよく出題されます。一見知らない問題に見えるかもしれませんが、実は少し視点を変えているだけで、問われている知識自体は細かいものではありません。むしろ聞かれているのはメカニズムや理由付けです。また、そういった問題に必要な基礎知識は教科書を普段から良くチェックしていたり、学校の理科実験で結果をまとめた経験があればどこが共通し、どこが違うのか理解することができます。ですが、受験勉強をしているとどうしてもおろそかになりがちで、単なる問題のパターンとして知っている、知らない、という基準だけで考えてしまいがちです。それが化学の実験問題の正答率の低さにつながっています。

仮定の実験問題では、仮定の条件に基づいて計算させる問題も当然出題されます。最近の中学入試では、単体の知識だけでは正解できない問題が多く出題される傾向にあります。中和の計算問題なら、なぜその物質だと中和反応の結果がそうなるのか、なぜそのような反応グラフになるのか、といった、メカニズムや理由付けも含めて理解してはじめてその単元を克服できた、と言えます。「知識とメカニズム・理由付け」をセットで理解しやすくするために非常に使えるのが、理科の教科書や理科実験なのです。

なかなか化学の復習をする機会がない、と嘆くよりも、今のうちから、苦手としているところの教科書を見直し、図表や実験について見なおしてみましょう、それらの基本的な内容をしっかり理解し直すのです。教科書に書かれていることは、中学入学後に必要となる最低限の知識です。それがわかっていなければ、入試問題が解けないだけでなく、中学校に入ってからたくさん行われる理科実験についていけません。たとえば、男子難関校の海城中学校では、入学後非常にたくさんの理科実験を行います。また、慶應普通部や中東部、SFCといった慶應系の中学校では、理科のレポート作成に非常に重点を置いています。

ベースとなるのは、小学校の教科書や理科実験の内容を最低限理解しているかということです。教科書に載っている図表を参照せず、小学校で行われる理科実験をおろそかにして、塾のテキストの文字だけ読んでいても、理解はなかなか進みません。教科書は、中学受験の基礎中の基礎が詰まっている最高の参考書です。化学分野の学習をするときにはぜひ参照してください。知識の整理をする際にも、教科書で該当するところを見直す習慣をつけることをオススメします。

苦手単元や弱点克服は今のうちに

理科の化学分野の知識については、確認テストなどで毎回しっかり定着していくのが理想的ですが、毎回のカリキュラムをこなすのに精一杯になりがちなので、どうしてもそこまで手が回らないという受験生も少なくありません。分野全体はぼんやり理解できていても、いざ問題を解こうとしても知識に穴があるために解けないという経験をしたことがある方が多いのではないでしょうか。どんな受験生でも必ず弱点はありますが、それを放置していてはいつまでも克服することはできません。

今だからこそ立ち止まって弱点分野の克服を

苦手な単元や弱点となっている部分について、一度で理解、定着までもっていくのは非常に難しいです。毎週新しい知識が増えて受験生の化学の知識は消化不良になりがちです。夏期講習の時期になってからさあ総復習、といってもなかなか時間が取れません。だからこそ今のうちに一度立ち止まって、知識の穴、弱点となっているのがどこなのかピックアップしておきましょう。弱点を発見することが克服への第一歩です。それができれば、自分がどの知識が抜けているのか、どのような形式の問題が苦手なのか、毎回テストで同じような問題で間違えていないか、といったことがわかるので、対策が立てられるのです。

塾の夏期講習でいう「総復習」は、ひたすら問題演習をすることです。決してこれまでの知識までもう一度やり直してくれることではありません。講習中に扱う問題に出てきた知識の解説はあるでしょうが、知っていることが前提なので、ざっと過ぎていくことでしょう。また、自分としては弱点の克服をしたいのに、扱う単元は必ずしも自分の弱点となっているところだとは限りません。結局、自分で克服していかなければなりません。だからこそ、少なくとも夏期講習までの間に自分の弱点や知識の穴になっているところをピックアップし、何をつぶせばいいのか準備しておくことが必要です。自分の弱点を理解せずにただ夏期講習を受けても、たくさん問題を解いてきた割に定着しなかったという結果になり、講習自体の効果を得られません。

毎週新しいことを勉強するので前にやったことを復習する余裕なんてない、と言う方も多いかもしれませんが、後回しにすると傷口が広がります。今の時期に、これまで学習した内容を見直し、自分の弱点となっているところや穴になっているところをきちんと洗い出しておき、克服する準備をしておきましょう。

弱点ノートを作っておく

これまでに間違えた問題は、入試本番までに克服していくべき課題です。その課題は、受験生一人ひとり違います。成績が上がらないとお悩みの場合、克服していくべき課題がなになのかが見えていない可能性があります。ですから、今のうちに知識を体系的に整理して理解することが重要なのです。必要なときに必要な知識を頭の中から出せるようにするためにも大切です。

そこで、今の時期に弱点ノートを作ることをオススメします。抜けていた知識や、頻出の実験問題で間違えやすい単元、どのような設問でつまずいたのは、その原因は何か、ということを掴むために不正解になった問題をピックアップして弱点ノートを作っておくのです。そうすると、化学分野のどの単元、どの知識、どのような実験を苦手としているのか、が一目でわかり、弱点を集めた自分だけの問題集ができます。次のテストでは間違えないように弱点を集めたノートを繰り返し見直し、解き直していくとだんだん正答率は上がっていきます。

ノートの作り方は簡単です。間違えた問題をコピーやプリントアウトして、ノートの見開きの左側のページに貼りましょう。ノートの右側は空いているので、その部分をどう使うかが弱点ノートを使うポイントです。弱点ノートを作ったら、間違えた問題をもう一度ノートの右側を使って解きましょう。正解して、さらに理由付けも説明できるようなら問題ありません。もしもう一度間違えたら、なぜ間違えたのか、原因をしっかり自分で考えてみましょう。化学分野の知識を正確に理解するために必要なのは「知識とメカニズム・理由付け」の関係です。「なぜそういう結果になるのか」というメカニズムや理由付けをしっかり理解することを繰り返していくと、他の単元にも応用が利きます。この繰り返しが、弱点克服法です。

自分が間違えた問題ばかりなので、もう一度解けばすぐに正解してメカニズムや理由付けまでこたえられる、ということは多くないでしょう。でも焦りは禁物です。もう一度間違えたなら、できるまで繰り返しましょう。繰り返しこそが弱点の克服につながるからです。ただし、間違えたらまた解けばいいや、という考えで弱点ノートに取り組んでも効果はありません。大切なのは、弱点をピックアップして、それを一つひとつ克服することです。また間違えたら、間違えた原因を自分なりによく考えて、簡単にポイントをノートの右側にまとめておくと良いでしょう。自分の手を動かして間違えたところをコンパクトにまとめることにより、「知識とメカニズム・理由付け」、すなわち化学分野で必要な知識と知識のつながりを自分で意識することが習慣づけられます。

弱点ノートは、自分だけの問題集になります。また、メカニズムや理由付けを自分でまとめるので、自分だけの参考書にもなります。あくまで弱点をチェックし、克服するために使うので、凝りすぎる必要はありません。また、きれいに時間をかけて作りすぎる必要っもありません。今後の模試の際に、弱点ノートを一巡すれば弱点補強ができますし、対策になり、同じ問題で何度も間違えることを防ぐことができます。コンパクトに弱点をまとめているので、短期間に何度も分野全体を回すことができます。繰り返すことによって結局は短時間で化学分野を克服することができます。

弱点ノートを作る際は、ぜひ保護者の方が協力してください。最初に問題をコピーやプリントアウトしてノートの左側に貼るところまでやってあげると良いでしょう。保護者の方にとってもお子さんがどこでつまずいているか、克服すべき弱点はどこなのか、を把握できるのでメリットがあります。

いますべてできなくても大丈夫!

入試まではまだ時間があります。段階に応じた学習をすることが何よりも大事なので、今の時期では焦って応用問題ばかり解く必要はありません。また、基本的な知識を馬鹿にすることは決してしてはいけません。今は中学入試に向けた準備期間なので、今、すべて完璧に仕上がっている必要はありません。今やっておくべきことをしっかり克服することが何よりも大切です。計算問題や記述問題を気にする方は多いですが、そういった問題も実は解答方式が違うだけで、使う知識のレベルはそれほど難しいものではありません。必要なのは持っている知識を使いこなすことができるかどうかです。実験の内容や条件を自分で整理し、計算や文章をまとめるのが化学の計算問題や記述問題です。大切なのは、正確な知識によって問題をみて出題者の意図を読み取らせることが目的です。難しい計算や記述まで求められていないので、今はまず正確な理解に努めましょう。

第一段階として、受験生なら誰もが正解してくる基本的な知識を聞く問題をしっかり理解しましょう。これができるかどうかで大きな差が付きます。あいまいなままになっている知識を一つずつ潰していくことが最優先課題です。

また、誰でもそうですが、苦手なところを放置する傾向があります。苦手なところは放置するほど苦手意識が強くなり、さらに敬遠してしまいます。それを繰り返すと、どこが弱点だったのかすら忘れてしまうこともあります。だからこそ、早めに弱点の対策をすることが大切です。特に、化学分野の知識は直前期に詰め込んで対応できるほど簡単なものではありません。直前期は時間がないですし、問題演習をすればするほど知識が混乱して理解できない、もし覚えられてもどういう場面で使いこなせばいいのかわからない、というループにはまってしまいます。

今まで学習してきた内容については今のうちにもう一度見直して理解しましょう。弱点ノートなどを使ってこまめに復習することをオススメします。化学分野は教科書や理科実験が大切なので、実験の特徴も含めて活用しましょう。

弱点補強をする時期としては、今の時期がチャンスです。応用的な問題は、今後いくらでも取り組む機会があります。今やるべきことは、基礎知識を間違いなく理解し、整理して定着させることです。定着させられれば、知識を使いこなすことができるようになり、その結果解ける問題も増えますよ。

まとめ

受験生にとって大切なのは、「自分のための勉強」をすることです。苦手分野や弱点は、受験生一人ひとり異なります。自分と人の成績を比べるのではなく、自分の弱点がどこなのかをしっかり把握し、克服してはじめて成績は伸びていきます。

塾の集団授業では、残念ながら受験生一人ひとりに合わせた授業はしてくれません。特に理科については授業時間も短く、問題演習中心の授業で、単元ごとの新しい知識を詰め込んでいきます。夏期講習でも同じことが言えます。授業中に扱えなかった問題は宿題として出されることになり、結局受験生が自分で克服しなければなりません。だからこそ、自宅でいかに復習をするか、正確な理解と定着が周囲と差をつけるポイントになるのです。

知識問題に時間を割く余裕はないかもしれませんが、これまで学習したことを定着させ、忘れないように繰り返すことは今のうちしかできません。問題演習をしないと、と焦りがあるかもしれませんが、正確な理解と定着が無ければいくら問題をたくさん解いても、時間だけかかって不正解という結果になってしまいます。理科の化学分野は暗記だけではなく、計算問題も多く出題されます。だからこそ正確な知識の理解がなくては問題は解けません。その原点に戻りましょう。計算や記述に目が行きがちですが、「知らないと解けない」問題もたくさんあるのが化学分野の特徴です。

今は弱点となっている部分について基礎中の基礎に戻り、現状をしっかり把握し、「自分のための学習」をしていきましょう。化学分野の場合、学校の教科書や理科実験、レポートなどを活用するのがオススメです。目と手をフルに使って学習することがポイントです。自分のための学習ができてこそ、今後実戦問題を解くときにやりやすくなります。弱点をひとつ克服できれば、自信が出ます。受験へのモチベーションを高めるためにも、自分のための学習をして、早いうちに弱点克服を目指しましょう。

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