小説問題読解〜工藤純子『あした、また学校で』〜[中学受験国語過去問解説シリーズ]

今回は2021年度の駒場東邦中学校の国語の過去問を一部修正して小説の問題の解き方を説明していきたいと思います。本文は以下のPDF、もしくは工藤純子『あした、また学校で』(講談社)を参照してください。 

問題

問1

_線部A「理路整然と」・B「かいつまんで」とありますが、この言葉の本文中の意味として最も適切なものを次の中からそれぞれ選び、記号で答えなさい。 

  • A「理路整然と」
    • ア、筋道が通っている様子で
    • イ、自信にあふれた様子で
    • ウ、説得するような様子で
    • エ、落ち着きのある様子で
    • オ、余裕を感じさせる様子で
  • B「かいつまんで」
    • ア、感情的にならないようにして
    • イ、要点を大ざっぱに取り出して
    • ウ、例を上げわかりやすくして
    • エ、細かい部分まで取り上げて
    • オ、都合の悪いことは省略して
  • 【解答】
    Aア
    Bイ

それぞれの語句の意味をおさえておきましょう。 

  • 理路整然…物事が道理にきちんとあてはまっているさま。話などの筋道が整っているさま。
  • かいつまむ…物事の必要な点だけをとりだして簡単にまとめる。概括する。

問2

_線部①「今回のことに関しては、罪悪感も加わって、頭から拭い去れずにいた」とありますが、これは祥子のどのような様子を表したものですか。その説明として最も適切なものを次の中から選び、記号で答えなさい。 

  • 、真相はわからないが、もしかすると非のない将人をとがめた可能性があり、様子が変わってしまった将人のことが気になって仕方ない様子。
  • 、どんなことがあっても親は子どものことを守るべきだと考えており、正当な理由もなく怒られ傷ついている将人のことが心配でたまらない様子。
  • 、子どもたちの言うことをそのまま受け入れることはできないと感じながらも、明らかに態度のおかしい将人のことで頭がいっぱいになっている様子。
  • 、のんきな夫とは違って何かわけがあると感じたため、傷ついた将人のために自分が何かしなければならないと意気ごんでいる様子。
  • 、傷ついて変わってしまった将人を見て自分のしたことを後悔し、みんなの前で怒られて泣いてしまった将人の姿が頭から離れずにいる様子。
  • 【解答】ア 

罪悪感の内容についてきちんと把握しておきましょう。祥子は将人を叱ってしまったことに対し、後から将人は悪くないのにみんなの前で叱られたという一将の話を聞いて、つらい思いをした将人を更に叱ってしまったかもしれないと考えています。更に 

あれから、何を聞いても首をふるだけで、明らかに以前と態度が違うのだ。

とあり、将人の様子から 

−−親にもわかってもらえなかった。
そのことがいちばん将人を傷つけてしまったんじゃないだろうか。

と感じ、祥子は罪悪感を抱いていると考えられます。また頭から拭いされずにいるということは気になっていると考えるのがふさわしいでしょう。選択肢イ、ウ、エの「心配でたまらない」「頭がいっぱいになっている」「意気ごんでいる」は当てはまりません。 

問3

_線部②「奥の手」とありますが、これは具体的に何をすることですか。十字程度で答えなさい。 

  • 【解答】
    〔例〕PTAに訴えること。

_線部②の後、祥子が荻野先生らと話に行く場面が描かれますが、一方的に謝られ話を聞いてもらえません。そしてもう一度「奥の手」というワードが出てきます。 

こうなったら奥の手を……明日、PTAに訴えてみようと祥子は心に決めた。

この一文から「奥の手」は PTAに訴えることだとわかります。 

問4

_線部④「わざと問題をすり替えているのだ」とありますが、このことを具体的に説明したものとして誤っているものを次の中から一つ選び、記号で答えなさい。 

  • 、将人は大縄跳びが下手で荻野先生から怒られ、周りからも責められて学校に行けなくなった。そのことを祥子は問題にしたいのに、校長先生は大縄跳びをがんばることの意義について説明してきたこと。
  • 、将人は大縄跳びが下手で荻野先生から怒られ、周りからも責められて学校に行けなくなった。そのことを祥子は問題にしたいのに、校長先生は荻野先生も子どもたちも熱心に大縄跳びの練習をしていると言ってきたこと。
  • 、将人は大縄跳びが下手で荻野先生から怒られ、周りからも責められて学校に行けなくなった。そのことを祥子は問題にしたいのに、近藤先生は朝練の伝達が行き届かなかったことをひたすら謝罪してきたこと。
  • 、将人は大縄跳びが下手で荻野先生から怒られ、周りからも責められて学校に行けなくなった。そのことを祥子は問題にしたいのに、先生たちは祥子が学校に頭を下げようとしていると決めつけてきたこと。
  • 、将人は大縄跳びが下手で荻野先生から怒られ、周りからも責められて学校に行けなくなった。そのことを祥子は問題にしたいのに、校長先生は一日も早く将人が登校できるよう励ましてきたこと。
  • 【解答】エ 

それぞれの選択肢は最初の一文「将人は大縄跳びが下手で荻野先生から怒られ、周りからも責められて学校に行けなくなった。」が共通しています。よってその後ろの部分がそれぞれ本文中のどこに書いてあるのか説明していきます。

校長先生の発言として、 

 「特に低学年の子は、大縄跳びを跳ぶことすらできない子もいます。荻野先生は忙しい中、朝早く学校に来て、その役目を買ってでてくださっているんですよ」

 「練習を重ね、跳ぶ回数が増えれば、子どもたちのやり抜く力もつきます。そのためにも、朝練にはぜひ出ていただきたい」

とあります。そのような校長先生の発言をうけ祥子は、 

大縄跳びの意義や、がんばることのたいせつさを否定しているわけではない。

と思っています。よってア「校長先生は大縄跳びをがんばることの意義について説明してきた」、イ「校長先生は荻野先生も子どもたちも熱心に大縄跳びの練習をしていると言ってきた」は正しいといえます。 

また、近藤先生の発言として、 

 「わたしが朝練のことを、ちゃんと伝えておけばよかったんです。今度からは、プリントで保護者の方にも伝えるようにしますので……」

とあります。ウ「近藤先生は朝練の伝達が行き届かなかったことをひたすら謝罪してきた」も正しいといえます。オ「校長先生は一日も早く将人が登校できるよう励ましてきた」というのは 

〜将人くんが、一日でも早く登校できるよう、お母さんもがんばってください」

という発言から正しいことがわかります。 

エ「先生たちは祥子が学校に頭を下げようとしていると決めつけてきた」に関しては、

これではまるで、祥子が先生に頭を下げさせているようにも見える。 

とあるように先生たちが決めつけてきたのではなく、祥子がそう感じているのだと推測することができ、エは誤っているとわかります。 

問5

_線部⑥「非難されているようにも感じた」とありますが、どういうことですか。解答欄につながるように五十字以内で答えなさい。 

(  )ようにも感じた。 

  • 【解答】
    〔例〕登校できない子供を家に一人で留守番させて働きにいこうとする薄情で無責任な母親だと責められている(ようにも感じた。)

理解してくれると思っていたPTAの保護者らの発言に言葉を失った祥子が非難されているようにも感じた場面です。なぜそう思ったのか保護者らの会話をみてみましょう。

 「それは大変でしたね……。息子さんのことを思うと、胸が痛みます。それで息子さん、今は登校できていますか?」

 「それはいけませんね。まさか今も、家に一人ですか?」

更に_線部⑥の前に祥子は 

これから仕事に行こうとしていることまで見透かされ 

と感じています。以上のことから、 

  • 登校できていない息子が家に一人でいること
  • これから仕事に行こうとしている

薄情で無責任な母親と責められていると推測すると良いでしょう 

問6

_線部⑨「どんよりしていた 将人の目には光が戻り、冬眠から覚めたカメみたいに活き活きしている」とありますが、これは将人のどのような様子を表していますか。六十字以内で答えなさい。 

  • 【解答】
    〔例〕自分のつらい気持ちを母親に理解してもらったことに加えて、自分のよさを母親に見つけてもらえて、自信を取りもどしている様子。

_線部⑨は将人の心情の変化を「どんよりとした目にが戻ったと表現しています。どのような状態からどう変わったのかをきちんと把握する必要があります。

将人は冒頭の場面から分かるようにみんなの前で怒られたことに傷ついていました。祥子に怒られたことで、親に理解してもらえなかったと更に傷ついています。そんな将人に祥子は謝り、将人は何も悪くないと伝えます。その後に将人の傷ついた心情が

 「だってぼく、秀一兄ちゃんみたいに勉強できないし、カズ兄ちゃんみたいに運動できないし……得意なものなんて何もないよ」

という発言に表れています。将人の発言を聞き、祥子は 

小さな体を頼りなく感じた。今、将人は、自信を失っている。かけらも残ってない。

と感じます。その後祥子は 

 「将人だってすごいところがあるんだよ」

と言い、将人の良いところを伝えてあげます。祥子の言葉によって将人は自信を取り戻したのです。 

以上のことから

  • 将人は傷つき、自信を失っていたこと
  • 祥子が謝り、悪くないと言ったこと⇨理解してもらえた
  • 将人のすごいところを祥子が伝える⇨自信を取り戻した

という点を抑えて六十字以内でかけると良いでしょう。

まとめ

問1のような語句問題は語句の意味を知っていないと解きにくい問題です。日頃から語彙力を伸ばしていきましょう。問2、4のような選択肢問題は選択肢に引っ掛けがあることが多く、場面もおさえることも大事ですが、一つ一つの選択肢をしっかり吟味するようにしましょう。 

問3の問題は同じ語句がもう一度本文中に出てくるため比較的解きやすい問題だったかもしれません。今回のように同じ言葉が出てくるのではなく、違う言葉で言い換えて同じ内容を説明していることもあります。たとえているものが何を指すのかきちんと把握しながら同じ内容が他の段落にないか探すようにしましょう。 

問5、6のような記述問題は慣れないと解くのが難しいかもしれませんが、心情の変化や、登場人物の会話に注意して読むようにしましょう。

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