【中学受験】今だからできる!理科勉強法・克服法 生物編

受験生の皆さんは、理科の勉強をどのように進めていらっしゃるでしょうか。理科や社会は、算数や国語に比べて配点が低い中学校があることや、模試などでも傾斜配点があり、さらに授業時間数が少ないことから、どうしても後回しにされがちです。

ですが、理科は生物、地学、化学、物理という4分野があり、知識問題だけでなく文章読解を要求する問題や計算問題、さらにそれらを組み合わせた融合問題が出題されるため、実は受験生にとって非常に負担の大きい科目と言えるのです。そのことを意識せずにいると、全体学習が終わったあと、苦手や弱点単元となっているところがあり、どこから手を付けたらよいのかわからないという状況に陥ってしまう危険性があるので注意が必要です。

特に生物分野については、暗記で何とかなる、と考える受験生や保護者の方が多いです。たしかに、正確な知識が無ければ解けないという点では暗記分野ということは言えますが、近年の中学入試問題では単に1問1答のような知識問題はまず出題されません。融合問題の中で知識を聞かれることはありますが、出題の仕方のバリエーションが多く、面食らってしまう受験生が多く、それが苦手意識に繋がってしまうことが少なくありません。

知識だけを問うわけではないとしても、正確な知識が前提となっている問題が出題されるので、体系的に、正確な理解をしながら知識を整理していかないといざ問題を解くときに戸惑うことでしょう。暗記だから大丈夫だと思っていたのにそれでは問題を解くことは難しいです。

生物分野は、理科の学習を始める4年生から5年生前半にかけて地学と交互に学習します。受験生の皆さんにとっては、模試で触れることはあっても、学習したのはかなり前のことですから、知識が整理できていない可能性があります。

また、生物分野では特に長いリード文を読ませて問いに答えさせるという出題が入試では目立ちます。正確な知識と理解が無ければ、長いリード文の読み解きに時間がかかり、問題に手を付けられないということも起きてしまいます。

受験に必要な知識は、繰り返し確認しないと忘れてしまうものです。また、暗記ができたとしてもどのような問題でどのような形で出題されるか、その際にどのように知識を使ったらよいかがわからなければ、問題を解くことができません。理科の生物分野は決して「覚えれば何とかなる」分野とは言えないのです。

今回は、忘れている方が多いであろう理科の生物分野について、勉強法と苦手・弱点の克服法についてご紹介します。今のうちに弱点となっているところを見つけ、克服していきましょう。

忘れてしまっている生物の知識

生物分野は、植物、動物、人体が代表的な単元です。本来、生物は身近な存在なので、好きなお子さんが多いのですが、中学受験の勉強の段階になると、覚える知識の量が多いため苦手意識を持ってしまいがちです。

理科は学習範囲が広い

理科は学習範囲が広いため、毎回の単元ごとに学習する内容が異なります。そして、塾ではなかなか繰り返して知識の確認をすることはありません。次の週にはそこに該当するカリキュラムがあるので、掘り下げて学習することがカリキュラム上難しいからです。もしもう一度学習するとしたら全カリキュラムを終えた夏期講習が考えられますが、今回のようなコロナウィルスの影響もあり、実施方法がまだあいまいですし、おそらく理科にかける時間、しかも生物分野については時間をそれほどかけることは頻出単元を除いてはまずないと考えられます。場合によっては、生物分野については全てテキストを自分でやっておくこと、という宿題が出されて終わりということにもなりかねないことを意識してください。

生物を勉強してから時間がたっている

また、生物分野は4年生から5年生前半にかけて学習しているので、その後学習した他の分野に上書きされてしまい、当時学んだはずの知識は忘れてしまっている可能性が高いです。4年生のころに学習した内容まで現在も覚えているという受験生は非常に少ないので、多くのお子さんにとっては一から覚え直さないといけない状態になっている可能性があります。皆さんはいかがでしょうか。4年生のころに学習した生物の知識は残っているでしょうか?

5年生の後半からは化学分野や物理分野の学習が中心となり、しかも小学生が理解するには時間がかかる上計算問題が多いので、理科の学習に時間を割いているという受験生であっても、生物分野の知識はどこかに行ってしまっている可能性が高いです。お通いの塾によっては、定期的に過去に学習した知識について小テストをしてくれる場合もありますが、現状ではそれも難しいため、記憶を喚起する機会がなかなかないというのが実情です。

復習の機会はなかなかない

また、宿題として「生物の第〇回の復習」をするように指示が出ているかもしれませんが、どのように学習するか、その指針までは示してくれないことがほとんどです。そうすると、その週のカリキュラム該当分やほかの教科の学習に時間をとることになり、1週間あっても結局以前に学習した内容は手付かずのままということになりかねません。その分も織り込んで学習計画通りに勉強するのは、小学生である中学受験性にとっては荷が重いですし、そもそも学習すべき量が多すぎて不完全燃焼になってしまいます。

ただし、小学校が休校中、あるいは段階的に登校しても登校時間が少ないこの時期だからこそ、これまで積み残してきた「やったはずの知識」を体系立ててもう一度学習するチャンスだと言えます。今の時期に、少しでも抜けてしまった生物の知識を思い出し、覚え直して問題演習や模試で使いこなせるように「しっかりとした復習」を始めることはとても有効です。

知識は単体だと覚えにくい

生物の知識の学習については、社会の学習をイメージすると取り組みやすくなります。これまでにも社会の勉強法・克服法についてお伝えしてきましたが、地理や歴史の正確な理解と暗記は生物分野にも共通する点が多いです。

理科の知識問題は頭からひとつずつ覚えていけば何とかなる、と思っている受験生の方も多いのではないでしょうか。今の時期なら、サピックスであればコアプラス、四谷大塚や早稲田アカデミーではサブノートや演習問題集などで知識の整理をするように塾からは指示が出ていると思います。

コアプラスも、四谷大塚の教材も知識が良くまとまっているテキストです。ただし、知識を身につけるためにある層言った教材には落とし穴があります。単元ごとの知識を並べている教材なので、1対1で問題に答えられたらそれで終わりにしてしまうという受験生が非常に多いのです。そのような覚え方だと、ピンポイントでその1つの知識を問う1問1答の問題でもない限り正解できないでしょう。

また、近年の中学入試問題では、そのような1問1答の問題はまず出題されません。特に理科の生物分野は、最初に長いリード文を読み、実験結果を正確につかんでから設問に答えていく形式が主流になりつつあります。設問の中で単体の知識を聞かれることはもちろんありますが、模試の最初に出てくるような単純な知識問題ばかり学習していても、そのような問題が出題されるわけではないことは入試の過去問を見ても明らかです。模試の大問でも、最近は長いリード文と実験考察をもとにした出題となっています。

知識を覚えるためのテキストを使ってすべての知識を丸覚えしようとすると、そのテキストと同じ聞かれ方をする問題はまず出題されず、聞き方を変えられたらとたんに答えられなくなる、その結果わからないと悩んでしまうことが非常に多いので注意が必要です。そのような学習の仕方では知識の正確な理解をおろそかにしてしまい、設問と答えを1対1対応で丸覚えしているにすぎません。いくら同じことを繰り返しても、いつまでたっても成績を上げることはできません。生物の知識は単体でいくらたくさん覚えても、実際の問題では正解できず、点数には結びつかないのです。では、そのような状態を克服するためにはどうしたらよいのでしょうか。克服法をご紹介します。

知識どうしのつながりを意識して覚える

植物、動物、人体、いずれの分野でも、生物的な知識だけでなく、その知識についての説明についても二本柱としてしっかりと定着させていくことが重要になってきます。つまり、「答えと理由付け」を意識することが大切なのです。

知識どうしの意識のしかた

たとえば、人体のはたらきについて考えてみましょう。人間の腸の表面は細かいひだ状になっており、このひだ一つひとつのことを「柔毛」と呼びます。ここまでは、覚えている受験生の方も多いのではないでしょうか。

では、腸はなぜこのような形状になっているのでしょうか?それは、腸の表面積を増やすことによって、栄養分の吸収効率を上げるためです。腸が柔毛構造になっていることは知っていても、それが「なぜなのか」まで理解できている受験生の方は非常に少ないです。そのため、「柔毛」ということばについて聞いている問題を解くことはできても、「なぜなのか」と聞かれ方を変えられると、答えられないのです。

混乱しないための学習法

このように、人体の知識ひとつをとっても、ただ単体で覚えていては少し聞かれ方を変えられるとあっという間に答えられなくなります。知っているはずの知識を思い出せないのです。そのような状態を克服するためには、ただ単にひとつの知識を覚えるだけでなく、「なぜ」このような状態や形状になったのか、といった理由付けまで意識して学習するのが、生物の知識を増やすために最も重要なポイントです。

生物分野は、理科の中で最も求められる知識の量が多いので、直前期まであと回しにしていると手遅れになってしまいます。こまめに知識を見直しながら、理由付けも含めて一緒に覚えることが大切だということを忘れないようにしてください。

また、ピンポイントで単体の知識を覚える学習法では、今後さらに増え続けていく知識を同じように詰め込んでいくことになり、頭の中で知識が交通事故を起こしてしまいます。整理できずにいくら知識を覚えようとしても混乱するだけです。生物分野は覚えなければならない知識量が多いだけに、知識が整理され、正しい理解に基づいていないと結果的に何も覚えていないのと同じ状態になってしまいます。「答えと理由付け」をワンセットにして理解しながら覚えていく意識を大切にしましょう。

生物分野の問題を解くには頭の切り替えがポイント

これまでの模試などを振り返ってみるとわかりますが、単なる1問1答の問題はあまり出題されていないですよね。中にはジャブ的に4分野の基礎知識を問う問題も出題されますが、大問では、長いリード文があり、その中で実験が行われ、さらにそれに対する考察が加えられている、いわゆる「実験観察問題」が生物分野の主流となっています。問題部分に対して、さまざまな角度からいろいろな知識が問われるのです。

たとえば、植物の発芽条件の問題は良く出題されますが、長い説明文のあとに、いろいろな条件の下で実験が行われ、その結果どうなったかが書かれています。設問では、リード文を正確に読めているか、実験の内容と目的を把握できているか、与えた条件をしっかり読み取っているか、といったことを多面的に聞いてきます。植物の単元全体を横断するような知識を聞く設問もあるなど、非常にバラエティーのある出題がされるのが特徴です。皆さんは、発芽に関する問題というと、発芽の三条件については答えることができるかもしれませんが、それが実験結果にどのように影響しているか迄は覚えていないでしょう。それでは設問に答えることはできません。

また、理科の大問は、設問の数が非常に多いです。少ない場合は1問の配点が高く、その分難易度も高くて時間がかかる問題が含まれています。設問の数が多いと書きましたが、その設問は1つの知識を問うものではありません。1つの知識から次の知識、さらにそれを応用した知識、と設問ひとつごとに問われる内容が異なります、つまり、問題文を覚えていながら設問を読み進み、1問ずつ頭を切り替えて答えていくことが点数を取るためにとても大切なことと言えるのです。

また、理科の場合、前の設問の答えが次の設問の前提になっていることが多いです。ですから、ひとつ間違えると芋づる式に点数を失ってしまう危険性があります。だからこそ、1問ごとに正確に答える必要がありますし、頭を切り替えながら次の設問にしっかり答えることが重要になるのです。

生物分野は単なる知識問題だととらえて1問1答をつぶすことにこだわっていては、このような大問に対応できなくなってしまいます。しかし、実際の入試問題では、このような1問ごとの頭の切り替えを、生物分野の問題に見せかけてほかの化学分野のことまで1つの大問の中に収めていることさえあります。また、実験からわかることを記述させるということで、問題の意図を理解しているかどうか確認する問題も近年増えてきています。

このような問題に対応できるようにするためには、生物分野を単なる知識と考えるのではなく、知識どうしのつながりを考えながら、1問ごとに頭を瞬時に切り替えていくこと、ほかの分野の知識も必要に応じて思い出す、使いこなすことができるようになる必要があります。ぜひ、知識どうしのつながりを大切なことととらえていく観点を忘れずに生物分野を克服していきましょう。

学校の教科書や図鑑をおろそかにしない

生物分野の学習では、学校の理科の教科書の生物部分と、植物や動物の図鑑と照らし合わせながら知識を入れていくことがとても大切です。理科は想像力が無くてはなかなか正解できません。ひとつの実験観察をとっても「こういう条件だったらこうなるだろうな」という意識を持ちながら解くことが大切です。また、植物の場合、その植物がどのような形状なのか、色は、花や葉はどういう作りになっているのかということがとても大切です。鴎友学園では、必ずカラー刷りで植物の知識を問う問題が出題されます。そういった問題に対処するためには、単にテキストの文章を眺めているだけでは足りないのです。

学校の教科書には表やグラフはもちろん、カラー写真を用いた資料なども充実しています。また、図鑑はさらに詳しく植物や動物についての知識を写真とともにまとめてくれています。文字だけの学習ではイメージしきれない点を、表やカラー写真を交えてわかりやすく説明してくれているので、教科書や図鑑をぜひ活用したいところです。

生物分野の場合、植物を分解した図や昆虫の図、脊柱動物や哺乳類の図、さらには人体の図など、図に関わる問題が非常によく出題されます。中学校によっては鳥のくちばしを書かせたり昆虫の図を書いたりする問題も出題されています。筑波大附属駒場中学校や駒場東邦中学校では鳥のくちばしを書かせる問題は頻出ですし、以前海城中学校ではサケの切り身の図に背骨を書き入れさせる問題を出題しています。どれも教科書や図鑑に普段から親しんでいたり、日常生活の中で目にしているものに関する問題ですが、決して正答率は高くないのです。

また、人体については、臓器の名前を答えさせる問題や臓器の働きを問う問題が頻出ですが、そもそも問題となっている臓器がどのような形をしているのかがわからなければ答えようがありませんよね。このように、最近の中学入試では、単にことばだけを覚えていても正解できない問題が増えています。人体の臓器の問題なら、まずそれぞれの臓器の役割を理解し、説明できるくらいまで覚えるようにしましょう。つまり、「答えと理由付け」をセットで理解する必要があるのです。そのときに大きな助けになるのが、教科書や図鑑などに出てくる「図」なのです。

今後しばらく生物の復習をする機会がないという状態になると思いますが、今の時期だからこそ、教科書や図鑑の内容をもう一度しっかり頭に入れることを意識してください。教科書に書かれていることは、中学入試で求められる最低限の知識です。たとえば、男子最難関校の筑波大学附属駒場中学校では、教科書の図表の下に小さく書かれている説明についての知識を問うなど、教科書を隅々まで理解しているかどうかを確認する問題が出題されます。たかが教科書、図鑑、と思われるかもしれませんが、中学受験の基礎中の基礎が詰まっている宝庫であるということを忘れずに、生物分野の学習をするときには必ずそばにおいて調べるように習慣づけるようにしましょう。

苦手単元や弱点は今のうちにつぶしておこう

理科の生物分野の知識は、確認テストなどで毎回しっかり定着させていけるのが理想ですが、4年生や5年生の初めに学習するという時期の問題もあり、すべての知識が定着している受験生はほんの一握りの最上位性だけに限られるでしょう。しかも、そういった最上位層であっても弱点はつきものです。

今だからこそ立ち止まって弱点分野の克服を

もちろん、苦手な単元や弱点となっている部分について、その週のカリキュラムごとに完璧に定着するところまでもっていくのは非常に難しいです。毎週のように新しい知識が増えていく中で消化不良になっている状態では、そのうち混乱してしまうことは火を見るより明らかです。一度立ち止まって、自分が苦手としているのは人体なのか、植物の暗記なのか、動物の分類なのか、など、弱点となっているところを発見することが大切だと言えるでしょう。弱点を発見できると、どのような形式の問題や設問で点数が取れないのか、毎回同じような問題で間違えているか、といったことがしっかり把握できます。

塾からは、夏期講習で総復習するから大丈夫です、という説明を受けることが多いですが、夏期講習の総復習はひたすら問題演習なので、問題に出てきた知識を説明してくれることはあっても、必ずしもそれが自分が理解できていないところ、弱点となっているところだとは限りません。少なくともそれまでに自分の弱点がどこなのかを理解しておく必要があります。そうしないと夏期講習期間が無駄なものになってしまいます。

毎週カリキュラムがどんどん進んでいくのでなかなか立ち止まって復讐するのは難しい、と思われるかもしれません。しかし、自宅学習時間がいつもよりしっかりとれる今だからこそ、まずは一度、これまでに学習した中で弱点となっているところをしっかり洗い出しておきましょう。

弱点ノートを作っておく

これまでの模試などで間違えた問題は、克服していくべき課題です。特に覚えるべき知識の多い生物分野の学習を行うためには、そういった知識を体系的に整理する必要があります。そのうえで、必要なときに必要な知識を頭の中から引っ張り出せるようにしておかなければなりません。

そこで、自分の知識が足りなかったために間違えた問題や、苦手とする聞かれ方だったために不正解になった問題をピックアップして弱点を集めたノートを作っておくことをおすすめします。この弱点ノートを作っておくと、自分が生物分野の中でもどこを弱点としているのか、あるいは苦手としている種類の問題はどのようなものなのか、ということが一目でわかります。また、次のテストでは間違えないように弱点を集めたノートを自分だけの問題集として繰り返すことで、正答率は上がっていくというメリットもあるのです。保護者の方にとっても、我が子の学習状況や苦手分野、克服すべき点がわかるので、より具体的に何をすべきかがわかります。

ノートの作り方は簡単です。間違えた問題をコピーやプリントアウトして、ノートの見開きの左側のページに貼るだけです。空いているノートの右側をどう使うかが弱点ノートを使うキモになります。ノートの右側を使って、まずは間違えた問題をもう一度解きましょう。そこで解ければ〇にして構いません。もしもう一度間違えた問題については、原因を考えることが重要です。生物分野の知識を正確に理解するために必要なのは「答えと理由付け」です。答えだけ見て間違えたからもう一度×をつける、というのではなく、「なぜそういう答えになるのか」をしっかり考え、理解することが大切です。これが、何よりの弱点克服法と言えます。

やはり一度間違えた問題を集めているので、すぐに全部正解するということは難しいでしょう。しかし、焦る必要はありません。もう一度間違えたら、またできるようになるまで繰り返せばよいのです。ただ、間違えたからまた解けばいいや、という考えは持たないでください。大切なのは、弱点を洗い出した結果を見て、それを克服していくことです。もしもう一度間違えたら、その原因をしっかり考えたうえで、問われている知識について簡単で良いのでポイントをノートの右側にまとめておきましょう。それが「答えと理由付け」、すなわち知識と知識のつながりを意識するきっかけともなるのです。

一度弱点ノートを作っておくと、今後間違えた問題が出てきた際に加えていけば自分だけの問題集ができます。また、知識をまとめることによって参考書の役割も果たしてくれるようになります。つくりこみすぎる必要はなく、あくまで弱点をチェックし、それを克服するためのツールですから、凝りすぎる必要はありません。今後頻繁に行われる模試などの際に、弱点ノートを見直せば、弱点補強ができるだけでなく、同じ問題でまた間違えるということを防ぐことができます。また、コンパクトに弱点をまとめることができるので、分野全体は広くても、自分の弱点をピックアップして短期間に何度も回して克服していくことができます。ぜひやってみてください。

弱点ノートを作るのは、問題を貼る必要があるなど、少し時間がかかるので、ぜひ保護者の方が協力してあげてください。最初に問題をコピーやプリントアウトしてノートの左側に貼るところまではぜひやってあげるとお子さんの学習時間の節約になりますし、お子さんがどういう問題で間違えたのかを把握することもできます。

いますべてできなくても大丈夫!

問題集などを解く際に気をつけたいのは、今の時点では焦って応用的な記述問題ばかり解いたり、完璧を求めすぎて基本をおろそかにしてしまわないということです。今は中学入試に向けた準備期間ですから、すべてを完璧にできている必要はありません。記述問題を気にする方は多いのですが、実は解答方式が違うだけです。選択問題などで問われているのと同等の知識を自分自身で整理し、文章にまとめていくという形式が違うだけです。問われていること自体はそれほど難しくないことが多く、場合によっては問題全体の中から出題者の結論を読み取らせることが目的で、難しい文章を書くことまでは求めていないのです。

まずは、受験生ならだれでも正解するであろう基本的な知識を問う選択問題で間違えることのないように、知識があいまいな部分を一つひとつしっかりとつぶすことを最優先しましょう。ここで間違えていると、他の受験生に差を付けられてしまいます。

また、小学生という年齢的なこともあり、苦手なところを放置してしまう受験生も多いです。しかし、苦手なところは放置すればするほどさらに苦手意識が強くなり、さらに敬遠してしまうというループにはまってしまうので注意が必要です。最悪の場合、どこが苦手だったのかそのうちに忘れてしまうという状況も考えられます。そのため、早いうちに苦手や弱点の対策をしてつぶしておくことが大切なのです。特に、理科の生物分野の知識については、入試直前の詰め込み学習で対処できるほど甘いものとは言えません。まず時間が割けないですし、さまざまな問題演習を積んでいるうちに知識がごっちゃになってしまい、理解しようとしても焦るばかりで結局覚えられない、覚えられてもどういうときに使えばいいのかわからず結局使いこなせないということになりかねません。

今まで学習してきた内容については今のうちに理解を進めておきましょう。そして、正確に覚えられるように、弱点ノートを使うなどしてこまめに復習していくように心がけましょう。生物分野は教科書や図鑑の図も大切なので、弱点ノートと合わせて弱点克服のために活用することをオススメします。

こういった弱点補強をするためには、休校中、または学校が本格始動していない今は自宅学習の時間が取れるという意味で大きなチャンスです。応用的な問題は、今後数をこなしていく機会がいくらでもあります。今大切なのは、受験の定番ともいえる基礎知識をしっかり整理し、理解を深めて定着させることです。定着することができれば、その知識を使いこなすことができるので解ける問題も必ず増えます。今のうちに自宅学習で定着を図っておきましょう。

まとめ

これからさらに中学受験の学習を進めていくうえで大切なのは、「自分のための勉強」をすることです。苦手分野や弱点は、受験生一人ひとり必ず違います。自宅学習の時間がこれまでよりも豊富に取れる今だからこそ、他の受験生と自分を比べることなく、自分の苦手分野や弱点分野がどこなのかをしっかり把握し、克服していくことこそ成績を伸ばすカギとなります。

塾での集団授業では、生徒一人ひとりの状態に合わせた授業を望むことは不可能です。毎回のカリキュラムをこなさなければなりませんし、特に1回に配分されている知識量の多い生物分野などは短い授業時間の中で、ひたすら問題を解き、出てきた新しい知識を詰め込むことが中心になり、その状態は夏期講習でも続くでしょう。また、4年生や5年生のはじめに学習した生物分野は「宿題」「自分で復習」という形で受験生自身が対策していかなければならない状態になっていきます。だからこそ、自宅でいかに復習ができるか、知識を正確に理解し、定着させられるかということが、結果的に周囲と差をつけるポイントになるのです。

受験学年はこの先、なかなか知識問題に時間を割く余裕はありません。だからこそ、今の時期に自宅学習の時間をしっかりとり、これまで学習したことをしっかり身につける、また忘れないように学習を進めることが大切です。問題演習をしなくては、と焦る気持ちはわかりますが、いくら問題をたくさん解きたいと思っても、前提となる知識があいまいでは1問解くのにも時間ばかりかかって結局不正解という結果になってしまいます。理科の生物分野は暗記で何とかなると思われているからこそ、正確な知識の理解がなくては、問題は解けないという原点に返りましょう。知らないと解けない問題がたくさんある、それが生物分野の特徴でもあります。

ぜひ、今の時期に基礎中の基礎に立ち返り、自分自身の現在の状態に正面から向き合った学習をしていきましょう。理科の生物分野でそれをするためには、学校の教科書や図鑑なども活用する必要があります。目で見て手を動かして学習する、つまり目と手をフルに使うことが今後弱点を減らして成績を上げていくポイントです。これができれば、問題演習や今後増える模試、過去問演習など、実戦的な問題を解いていく際に非常に楽になります。今は焦らず、しっかりと自分のための学習をすることが何よりも大切です。弱点をひとつ克服できれば、自信もつきます。ぜひ、自分のための学習をすることを意識して学習を進め、弱点を克服するようにしてください。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。