中学受験・理科 電熱線の問題に取り組む その1

中学受験の理科で、受験生が苦手とする分野といえば物理分野だと思います。特にその中でも、電気に関する問題は苦手とする受験生が多いところです。小学校で理科実験を行った経験もあるかもしれませんが、残念ながら完全に理解できるまで時間をかけることなく、次の実験に進んでしまうので、苦手意識を持ったまま直前期まで引きずってしまう受験生が多いのです。

特に、女子の受験生にとっては、電気に関する問題は、原理原則の理解に問題を抱え、計算問題に至っては、解き方もよくわからない・・・そのような受験生が直前期でも多いところです。

乾電池と豆電球のところでも書きましたが、原理原則そのものは決して難しいものではありません難しいという先入観を持ってしまうために、問題を見ると、知っている知識に関するものであっても白紙答案を出してしまう・・・そのようなご経験はないでしょうか。

今回は、電熱線の問題について、まずは基礎知識をまとめていきます。まだ時間は十分あります。先入観を持たずに、得点できる問題を得点できるように基礎知識をしっかり理解していきましょう。

なぜ苦手になるのか

電熱線の問題は、実は生活にとても密接した関係のある単元です。電熱線を使った電気製品は世の中にあふれていますし、皆さんの家にもたくさんあるはずです。

それほど実生活に密接しているのになぜ苦手になるのでしょうか?それは、学んだ内容を実験の世界にとどめてしまい、実生活から離してしまうと、とたんにつまらなくなるからです。この単元は、電気製品の性能に関する内容も扱うので、本来は生活の中で応用できる知識ですし、だからこそ入試問題も作りやすい単元です。

また、電気に限らず、理科の計算問題では、単位や比例・反比例の考え方が不可欠です。それをしっかり理解できていないと、計算問題が出てくるととたんにつまずいてしまいます。算数の比の単元が苦手だと、応用することができないかもしれません。

ダメな勉強法

電気に関する単元は、実験をないがしろにしてしまうと、イメージができなくなってしまう単元です。小学校でも必ず一度は実験を行っているはずです。最近の中学入試の理科の問題は、小学校で経験した理科実験を基本にして出題するものが増えています。

また、知識を「覚える」作業にとどめてしまい、その理由や理屈そのものを理解せずに丸覚えしようとすると、暗記の負担ばかりが増えてしまいます。覚えた知識をどう使うか、それが理解できなければ作業に終わってしまいます。電気の問題は知識問題だけではなく、計算問題も多く出題されます。計算式自体はそれほど難しくなく、むしろ単純なことが多いのですが、理由や理屈そのものがわかっていないと、勘違いしてしまい、正しい立式ができなくなり、正解することが難しくなってしまいます。

どのように取り組むか

まずは、身の回りにある電気製品の裏などに貼ってある、規格表示などを見てみてください。学んでいることが生活に密着していることをまずは確かめましょう。関心を持つことが最も大切です。

そのうえで、図やイラストを使って、イメージしながら一つひとつ知識を覚えていきましょう。先ほども書きましたが、実は知っておかなければいけない理屈自体はそれほど難しいものではありません。

電流の単位について

基礎知識はそれほど多くないと書きましたが、これだけは暗記しておきましょう。

  • 単位はアンペア(A)、ミリアンペア(mA)
  • 1A=1000mA

これは、長さや重さの単位の関係と同じです。結び付けておぼえるようにしましょう。

単位換算については、一度自由自在に使うことができるようになれば決して難しくありませんが、最初に誤って覚えてしまうと、どのような問題が出てきたときにも正解することはまず難しいでしょう。これは、理科だけではなく算数でも同じことが言えます。

電熱線について

電熱線は、ドライヤーやトースター、電気ストーブなどに使われています。皆さんの家にも一つはありますよね。電流が流れることによって、熱を発生する仕組みになっています。

電熱線は、電気を流れにくくする存在だということを覚えておきましょう。これが、「電気抵抗」あるいは単に「抵抗」とよばれるものです。電気の通り道が細くなって、流れにくくなっているところ、と考えてください。

条件が同じであれば、以下のこともそれほど難しく考えることなく理解できます。

  • 電気抵抗が2倍、3倍になると、電流は2分の1,3分の1になり、発熱は弱くなります。電流の量が少なくなるので発熱が弱くなるのはわかりますよね。
  • 逆に電気抵抗が2分の1、3分の1になると、電流は2倍、3倍になり、よく発熱するようになります。

電気抵抗と流れる電流の関係を一度理解できれば、実際の計算問題はそれほど難しくありません。まずは、この知識をしっかり理解し、覚えましょう。

電熱線が長くなったり、細くなったりすると、電気抵抗が大きくなります。電流が流れにくくなるから、と考えればいいですね。逆に、電熱線が短くなったり、太くなったりすると、電気抵抗は小さくなります。

この図をしっかり覚えておきましょう。

つまり、電気の通り道が太くなったり、短くなったりすれば、電気が流れやすくなります。つまり、電気抵抗が小さくなります。逆に、電気の通り道が、細くなったり、長くなったりすれば、電気は流れにくくなります。つまり、電気抵抗は大きくなります。この基本的な電気と電気抵抗の関係は、繰り返し覚えましょう。

これらの図をイメージできれば、以下のようなことも、また理解しやすくなるでしょう。

  • 電熱線を並列につなぐ、ということは、電熱線を太くすることと同じ
  • 電熱線を直列につなぐ、ということは、電熱線を長くすることと同じ

まとめ

電気と電気抵抗の関係は、聞いただけで難しい、できない、と思いがちですが、実は単純な関係にあります。常識的な知識、といってもいいでしょう。怖がらずに、まずはこの関係をしっかり覚えましょう。これからの時期だと、実験をして理解する、ということは難しいかもしれませんが、逆に覚えることがそれほど多くない、難しくないとわかれば、苦手意識を克服することは決して大変なことではありません。

次の記事では、例題を実際に解きながら、理解を確認していきたいと思います。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。