【中学受験】今だからできる!国語勉強法・克服法 漢字・ことば編

これまで数回にわたって、国語の文章の種類ごとの読解法や、各設問の解法について解説してきました。設問については、選択肢問題と記述問題でいかに点数をとっていくかというポイントをご紹介しました。

どうしても国語はほかの教科に比べておろそかにされがちだということは何度もお伝えしていますが、国語をおろそかにするということは、他のすべての教科の成績に今後大きく影響してきます。端的に言うと、他の教科の勉強をしてもしても点数がとれないという状態に陥ってしまう受験生が増えてくるのです。

もちろん、入試が近づくにつれて、周りの受験生が頑張っているから相対的に成績が下がる、ということも要因の一つです。しかし、受験生や保護者の方が決定的に気づかないのが、国語という教科を軽視して、十分な国語力をつけられていない、という点です。国語はこれまで何もしなくても点数がとれてきた、という方も陥りやすいワナなので、非常に重要なポイントです。

国語力とは、日本語を自由自在に操り、長い文章を正確に読み取って聞かれたことに答えていく、ときには文章を書いてまとめるという力です。当たり前でしょう、と思われるかもしれません。ですが、これには何段階ものステップがあり、土台ができていないと崩れやすく、他の教科にも悪影響を与えてしまう非常に重要な力なのです。一度身に着けることができればそう崩れるものではないのですが、正しく身に着けるということがポイントです。この「国語力」が身についていないことは、勉強時間をとっているのに成績が上がらない、という大きな要因なのです。

正しい文章の読み方、選択肢問題の解法、記述式問題の解法についてこれまでの記事で解説してきました。今回は、土台中の土台と言える漢字やことばといった、入試における「基礎中の基礎」ついてまとめていきます。

勉強しているはずなのに成績が伸びない、国語はテストのたびに成績が乱高下するという受験生の方は、こういった土台部分で点数を落としてしまっている可能性が非常に高いです。わかってはいるものの後回しにしていたりしませんか?あるいは何とかなると対策を打っていないということはありませんか?今回は、こういった盲点になりやすいポイントについて解説していきます。

なぜ漢字やことばはおろそかになるの?

皆さんは、学校でも塾でも漢字の学習をしますよね。ですが、そもそもなぜ漢字の学習が必要なのか考えたことはあるでしょうか?学習の意味を意識しながら学習しなければ、ただの作業になってしまい、いつも漢字の問題で点数を落としてしまうことになってしまいます。そして、その間違いが今後の受験勉強に非常に大きな影響を及ぼすことにも気づかないままで終わってしまいます。そうすると、いつまでたっても漢字の問題で点数を落とし、成績が上がらない状態が続いてしまうのです。慣用句やことわざなど、ことばに関しても同じことが言えます。

漢字を学習する意味はどこにあるの?

漢字を学習するときに、その文字だけ覚えようとしていませんか?塾の漢字のテキストや、学校の教科書でも漢字に関してはまずその文字を何度も書いて覚えるというところから始まります。そのこと自体はよいのですが、実際の入試問題や模試の問題を見てください。漢字の問題一つについても、一文が書いてあり、その中の傍線部について漢字を書くという形になっていますよね。あるいは、空欄になっていてそこに正しい漢字を書いて入れるという形式のものもあります。

そういった実戦問題に対処するためには、ただ漢字一文字だけ覚えればよいというわけにはいきません。その漢字が含まれた熟語やことばを、文章読解や設問に答える際に、読んだり書いたりと自由自在に使うことができなければ、いくら漢字を覚えても使いこなすことができず、単なる知識で終わってしまいます。つまり、漢字やことばは国語力の運用能力を高めるための道具として必須だからこそ学習するのです。

漢字を使うのは国語だけではない点に注意!

また、漢字は国語の勉強のためにやる、という考え方も半分合っていますが半分は間違いです。漢字はたしかに国語の学習の中で覚えていきますが、算数、理科、社会でも問題文に必ず漢字は使われていますよね。もしそこで使われている漢字を読み違えてしまったらどうなるでしょうか?それはすなわち、問題文を読み違えてしまうということにつながります。

問題文を読み違えるということは、正解にたどり着けないということに直結します。いくら計算能力を身につけても、知識問題を完璧にしても、問題文、設問ひとつ読み違えてしまうとまるまる1問、場合によっては芋づる式に大問1つ落としてしまうことになりかねないのです。

漢字は国語で勉強していればいい、という考え方は危険です。学習自体は国語の勉強の中でやるとしても、他の教科の成績に直結しているということを常に意識しながら、緊張感をもって学習する必要があることをどうぞ再確認してください。

漢字やことばの学習上の注意点

漢字やことばの重要性について再確認していただいたら、次は実際の学習法が肝心になってきます。あっという間に漢字やことばを覚える方法があればよいのですが、そういった特殊な方法は残念ながらありません。漢字やことばの学習法の基本は、やはり繰り返し練習です。何度も手を変え品を変え繰り返して覚えていく王道の学習でしか正確に漢字やことばをマスターすることはできません。

しかし、同じことをただひたすら繰り返す、というとどうしてもただ「写すだけ」「書くだけ」といった作業になってしまいますよね。そうすると、理解できない状態でただ繰り返すだけで勉強していても面白くありませんし、第一頭に残らずすぐに忘れてしまいます。それでは、書けた時間がもったいないですよね。

漢字やそれを使ったことばは、文章を読んだり書いたりするときに自由自在に使うことができるようにしなければなりません。つまり、国語の運用能力を高めるための道具としての役割を持つのです。その道具を身につけなければ読み書きができないからこそ学習するのが漢字やことばであり、それこそが国語のみならずすべての教科に共通する基礎中の基礎なのです。

漢字や熟語などのことばを覚える際に受験生が陥りがちなのが、漢字を記号としてしか認識せず、形と読みだけを覚えるというやり方です。時間がない中で漢字やことばの学習をするためには、「こなさなければ」という意識が先に立ちがちです。ですが、このような覚え方では、逆に非常に効率が悪いです。たとえば、「独」という漢字は訓読みで「ひと(り)」と読みますね。では、「独立」「独占」といった熟語の意味はどうでしょうか。いずれも、「ひとりで」という意味が含まれます。このように、漢字が表す意味とそれを使った熟語の意味とは必ずリンクしているので、関連付けて覚えていくと忘れにくいですし、効率的に学習することができます。

漢字やことばの学習ではステップを踏もう

漢字やことばの学習で大切なのは、「ただ量を書く」勉強ではなく、「覚えてそれを忘れないようにする」ことと「いつでも使いこなせるようにする」ことです。単に漢字を書き連ねただけでは、忘れやすいですし、使いこなせるようにはなりません。そこで、ここでは、漢字やそれを使ったことばを学習するうえで大切なステップについてご紹介しましょう。

ステップ①漢字の意味、成り立ちについて辞書で調べる

さきほど、「独」という漢字について、その意味と使われ方をご紹介しました。漢字一文字一文字には必ず意味があります。また、「へん」「つくり」などを見ると、成り立ちに由来があることがわかります。日々、漢字ドリルで意味を考えずに練習してきた受験生は少なくないですが、もし同じ漢字、同じようなことばの意味をよく間違える、ということがあれば、漢字の意味や成り立ちをわかっていない可能性があります。もし意味や成り立ちをわかっていれば、知らないことばが出てきても根本となる漢字について理解していれば効率的に覚えることができますが、もしわかっていなければ出てきたことばの数だけ時間がかかってしまうということになります。

新型コロナウィルスの影響で小学校の休校がいましばらく続くいまだからこそ、根本に立ち返って、自分が間違えやすい漢字やことばの意味や成り立ちを辞書で調べるというワンステップを採り入れてみましょう。できている、わかっているものについては除いてよいので、模試で間違えたものだけで構いません。なぜ間違えたのかを立ち返って見直すことによって、次回から間違えないという意識を持つことができます。

ステップ②例文全体で漢字やことばの使い方を学習する

漢字やことばの問題を見ると、実際に答案に書くのはその漢字やことば単体ですよね。ですが、よく問題を見てください。必ず文があり、その中に傍線部や空欄があって、そこに合った漢字やことばを書くようになっています。

漢字やことばを学習するときについやってしまいがちなのが、その漢字やことばだけを抜き出して繰り返して書いて終わらせてしまうことです。たしかに勉強した気にはなるのですが、実際の問題で不正解になってしまっては意味がありません。ですが、普段の学習のときに目の前にあるあるものに注目して活用すれば、運用能力を段違いに上げることができるのです。

それは、塾の漢字の教材や模試の問題で出てくる「例文」を活用することです。漢字やことばは、国語の運用能力を養成するために学習するものですから、「どういうときにこの漢字が用いられるのか」「実際の使われ方はどうなのか」ということを意識する必要があるのです。いくら単体で覚えても、「使いこなせる」、つまり場面に合わせて運用することができなければ正解することはできません。

どのような形で出題されても正解できるようになるためのカギが、「例文」をうまく使って漢字やことばの学習をすることです。まずは、塾の教材や模試で間違えた問題を中心に、例文を集めてみましょう。書き出してもよいですし、コピーしても構いませんから、ノートを作るとよいですね。最初は数が多いかもしれませんが、できるようになってくると「どうしてもいつも間違えてしまう」ものが自然とピックアップできるようになります。

例文の中でどのように漢字やことばが使われているかを理解できるようになると、長文読解のスピードも上がります。どのような文脈で使われる漢字やことばであるかが理解できているため、運用能力が上がるからです。速く正確な読解能力を身に着けるためにも、漢字やことばの正確な使いこなしは必須の能力です。

例文の使い方ですが、ただ読んで漢字やことばの部分だけを書くというのでは意味がありません。最初は例文そのものを書き下しすることをオススメします。例文を書き下すことによって、その漢字やことばが文の中でどのような意味があるのかを理解することができます。「例文の中で学習する」ということをぜひ実践してくださいね。

ステップ③自分で例文を作ってみる

例文を使って漢字やことばの学習ができるようになったら、同じ漢字やことばを使った例文を自分で作ってみましょう。短文練習をするのです。まず、漢字やことばをノートの上に書き、下に自分で例文を作ってみましょう。

自分で例文を作ることには、以下のようなメリットがあります。

  • 正しい漢字やことばの使い方が身についているか確認できる
  • 記述の練習になる

ほかにもいろいろありますが、最も意識していただきたいのはこの2つです。

正しい漢字やことばの使い方が身についていれば、意味の通る例文を作ることができます。逆に、うまく作れないということは、まだ「どういうときに使う漢字やことばなのかがわかっていない」ということです。それがわかったなら、できるまで繰り返すように抜き出しておくと、模試の前などに見直すことができて便利です。どうしても漢字の形を目に焼き付けて終わらせようとしてしまいがちですが、今の時期だからこそこういった基礎の学習に時間を使うことができるのでチャンスです。漢字やことばについて出題しない中学校はありませんし、模試でも出題されないことはありませんよね。だからこそ、いまがチャンスなのです。

また、2つめの「記述の練習になる」という点ですが、記述問題を苦手にする受験生は多いですよね。では、なぜ苦手になるのでしょうか?それは、設問で問われていることに対して、適切なことばを使いながら文を作っていくということができないからです。なぜできないかというと、練習していないから、それに尽きます。

記述問題を、すごく難しい、手の付けられないものだと考えていませんか?たしかに、200文字の文章で答えなさい、と言われると全く書ける気がしない、ということもあるかもしれません。ですが、200文字の記述と言ってもいくつかの文に分けて書きますから、一文一文の積み重ねなのです。その点に気づくことができれば、分解して一文を書けたら次、という段階を踏んでもっと長い記述問題でも怖くないのです。

そのために重要なのが、核となることばを使って文を作ることができる能力です。その能力を身に着けるためには、文を作ってみる練習を徹底的におこなうことが効果的です。その材料として、漢字やことばを使って自分で短文を作ってみる練習をすると自然に記述問題を解いているのと同じことになります。「このことばを用いた文を作りなさい」という問題だと思って、短文を作ってみましょう。それによって、漢字やことばの意味がわかっているか、どのような文ができて、それは意味が通っているか、ということが確認でき、さらには書くことになれるので、記述問題に対する苦手意識がなくなっていきます。ぜひやってみてください。

学校の教科書もおろそかにしない

受験勉強は塾の教材を中心に学習するので、どうしても学校の教科書はおろそかになりがちです。たしかに、問題文の難易度などは国語の教科書の方が易しいと思えるかもしれませんが、その中にある漢字やことばその学年に必要なものがつまっています。また、さまざまなバリエーションの文章に触れることができるので、その中でことばの使い方や漢字の運用方法を自然と学ぶことができます。さらに、教科書に採用されている文章はいわゆる「良文」です。さまざまな要素がバランスよく含まれており、またことばの使い方も非常にスムーズなので、ぜひ読んでいただきたい文章が集まっているのです。

国語の教科書には、漢字やことば、詩の表現技法といった基本的な知識が分かりやすくまとめられており、さまざまなバリエーションの文章に触れることができます。漢字やことばの学習は、問題演習を繰り返していくことが重要です。単純な問題演習量を増やすという意味でも、今一度基本に立ち返って、学校の教科書の文章にも触れるようにすることをオススメします。設問が付いていない場合でも、意味段落分けの練習などに活用ができます。自主的な学習に有効活用していきましょう。

また、漢字やことばについては、巻末にその教科書に出てくる学年相当のものがまとめられています。ぜひ、学校が休校中の今だからこそ、教科書をしっかり活用して漢字やことば、それらを使った文章をマスターしてください。

洗い出した「できていないもの」は今のうちにつぶしておく

国語はほかの教科に比べると問題の幅が広いので、どういったタイプの問題が自分の苦手、弱点ということをなかなか意識できずに学習を進めることが難しい面があります。ですが、漢字やことばであれば、これまでの塾のテキストや模試などから、間違えたものを洗い出し、見直してみて「できていないもの」「理解できていないもの」についてつぶしていくという学習をしましょう。

普段なかなか時間がかけられない知識問題を克服するには、今が整理するチャンスです。そもそも漢字を間違えて覚えていないか、その漢字を使ったことばを正確に理解できているか、使えるようになっているか、ということを確認していきましょう。これができると、ほかの教科の学習をするときにも、読み落としを防ぐことができるようになり、文章を読むのが何より速く正確になります。

漢字やことばでも「自分のための学習」を大切に

国語の中でも苦手な問題は、普段の塾の授業でさらっと解説されただけでは理解が難しく、周囲と比較して自信を失ってしまうことも多いかもしれません。しかし、国語は決して「文章センス」で解く科目ではありません。今一度、自分が苦手な読解ステップを再確認して詰めていけば、必ず成績は向上します。今だからこそ、他人との比較から離れて、自分のペースで丁寧な読解演習を心掛けましょう。

とくに、漢字やことばといった縁の下の力持ちと言える分野については、自分で見て、手を動かして練習する時間をしっかりとらなければ克服できないですし、それを持ち越してしまうと入試直前に慌てることになります。そうならないためにも、漢字やことばについても「自分が何ができていて何ができていないのか」ということをしっかり意識し、場合によっては間違いノートを作るなどして、徹底的に叩き込むように練習しましょう。目安としては、夏前までです。短期決戦のように思われるかもしれませんが、毎日時間をとって向かっていれば、必ずできるようになります。

まとめ

漢字やことばは、中学入試で非常に重要であるにもかかわらず、それを意識されずに学習が作業になりがちです。ですが、それでは各教科長文化している問題文を正しく読み取り、正しく設問に答えていくことはいつまでもできるようになりません。

新型コロナウィルスで小学校が休校中の今だからこそ、漢字やことばの学習を習慣づけるチャンスです。やっつけ勉強にならないように、文章の中でどのように漢字やことばが使われているのかをしっかり吟味しながら学習していくことがとても重要です。

早め早めに学習しておくと、知識の引き出しをきちんと作ることができるようになり、それを必要な時に使いこなせるようになるので、国語だけでなくほかの教科の学習もうまく回りだします。漢字やことばにそんな力があるの?と思われるかもしれませんが、すべての教科の土台として大変重要な学習です。ぜひ、今の時期にこそ苦手・弱点となっている漢字やことばの学習についても目を配り、実力をアップさせていきましょう。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。