中学受験・理科 物理分野・電流と磁力線についてのまとめ その2

受験生の皆さんは、2月の入試を目指して、今までに間違えた問題を解き直して解法を確認したり、あいまいになっていた知識をもう一度理解しなおして確認するなど、弱点となっているところの学習をしていると思います。

これから残された時間は、無理に手を広げるのではなく、今までやってきたことを見直して、どういう問題で間違いやすいのか、どのような知識が十分ではないのか、どのようなタイプの問題に時間をとられてしまうのかなど、自分の弱点克服のための、「自分の勉強」をしていくことが一番大切です。苦手なところは受験生一人ひとり違います。自分ができていないところをできるように、×を〇にする学習を、焦らず落ち着いて繰り返していくことをしっかりやり切ってください。

受験生によって苦手なところは一人ひとり違うと書きましたが、今回は理科の電気の分野、「電流と磁力線」について、前回に続いて整理をしていきたいと思います。理科の中でも物理分野、特に電気に関する問題は得意、不得意が大きく分かれてしまうところです。苦手な受験生は、最後まで理解できずに「出たらどうしよう・・・」と恐怖感を持ってしまい、手をつけられずに時間ばかりたってしまうこともあるくらいです。

電気は、私たちの生活に欠かせないものです。それだけ身近なものに関する問題なのに、なぜ苦手になってしまうのでしょうか。それは、電気の流れ、磁界といったものが目に見えず、実感を持ってイメージすることができないということが一番の理由でしょう。どちら向きに、どれだけの量の電気が流れるのか、それは頭の中でいくら答えを見つけようとしても難しいことです。

次に、電気に関する問題は、計算問題が多く出題されるということも、苦手意識を大きくしてしまう原因の一つといえるでしょう。算数でもそうですが、計算問題が出題されたら、反射的に、よく問題をよまずに解いてしまい、計算間違いをしてしまったり、数字が複雑になってしまって時間をとられてしまい、後に控える文章問題に取り組む前に時間切れ、という経験はないでしょうか。

電気に関する計算問題は、確かに多く計算問題が出題されますが、問題文のどの数字を使って、何を求めるかということをしっかりつかめれば、難しい計算になることは多くありません。ですが、算数で計算問題をたくさん解いて計算ミスを重ねている受験生は、「速く解かなきゃ」「答えを出さなきゃ」という気持ちが先に立ってしまい、落ち着いて計算することができなくなってしまっています。計算は単なる数字合わせではありません。正解するためには、必要な材料を問題文から拾い出し、聞かれていることに答えるという姿勢が必要です。

間違えた問題についても、復習を嫌がって積み残していませんか?なぜ間違えたのか、知識が足りなかったのか、問題文をよく読んでいなかったのか、使うべき数字を見間違えたのか、など、間違えた理由を確認することなく、答えだけ確認してひたすら大量に問題を解いてしまっていないでしょうか。

大量に問題を解いていると、同じような問題で間違いを繰り返してしまうことに気づいているのではないでしょうか?なぜ間違えてしまうか、それは、電流の流れや磁力線の向きなど、電気に関する基礎知識をおろそかにしてしてしまっているためです。ただ目の前の大量の問題を解くことしか目に入らず、計算問題を解く前に身につけておくべき基礎知識をおろそかにしてしまっていては、いくら大量に問題を解いても必ず間違えてしまいます。

前回は、電流と磁力線について、基礎知識をまとめました。今回は、実際に入試で出題された問題を取り上げて、その知識をどのように使いこなしていけば正解できるのか、知識の使い方と計算問題の関係について、どのように解き進んでいくのかをまとめます。まだ知識に自信がなくても、計算問題に自信がなくても、最後まであきらめないで少しでも点数がとれるよう、苦手意識を持っている方は参考にしてください。

磁力線と電磁石の問題

電磁石の問題も、入試ではよく出題されます。ですが、覚えていなければならない知識はそれほど多いものではありません。実際に入試問題で、電流に関する法則をどのように使うのか見てみましょう。

最初の例題は、東邦大学付属東邦中学校の2016年度入試で出題された問題です。それぞれの問題を見ていきましょう。

(1)(答え)イ

問題の中にあるコイルをよく見てみましょう。コイルの左側に置かれた方位磁針を見れば、磁力線の向きがわかります。右側の方位磁針の向きも自動的にわかります。

この問題で使うのは、「右手の法則」です。右手の法則をもとに、電流の流れる方向とコイルの巻かれている方向を確認すると、下の図の矢印の向きであることがわかります。

この図のように、右手の親指以外の指の握る方向を合わせてみましょう。そうすると、親指は左に向くことがわかりますね。

(2)(答え)ク

右側の鉄の棒に惑わされずに、「右手の法則」を忠実にあてはめれば、正解がわかります。コイルAとコイルBは、エナメル線の巻かれた方向が逆になっていますね。その方向の違いを冷静に判断し、右手の法則がわかっていれば正解できます。注意すべきはケアレスミスです。このように、基本的な内容を聞いているにもかかわらず、迷わせるような問題が出題されるのも、電流や磁力線の問題の特徴といえるでしょう。

(3)(答え)エ

この問題は、何段階かに分けて考える必要がありますが、順序立てて考えていけば正解が導き出せる問題です。

コイルAとコイルBは、エナメル線の巻かれている方向が逆になっています。そのことに注意して「右手の法則」を当てはめると、コイルAの右側は磁石のS極、コイルBの左側もまたS極となっているような、磁力線の向きになっていることがわかります。

磁石の性質として、同じ極が近づくと、反発し合うことは知らない受験生はいない基本的な知識です。

次に、コイルCはコイルBとはエナメル線の巻かれている方向が逆で、コイルAと同じ向きです。ですから、コイルCの左側はN極となり、コイルAの右側のS極に引きつけられます。ですから、左方向に力が働くことがわかります。

そのうえで、コイルの巻かれている数に注目すると、コイルBよりコイルCの方が多いですから、電磁石の力は強くなることに気づけば正解できます。

 

電力を流したときの磁界と磁力線の向き

次の例題は、立教新座中学の2010年度入試で出題された問題です。この問題で出ている図は、一度は見たことがあるのではないでしょうか。

(1)(答え)ア

使うのは「右ねじの法則」です。導線に電流を流すと、磁界が生じます。磁力線の向きは電流の方向に向かって右回りとなります。下の図のようにです。

導線の上と下で、方向が異なることがわかりますね。この問題ではまず、図2に「電池を逆向きに接続した」とあるので、電流の向きは逆になります。この問題も、問題文と図の読み落とし、見落としに注意が必要です。

また、設問は、「導線の下」では、「N極」が「東寄り」になったので、「導線の上」では「S極」がどうなるのかを聞いています。「N極」ではありません。先ほどの問題文や図をしっかり読むことと、設問が何を聞いているのかを、問題文の下に線を引くなどして正確にとらえることが必要な問題です。ケアレスミスに注意が必要です。

(2)(答え)ア

電流の方向と「右ねじの法則」を正しく当てはめれば、容易に解答できる問題です。導線の下側が+極、上が-極、と問題文に書かれているので、これを図に描き入れておきましょう問題文のヒントは一つも逃さずに図に描きこんでおくことも、問題を解くうえでは、簡単ではありますがとても大事なテクニックです。これに右ねじの法則を当てはめて考えれば、磁力線の向きがわかります。

(3)(答え)イ、ウ、カ

一つひとつの選択肢をよく読んで解き進みましょう。「すべて」選ぶ問題なので、1つでも見落とせば不正解になってしまうので、注意が必要です。

ア 間違い。磁石の中には電力は流れていません。磁石によって電流を生じさせることはできます。

イ 正しい。磁界が生じます。

ウ 正しい。磁力線の向きは電流の方向に向かって右回りです。

エ 間違い。電流によって生じた次回の影響を受けます。

オ 間違い。ある方向で静止します。

カ 正しい。電流によって生じた磁力線の向きと、磁界の影響のないところでの方位磁針の向きが同じであれば、方位磁針は動きません。

キ 間違い。電流が逆に流れると、方位磁針の向きは逆になります。

まとめ

一見難しそうに見える電流や磁界、磁力線、方位磁針などが組み合わさった問題であっても、使う法則の数は実はそれほど多くないことがわかりますよね。本当に覚えておかなければならない知識は決して多くないので、とにかく「正確に」覚えること、そして覚える際には「なぜそうなるのか」ということを理解することが大切です。

また、例題にも出てきましたが、問題文の情報を図に描き入れていくこと、ヒントを見落とさないことがとても大切になってきます。磁界や電気は目に見えないものなので、電流の流れる方向や磁界の向きを図に描きこむなどして、ビジュアル化してください。

「視覚でイメージすること」これができるかどうかが、電気の問題が解けるかどうかの分かれ目です。面倒くさがらずに、ていねいに一つひとつの情報を使い切り、問題を解くことを心がけましょう。そうすれば、決して難しい問題ばかりではないことがわかるはずです。

苦手意識を持っている受験生の方も、まだ時間はあります。もう一度、必要な基礎知識を洗い出して理解に努めましょう。そのことで、1つでも多くの問題が解けるようになりますよ。あきらめずに頑張りましょう。

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