皆さんはばねの問題でつまづいたという経験がありますか?日常のいろいろな場面で使われるばねですが、理科の問題として解いてみると、直感とは違った力のかかり方をするため、混乱してしまうことがあります。今回は、そんなばねの基本的な考え方を解説します。ばねの問題に苦手意識があり、基礎から復習したい方、ばねのことをこれから学習し始めるという方は、ぜひ最後の問題演習まで挑戦してみてください!それでは早速解説していきましょう。
ばねの基本的な考え方
自然長とは?
ばねには「自然長」という言葉がよく出てきます。日常ではあまり使わない言葉ですが、ばねの問題を解くときには当たり前のように使われます。「自然長」を一言で表すと、「ばねを伸び縮みさせる前の長さ」です。ばねの重要な性質として、伸びたり縮んだりすることがあげられますが、ばねの自然長とは、これらの操作をする前の長さです。「ばねが\(1\,\mathrm{cm}\)伸びた」といえば、ばねの長さは\(1\,\mathrm{cm}\)ではなく、「ばねの自然長から\(1\,\mathrm{cm}\)伸びた長さ」ということになります。つまり、ばねの長さとは
ばねの長さ\(=\)ばねの自然長\(+\)ばねの伸びた長さ
あるいは
ばねの長さ\(=\)ばねの自然長\(–\)ばねが縮んだ長さ
となります。
ばねの伸び方の基本
ばねの伸びた長さは、基本的にばねにかかる力に比例します。これはどういうことかというと、ばねにかかる力が1倍、2倍、3倍…と増えていくと、ばねのの伸び(ばねの長さではない)も1倍、2倍、3倍…と長くなります。この性質は非常に重要です。次の問題で具体的に考え、比例の関係があることを覚えておきましょう。
- 問題
自然長が\(5\,\mathrm{cm}\)のばねが天井からぶら下がっています。このばねに\(10\,\mathrm{g}\)のおもりをぶら下げると、ばねの長さは\(6\,\mathrm{cm}\)になりました。このばねに\(20\,\mathrm{g}\)のおもりをぶら下げると、ばねの長さは何\(\mathrm{cm}\)になるかを答えよ。
- 解答
この問題では、自然長が\(5\,\mathrm{cm}\)のばねの長さが、\(10\,\mathrm{g}\)のおもりをつけることで\(6\,\mathrm{cm}\)になる。つまり、おもり\(10\,\mathrm{g}\)あたりのばねの伸びは、
おもり\(10\,\mathrm{g}\)あたりのばねの伸び\(=6\,\mathrm{cm}-5\,\mathrm{cm}=1\,\mathrm{cm}\)となります。これより、おもりが\(20\,\mathrm{g}\)になったときのばねの伸びは、
おもりが\(20\,\mathrm{g}\)のときのばねの伸び\(=(20\,\mathrm{g}\div 10\,\mathrm{g})\times 1\,\mathrm{cm} = 2\,\mathrm{cm}\)となる。したがって、ばねの長さは、
おもりが\(20\,\mathrm{g}\)のときのばねの長さ\(=\)ばねの自然長\(+\)ばねの伸び\(=5\,\mathrm{cm}+2\,\mathrm{cm}=7\,\mathrm{cm}\)と求めることができる。
練習問題
問題
ばねが天井からぶら下がっており、ばねにおもりをぶら下げることを考える。おもりの重さを変化させると、ばねの長さは下の図のように変化する。このとき、ばねの自然長の長さを答えよ。また、ある重さのおもりをぶら下げたときに、ばねの長さが\(6.5\,\mathrm{cm}\)になった。このときのおもりの重さが何\(\mathrm{g}\)であるかを答えよ。
解答
まずばねの自然長は、おもりをつけていないときのばねの長さである。そこで図を見ると、おもりの重さが\(0\,\mathrm{g}\)のときのばねの自然長は\(5\,\mathrm{cm}\)である。したがって、自然長は\(5\,\mathrm{cm}\)である。
次に、おもりの重さを求めるために、ばねの伸び\(1\,\mathrm{cm}\)あたりのおもりの重さが何\(\mathrm{g}\)であるかを求める。そこで図を見ると、おもりの重さが\(60\,\mathrm{g}\)のときのばねの長さは\(7\,\mathrm{cm}\)である。このときのばねの伸びは、(ばねの長さ)-(ばねの自然長)\( = 7\,\mathrm{cm}-5\,\mathrm{cm}\)である。よって、ばねの伸び\(1\,\mathrm{cm}\)あたりのおもりの重さは
\(60\,\mathrm{g}\div (2\,\mathrm{cm}\div 1\,\mathrm{cm}) = 30\,\mathrm{g}\)
となる。また、ばねの長さが\(6.5\,\mathrm{cm}\)のときのばねの伸びは\(6.5\,\mathrm{cm}-5\,\mathrm{cm}=1.5\,\mathrm{cm}\)である。これらより、ばねの伸びが\(1.5\,\mathrm{cm}\)のときのおもりの重さは
\(30\,\mathrm{g}\times (1.5\,\mathrm{cm}\div 1\,\mathrm{cm}) = 45\,\mathrm{cm}\)
と求めることができる。
おわりに
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