中学受験・理科 乾電池と豆電球のつなぎ方 その2

12月に入り、受験生の皆さんは各科目の総整理をしている真っ最中だと思います。塾でも、過去問を解いても、模試を受けても、そして自宅学習をしているときでも、「あ、この分野や単元は自分はまで十分に理解できていない」というところがぽろぽろとでてきて、自信を失ってしまうこともあるかもしれません。でも、入試直前期にそういうことに気が付くことができるということは、チャンスがきた!ということです。

入試本番までにはまだまだ時間があります。今やるべきことは、「自分が苦手としているところ」を総ざらいして見つけ、その範囲の基礎知識をできるだけ短い期間で繰り返して理解し、実際の問題を解いて自分のものにしていくことです。これは、4教科どの科目でも共通して言えることです。

ただ、算数や国語は、塾での学習時間が比較的多く、取り組んできた問題も比較的多いですから、どこが自分の弱点なのかということを自分で把握すること、あるいは塾の先生や親御さんも把握することはまだやりやすいかもしれません。

問題は、理科や社会です。入試での配点は、学校によって4教科で100点満点のところももちろん多いですが、算数・国語に比べて配点を低くしているところもあるので、どうしてもこれまでの学習で、「あとでやればいい」という意識が植え付けられているのではないかと思います。また、理科や社会は「覚えればある程度は点数がとれる」という非常に危険な「誤解」を生みやすい科目です。

そのような考え方を見直し、これから入試直前まで、理科や社会で苦手意識がある、あるいは苦手と思っていなくても十分に理解ができず問題を解くといつも間違える、そのような分野を少しでも埋めていくことが直前期の学習では何より大切です。

今回は、理科の物理分野、その中でも電気の単元について、計算問題に目が行きがちになるために、おろそかになっていた必須知識を、実際の入試問題を取り上げながらまとめていきます。パッと見て理解できていれば良いですが、少しでも思考が止まるようなことがあるなら、根本にすぐ戻りましょう。そのワンクッションの大切さについてお伝えしていきたいと思います。

例題1 オームの法則

オームの法則は、中学校で重点的に学ぶ範囲ですが、中学受験でもこの法則を前提とした入試問題が数多く出題されています。では、例題をみていきましょう。

聖光学院中学校は、神奈川県の男子御三家です。東京の御三家と併願をする受験生も多く、校舎も新しくなり、人気を集めています。大学進学実績の中では、国公立の理系学部や、医学部医学科を目指す生徒が多いこともあり、理科の中学入試の問題では、オーソドックスではありますが、問題文を正確に読みとる力、グラフが何を表しているのかつかむ力、など、注意深く出題意図を読みとって問題を解き進んでいくことが求められます

問題文の中に、あるいはグラフや図の中にヒントがたくさん隠されているという出題は、難関校では主流になっています。まずは問題文を正確に読みとるために、ヒントを見落とさないために、根本的な知識を整理しておく必要があります。

(1)(正解)イ

2015年の聖光学院中学校では、中学校で学ぶオームの法則を基本とした問題が出題されました。深く学ぶのは中学に入ってからかもしれませんが、その原理原則は中学受験の時点で問われています。中学受験のカリキュラムにも出てきていますので、一度は学習しているはずです。

問題文では、「抵抗値」ということばが使われています。電気の抵抗については、中学校、高校と勉強していき、大学入試でも出題される重要な考え方ですが、中学受験レベルではそこまでは求められません。この問題でも、問題文のんかでことばの意味の解説がありますから、読み飛ばすことなくていねいに順を追って読んでいけば、理解できる内容です。抵抗値は、「ボルトアンペア」とあります。

問題文を読み切ったら、それぞれの選択肢を分析していきましょう。

ア 図2のグラフをみればわかります。電流と電圧の関係は、「比例」の関係にあります。

イ 電圧と電流が比例しているので、抵抗値は一定のはずです。ですから、この選択肢が正解です。

ウ (抵抗値)=(電圧)(流れる電流)ですから、(流れる電流)=(電圧)÷(抵抗値)です。

エ 抵抗値が一定だということが読みとれていれば正誤がわかります。

問題文を読んで、法則を考え出すことはかなり難しいことですが、それは細かい知識を知っていなければできないということではなく、問題文に書かれている条件やヒントをきちんと読みとり、比例・反比例の関係を結び付けて考えれば、正解することができます。理科では、計算問題が多く出題されますが、「比例・反比例」の関係は最も重要な考え方です。算数の比のところをしっかり復習することを忘れないようにしましょう。

(2)(正解)0.1アンペアあ¥

図2のグラフを使います。グラフを見ると、電圧が4ボルトのときは0.2アンペアの電流が流れることが読み取れます。そして、豆電球2個の直列回路ですから、電流は2分の1になります。

0.2×1/2=0.1

答えは、0.1アンペアということになります。乾電池と豆電球のつなぎ方による電流の考え方の基本がここでも必要な考え方です。もし間違えた場合は、戻って再度復習しておきましょう。

(3)(正解)9ボルト

豆電球Aのほかの豆電球B、豆電球Cとそれぞれ置いてみましょう。そのうえで、流れる電球や電圧を考えていくのです。

もし名前のついていないものがあった場合は、そのまま何も名前をつけないと解いている途中で混乱し、また、「何について求めているのか」がわからなくなり、最終的には出題者がもとめている「聞かれたことに答えること」ができなくなります。一つひとつ確認しなければいけないことは、「基本」ということばに惑わされるせいもありますが、一見簡単に見えますし、数も多くはありません。でも、だからといってそれを怠るともし正解に達しても、解答欄に正しい答えを取り違えて書いてしまうことがあるので気をつけましょう。

豆電球Aと豆電球Bが並列の関係にあり、いったん枝分かれして、また合流していることが図4を見るとわかりますね。そして、合流して豆電球Cにつながっていますので、豆電球Aの電流は豆電球うCの2分の1になります。

ですから、豆電球Aと豆電球Cの電流の日は1:2になります。豆電球Bに流れる電流は豆電球Aの電流と同じです。したがって、豆電球Aの電流は図1の豆電球に流れる電流の3分の1になります。

図4と同じ電圧を図1で考えると、

0.15×3=0.45

0.45アンペアのときの電圧は図2のグラフから、9ボルトであるとわかります。

例題2 乾電池と豆電球の電流の大きさをまとめた問題

例題2も、聖光学院中学校の過去問です。2012年度入試の問題です。乾電池の数、豆電球の数のいろいろなバリエーションが出題されており、基本的な電流に関する理解ができているかどうかを試す良問です。直前の電流に関する問題として解いてみるとよいでしょう。

(1)(正解)ウ

乾電池1個、豆電球1個のときに流れる電流の強さを1とおきます。当たり前と思うでしょうが、これは根本中の根本です。いい加減に覚えていて、応用問題ばかり解いていても正解はできません。混乱したらまずここに戻りましょう。それほど大事な根本的な知識だということを忘れないようにしてください。

各選択肢を見ていきましょう。

ア 乾電池3個は並列になっています。3個であっても並列にすれば電流は変わらず「1」と考えられるので、乾電池それぞれ3分の1、豆電球の電流は1です。根本知識を理解していればすぐにわかりますね。

イ 乾電池が3個ありますが、並列つなぎの乾電池は2個です。並列つなぎの乾電池2個は合わせて1の電流、それが横にある乾電池1個と直列の形でつながっています。そうすると、乾電池の電流は全部で2、豆電球の電流は2となります。

ウ 乾電池3個が直列でつながっていますね。この場合、電流は3ですから、豆電球の電流は3です。

このように一つひとつ見ていくと、最も明るくつくのはウだということがわかります。

(2)(正解)ア

長持ちするのは、電池にもっとも弱い電流が流れているときです。設問(1)で正解できていれば自動的に正解できます。一番弱い電流が流れているのは「ア」ですね。

(3)(正解)ア、ウ

この問題は、電流の問題の原理原則が、どんな聞き方をされても答えられるくらいまで定着しているかどうかを見るのにとても良い問題だと思います。もう一度、電流の原理原則をまとめておきましょう。

  1. 乾電池を直列につなぐと、明るくなります。
  2. 豆電球を直列につなぐと、暗くなります。
  3. 乾電池を並列につないでも、明るさは変化しません。
  4. 豆電球を並列につないでも、明るさは変化しません。

整理してみると、本当に理解していなければなならない原理原則は意外に少ないのです。まずこれらをしっかり理解できているか確認しましょう。

各選択肢を見ていきましょう。

ア 豆電球が並列につながっていますので、明るさは変わりません。

イ 豆電球は並列につながっていますが、乾電池が直列につながっているので、明るくなります。

ウ乾電池が並列につながっているので、明るさは変わりません。

エ 豆電球は並列につながっていますが、乾電池は直列につながっていますね。だから、明るくなります。

まとめ

電流の原理原則は、決して複雑なものではありませんし、入試問題でも大量の乾電池や豆電球の回路が出題されることはまずありません。そういう意味では、パターンを覚えればよいと思われるかもしれませんが、途中まで並列、そのあと直列、というように組み合わせる問題が出題されるので、そこで原理原則の理解に自信を持っていないと、少しひねった例外の問題にあたると混乱してしまうというのが、電流の問題の難しさ、難しいと感じてしまう原因です。

ただ原理原則だけを何度も唱えていても問題を解けるようにはならないので、原理原則を確認したら問題を解く、そして自分が苦手とするパターンはどのような回路なのか書き出してみましょう。時間をかける必要はありません。直列と並列によって、明るさ(電流)がどうなるのか、基本を常に確認して問題に取り組んでいきましょう。過去問や、これまでの模試の中で間違えた問題をピックアップして、一つひとつ潰していきましょう。それほど数は多くありません。

あとは、原理原則に加えて問題文を間違いなく読むこと、条件が加えられていたらそこに印をつけて意識しながら解くこと、グラフの読み取りでは縦軸、横軸が何を表しているのか、すべて基本的な問題の解き方で対処できるところです。電流の単元に苦手意識を持つ受験生の皆さん、もう一度基本に戻ってみましょう。

一つの基本原理が理解できれば、芋づる式に問題が解けるようになりますよ。まだまだ時間はあります。あきらめずに、得点するためには何が必要なのか、塾や家庭教師の先生などと相談しながらおちついて苦手分野を克服していきましょう。

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