【中学受験】夏期講習までに押さえておくべき算数の基礎 その1 図形

受験生の皆さんは、夏期講習期間が目の前に迫ってきていますね。塾の夏期講習では、問題演習中心のいわゆる「総復習」がおこなわれますが、大量のパターンの問題を解き続けては解説を聞く、ということの繰り返しになるため、毎日のカリキュラムに追われてしまい、夏期講習期間中にはなかなか振り返りをおこなうことが難しい可能性があります。

夏期講習がおこなわれる夏休みは、受験生にとっては受験学年の折り返しとなる「天王山」です。この時期に何をどのように身につけることができたかによって、秋からの実戦演習にスムーズに入れるかどうかが代わってきます。

逆に考えれば、受験カリキュラム全体の復習や、苦手・弱点となっている分野や単元を克服することができれば、ほかの受験生に大きく差をつけられるチャンスです。そのことを意識して夏休みを過ごせるかどうかによって秋以降大きな差がつくでしょう。

夏休みに受験カリキュラム全体の復習を効果的におこなうためには、これまで学習してきた範囲を見渡してみて、どこができていてどこができていないか、ということを把握することがとても重要です。〇のものは〇以上にすることは難しいですが、×を△に、さらには〇にすることができれば実力が飛躍的にアップし、点数を積み重ねることができます。そのためにも、自分の弱点をしっかり見極めて計画立てて弱点補強をすることがこの時期非常に大切と言えるのです。

今回は、夏休みにやるべき学習のうち、算数の図形問題について受験生が苦手意識を持ったり弱点になりやすいポイントを解説します。今の時期にここまでできておきたい、という基礎学習を見直す参考にしてください。

まずは弱点の洗い出しをしよう

夏休みの間にどれだけ実力をアップすることができるかどうかは、自分の弱点をどこまで克服できるかどうかにかかっています。特に算数は入試での配点も高いですし、範囲も広く受験算数特有の考え方が必要になってくるという特徴がある教科なので、現時点での弱点の洗い出しが非常に重要です。

弱点を洗い出し、どこができていないのか、それはなぜか、という分析を加えながら学習を進めていくことが非常に重要です。受験生の弱点となりやすい図形分野をカテゴリーごとにみていきましょう。

図形問題が苦手な受験生は非常に多い

図形問題は、受験算数の花形のひとつですが、受験勉強がはじま4年生のうちから頻出の分野であるにもかかわらず、入試直前まで苦手意識を強く持ったまま、効果的な対策が打てないという受験生が非常に多い分野です。

図形問題には平面図形、立体図形がありますが、最近は図形のバリエーションも多く、またほかの分野との融合問題も出題されることが多い、克服するには大きなヤマと言える分野です。一度苦手意識を持ってしまうと、単元に関わらず「図形が出てきたらダメ、点数が取れない」と思ってしまい、その苦手意識を払しょくするのは非常に困難です。ですから、段階を踏んで苦手意識を少しずつ克服していくことが大切です。

まずは平面図形の基礎を徹底

これまでのカリキュラムの中で、図形問題に関しては、まず平易な平面図形の基礎問題から学習を進めてきたと思います。平面図形の基礎問題を克服することは、図形問題に対する意識を変えてくれるので、まずは平面図形の基礎を徹底的に固めておくことが第一のステップと言えるでしょう。

5年生以降に出てきた図形問題には、比の考え方が大きく絡むため複雑になりがちです。相似や合同など、意識しなければいけない点が増えてくる前の段階である、図形そのものについての知識を夏の間にしっかり理解し、定着させておくことが図形問題克服においては最も大切です。

そこで、まずは自分がどの単元までは理解できているかを確認しましょう。三角形や四角形といった基本中の基本の図形の内角の和や、面積・体積・表面積の求め方などの公式を着実に覚え、混乱することのないようにしていきましょう。こういった基礎中の基礎をおろそかにする受験生は非常に多いのですが、図形問題で点数が取れない原因のひとつは、このような基本形の平面図形に対する理解が不正確なことにあります。この部分を確認しておかないと、今後改めて見直す時間はまずありません。だからこそ今、見直して確認しておき、必要なときに使いこなせるようにしておくことが大切です。

その後、三角形や四角形だけでなく多角形について、内角の和や面積、体積、表面積の求め方を確認しましょう。こういったところは、実際の入試や模試の現場で一から思い出している時間はありませんから、公式を正確に覚え、どういうタイプの平面図形でも対応できるようにしておきましょう。

補助線は手を動かして体で覚える

平面図形の問題を解く際には、補助線を書き込むということが必要になりますね。ですが、受験生を指導する立場からすると、「手を使わずに図形を眺めるだけ」というケースが非常に多く見られます。ですが、なぜ補助線が必要になるのかをもう一度考えてみてください。

補助線は、問題文の指示にしたがって設問を解くための道具です。補助線がない図形をいくら見ていても答えは浮かんできませんが、引くべきところに的確に補助線を引くことができれば、見ただけでは思い浮かばなかった図形が見えてきたり、計算がうんと楽になったりします。

補助線をどこに引けばいいのかは、実際に手を動かして描いてみないことには始まりません。いくら頭の中で考えていても、次の手は浮かんできません。手を動かす手間を惜しまず、まずは設問の指示に従って手を動かして補助線を引くことを習慣化しましょう。最近の中学入試の傾向からも、多角形を題材に、展開図に引かれた線について問う問題や条件に従って図形を違う角度から見ないと解けない問題が頻出です。補助線を的確に引けばあっという間に解ける問題も実は少なくないので、夏までに補助線を手を動かして描く習慣を身につけましょう。

立体図形の基本を徹底マスター

立体図形と言われただけで身構えてしまう受験生も少なくありません。平面図形だけでも難しく感じるのに、立体となるとどのように把握したらいいのかさっぱりわからない、と、立体図形の問題を見ただけで飛ばしてしまう、という受験生も多いです。

立体図形を正確に解くには、「空間把握能力」が必要です。それは、立体についての「想像力」といってもいいかもしれません。なじみのある形の立体図形であれば、それほど苦労することなく設問に答えることもできるでしょう。ですから、基本的な立体図形の体積や表面積の求め方などは公式をしっかり理解するなどして使いこなせるようにしましょう。

問題は、角ばった図形より「まるい」図形です。球体や円錐などは、目にするようでいて立体図形として認識していない受験生が実は多く、差がつくところだと言えます。特に、基礎中の基礎である公式を覚えられていない受験生が非常に多いです。立体図形は「空間」を相手にするわけですから、まずは基本的な公式や考え方を習得しておかないと全く問題が解けないのでしっかり覚えておきましょう。

立体図形の切断は工夫次第で怖くなくなる

立体図形といえば切断の問題を連想することもあるかもしれません。超難問の立体の切断問題は近年減少傾向にありますが、一見難しそうに見えて実はそれほど複雑ではなかった、という問題が女子校を中心に出題されています。

立体の切断については、まさに断面がどうなるのか、想像力が問われます。もし立体の切断に苦手意識があるようでしたら、100円ショップなどで売っている、ちぎれるウレタンスポンジを使って図形を作り、実際に切断してみることをおすすめします。豆腐を使って実際に切ってみる、というのもひとつの方法なのですが、崩れやすいことと、対応できる図形が少ないので、スポンジをおすすめします。実際の断面を見ると、まるい図形が角ばったものになったり、その逆があったりするなど新しい発見があります。

夏期講習で扱われる立体図形の切断の問題は、かなりひねった問題が多いですが、今の時点でそれを完璧に解ける必要はありません。むしろ、テキストの例題や基本問題を完璧にすることを優先してください。実際の入試でもひねりすぎた問題はそれほど多くありません。むしろ、基礎問題の組み合わせということに気づくことができれば解ける、という問題が増えてきているので、基本形をしっかり押さえましょう。

図形の回転問題は要注意

ある平面図形のどこかの部分を軸にして回転させ、その回転体の作図や体積、表面積を求めさせる問題の中にはひっかけ問題も多く出題され、「差がつく」図形問題だと言えるでしょう。数年前に、女子最難関の桜蔭中学校で、台形を回転させる問題が出題されました。入試後、「解けた」という受験生が非常に多かったのですが、実は落とし穴がありました。

台形を回転させる問題でしたが、軸となるのは台形の辺ではなく、台形の内側の線を軸として回転させるという問題だったのです。問題文をよく読めば比較的簡単に正解できる、いわばサービス問題だったのですが、パターン演習になれてしまっている受験生は問題文をよく読まず、軸をパターン通りだと勘違いして、できたはずの問題を落としてしまい、その年はその問題が合否を分けた1問になりました。

図形の回転問題は入試でも頻出傾向です。それは、平面図形、立体図形双方の基礎が備わっているかどうかを見るのに非常に都合がいい問題だからです。どこを軸にするとどのような図形ができるのか、まずは作図ができなくては戦えません。ここでもやはり手を動かして実際に回転体を描いてみることがとても重要です。そして、問題文にひっかけが潜んでいることが多いので、慌てず条件をしっかり読み取ることを心がけましょう。これも、例題や基本問題を中心に徹底して基礎問題をマスターしてください。

図形の軌跡の問題も引っかかる受験生は多い

円を筒の中で転がす問題も、引っかかる受験生が多い図形問題です。円というのがミソで、円を転がすからこそできる隙間を正確に把握できるかどうかによって、図形が転がった軌跡の面積を求める問題が解けるかどうかが変わってきます。

本来であれば、円と基本的な平面図形の知識で解ける問題であっても、実際に図形を転がしたときの作図がきちんとできないと、まず正解できません。また、このような問題では作図そのものが出題されることもあるので、面倒くさがらずにきちんと図形を動かす作図を徹底しておこなうことが大切です。最初はイメージがわかないということもあるかもしれませんが、描いてみると迷うことなく計算に持ち込めるので、作図さえできればもらったも同然の問題です。

それほど複雑な問題はできなくてもいいので、これも例題レベル、基本問題レベルはしっかりマスターしておきましょう。この単元については、バリエーションを知っておいた方がいいので、応用問題の易しめのものを抜粋して解くのもおすすめです。

夏に図形の基礎を身につけるメリット

図形の問題は、ほかの単元以上に、自分の頭の中に問題をカテゴライズして蓄積させることが重要です。実際の入試問題であっても、普段解いているテキストの問題の数字や図形を多少変えただけであることも珍しくありません。

いきなり応用問題に挑戦しても、苦手意識が強まるだけで根本的な対策はできませんし、そもそも入試レベルの図形問題を解くにあたっては、平面図形の基本に戻って知識を段階的に理解し、使いこなせるようにすることが最も重要です。まずは、これまでのカリキュラムの中で学習した問題のうち、基本的な例題などで間違えたものを完璧に理解することから始めましょう。基礎がなくては応用問題は解けるようになりませんし、実力以上の問題を解くことはできません。

だからこそ、これまで「見たことがある」基礎問題をもう一度見直し、どういったタイプの問題が弱点になっているのか、それは知識なのか問題の形式なのか、苦手とする図形の種類があるのか、といったことを細かく分析するとその後の学習がスピードアップできます。

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