【中学受験】過去問の文章を「読書」して国語力アップ!

皆さんの国語の成績は安定していますか?中学入試の国語は問題文が長文化している傾向があるため、学年が進むごとに塾で取り扱う国語の文章も長文化し、難しくなっているのでなかなか点数に結びつかない・・・という受験生の方も多いのではないでしょうか。

文章読解問題が入試問題の中心なので、まずは読解問題を何とかしたい、と思っても、いまさら読書に時間をかけていられない、というのが現実だと思います。国語力をアップするにはやはりできるだけさまざまな文章に触れて、それぞれの文種に合った読解法を実践する必要があります。つまり、ある程度の「量」が必要です。本来、さまざまな文章に触れるには読書をして作者の思いに触れることが一番自然ですし、国語力もつきます。

ですが、6年生の夏、いまから読書をしようとしても、時間はとれないでしょう。読書が趣味で、勉強の合間の時間に読書をする、という受験生の方はいいですが、そうでない場合、あえて時間をとって読書をする意欲はないでしょうし、ほかの教科の勉強もあって読書どころではない、テキストを何とかしなきゃと思うでしょう。

もちろん国語のテキストや受けた模試で出題された文章をしっかり読み返すのも大切なことです。一度読んだ文章であっても、きちんと手順を踏んで読解法通りに読めているか確認することはとても大切です。ですが、初見の文章でそういう手順が取れるかどうかを確認するには、テキストや模試の問題だけでは足りません。

もし国語の読解問題でなかなか点数が取れない、でも読書している時間はない、第一どの本を読んだらいいのかわからない、という場合におすすめしたいのが、入試の過去問で出題された文章を読む、という読書法です。自分が受験する中学校の過去問は、時間を測って設問を解くところまでワンセットにしたいので、志望校の過去問ではなく、受験を考えていない中学校の過去問を使うと良いでしょう。

過去に入試で出題された文章を読むことで、入試レベルで出題される文章はどのようなものがあるのかを体感できますし、入試問題だということを意識することができるので、これまで学んできた文種ごとの読解法を実践し、速く、正確に読み進んで内容をしっかり把握する訓練としてうってつけです。

なかなか時間が取れない受験生だからこそ、買う本を探すよりも、過去問の文章を使って国語力をアップすることができれば、緊張感もありますし、読む文章量も増えます。

今回は、過去問を使った読書で国語力をアップするときに意識しておきたいポイントについてご紹介していきます。ただ読み飛ばすのではなく、手順を踏んで読むことで国語力は飛躍的にアップしますよ。

入試の国語では「おとなの視線」が必要

受験勉強をしていて、国語で点数が取れない原因にはいくつかありますが、受験生が陥りがちな状態としては「文章を読むスピードが遅い」「集中力が続かず、設問を解くときに何度も読み返す」といったものがあります。

入試問題で出題される国語の文章は、「おとな」が書いた文章です。これまでテキストや模試で読んできた文章もおとなが書いた文章なので、難しくて集中して読めなかった、わからないことばが多くてスムーズに読むことができなかった、という受験生も多いはずです。中学受験で扱う文章は、小学生にとってはかなり難易度の高いもので、しかも字数が多いので、途中で挫折してしまい点数が取れないという受験生は非常に多いです。

説明的文章の場合

たとえば、説明文や論説文といった説明的文章では、おとなが読むような新書レベルの文章が良く出題されます。もともと小学生にとっては難しい内容であるだけでなく、使われていることばも難しいことが多いので、読み始めて最初の段落くらいで何が書いてあるのかちんぷんかんぷんで放り出してしまうということはよくあります。一文が長いことも多いので、内容も難しいし、何について書いてあるのかよくわからず嫌になってしまい、集中して読むことが難しいのです。そうすると設問を解くところまでいかずにギブアップ、ということも少なくありません。

物語文の場合

また、物語文でも、以前は受験生と同世代の主人公を中心にした、共感しやすい文章が出題されることが多かったのですが、近年ではそういったものばかりではなく、「おとなの視線」が求められるような文章が多く出題される傾向にあります。主人公が子どもでないことがあるだけでなく、主人公が受験生と同世代であったとしてもおとなの視点から見て描いているといった文章の場合、小学生である受験生にとっては共感しにくいことが多いので、比較的読みやすい文章であったとしても内容を把握することが難しくなるケースも少なくありません。

特に、物語文の読解の際に大切なのは「登場人物の心情」をつかむこと、また場面の転換点をつかむことなどがあります。そのため、心情を表現しているところをしっかり把握しながら読む必要がありますが、使われている表現が単純なものではない場合もあり、読み誤ると設問で全滅してしまうことになりかねません。

たとえば、最近ではほのかな恋愛をテーマにした文章も良く出題されます。ここでは男女の精神年齢の差が読解力の差につながります。6年生だと、女子の方が精神年齢が高い傾向にあり、男子は心情の機微などを読み取ることが不得意、ということが良くあります。たとえば好意を寄せている女子に対して男子がぶっきらぼうになったり無視したり、意地悪をしたりということはよくありますよね。そういった内容の物語文の場合、まだ精神的に幼い男子は特に、実は好きだからやってしまう行為について、「こんなことをしているのは相手が嫌いだからだ」「いじめている」と勘違いしてしまい、ベースにある相手に対する行為を読み取ることができずにポイントを外してしまうということもあります。

大切なのは文章の内容を正確に読み取ること

説明的文章でも、物語文でも、大切なのはその文章が「何をテーマにした文章なのか」を把握することと、「どういうことが文章のどこに書いてあったか」をつかむことです。文章読解の方法についてはほかの記事でご紹介してきましたが、むやみやたらに読み飛ばせばよいというものではありません。それぞれの文種の読解方法にしたがって「どこに何が書いてあったか」「それはどういう内容なのか」ということを正確に把握しながら読むことが何よりも大切です。

過去問を利用した読書においては、設問まで手を付ける必要はありません。その文章のどこに何が書いてあったのかということをしるしをつけたり重要な文に線を引いたりしながら正確に読み取り、読み終わったときに文章全体の構造をつかむことができているかどうか、が重要です。これまで身につけてきた読解方法を入試問題レベルの文章で「試す」ことが過去問読書のポイントです。

テーマごとに文章を選んで読書する

近年の中学入試では、さまざまなテーマの文章が出題されますが、よく出題されるテーマは意外と絞れるものです。入試が終わったときに各塾が今年の入試で出た文章のテーマを分類して発表するのでご覧になったことがあるかもしれません。せっかく過去問を使って読書するのなら、よく出るテーマの文章を効率的に使いましょう。すべての学校の過去問集を買うのは大変なので、みくに出版から出ている過去問集、いわゆる「銀本」を使うと良いでしょう。

時間を決めて読み、内容を話し合う

過去問読書で大切なのは、文章の内容を正確に把握できているかということです。ですから、過去問読書では設問は解く必要はありません。欲を出して点数を出そうとし、設問までやらせようとする保護者の方が多いのですが、それでは「読書」の意味がありません。やるべきことは設問を解くことよりも、文章を正確に読めているか、集中して読めているか、ということです。

1日に何本も読む必要はありません。また、時間をかけすぎても教科の学習に支障が出ます。過去問読書をする文章を選んだら、制限時間を設けて読書をし、そのあと保護者の方が「どんな内容が書いてあったか」「テーマは何だったか」「どこが重要部分だったか」といったことについて質問してあげましょう。そして、お子さんがその質問に答える、といった簡単な質疑応答をするのです。文章を読む際にはこの質疑応答がとても大切です。普通に国語の読解問題を解く際は、文章を読んでから設問を解く過程で出題者と受験生が質疑応答しているわけです。過去問読書では、設問を解かなくて良いので、その過程を親子の質疑応答で確認するのが良いでしょう。

文章を読む制限時間については、模試やテストで1つ文章を読むのにかかる時間を目安にすると良いでしょう。たいていの場合、50分で大問2つという出題パターンが多いので、文章を読むのに5分から10分、問題を解くのに15分から20分ということが多いので、文章量に応じて1本5分から10分で読書してみるのが時間配分としてはおすすめです。読む際には、大切なところにしるしをつけたり重要なことばに丸をつけたりヒントを確認しながら読み進めましょう。

読み終わったら、15分から20分で、親子で内容について質疑応答をします。その際に、少し話が脱線しても構いません。文章のテーマについてお子さんがこういうことかな?と興味を持ったことがあれば聞いてあげてアドバイスしてあげると良いでしょう。ただし、時間をだらだら使うのはおすすめできないので、内容が把握できているかどうか、どこに何が書いてあるかといったことをまずは質問して答えられるかどうか確認するようにしましょう。

入試でよく取り上げられるテーマ①説明的文章

入試でよく出題されるテーマとしては、説明的文章の場合、「文化」「国ごとの習慣」「文学や芸術」「自然環境」「動物・植物の生態」「言語」「コミュニケーション」「哲学」といったものがあります。「哲学」や「文化」「コミュニケーション」は近年非常によく出るテーマですが、小学生にとっては少し荷が重い内容かもしれません。

こういったテーマを扱った文章を保護者の方が選んであげましょう。そして、実際にお子さんに読ませてみるのです。先ほどご紹介したように1本5分から10分で読書をし、その後15分から20分程度で親子で質疑応答してみましょう。「何について書いている文章だったか」「筆者は何が言いたかったのか」「結論はどこに書いてあったか」「理由はどこに書いてあったか」「具体例はどういうものがあったか」などを話し合ってみると良いですね。

このように読書→質疑応答を繰り返していくと、説明的文章の内容がどのように展開されているのかを体感することができるようになります、そうすると内容把握も速く、正確にできるようになります。

説明的文章で多い展開パターンは、まずどんな話題について書かれているかが示され、具体例を交えて説明が続き、それに対して反対意見が書かれていて、反論という形で筆者の考えが書かれているというものです。具体例がいくつか出てきた場合は、それを抽象化・一般化したうえで意見を述べるというパターンも多いです。

また、似たようなテーマの文章の場合、同じ材料から文章が書かれていることがあります。たとえば文化、生活習慣などのテーマは筆者は異なっても共通したような内容が書かれていることも少なくありません。過去問読書を続けていると、ある文章を読んだときに「これはあのテーマだ」「きっとこういうことが書いてあるのでは」というように内容に対して抵抗がなくなり、どんなことが書いているか予測することができるようになってきます。

設問を解く必要はないので、過去問読書をする際には、これまでに読んだ文章と似たところがないか、この筆者はこういう意見を持っているんだな、など、頭を働かせて重要部分と文章の構成をしっかりつかむようにしていきましょう。これを繰り返していると、たとえ途中で?と思う部分があったとしても、最後まで頑張って読み切ることができるようになります。?と思った部分については後で質疑応答するときに「この内容がわからなかった」「ここには何が書いてあったんだろう」ということを考えてみればよいのです。

読書をする際には設問は解かなくて良いですが、設問の答えは文章中にすべて書いてあるのが説明的文章です。そのため、内容把握ができさえすれば実際に読解問題に取り組むときも答えやすくなります。だからこそ、「どこに何が書いてあるのか」「その内容を説明している部分はどこか」「筆者の意見は何か」といった内容把握がスムーズにできることを第一目標にしましょう。

入試でよく取り上げられるテーマ②物語文

物語文でよく取り上げられるテーマには、「家族関係(親子、きょうだい)」「友情」「恋愛」「ペットとの交流」「学校生活」「先生との関わり」解いたものが多いです、主人公と登場人物の関係性ごとに過去問読書をする素材を選ぶと良いでしょう。

「親子関係」についての文章は物語文の鉄板ですが、単に親子関係と言っても単純なものから複雑なものがあります。また、主人公が抱く感情の種類も様々です。たとえば成長するにしたがって親やきょうだいに対してどのような感情を持つようになったのか、尊敬の念、あるいは軽蔑の念、気持ちのすれ違い、親がとった行動について成長するにつれそれが愛情の裏返し、成長を願っているからこそとった行動だった・・・など、さまざまな親子関係や感情を描いている文章があるので、数を読むとそのテーマに対して深く理解できるようになります。そうすると読むスピードも速くなり、内容も正確に把握できるようになるので、実際の模試で読解問題を解く際にも応用できます。

最近では、「親子関係」のなかで「離婚」というテーマも良く出題されています。海城中学校の先生にお聞きしたことがあるのですが、もし自分の両親が離婚していなかったとしても、自分と違う立場の人の気持ちを分かるように成長してほしいということから、批判されることもあるけれど、離婚した家族についての物語文を出題することもある、とのことでした。物語文でどのようなテーマの文章が出題されるかには、そのような出題者の意図があるということをぜひ知っておきましょう。

過去問読書の積み重ねは侮れない

それぞれの文種によって読解方法は異なりますが、セオリーを守ってたとえば毎日1本の読書をしていけば、1ヶ月で30本、3ヶ月あれば約100本の文章を読書することになります。受験勉強をしながら1ヶ月に30冊も本を読むことはできませんよね。ですから、過去問読書を積み重ねていくと読解力やことばの知識を含めて国語力が飛躍的にアップします。

あくまでも「読書」なので欲張って問題まで解かせようとしないでください。そうすると時間がかかりすぎてしまいます。それはテキストなどの文章でやればいいことなので、すばやく読んで内容を質疑応答することを繰り返すことが肝心です。

志望校の過去問演習に応用できる

過去問読書は読む文章量を増やし、読むスピードを速めるという効果があります。ただし、志望校の過去問を使うわけではないので、志望校対策は別におこないましょう。

志望校対策では、自分がどのような設問で間違えやすいのか、どのような内容の文章が苦手なのか、ということを確認しながら進めていきましょう。そして、志望校で良く出題される設問の形式や文章の内容を把握し、自分の弱点となっているところから克服していくことが大切です。ひとつの設問方式を克服できれば点数を積み重ねていくことができます。

もし選択肢問題が良く出題される中学校を志望していて選択肢問題が苦手な場合は、文章と設問が合致しているかどうかを徹底して追及して克服していきましょう。記述問題が良く出題されるなら、部分点狙いも含めて、読むだけでなく書く練習を積んで克服する、といった具合です。

意外と盲点になりやすいのが、読解問題の設問で文法問題が出題されるケースです。文法はどうしても手薄になりがちなので、過去問の出題分析をもとにどのような文法知識が問われているのかを把握し、早めに対策しておきましょう。

まとめ

中学受験では、国語は一部の難関校を除いて、合格者平均点と受験者平均点であまり差がつかない傾向があります。算数だと計算間違いなどで10点、20点と差がつくことも少なくありませんが、国語はそれほどではありません。

だからと言って軽く考えることは禁物です。あまり差がつかないということは、間違いを連発して差をつけられてしまうと合否が分かれてしまうということでもあります。国語は1問あたりの配点が高いので、もし国語で失敗してしまうとほかの教科でその分を埋めるのは難しいです。ですから、国語が苦手だな、と思っている場合は1点でも多く積み重ねるための努力をする必要があります。国語に対する苦手意識を克服するために有効なのが「過去問読書」なのです。

受験勉強していると、やるべきことが山ほどあると感じますよね。でも時間が足りない、そういった受験生は多いです。やることが多いと受験生は混乱します。ぜひ保護者の方がやるべきことに優先順位をつけ、ときには取捨選択してお子さんが安心して学習できるよう環境を整えてあげましょう。すべてできればよいですが、お子さんの状況によってはすべてやりこなそうとするとパンクしてしまいます。今一番やるべきことから優先順位をつけてひとつずつ克服していくことが大切です。

どれを取捨選択するかは難しい問題です。いまはやらなくて良くてもいずれ必要になることもあり得るので、悩んだときはお通いの塾の先生や、個別指導塾などを上手く活用して、まず何から克服していくべきかを決めていきましょう。時間配分もとても大切です。志望校の過去問演習を効率的にするためにも、ぜひ過去問読書をしてさまざまな文章に触れ、国語の点数を積み上げていきましょう。

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