中学受験の理科、出題する中学校は何を見ているのかを意識して勉強しよう

中学入試の理科の出題方法は毎年のように変化してきています。以前は知識重視の問題が数多く出題されていましたが、現在の主流は、理科的思考力を重視する、知識を前提として入試の現場で試行錯誤させる問題となってきています。それはなぜなのでしょうか。

これから本格的に受験勉強に取り組むご家庭、すでにはじめているけれどもなかなか成績が上がらないというご家庭も多いのではないでしょうか。理科の受験勉強をする際には、こうした中学校の出題傾向の裏にある「学校の想い」をくみ取り、意識しながら勉強することが重要になってきます。

では、実際に入試問題をつくる中学校側の想いとはどのようなところにあるのでしょうか。各教科において学校ごとに特徴がありますが、理科についても同じです。ただし、根底にある想いは意外と共通しているものです。ですから、そうした学校からのメッセージが込められている入試問題に対して答えを返すことを意識しながら勉強することはとても大切です。

理科は、私たちの日常生活と密着している教科でもあります。身の回りに起こる現象、事象について取り上げられることも少なくありません。このことからも分かるように、中学入試の理科では、理科的視点で身の回りのいろいろな現象、事象に興味を持ち、知っている知識を総動員して理科的思考力を発揮することが求められていると言っても過言ではないでしょう。

では、理科的思考力とはどのようなものでしょうか。今回は、中学入試で中学校側の出題意図を分析し、身の回りの減少の例も挙げて今後の理科の勉強で意識したいことをご紹介します。少し意識を変えるだけで、成績はぐんと上がります。ぜひ参考にしてくださいね。

理科的思考力を測る問題へのシフトが主流に

受験生の保護者の方のなかには、理科といえば「暗記すれば何とかなる」、つまり知識問題がほとんど、とお考えになる方もいらっしゃいます。たしかに、理科の問題を解く際には知識は必要になりますが、暗記さえすればなんとかなる、という時代は過ぎ去ったと認識したほうがいいでしょう。知識問題を重視し、細かい知識を問う問題を出題する学校もたしかに一定数はあるのですが、近年ではそうした知識問題中心の出題は減ってきています。

もちろん、知識がまったくなくてもいいというわけではありません。ただし、近年の理科の出題傾向を見てみると、どちらかというと知識の「量」よりも「質」を重視する傾向にあると言えます。知識の質というのは、正確な知識をもとに、身の回りの現象、事象について理科的な視点から考えることができるための基本となる知識が入っているか、それを使いこなせるか、ということです。

この、身の回りの現象や事象を理科的な視点でとらえながら設問に答えていくために必要なのが「理科的思考力」です。あらゆる現象や事象を理科的な視点に引き付けて、知っている基礎的な知識をどこで使うかを考えながら、解答に導いていく、それが理科的思考力だと言えるでしょう。

思考力というのは、ほかの教科の勉強をするときも必要になってきますが、知識と密着している、また現象や事象をとらえなければいけないという点で理科的思考力は少し特徴的です。

こうした理科的思考力を重視する傾向は、もともと難関校では多く見られてきましたが、現在では中堅校、下位校であっても難易度の差こそあれ、増えてきています。ですから、どこの学校を目標にするかにかかわらず身につけておかなければいけない力、それが理科的思考力なのです。

理科的思考力が求められるワケ

ではなぜ、中学入試の理科が、知識問題中心から理科的思考力を重視する方向にシフトしてきたのでしょうか。ひとつには、知識問題がメインだと、結局「どれだけ覚えてきたか」という記憶力勝負になってしまうことが挙げられます。もちろん知識を覚えておくことは理科の入試問題を解くために必要です。しかし、単に1問1答のようにただ知識を吐き出すだけでは、その意味をしっかり理解し、正確にわかっているか、そもそも理科的現象、事象に興味を持っているかどうかが分かりません。そこで、理科的思考力を重視するようになり、現場で最後まで考え抜く姿勢を求めるようになったと考えられます。

もうひとつの理由としては、受験生側の「理系志向」の高まりが挙げられるのではないでしょうか。「リケジョ」ということばが流行りましたが、現在の傾向として、将来、大学受験で医学部医学科をはじめとする理系学部を目指したいというご家庭が増えてきています。特に医学部医学科への合格は非常に狭き門ですから、中高6年間で理系的な頭をつくらなければなりません。そのため、受け入れる側の中学・高校も理系の授業に力を入れ、理系の生徒を増やすことに力を入れていることも少なくありません。

男子校でも駒場東邦中学校や巣鴨中学校、城北中学校、本郷中学校をはじめ、理系志向は強いです。もともとどちらかというと女子校に比べて男子校は理系志向が強い傾向にありました。それがさらにエスカレートしてきている印象です。

また、これまで文系のイメージが強かった女子校でも、理系の授業に力を入れている学校が増えています。たとえば鴎友学園中学校、吉祥女子中学校、普連土学園中学校、光塩女子学院中学校、洗足学園中学校などが挙げられます。女子最難関中学校の桜蔭中学校では、もともと理系志向が強く、東大か医学部か、というほど理系を目指す生徒さんが多いと言えるでしょう。学校も理系教科、特に中学校から非常に速いスピードで数学の授業が展開されています。

また、中学校入学後は、理科の授業で実験を非常に重視している学校が多いです。学校によっては理科室がひとつではなく、化学、生物、物理、地学、と4分野それぞれに実験室をつくっていることも少なくありません。ここにも中学受験で理科的思考力が求められるひとつの要因があります。

つまり、実験中心のレベルの高い理科の授業を中学校以降展開するために、それについてこられる生徒、つまり理科的思考力を持ったお子さんを集めたいという学校側の意図も、理科的思考力を重視した入試問題が頻出となっている傾向を後押ししています。中学受験をして終わりではなく、入学後の授業についてこられるかどうかはとても大切です。そうでないと大学進学実績も出ないからです。こういった学校側の意図も、理科の入試問題が変化してきている要因だと言えるでしょう。

理科的思考力を測る問題ってどういうもの?

このように中学受験でも重視される理科的思考力ですが、では、中学入試において理科的思考力を測る問題とはいったいどのようなものなのでしょうか。

具体的に言うと、実験考察問題がその代表格だと言えるでしょう。「仮説」「実験・観察」「結果分析」「考察」について書かれた文章を読み、与えられている条件を整理しながら、そのあとに続くさまざまな設問に答えていく、という形式の問題で、難関校をはじめいまやどの学校でも頻出の形式だと言えます。

問題文を素早く読み、書かれている条件を正確に読み取り、整理し、問題をと言っていくという一連のことを瞬時にやっていかなければいけないので、非常に集中力が求められます。また、さまざまな表やグラフなども提示され、そこからデータを正確に読み取れるかどうかを判断するような問題も増えてきています。

こうした問題を解くためには、単に知識を詰め込んだだけではまず太刀打ちできないでしょう。知識は必要ですが、知識そのものを披露することはもとめられていないからです。こうした理科的思考力を重視する、実験考察問題を解いていくためには、基礎的知識のほかに、日常生活の中で経験するさまざまな理科的現象や事象といったものに興味をもって注意深く観察し、理科的な視点をもって自分なりに「なぜこうなるんだろう」「どういうしくみになっているんだろう」ということを繰り返していくことが必要です。そのために必要なのが普段から理科的思考力を養い、発揮していくことです。

理科的思考力の前提となる知識は「仕分け」がポイント

中学受験の理科の学習をする際に確実に身につけなければいけない基本事項は、やはり理科的思考力を発揮するためにも必須のものです。しかし、じつはそうした基本事項の数自体はある程度限られていると言えるでしょう。それよりも「なぜそうなるのか」を考えて、知識をひとつ身につけるためにも「深い理解」が必要であることを覚えておきましょう。

そのように深い理解ができた知識は、さまざまな問題に応用できます。確実に知っておかなければいけない基礎知識を身につけたら、それをベースにして実験考察問題に挑戦し、繰り返し試行錯誤することによって問題が解けるようになってきます。それほど多くの知識は必要ありませんが必須の基礎知識は理由も含めて深く理解しておくこと、そして、「どれは覚えていかなければいけないのか」を見極めることが必要です。知識をまとめたテキストを頭から丸覚えする、ということはおすすめできません。理解すべき基礎知識を仕分けして、しっかり覚えることが大切です。

毎回の塾のカリキュラムでは非常に多くの知識が出てくるでしょうが、問題を解いていくなかで必要な知識はおのずとわかってきます。繰り返し出てくるからです。そうした知識については理解漏れがないかしっかりチェックしておきましょう。

理科の入試問題のテーマは無限大

中学入試の理科の問題の出題傾向が知識重視から理科的思考力を重視する問題にシフトしてきたことにより、入試の理科の問題では、小学校や塾の授業では扱わないようなテーマの問題を出題するケースも増えてきています。また、それに伴い観たことのないようなデータや図を一緒に出題し、内容を分析して考察させる問題も増えてきているのです。

たとえば、小学校の理科の授業でも、実験などはおこなわれますが、「理科」としてひとくくりでさまざまな実験や学習をしますよね。しかし、中学校では、第一分野、第二分野と分野ごとに理科が分かれます。ちなみに、第一分野は物理。化学、第二分野が生物・地学です。高校になれば、分野も取り払われ、物理、化学、生物、地学に分かれます。

塾の授業でも、この単元は化学分野、などと理科の4分野は意識して授業を行われていますが、教科としては「理科」ひとつですよね。

つまり、小学生の段階では、「理科」とひとくくりにできるので、身の回りのさまざまな現象や事象について学ぶ、という博学的な要素があるので、分野や単元を横断したようなテーマで出題することもできるなど、中学入試の理科の出題テーマは何でもあり、まさに「無限大」状態です。

中学入試の問題はその道のプロが作成する

小学校や塾のテストでは、教科書やテキストで学習した範囲の内容から出題されますよね。つまり、習ったことから出題されます。これに対して、中学入試の問題の場合、中高一貫校の理科の各分野を担当する専門家の先生が集団で作問します。各分野ごとに理科的観点から見て矛盾がない、つまり整合性がとれていれば、入試で扱うテーマやデータなどは、問題を作成する先生の裁量に任されているのです。そのため、学校によってもカラーが異なるわけですね。

たとえば、これまでに出題された入試問題の理科のテーマとして目をひいたもののとして、「大カマキリの産卵と積雪量についての考察」「遺伝子や血液型の組み合わせについての考察」「パスタの折損強度測定に関する考察」などがあります。また、武蔵中学校で毎年出題される「おみやげ問題」なども現場考察型の問題の最たるものだと言えるでしょう。

これらのテーマそのものは、小学校の教科書でも扱われないですし、塾のテキストにも載っていません。こうした一見知らないようなテーマの問題を出題する場合、リード文が非常に長く、その中に条件も含めて十分にヒントが入っているので、驚く必要はありません。その説明や条件をもとに、仮設→実験・観察→結果→考察、というプロセスについても誘導がほどこされていることがほとんどです。その誘導にうまくのることができれば、見たことのないテーマであっても十分文章の内容を理解し、正解できるように配慮されているので必要以上に心配する必要はないのです。

理科的思考力を見る問題を出題する、と言われるとなんだか難しそう、と腰が引けてしまうかもしれません。しかし、受験生の選抜をする中学校の側からすると、見たいのは受験生の理科的思考力が実際の問題で発揮されているかどうかです。だからこそ、何のヒントもなく問題を出題するのではなく、テーマも練りに練って、受験生が見たことのないようなテーマも含めて、設問についても1問1問受験生の理解を問う仕組みになっています。

学校側が見たいのは、さまざまな問題を出題することにより、問題文にくらいついて、これまで学習してきたことをベースにして、知識を使いこなしながら理科的視点をいかんなく発揮できるか、というプロセスにあると言えるでしょう。正解すればいい、それが受験問題ではありますが、プロセスが間違っていると解答も間違ってしまうように作問されているのです。

表やグラフ、データなどもさまざまなものが出題されますが、そこにも中学校の意図が隠れています。中学校入学後の授業についていけるために「これくらいのデータ読み取りや解釈はできてほしい」という、実際に授業を担当する先生が期待を込めて入れているものだと言えるでしょう。

中学校側が求めている生徒像を考えてみよう

理系志向が高まる中、中学校側が求めている生徒像も変わりつつあります。ただ知識事項だけを丸暗記して勉強した気になり、「こう書いているからこういうものなんだ」とものごとを決めつけて考えようとしない生徒ではなく、一度先入観を取り払って、素直な目線で身の回りに起こるさまざまな理科現象、事象を見つめ、そこからわかることを読み取ろうという意欲がある生徒に入学してほしいと中学校側は考えていると言えるでしょう。

中学受験をすればそれで終わりではなく、入学後も学びは続いていきます。その学びについてこられる生徒さんを見つけるために中学入試はおこなわれるのです。そのために、中高一貫校の先生は入試問題をつくるために日ごろからどのようなテーマにするか、どのような設問ならくらいつけるか、といったことを考え、長い時間をかけて良問といわれる入試問題をつくろうとこころがけているそうです。

以前、私立中学校の先生とお話しさせていただいたときに、どのような生徒さんに入学してほしいか質問したところ、「ものごとに素直に感動できる生徒さん」「理科的な興味を持ち、なんでもやってみようという意欲的な生徒さん」に入学してほしい、とおっしゃっていました。まさに理科的思考力を持った生徒さん、ということになると言えるでしょう。

こうした中学校側の想いは、どの中学校でも共通しています。このような中学校側の想いをよく考えてみると、理科の受験勉強で大切なのは単に知識を何も考えず丸覚えすることはメインではなく、深く理解した基礎知識を、身の回りの理科現象、事象を考える際にとことん使い、理科的視点でものごとをとらえることだと言えます。そのことが理解できれば、理科の学習に対する姿勢がこれまでとは変わってくるでしょう。それこそが中学受験をする際に必要な姿勢なのです。

このように、中学校側が重視する理科的思考力を養うためには、いったいどのようにすればよいのでしょうか。結論から言うと、日常的に身の回りで起こる様々な現象、事象に興味を持ち、理科的視点でとらえる姿勢だと言えます。具体的にはどのようなものなのか見ていきましょう。

理科的思考力は日常生活で養成できるもの

近年の理科の中学入試問題は、実験考察問題が中心になりつつあります。仮説、観察・実験、結果、考察について述べられている長いリード文を読み、条件を整理士、表やグラフなどのデータを分析してさまざまな設問に答える、というものです。そして、小学校や塾では扱わないテーマが出題されることも少なくありません。

こうした問題を入試の現場でひるむことなく解いていき、合格を勝ち取るためには、普段の日常生活の中で、身の回りに起こることを理科的視点で考える力を養うことがとても重要です。

理科的視点で考えるとはどういうことか

では、理科的視点で考えるとは、具体的にどういうことなのでしょうか。今後の理科の学習をする際にはぜひ意識していただきたい視点です。一言で言うと、身の回りで起こる現象や事象には必ず原因があるので、その原因について考えてみることだと言えるでしょう。「なぜそうなるのかな」という疑問にはじまり、「原因と結果のプロセスを考える」ことや「条件が変わったらどうなるのか」という疑問を持つことが大切です。

なかなか理科的視点が身につきにくいワケ

しかし、残念ながら毎日のように塾の勉強、宿題に追われているお子さんの中には、「まずは自分で考えてみる」「なぜそうなるのか疑問を持って調べてみる」という姿勢が希薄な傾向にあります。時間の制約があるため、また、毎週のカリキュラムが決まっているので、余裕がないのはよく分かりますが、ただカリキュラムを「こなす」だけの勉強では、理科的視点は育ちません

また、塾のテキストを丸暗記して知識がついた、と考えてしまうと、深く理解できていないので問題を解いても解けないということになってしまいます。そして、塾のテキストにある現象の原因と結果が書かれていると、まったく疑問をもつことなく丸覚えしようという傾向も見られますが、これは危険です。受験勉強ではもちろん暗記は必要ですが、行き過ぎると「暗記さえできれば何とかなる」と考えてしまい、頭で考えることをやめてしまいます。そうすると理科的思考力が身につくわけもありません。

中学入学後になぜ理科的思考力が必要になるのか

中学や高校に入学すると、授業で非常に数多くの実験をおこない、観察する、という手順を踏む授業が展開されます。仮説から結果に至るまで、生徒さん自身が考えて調べ、まとめるという授業に力を入れている学校は非常に多いです。

たとえば、海城中学校は、医学部進学者も多い男子校ですが、入学後におこなう実験の数が非常に多いです。また、慶應中等部、慶應普通部など慶應系の中学校は、理科のレポート制作が毎週のようにあります。あるテーマの実験をおこない、それに対して自分なりの考察を加えたレポートを提出します。しかも、インターネットで調べてはならず、文献を自分で探して考察する「調べる力」も重視しています。

このように実験や観察、考察に力を入れている学校が目指すその先には大学入試があります。大学入試改革によって、今後は論述問題のウエイトが高くなると予想されています。つまり、受験生の思考力を問う問題が増えてくるということです。

ですから、ご家庭でも、小学生のうちから理科的視点で考えるという習慣をお子さんにつけさせることを意識していただきたいと思います。そのためには、時間に追われるからと「覚えて終わりでいい」というのではなく、じっくり考える時間、親子で発問し合いながら原理原則を理解する時間を取ることも大切です。

普段の生活で養うことも十分可能

理科的視点を身につけるためには何か特別なことをしなければいけないとお考えになるかもしれませんが、そうではありません。身の回りの事象について親子で話し合ってみる、気づいていないようなら誘導してみることによって、「自分の頭でまずは考えてみる」習慣が身についてきます。時間がないからすぐに解答を見て終わり、という姿勢は避けたほうがいいでしょう。

現在は新型コロナウィルスの感染拡大のため、外出は難しいでしょうが、博物館や科学館などに出かけてみて、実物を見てみるというものおすすめの方法です。

具体例~身の回りの「色」に着目してみよう

ここで、理科的思考力、理科的視点を養うために、具体例を挙げてみましょう。理科的現象、事象は非常にたくさんありますが、その中でも身近な「色」について考えてみることは親しみやすいのでおすすめです。ここでは、「白」という色について着目してみたいと思います。

わたしたちの身の回りには「白」いものがたくさんありますよね。理科的なもので言うと、空にうかぶいろいろな形の雲、ロウソクやお線香を吹き消したときに出る煙も白いです。毎日のように飲む牛乳や、夏に欠かせないかき氷、冬に周りを銀世界にする雪も白いです。ですが、世の中にさまざまな色があるのに、なぜこれらのものが「白く」見えるのかについて考えたことはあるでしょうか。

ものが白く見える理由とは

たとえば、私たちが毎日のように目にする「雲」は、水蒸気が上空で小さな水滴や氷の粒になって浮いたものです。水や氷は、かたまりの場合ほとんど透明に見えますよね。ですが、その細かい粒に光が当たると白く見えるのです。「雪」も小さな氷の結晶ですから、やはり白く見えます。「牛乳」が白いのは、乳脂肪などの細かい粒子がたくさん中に漂っているからです。

ロウソクを吹き消したときに出る煙が白いのは?

最近はあまりロウソクを使うことはないかもしれませんが、実験などでロウソクを使うことはありますよね。また、家のお仏壇にはロウソクがあり、火をつけますよね。つけっぱなしでは危険ですから、ロウソクを吹き消しますが、そのときに出る煙の色も「白」ですよね。なぜ、ロウソクを吹き消したときの煙の色が白く見えるのでしょうか。

ロウソクは、炎の熱で溶けたロウ(これは液体です)が芯を伝わって炎の内炎で気体となり、その気体が燃えているのです。ロウソクの火を吹き消すと、内炎でできていた「ロウ」の気体が冷やされて、液体や固体の小さな粒になるので、それが白い煙に見えるのです。

そして、このタイミングでこの「ロウ」の気体が含まれている白い煙にマッチの火を近づけるとどうなるでしょうか。実は、火がロウソクの芯の部分に飛ぶように移動して、ロウソクに火がつくのです。

白く見えるもの、見えないもの

さきほど、身の回りで白く見えるものの例を挙げましたが、水や氷のかたまりは白くは見えませんよね。ですが、雲やロウ、牛乳は白いです。水や氷が作っているのになぜ白く見えるのでしょうか。それは、細かい粒それぞれに光が当たることにより、光がそれぞれの粒で乱反射し、さまざまな方向にはね返るからです。

ここで「色」だけでなく「光」も関係することがわかりますね。光は鏡などの物体に当たると反射します。このとき、光が鏡に入るときの「入射角」と反射するするときの「反射角」は同じです。鏡のように表面が平らな面の場合、光線が当たると、当たった光線は同じ方向に反射するので、キレイな反射の光線になります。

しかし、鏡のように平らでなく、でこぼこな面に光線が当たった場合は、光線は同じ方向ではなくいろいろな方向に反射してしまいます。このような反射のことを「乱反射」というのです。

光が当たった物体が目に見えるのはなぜかというと、その物体が光を乱反射しているからです。物体の色が赤や青などの色がついているように見えるのは、その物体がその色を乱反射しているのがその理由です。水滴が白く見えるのも、白い色を乱反射しているので白く見えるのです。

同じような現象はほかにもある

実は、同じような現象はほかにもあります。たとえば、透明のガラスを粉々に砕いたとき、ガラスの色は何色に見えますか?答えは「白」です。ガラスの粒が白く見えるのも、先ほどと同じ理由です。また、晴れている日でも東京などの都会では、空が白っぽくかすむことがありますね。それに対して、少し郊外に行くと空は真っ青であることも多いです。なぜそうなるかというと、都会の空気の中には、自動車の排気ガスや煙などの小さな粒がたくさん浮かんでいるため、日光が当たると乱反射することが理由で、白っぽくかすんで見えることがあるのです。

その「色」になるには必ず原因がある!

ものが白く見える、という現象ひとつとってみても、共通する原因があることが分かりますね。このように共通する原因が分かると、ほかにも白く見える事象に出会ったときに、「これって同じ原因かもしれない」と推測することができるのです。「白く見える原因」が基礎知識で、出会った事象が「問題」だと考えると分かりやすいでしょう。

また、たとえば雲の場合、黒っぽく見える雲もあります。雷や大雨を運んでくる「積乱雲」ですね。積乱雲を目にしたときに「雲は白いと思っていたけれど、なぜこの雲は黒く見えるのだろう」と、ほかの色について考えを巡らせることができます。

ひとつの事象の原因を探る習慣をつけておくと、「なぜこうなるのか」「条件が変わったらどうなるのか」というように自分の頭で考えるクセがつきます。そうすると、少ない基礎知識でも応用することができ、理科的視点、理科的思考力が養われるのでぜひ意識してみてください。

まとめ

今回は、中学入試の理科の傾向として、理科的思考力が求められる傾向にあるということを解説しました。思考力、というと難しく聞こえるかもしれませんが、入学後に必要になる、自分の力で考える能力、と考えればそう難しくありません。

ただし、この理科的思考力は、単に暗記だけしていても身につくものではありません理科の根本は「なぜそうなるのか」「条件が変わったときに変化はあるのか」「どうしてこういうデータになるのか」といった、「なぜ」という疑問を持ち、それを解決するところにあります。中学入試の問題でも、リード文の中に実験の内容や条件、結果、考察に加え、表やグラフなどデータの分析をおこなう実験考察問題が頻出傾向にあります。

こうした問題は一見するとまったく見たことがないように思えるかもしれませんが、自分の知っている基礎知識を総動員して、問題の誘導に乗りながら一つひとつ考えていくと決して解けない問題ではありません。肝心なのは、入試の現場で「なぜそうなるのか」「条件はどうなっているか」といったことを試行錯誤することです。

理科は暗記科目、という認識は持たない方がいいでしょう。必要とされる基礎知識、原理原則はそれほど多いものではありません。それをどのような問題で以下に使いこなすか、が重要なのです。

理科的思考力は、日常のできごとのなかで養うことは十分できます。毎日の授業や宿題で時間がとれないとお悩みのこともあるでしょうが、そうであればひとつ新しいことが出てきたときに、その仕組みや原因を徹底的に理解していきましょう。問題を解く手段、それが理科的思考力です。意識しながら勉強すると、結果的に問題を解くスピードも上がります。ぜひやってみてください。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、一橋セイシン会にて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。