首都圏中学受験を目指す皆さんに、様々な情報をお届けしている本ブログですが、今回は少し趣向を変えて、関西の中学入試についてお伝えしようと思います。
皆さんもお聞きになったことがあるでしょう、灘、甲陽学院、東大寺学園、洛南高校附属・・・どれも関西の最難関です。遠くは九州・鹿児島までいくとラ・サールもありますね。最難関中学を受験する生徒さんは、関東在住でも、関西や九州の最難関校を受験しに行く方も毎年たくさんいらっしゃいます。また、ご家族の転勤で関西の中学を受ける、ということになる方もいらっしゃいますね。
今回は、関西圏の私立中学受験について、簡単にまとめてみます。
関西入試の動向を左右するのはズバリ「灘中」
関西圏の私立中学を受けるならば、注意しておいてほしい学校は、ずばり「灘中」です。「え、別に、灘中とか志望していないんですけど・・・」という方も、もし事情が変わって関西圏の中学を受けることになるかもしれませんので、ぜひ、灘中の動向は少し気にしていただきたいと思います。理由はシンプルです。関西圏において、灘中学校より難度の高い学校はないからです。
灘中は3科目入試
私立中学受験では、試験科目は学校側が自由に設定できます。関東圏では4教科受験が多く、次いで2科・4科選択式、最近は英語入試や思考力入試などバラエティー豊かになってきました。
関西では、灘中が以前から試験科目の中から「社会」を外していました。これは、灘中の、「知識偏重ではなく、思考力を持った学生がほしい」という方針によるものでした。中学校側の考えが、試験科目という形で表れていたわけですね。
2005年前後までは関西圏でも、灘中と甲陽学院中が3教科入試をお子合っていましたが、そのほかの学校は4教科入試でした。特に、奈良県の東大寺学園の社会は難しことで有名でした。
潮目が変わった関西入試
そんな関西入試の潮目が変わったのは2006年ごろの話です。滋賀県、奈良県、和歌山県、兵庫県、大阪府、京都府、2府4県の私立中学の入試スタート日が統一されたのです。
この変化に慌てたのが先ほども挙げた東大寺学園と、京都の洛南高校附属中です。どちらも関西圏では多数の東大・京大合格者を誇る名門中学ですが、以前は東大寺は灘の前に、洛南は灘の後に入試を行っていたので、頑張れば3校とも受験することが可能でした。しかし、試験日が統一されたことにより、両行とも同じ、それも灘中学校の後に入試を行うことになり、惜しくも灘中合格を逃した優秀生を取り合う直接対決になったのです。
入試科目も変化
名門校同士の生徒の取り合いの中で、まず洛南が灘中と同じ3教科入試を開始、翌年、東大寺学園も追随しました。当然のことながら、灘中第1志望の生徒は社会を受験科目としては勉強してきていません。そうなると、入試科目に社会があったのでは、関西最高ランクの優秀性を取り逃がしてしまうという事情もあり、関西の主要な学校に3教科入試が広まっていきました。
関西の中学受験は・・・「灘向け、灘?」
他の学校の入試科目を変えさせるほど、灘中は関西圏で絶大な影響力を誇っています。灘中がするから、逆にしないから、と関西圏の私立中学は追随していくわけです。首都圏でも同じことですが、どの学校も優秀な生徒を多く取りたいということに変わりはありません。6年後の大学進学実績までも見据えて、中学どうしの戦いは始まっているのです。まさに、関西圏の中学受験は、「灘向け、灘!」といっても過言ではないかもしれません。
今回は関西圏についてお伝えしましたが、私立中学校の方針転換、試験問題の傾向の変化というのは、多かれ少なかれ、難関校の影響を受けるものです。だからこそ、受験する学校についても、同じような入試傾向の学校や、同じくらいのレベルの学校の動向に気を配っていただきたいと思います。
一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。