入試情報
問題構成
鎌倉女学院中の算数は、試験時間が45分で、大問5〜6問程度で構成されている傾向にあります。大問5〜6問のうち、第1問は計算問題、第2問と第3問は一行問題などが集められた応用小問が出題され、第4問以降は応用問題となっています。
大問数、総設問数ともに毎年一定ではないため、新しい傾向が見られる可能性も十分にあります。新傾向がみられても焦らず取り組みましょう。
解答形式
問題用紙と解答用紙が別々に用意されています。解答用紙上には答えのみを空欄内に書き込み、途中式や考え方を示すスペースは用意されていません。そのため途中過程が正しかったとしても、解答が間違っていると得点できません。
また問題用紙内に用意されている計算スペースがそれほど広くないため、与えられた欄内に上手く納める力が求められます。
近年の出題内容
2019年度
分野・単元 |
〈大問1〉計算問題 |
〈大問2〉一行問題① |
〈大問3〉一行問題② |
〈大問4〉約束記号、調べ上げ |
〈大問5〉点の移動 |
2018年度
分野・単元 |
〈大問1〉計算問題 |
〈大問2〉一行問題① |
〈大問3〉一行問題② |
〈大問4〉平均 |
〈大問5〉流水算 |
2017年度
分野・単元 |
〈大問1〉計算問題 |
〈大問2〉一行問題① |
〈大問3〉一行問題② |
〈大問4〉図形上の点の移動 |
〈大問5〉損益算 |
出題傾向
概要
前半3問は難易度易しめ
ここ最近は大問5問構成の出題傾向です。そのうち前半3問は計算問題と一行問題2問という構成です。一行問題は基本的な内容のものと標準的な内容のものに分かれています。そして第4問以降が応用問題となっています。
全体の半分以上が基本〜標準レベルの内容となっており、後半の応用問題も難問と言うほどの難しさではありません。そのため、難易度は易しめに設定されていると言えるでしょう。
大問ごとの出題傾向や難易度
第1問は計算問題が出題されています。問題自体は分数・少数の四則演算や、□に入る数値を逆算する問題などよく見かける問題が多いですが、分配法則や比を用いたり、□の数が2つあるなど、一筋縄ではいかない問題が出題されているため、注意が必要です。
第2問・第3問は一行問題で、幅広い分野からまんべんなく出題されています。第2問は単位換算・割合と比・速さ・角度・約数と倍数・概数などの基本的な問題を集めた小問集合となっています。第2問と比較すると第3問はやや難易度が高めで、応用小問が並ぶ大問となっています。
第4問以降は応用問題となっています。応用問題では、速さ・グラフ・数の性質・平面図形・立体図形などが特に頻出です。
内容
出題分野についての詳細
鎌倉女学院中の算数では、毎年第1問で計算問題が、第2問、第3問で一行問題が出題されています。計算問題は四則計算、逆算など基本的な問題がほとんどですが、本校の特徴として、分配法則や比を用いる問題や、□の数が2つあるな問題など一筋縄ではいかない場合が多いことが挙げられます。
第2問、第3問はともに一行問題ですが、第2問が単位換算、割合と比、速さ、角度、約数と倍数、概数など基本的な内容であるのに対し、第3問の方は少し難易度が高めの設定となっています。第3問は、毎年幅広い分野からまんべんなく出題されています。
第4問以降は応用問題が出題されていますが、特に速さ、図形、数の性質が頻出です。速さからは旅人算、通過算、速さと比がよく出題されています。近年では速さの問題でグラフの読み取りを必要とする問題がよくみられます。図形からは点対称と線対称、平面図形の移動が特に出題されています。そして数の性質からは約数と倍数、規則性、数列がよく出題されています。
難易度について
鎌倉女学院中の算数は、大問5問中前半の3問が基本〜標準的な内容、第4問以降が応用問題という問題構成になっています。全体の半分以上が基本〜標準レベルの問題となっているため、難易度はそこまで高くはないと言えるでしょう。
しかし近年の傾向を見てみると、算数は全科目の中で最も受験者平均点と合格者平均点の差が大きい科目であることが分かります。そのため算数は得意不得意で点差が大きくなりやすい科目であると言えるでしょう。
入試対策
分野別
図形対策
鎌倉女学院中の算数入試は図形からの出題頻度が高く、角度、 面積、長さ、辺の比と面積の比、 相似、体積、 表面積、水の深さと体積、展開図、図形・点の移動など、まんべんなく出題されています。そのなかでも点対称と線対称、平面図形の移動が特に出題されています。また、図形問題では比の考え方を用いて解くことが多いです。図形対策と同時に比の対策も進めましょう。
まずはそれぞれの問題の典型的な解き方や公式を身につけるため、標準的なレベルの問題集を一周して定型問題を一通り解きましょう。定型問題が一通り解けるようになったら、実際の入試問題の難易度を把握するために過去問研究に入りましょう。
速さ対策
当校の算数では速さの問題が頻出です。なかでも旅人算、通過算、速さと比がよく出題されます。
対策方法ですが、まずは標準的なレベルの問題集を一周して速さの定型問題を解き、速さの基本公式や定型問題の解法を理解しましょう。問題集を一通りマスターしたら過去問研究に移り、応用問題に慣れましょう。
計算対策
ここ最近の入試では、毎年大問1に計算問題が出題されています。本校の計算問題では、穴埋めの□が2個用意されている問題や、分配の法則や比を用いて解く問題が頻出です。内容は四則計算や逆算など難易度も易しめの問題であるため、必ず得点しておきたい問題です。
計算問題の対策としては、一度に大量の問題を解くというより、コツコツ少量の問題をこなしていく方が効果的です。計算問題のみを集めた問題集やドリルなども各出版社から発売されているので、自分の好きなものを1冊購入し、毎日3~5 問程度のペースで進めていくと良いでしょう。その際ただがむしゃらに解くというより、入試本番と同じように慎重に解き、解き終えた後も検算をして計算ミスを減らす努力をしましょう。
実際の過去問を解いてみよう!
鎌倉女学院中の算数は、幅広い単元からバランスよく出題されることが特徴的です。今回は、実際の過去問を抜粋しながら、分野ごとの対策方法についてご紹介します。
実際の出題例1〜単位換算〜
(2020年度第1回・第2問より抜粋)
⑴6㎢は□ha(ヘクタール)です。
(2015年度第1回・第2問より抜粋)
⑵歩幅が75cmで、1分間に□歩進む人は、縮尺2万分の1の地図上で4.2cmの道のりを歩くのに14分かかります。
【答え】
- 2020年度第1回・第2問⑴600
- 2015年度第1回・第2問⑵80
〔ポイント〕鎌倉女学院中の算数では、第2問で基本的な単位換算や縮尺の問題がよく出題されています。このような問題では、「時間をかけすぎないこと」を心がけましょう。単位についての知識があれば必ず得点できる問題なので、計算ミスに十分注意し、必ず満点を目指しましょう。
実際の出題例2〜相当算〜
(2019年度第1回・第2問より抜粋)
⑴兄の体重は□ kgで、妹の体重より23kg多く、妹の体重の2倍より15kg少ないです。
【答え】
- 2019年度第1回・第2問⑴61
〔ポイント〕鎌倉女学院中の算数では、第2問・第3問で相当算をはじめとした特殊算の問題がよく出題されています。内容は定型問題そのものなので、算数が苦手であっても満点を目指したい内容となっています。
相当算の問題では、文字や記号を使って式を整理しながら解くことを心がけましょう。
問題集別
【おすすめの問題集】『予習シリーズ』 (中学受験の四谷大塚)
四谷大塚や早稲田アカデミーなどを始めとした中学受験大手塾と同じカリキュラムで算数の学習ができるシリーズ。各学年用の教材が出版されており、レベルに合った教材を選ぶことができます。予習シリーズ6年下まで一通り理解すれば中学受験における定型問題は一通りおさえることができます。予習シリーズが終了したら、過去問を中心に応用問題に取り組みましょう。 また各ページに数問ずつ計算問題が掲載されているため、計画的に進めれば計算問題対策をすることも可能です。自分に合った使い方を見つけましょう。 |
合格点を取るには
時間配分に気をつけつつ、正確に
鎌倉女学院中の算数は定型問題からの出題が多く、全体的に難易度は易しめに設定されています。しかし、その分受験生同士で差がつきにくく、高い得点率が求められることが特徴的です。
そのため一つの問題で詰まってしまうと、本来解けたはずの他の問題に手が回らなくなってしまい、思わぬ失点をしてしまう危険性があります。試験が始まったら一通り目を通し、各問題の設問数や難易度を把握した上で解きやすい問題から順番に解いていきましょう。特に第1問〜第3問は難易度も易しいものが多いため、必ず得点しておきたい問題です。
また解答用紙上の空欄に解答のみを書き込む形式なので、考え方が合っていても答えが間違っていた場合、大量失点をしてしまう可能性があります。正確に解いていくこと・試験時間の最後に必ず見直しの時間を5〜10分程度とることを意識し、ケアレスミスをできるだけ減らしましょう。問題用紙上の計算スペースも十分ではないので、普段から計算をコンパクトに工夫する・整理して行う練習をしておくと良いでしょう。
苦手分野を克服しよう
当校の算数は出題分野にそこまで偏りがなく、特に第2問、第3問の一行問題は毎年幅広い単元からまんべんなく出題されることが特徴的です。そのため苦手な単元を減らし、どの単元から出題されても解くことができるようにしましょう。
どの単元も応用レベルの問題まで解けるようになる必要はありませんが、苦手な単元がある場合は問題集等で演習を繰り返し、定型問題レベルまでは一通りマスターしましょう。
算数は全科目の中で受験者平均点と合格者平均点の差が最も大きいことが特徴的です。難易度がそこまで高くない分、得意不得意で点差が開きやすい科目であるため、算数が合否を分けるといっても過言ではないでしょう。
総括
今回は鎌倉女学院中の算数入試対策についてご紹介しました。当校の算数は計算問題1問+一行問題2問+応用問題2問の問題構成で、基本〜標準レベルの問題が半分以上を占めることが特徴的です。定型問題を集めた標準的なレベルの問題集を繰り返し解き、苦手な単元を克服することが、得点率をあげる上で特に重要です。
算数は全科目の中で、得意不得意によって一番点差が開きやすい科目です。そのため算数の点数が合否を分けると言っても過言ではないでしょう。入試本番まで時間は限られていますが、他科目とのバランスを考えつつ、優先順位に気をつけながら最大限の対策をしましょう。
参考
- 生徒募集要項–鎌倉女学院|公式ホームページ
- 出願状況・入試結果–鎌倉女学院|公式ホームページ
- 学校説明会–鎌倉女学院|公式ホームページ
- 学校見学会–鎌倉女学院|公式ホームページ
- 卒業生の進路状況–鎌倉女学院|公式ホームページ
- 鎌倉女学院中学校 2020年度用 3年間スーパー過去問 (声教の中学過去問シリーズ)
こんにちは!ライターの福久はなです。 都内の中高一貫校出身で、大学受験を経て東京大学に入学しました。 塾講師や家庭教師のアルバイト経験があり、算数・数学・英語を中心に教えていました。 これらの科目に限らず、中学受験の経験を活かして理科・社会といった科目の対策方法や、学校別の受験対策、学校情報についてなど、幅広く記事を執筆しています。 皆さんの役に立つ、面白くてわかりやすい記事をお届けできるように頑張ります!