金属の性質 ~金属にはどのような物質があるのか,それらがもつ共通の性質について知ろう~

 私たちの身の回りにある様々な物質の中には,まとめて「金属」と呼ばれるものがたくさんあります。金属は共有の性質をもつとともに,細かく見れば物質ごとにその性格は様々です。ここではそんな金属と呼ばれる物質には主にどんなものがあるのか,それらがどのような性質をもっているのかを見ていきましょう。

金属の性質

 「金属」と言われるとどのような物質が思い浮かぶでしょうか,鉄,金,銀,銅などが出てくるでしょうか。

逆に「金属ではないもの」というと何が思い浮かぶでしょうか。水や空気,ガラスやプラスチックなどでしょうか。

ここでは上に挙げた「金属」と呼ばれる物質が共通してもっている性質を学んでいきましょう。

表面に光沢がある

 金属を磨いて,表面が滑らかな状態になると光を受けてそれを反射し,特有の輝きを見せます。これを「金属光沢」と呼びます。

そのためアクセサリーによく用いられていることもあります。さらに鏡の反射材としても用いられています。

電気や熱をよく伝える

 金属は「電気や熱を伝えやすいです。

 例えば電気を通しやすい性質を利用したものとして,銅が導線の芯として用いられています。コンセントのコードなどに用いられている導線の中身がどうなっているのかを簡単に説明しましょう(本当はもっと複雑なので興味があれば調べてみましょう)。

 電気をよく通す銅を内側にして,外へ漏れないように外側を「絶縁体(電気を通さない物質)」で覆うことで用いています。ホームセンターなどで売っている導線の外側をむいてみると,中から綺麗な銅が出てくるのが実際に確認できます。

 次に熱を通しやすい性質を利用したものとして,フライパンや鍋などが挙げられます。これらは鉄であったり,複数の金属を混ぜた「合金」が用いられています。熱をよく通すからこそ焼いたりお湯を沸かしたりすることができるのです。

 例えば熱を通しにくい物質で鍋ができたとしたら,その鍋自体がなかなか熱を持たず,同時に入っている食べ物にも熱が伝わらず,コンロの火が長い時間無駄に燃えているだけになってしまいます。

 もちろんフライパンや鍋の持ち手の部分は逆に熱が伝わってほしくないので,熱を通しにくい金属ではない物質が用いられています。

 ちなみに熱や電気を1番通しやすい物質は「」です。それではなぜ銀を導線やフライパンに利用しないと思いますか。

 様々に理由はありますが,1つとしてそもそも銀は希少であり,高いからです。できれば地球上にそこそこ多くある物質であり,なるべく安く済む方がいいですよね。

力を加えると変形しやすい

 金属に力を加えたとき,曲がったり薄く広がったりしやすいです。逆に金属ではない物質に同じような力を加えると,切れたり壊れたりすることが多いです。

 金属の塊をたたいて色んな方向に広がるような性質を「展性」といいます。一方で細い金属の棒を引っ張って伸びるような性質を「延性」といいます。

 ワイヤーなどに利用されている性質です。

密度が大きい

 金属は小さな体積で大きな質量を持ちます。つまり「密度が大きい」のです。皆さんも鉄球などは小さいのに重いと感じることがあったのではないでしょうか。

融点や沸点が高い

 金属は,水や木,プラスチックといった金属ではない物質よりも特に「融点や沸点が高い」です。紙や木は火で燃えてしまいますが,鉄は燃えないですよね。例えば鉄の融点は1538℃であり,ここまで温度を上げないと鉄は融けません。

※注意

 金属と言えば「磁石にくっつく」というイメージを持っている人もいるかもしれませんが,実はこれは必ずしも正しいとは言えません。

 例えば鉄は磁石にくっつきますが,金・銀・銅・アルミニウムなどは磁石にくっつきません

 このように,鉄に見られる「磁石にくっつく」という性質は金属に共通のものではないということに注意しましょう。この点はひっかけとしてよく狙われます。

入試問題演習

 ここまで学習した内容を活かして,実際の入試問題を解いてみましょう.

問題

解答

  • (1) 銅
  • (2) (ウ)
  • (3) 水素
  • (4) 塩化ナトリウム

解説

(1) 

 実験1より,Bは磁石にくっつくので,鉄です。

 実験2は長期間放置し,酸化させるとどうなるかを見ています。Aは変化しなかったので金です。

 金は反応しにくい物質なので,長時間放置しても酸素と反応せず,変化しません。

 また白っぽくなったDはアルミニウムです。酸化アルミニウムは白い固体です。

 さらに表面が緑色になったCは銅です。銅は火で加熱して酸化させると黒い酸化銅になりますが,空気中で非常にゆっくり酸素や二酸化炭素などと反応させると緑色っぽくなります。これを「緑青」と呼びます。

 金属が酸化するとどうなるのかもしっかり学習しておくとよいでしょう。

(2)

 実験4より,水溶液Fは水を蒸発させると固体が残ったので,固体の物質である水酸化ナトリウムが溶けた水溶液です。

 実験5より,金属を入れて気体が発生する反応が起きる水溶液はうすい塩酸か水酸化ナトリウム水溶液のいずれかですが,かつFが水酸化ナトリウム水溶液であるということがすでに分かっているので,Eはうすい塩酸です。水溶液と金属の反応もよく復習しておきましょう。

 実験3より,刺激臭がするのはうすい塩酸かアンモニア水のいずれかですが,Eがうすい塩酸であることが分かっているので,Gはアンモニア水です。

(4)

 うすい塩酸で鉄やアルミニウムといった金属を反応させると水素が生じます。

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まとめ

 金属は私たちの身の回りで広く使われています。どんな金属が使われているのか,なぜ使われているのか,視野を広く持って知識を増やしていきましょう。また入試では酸化反応や水溶液とも合わせて出題されるので,他の分野とのつながりも意識しながら学習を進めましょう。

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