中学受験・なぜ国語で点数が取れないのか?5つのポイント

国語を頑張って勉強しているのに、期待していた点数や偏差値に結びつかない、そのようなご経験をされた方は多いのではないでしょうか。

国語は、算数、理科、社会と異なり、普段使っている「日本語」の延長線上にあるせいか、とらえどころのない科目だと思われがちです。誰でも漢字を覚えて書くことができれば漢字テストで点数をとれることは分かりますよね。しかし、国語という科目は、漢字だけ勉強すればいいわけではありません。中学受験では、長文をもとにした読解問題が中心的に出題されます。説明文や論説文、物語文、随筆、詩、短歌、俳句・・・と、意外に範囲が広いのです。

こんなに範囲が広いの?もうダメだ、なんて思わないでください。国語の学習には、算数に解法があるように、きちんとしたルールがあります。そのルールさえマスターし、要領よく使えるコツをつかめれば、必ず得点源になる科目です。今回は、なぜ国語で点数が取れないのか、5つのポイントを挙げて考えていきます。

ポイント①ことばの意味をしっかり理解していない

生徒さんに問題文を黙読してもらい、わからない「ことば」があったらそこに線を引き、その場で聞くように言うと、多くの生徒さんは「とくにありませんでした」と答えます。そこで、こちらからことばの意味を聞くと、実はわかっていないことが非常に多いです。

文章中の「ことば」がわからない、これでは問題文の読解以前の問題です。問題文を飛ばし読みしているのと同じことです。手間がかかって大変だとは思いますが、わからないことばが出てきたら必ず辞書を引く習慣をつけましょう。そして、ノートや問題文のわからなかったことばの横に意味を書いて覚えるようにしましょう。ことばの意味を調べるための参考書もありますから、それを利用するのもよいと思います。知っていることばの数が増えれば増えるほど、生徒さんの想像の世界は広くなり、国語の世界も広がります。問題文を読んだとき、見えなかったものが見えてくるようになります。専門的に言うと、「言語空間」が豊かになるということです。

ことばの学習については、読解問題に取り組む以外にも、毎日15分ほどで構いません。漢字と並行して学習するようにしましょう。

ポイント②問題文を論理でなくフィーリングで読んでいる

問題文を自分のフィーリングで読んでしまい、正しい理解に至っていない生徒さんは非常に多いです。フィーリングで読むということは、すなわち生徒さん自身の感覚で、主観的に読んでしまっているということです。中学受験の国語において、問題文はフィーリングではなく論理的、客観的に読まなければなりません。すなわち、作者が何を意図してこの文章を書いたのか、作者の言いたいことは何か、が問われているのです。読んでいる生徒さんの主観が入ってはいけないのです。フィーリングで読んでしまって記述問題を書いたとしても、それは単なる読書感想文と同じで、問いに答えたことにはならないのおです。必ず、作者の意図は何か、を念頭に置いて読むことが重要です。

中学受験の国語では、受験生がフィーリングで文章を読むことを求めてはいません。あくまで客観的に、正確に作者が意図したことは何か、作者の考えを文中に書かれている内容から探り、見つけることが求められていることを忘れないようにしましょう。

ポイント③記述問題を書くことができない

記述問題は解答字数が30字程度のものから100字、200字を超えるものまで幅があります。字数制限のない記述問題を出題する中学校も増えています。解答欄も様々で、マス目があるもの、行があるもの、マス目もなくただ枠だけのもの、といろいろあります。記述の解答欄を見たとたん、「何を書けばいいのだろう」と頭の中が真っ白になってしまい、白紙答案にしてしまう生徒さんは非常に多いのです。ですが、白紙答案では部分点すらつきませんから、少しでも書くことに慣れることから始める必要があります。

最初から満点をねらわない

記述で満点が取れるということも少ない、これもまた事実です。ですから、記述問題については満点を意識しすぎるのではなく、部分点を積み上げていくという方針で行きましょう。記述問題には、答えてほしい要素がいくつかあります。それを一つ一つ書いていき、文末をまとめて書き上げていくのです。はじめからうまく書こうと思わなくてもいいので、まず目標を配点が10点ならば半分の5点前後を確実に取ること、など具体的に、また無理のないように設定すると、「書けない、無理」から「少し書いてみようかな」と、記述恐怖症を脱することができます。

記述問題では何を書くのか

何か書かなきゃ、とあわてて書き始める生徒さんがいらっしゃいますが、まず、設問をよく読みましょう。たとえば、「~なのは、なぜですか?」という設問では、「なぜ」に対する理由を答えることになるわけです。そこで、「なぜなら~だから」というように、理由の部分を探し、その部分を使って解答します。「自分のことばで」などの指定がない限り、文章中のことばを使って答えましょう。自分のことばで答えようとすると、語彙が十分でないのにまとめようとするあまり無理が出て書けなくなってしまうので、文章中のことばを使って答えるようにしましょう。

ここで、文種ごとの「記述の書き方」について簡単に紹介しておきます。

説明文・論説文の場合

説明文や論説文の場合は、問題文の要旨、作者の考えについての問いが多いです。対策としては、問題文の最初の段落と最後の段落に特に注意して読むことがまず大事です。文章のまとめの部分が最初、または最後に書かれていることが多いからです。多くは最後の段落にまとめとして書かれていますが、ときどき、結論から書かれた文章もありますので、注意して読みましょう。

また、接続語も大事です。とくに、「つまり」「すなわち」などに注意してください。それらの接続語の後にまとめが来ることが多いからです。その部分で使えそうな文に線を引きます。ですが、全部使おうとしても書ききれないので、その中で重要な部分に絞ります。何度も書かれているキーワードや、文中で強調されている部分を入れるようにして、文章を短くしていきます。最後に、それが作者の意図に沿っているかどうか確認してまとめればよいわけです。

物語文の場合

物語文には、必ず主人公と関わり合いを持つ登場人物が出てきます。文章を読んでいくうちに、この二人の心情の流れが変わるところが必ず出てくるはずです。物語文の記述では、その心情の変化を問われることが多いです。

さきほど、フィーリングで読んではいけない、と書きましたが、物語文の場合、特に自分の個人的な感情やフィーリングを入れて読みがちです。それらを入れずに、あくまで問題文に書かれている事実をもとに、登場人物の心情を探すのです。どうして心情が変わったのか、その原因を文章の展開に沿ってまとめていけばよいのです。

ポイント④選択肢問題が不得意で得点が伸びない

選択肢問題は、4択~5択であることが多いです。何度も書いていますが、フィーリングで読んでしまっていると、選択肢問題はまず間違います。問われているのは作者の価値観であるのに自分の価値観や一般的に確からしい選択肢を選んでしまい、設問の意図から外れてしまうのです。

選択肢問題を正解するための基本は、まず、問題文に書かれていない内容の選択肢を切ることです。この段階で、たいてい2択まで絞り込めることが多いです。では、最後に1つを選ぶ場合、もう一度設問で聞かれていることを確認しましょう。正解は問題文の中にあります。たとえば、設問で「~笑っていたのはなぜですか?」という場合に、①~おかしかったから、②~満足したから、③~充足感を抱いたから、④~うれしかったから、という4つの選択肢があったとします。笑った原因となる文が必ず文章中にあります。傍線部の近くにあることが多いですが、入試問題ではかなり離れたところに書かれていることがありますから注意が必要です。でも、必ず文章中にあります。文章中に「おかしかったから」「うれしかったから」という言葉があれば、まず①か④に絞り、そこからもう一度設問を確認し、問題文の流れを確認して、書かれている方を選べばよいのです。あくまで問題文に書かれている事実を確実に読みとるようにしましょう。

ポイント⑤ご家庭の中で、指示語だけで会話している

家庭内のことばのやり取りに注意してみてください。当然のように、「あれ」「それ」などの指示語でことが足りてしまっていませんか?普通に会話をしているように見えて、意外に家族の中での会話で語彙が不足しがちになっていることに気がつかないご家庭は多いです。できれば、お母様がよき国語の先生となって、「その本はどうだったの?」ではなく、「どんなところがおもしろかったの?」と、より具体的にお子さんが話すような聞き方をし、じっくり聞いてあげることが大切です。よくおしゃべりすることで、語彙がはぐくまれ、豊富になっていき、自己表現力が豊かになっていきます。それは、国語の読解問題において、文章を正確に、具体的に読むことができ、さらに豊かな表現力で記述も抵抗なく書けるようになるということです。ぜひ、やってみてください。

まとめ

今回は、なぜ国語で点数をとれないのかということについて、大きな柱となっているポイントを5つにまとめてみました。語彙を豊富にすること、表現を豊かにすることが、国語の点数につながります。普段のおしゃべりの中にも、得点力アップのヒントが隠されています。語彙力、正確に文章を読む力、そして豊かな表現力、これは全て中学受験の国語で要求される力です。問題文をルールに従って精読し、ルールに従って設問に答えていく、その姿勢を忘れないでください。最初は忍耐と根気が要求されますが、地道に努力していけば、国語を得意科目にすることも十分可能ですよ。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。