中学受験・国語 論説文の読解ポイント3つ

国語の文章の中で、論説文と説明文は、「説明的文章」という形で同じカテゴリーに分けられることが多いと思います。ですが、あえて違う文種名がついているということは、何か違いがあるはずです。いったい何が違うのでしょうか。

論説文とは、一言でいえば、「筆者の意見、主張したいことが書かれている」文章です。人はそれぞれ言いたいことや考えていることが違いますよね。論説文の筆者は、多くの人に自分の意見や主張を理解してもらうため、言いたいことに対する理由や説明を加えて文章を書きますから、説明文と区別がつきにくいという注意点があります。

今回は、そのような論説文を読解していくためのポイントについてご紹介していきます。

ポイント①筆者の価値観を読みとる

論説文を書くにあたり、筆者は自分の「論」、つまり意見や主張を持っています。そこには筆者の世界観が表れています。世界観というと漠然としたイメージになるかもしれませんが、簡単に言うと、筆者の価値観や、筆者を取り巻く周辺のことに関しての筆者なりの考えということです。

読み手は、そのような筆者の価値観を読みとるわけですが、読み手と筆者の価値観は同じとは限りません。むしろ、個々人によって価値観というものは異なるものです。ですから、論説文の読解に関しては、「素直に」筆者がどう考えているのか、どういう意見を持っているのかを読むことがより重要になってくるのです。筆者の価値観とは違う意見、あるいは反対意見を持っていた場合、どうしてもその論説文を批判的に読んでしまいがちです。ですが、それは「主観の入った」読解です。

中学受験の国語において求められている読解とは、「筆者が書いた内容を客観的に、正確に読みとること」です。ですから、主観を入れて読んでしまうと、問題文は読んだとしても、設問に解答する際にことごとく答えをはずしてしまう可能性が高くなってしまいますので注意しましょう。あくまで、筆者の「論」=意見や主張は何か、その「論」が意図していることは何なのか、を客観的に読みとることが必要です。筆者の書いている内容に対して批判的な気持ちになったり、考え方が合わないな、と思ったとしても、受験の国語の読解ですから、自分の価値観はとりあえず横に置いて、「素直に書いてある内容を読む」という姿勢が大切です。

ポイント②筆者の意見や主張がどこにあるのかを読みとる

論説文は、筆者の「論」、すなわち意見や主張を前提として書かれている文章ですから、「私は~と考える」というように、筆者自身の考え方が必ず述べられています。それは、文章の初めにある問題提起の部分であったり、筆者の意見や主張を支える具体例の部分であったり、結論部分であったり、文章全体のあちらこちらにちりばめられています。

論説文の読解では、文章全体に書かれている筆者の意見、主張を読み落とさないことが何よりも大切です。設問に答える際のポイントは、どの部分(段落)に筆者の意見や主張が書かれているか、そしてその内容はどんなものか、を特定できれば、それをもとにたいていの設問に正解することができます。

また、筆者がある意見を紹介し、それに対する反対意見を述べていることもあります。その場合、「~という考え方がある」という紹介、それに対する具体例のあとに出てくることが多いです。ですから、論説文を読む際には、「これは筆者の意見か、それとも反対意見か」「この具体例は筆者の意見の理由となっているのか、それとも反対意見の根拠なのか」ということをしっかり読み分ける必要がありますので、注意深く読むようにしましょう。

ポイント③説明部分は説得材料

論説文では、筆者の意見、主張、見解(=「論」)をもとに、その説明が具体例とともに書かれています。説明や具体例の部分が占める割合も多いので、ともすると説明や具体例の部分が重要なのではないかと思い、そこが筆者の意見や主張、見解だと勘違いしてしまうことがあります。

ですが、説明部分や具体例はあくまでも読み手を説得するための材料に過ぎないのです。世の中には様々な価値観を持った人が大勢いるわけですから、筆者としては、できるだけ多くの人の共感を得るために、限られた文章内でいろいろな具体例を出し、それについて説明を加えているわけです。

たしかに、説明部分が親切だと、読み手は文章の内容をイメージしやすくなり、「なるほど」と思うものです。ほかに書かれている具体例がよくわからなくても、一つイメージできると、筆者の意見や主張全体を理解したような気持ちになってしまうことがあります。文章全体を通して、「ここは説明部分」「ここが筆者の意見」という読み分けをしっかりしなければなりません。設問に答える際には、設問をよく読み、何が問われているのか、筆者の意見なのか、それとも具体例について聞かれているのか、ということを明確にしたうえで選択肢であれば文章の内容に合致したものを選び、記述問題であれば筆者の意見を中心にまとめるということが必要です。

まとめ

論説文と説明文の違いは、文章の中心が「筆者の意見や主張」であるかどうかです。論説文は、筆者の価値観に基づいた意見や主張が書かれています。その意見や主張を多くの読み手に理解してもらうために、いくつかの具体例が挙げられています。そこはあくまで説明部分、説得材料に過ぎないことを忘れないようにしてください。そのような説明部分を根拠にして筆者は自分の意見や主張を展開しているのが論説文です。説明文はあることについて客観的に説明が淡々と展開されている文章ですが、論説文は、説明部分も含みますが、あくまで筆者の意見や主張が展開されている文章だということを忘れないでください

そして、論説文の読解問題で聞かれているのはあくまで「筆者の意見、主張」であることを常に念頭に置いて、筆者の意見や主張の部分、その意見をわかってもらうための説得材料である説明部分を読み分けるようにしましょう。聞かれているのは読み手の意見ではありません。主観を入れずに、文章中に書かれている筆者の意見や主張を客観的に、正確に読みとるようにしましょう。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。