新学年になり、これから模試を受験する機会が増えてくるでしょう。特に受験学年の6年生の場合、合不合判定テストや学校別模試、またお通いの塾以外の塾が開催する模試を受験する機会も増えてきます。
6年生以外でも、新4年生、5年生も模試を受ける機会はだんだん増えてきます。6年生ほど頻繁でないにしても、やはり模試には「受け方のコツ」があるので、それらを早めに押さえておき、いざ受験学年になったときにスムーズに模試が受けられるような下準備をしておくことも大切です。
皆さんは、模試を受けるときのコツとしてまず何を思い浮かべるでしょうか?模試を受けて気になるのは、やはり最後まで解ききって、点数をあげることですよね。この「最後まで解ききる」というのが模試を受ける上で非常に重要になってきます。
模試には、実際の入試と同様に、教科ごとの制限時間というものが設定されています。そして、制限時間に比べて考えると、模試で出題される問題数は非常に多い傾向にあります。実際の入試は大問数はそれほど多くないですし、学校ごとの傾向というものがあります。しかし、模試の場合はそうした傾向の最大公約数的な問題、つまり基礎的な問題から応用、発展問題まで、バリエーションが多く、問題数も多く出題されるのです。
したがって、全部解こうとすると時間切れになってしまうことも少なくありません。また、途中の問題でひっかかってしまい、あとに続く問題が解けずに結果があまり良くなかった、という経験をした方も多いのではないでしょうか。つまり、最後まで解ききるためには、制限時間中にとまらずにサクサク解き進むことが必要になるのです。
今回は、模試を受けるときになぜ時間切れになってしまうのか、その原因と解決法を考えてみましょう。中学入試でも、制限時間があり、いくらわかっていても時間切れで手を付けることができなければその部分は0点になってしまいます。受験生の多くが悩む「時間内に解ききれない問題」を解決するために、模試を受けるときの時間配分のコツをつかんでおきましょう。
Contents
なぜ時間不足になるの?2つの原因
模試を受けてきた受験生に聞くと、この教科は時間が足りたけれど、こちらの教科では足りなかった、という話は枚挙にいとまがありません。なぜ模試を受けるときに、時間が足りなくなってしまうのでしょうか。入試本番で時間が足りなくなっては大変です。まずは、時間不足になってしまう原因を2つ見てみましょう。
原因1:解答スピード不足
模試を受けるときの問題の解き方を考えてみましょう。問題を解く際には、問題文を読む→条件を整理する→式を立てる→計算する→解答を書く、といったように、段階を踏んでさまざまな作業をすることになります。
もしこうした作業工程の一つひとつに時間をかけ過ぎてしまっていると、制限時間内に解ける問題の数はどうしても少なくなってしまいますよね。つまりこれが、解答スピード不足ということです。丁寧に解いていればよいのですが、雑に解いていて途中で何を書いているのかわからなくなってタイムアップということもあります。
また、習ったばかりの単元であったり、まだ定着するところまで行ってなかったりする単元の場合は、こうした作業一つひとつ、特に前半の問題文を読み、条件を整理する段階でかなりの時間がとられてしまうことがあります。また、苦手教科の場合、意欲が持てないことが要因で解答スピードが遅くなることもあるので、スピードが遅くなる原因を確認しておくことが大切です。
原因2:時間配分ミス
頭から順番に解いていけばいい、という意識だと、制限時間を「どう使うか」を意識しないで解くことになるので、問題ごとにかけるべき解答時間のバランスが崩れてしまいます。これは時間配分ミスです。
これを繰り返していると、わからない問題が途中であったとしても頭から解こうとするために時間を使いすぎてしまい、あとに続く易しめの問題に時間を使うことができず、時間切れになってしまいます。これは多くの受験生がやってしまう時間配分ミスです。時間配分ミスは、苦手教科だけでなく、得意な教科でも起こってしまうことがあるので、早期に克服する必要があります。
時間配分ミス撲滅こそ高得点のカギ
中学受験をお考えの受験生が良く経験するのが、模試の時間配分ミスです。各教科で制限時間が定められているので、制限時間内に解けるだけとかなければ高得点は望めません。しかし、よくやってしまいがちなのが「前半に時間を使いすぎて最後まで解ききれず時間切れになってしまった」「後のほうに簡単な問題があったのに途中で止まってしまって落としてしまってもったいなかった」という時間配分ミスです。
まじめな受験生ほど時間配分ミスをする?
模試慣れしていないお子さんは、時間配分の方法そのものがよく分かっていないので、受けはじめのころには良く時間配分ミスをやってしまいます。また、普段の成績が良く、まじめに勉強している受験生の中にも、まじめだからこそ「最初から全部きちんと解かなければならない」と思い込んでしまって、タイムアップという結果になってしまうことも少なくありません。
得意教科だからこそやりがちな時間配分ミスに注意
また、これも注意したいのですが、得意教科だからいつも制限時間内に解ききって高得点が狙えるとは限らないということです。得意教科だからこそ高得点を取りたいと考えて、最初から順々に解いていって、いわゆる「捨て問」と言われる、正答率が1%以下といった「解けなくていい問題」にぶち当たるとそれも避けずに解こうとするので、結局そのあとに続いている解けるはずの問題を解けずに終わってしまうことはよくあります。
時間配分ミスは意識で変わる
時間配分ミスで最後まで解ききれないと、どうしても「自分の学力が足りないから」と思うのではないでしょうか。しかし、実は時間配分ミスは、学力の問題というよりも、「意識の問題」であることが多いのです。高得点を取りたいという意識が勝ってしまうと、そのことばかりで頭がいっぱいになってしまい、全部解かなければと焦ってしまうのが時間配分ミスを誘発してしまいます。
模試では、実力以上に点数を取ることはできません。逆に言えば、時間配分ミスを克服すれば、自分のいまの実力を発揮できるテストだと言えるのです。時間配分ミスも実力のうちと言えばそうなのですが、それを克服できれば、実力をいかんなく発揮でき、模試本来の目的である「いまの自分の実力を知る」「今後の学習の指針を立てる」ことができるのです。
時間配分ミスは、このように学力が原因というよりは、意識しすぎて力が入ってしまうことが原因で起こることが多いので、意識を変えればクリアできる問題でもあるのです。模試を受けている最中の時間の使い方が上手になれば、効率よく解ける問題を確実に解き進むことができ、得点を重ねることができます。
また、制限時間に解ききれない場合、時間配分ミス以外の原因として、「解答スピードが遅い」ということも挙げられます。解答スピードについても訓練しだいで改善できます。模試で問題に答える際には、、たとえば算数なら、「問題文を読む」「途中式を書く」「計算して答えを出す」という手順を踏みますね。こうした基本の型をいま一度確認し、正確に手順を踏んで解く練習をしていくうちに、解答スピード不足は解消できます。得点力をアップするためにもぜひ実践してください。
時間配分を効率化するための4つのコツ
模試を受けるなら、やはりできるだけ実力を発揮し、得点を重ねたいですよね。時間配分、つまり制限時間をどう使うか、その使い方は得点力に直結します。だからこそ、時間配分に気を付けて、試験時間を有効に使いたいものです。ここでは、すぐにできる時間配分ミスを克服するためのコツを4つご紹介します。
コツ1:大問ごとに大まかな時間配分を決めておく
まずできる時間配分ミス克服法として、過去の模試などを参考にして、大問ごとの時間配分を大まかに決めておくことが挙げられます。ここでポイントになるのは、「配点に対応して配分時間を決める」ということです。配点の高い問題には長めの時間を、配点が低いならかける時間を少なくする、といった具合です。
たとえば、「制限時間50分/100点満点」の模試の配点が以下の場合で考えてみましょう。カッコ内は、100点満点の中で占める比率です。
大問1:30点 (30%)
大問2:20点 (20%)
大問3:15点 (15%)
大問4:15点 (15%)
大問5:20点 (20%)
この場合の、大問ごとの時間配分の目安は以下のようになります。
大問1:15分 (30%)
大問2:10分 (20%)
大問3:7分30秒分 (15%)
大問4:7分30秒 (15%)
大問5:10分 (20%)
ここで時間配分を大まかに決めるポイントは、配点の比率に応じて、制限時間をそのまま配分して設定するということです。もちろん、実際に解き進めてみると最初のほうに難しい問題が配分されていたり、あとのほうで易しめの問題が出てくるなど、問題ごとの難易度は考慮する必要がありますが、時間配分をする際にあまり時間はかけられませんよね。
たとえば、大問1が計算問題や一行問題など、基礎的な問題が中心であれば、大問の配点が高かったとしてももっと速く解ききりたいところです。ただし、最初からそうした臨機応変さは持つことができないので、まずは原則として、配点に応じた時間配分で解いていくことを意識すると良いでしょう。
コツ2:試験開始後1分で全問の構成を確認する
コツ1のように、大まかな時間配分を過去の模試の傾向から割り出しておいたとしても、実際に受けるときには出題の傾向が変わっていたり、計算問題からはじまらないなど、想定していた問題構成とは異なっている場合もあり得ます。ですが、そこで焦ってしまっては解ける問題も解けないので、まずは落ち着きましょう。
そして、試験がはじまったらすぐに最初の問題に手を付けるのではなく、まずは最初の1分を使って、全体の問題をざっと見てみましょう。どの単元からの出題なのか、文章題なのか図形問題なのか、計算問題か一行問題か、といったように出題の形式とともに簡単にチェックするのです。もちろん解きはじめると思っていたより難しい、易しいと言ったことは起きるでしょうが、それはとりあえず無視して構いません。
全体の問題を一通り見まわしたら、あらかじめ予定していた時間配分を少し変えて、だいたい大問ごとに何分を目安に解いていくか、その模試での時間配分を決めて問題用紙に書き込んでおきましょう。
これをやるかやらないかで、落ち着いて問題に取り組めるかどうかが変わってきます。ただがむしゃらに一から解こうとしても必ず途中でつまずく、それが模試というものの怖さです。その怖さを少しでも和らげ、得点を重ねるためにも、冷静に、時間配分を自分で決められるようにしておくことはとても重要です。
コツ3:解ける問題から解く。難問は後回し
模試の場合、易しい問題でも難しい問題でも、小問1問あたりの配点は実はあまり変わりません。たとえば、四谷大塚の合不合判定テストは正答率70%以上の問題でも、正答率1%以下でも、小問1問あたりの配点は同じなのです。
実際の入試では濃淡が付けられていることがほとんどですが、模試の場合、大量に成績処理をしなければいけないこともあり、特に算数などでは難易度に関係なく点数が同じということが多いのです。そうであれば、解ける問題はとにかく確実に解き、点数を積み上げていきたいですよね。
難しい問題、つまり正答率の低い問題は、解ける受験生はほとんどいないです。ですから、そうした問題に時間を取られ過ぎてしまうと、結局解けるはずの問題に時間がかけられずに落としてしまうというもったいない事態が生じてしまいます。
正答率の低いような複雑な難しい問題は現段階で解けなくても問題ないですし、第一ほかの受験生との間で差がつきません。模試を受けるなら重視したいのは正答率の高い問題、つまり受験生なら誰もが解いてくるような問題を確実に取ることです。
それができないと、ほかの受験生に大きく差をつけられてしまいます。ですから、解ける問題を優先することを第一に考えましょう。一通り解き終わって見直しもし、それでも時間が余っていれば難問にチャレンジしてみるならいいですが、試験最中に難問に時間をかけるほどもったいないロスはないので注意しましょう。
算数の場合はそれほどではないですが、国語の漢字やことばなどの知識問題や、理科・社会の知識問題は、「知らなければ解けない」問題です。知らないのに思い出そうとしてもそもそも頭に入っていないので解けません。いくら簡単そうに見えても絶対に解けないので、あとで復習することにして、少し考えて思い出せそうになければ、飛ばして次の問題に取り掛かりましょう。これも意外とやってしまいがちな時間配分ミスなので注意するようにしてください。
コツ4:迷ったら保留。あとでもう1度考える
コツ3と少し似ていますが、こちらは「もう少しで解けそう」という問題を解く際に意識したいコツです。
たとえば、国語や理科、社会の選択肢問題で、選択肢アとウの2つまで絞れたとしましょう。ですが、決め手が見つからず、どちらにしたらいいかわからない、ということは良く起こります。また、漢字の書き取りで「へん」をど忘れしてしまうことも良くあります。
このように、正解できそうだけれども最後の決め手に欠けるので自信を持って解答をかけないという場合には、とりあえずチェックをつけたうえで保留し、現段階でこちらが正解かな…という解答を記入して、次の問題にいきましょう。2択から選ぶというのはなかなか難しいので、そこで時間を取られてしまっては他の問題が解けなくなってしまいます。まずは次の問題に移り、解き進めることが大切です。
選択肢問題の場合は、次の設問を解いている間に「あ、こっちだ」とわかるケースも少なくありません。ですから、わかった時点で正解を確信して書けばそれでよいのです。最後までわからなければこれだと思うもので行こう、と最終的に判断すれば構いません。模試は入試本番ではありませんから、あとで確認して、「あ、そうだったのか」という気づきがあれば十分です。復習しやすいように、迷った問題についてはしるしをつけておくことを忘れないようにしましょう。
模試で時間不足にならないための克服法
時間配分ミスについて、効率化するためのコツを4つご紹介しました。模試で受験生が陥りがちなのが、「解答スピード不足」と「時間配分ミス」です。これを克服しないと、なかなか模試で高得点を取ることは難しくなるため、早めに克服することが大切です。それぞれの解決策をまとめてみましょう。
1.解答スピード不足の克服策
解答スピードが不足していると、わかっていても得点に結びつけられない、という事態が起こります。せっかく理解しているのに、作業スピードの遅さから得点できるはずの問題で得点できないのは非常にもったいないですよね。
解答スピード不足を克服するために必要なのは、「問題文を読む」「条件を整理する」「式が必要な場合は立式する」「計算が必要な場合は計算を確実にする」「知識をすぐに出せるようにしておく」「解答欄に間違いなく書き込む」といった一連の作業一つひとつをスピードアップすることです。これは練習を積むことで克服できるので、ぜひ意識してやってみましょう。
ただし、スピードを意識しすぎるあまり、雑になってしまっては、結局不正解になってしまうことも多いので注意が必要です。忘れてはいけないのは、「スピードと正確さのバランス」だと言えるでしょう。速く解かなきゃ、とスピードアップばかりに気を取られると、問題文をよく読まず、条件を読み飛ばし、雑な字で書いて書いた式が読めず、計算も正しくできない、などのミスが頻発するので注意しましょう。せっかく解ける問題なのに、こうした雑さによるミスはもったいなさすぎますよね。
解答スピード不足を克服するためには、スピードアップの訓練とともに、「正確に」解くための復習、反復練習が不可欠です。たとえば算数なら、筆算をあちこちに書き散らさない、途中式は手順を守って丁寧に書く、計算ミスをしない、国語であれば文章を正確に読む、設問を丁寧に読む、など、教科ごとに解答には基本形というものがあります。その基本形を正確に進められるように反復練習することで、解答スピードの遅さは克服できます。
ぜひ保護者の方からお子さんに行ってあげて欲しいことは、「解くのが速い」=「雑に解いていい」ではない、ということです。お子さんは速く解こうとするあまり、どうしても雑に解くクセや書くクセがついてしまっていることがあります。基本形をしっかり守り、毎回練習するように声をかけてあげてください。
2.時間配分ミスの克服法
時間配分ミスを克服するためには、ご紹介したコツ1と2をまずは徹底することをおすすめします。具体的には以下の通りです。
1、大問ごとに時間配分を大まかに決める
2、試験開始後1分で問題全体を見て、大問ごとに決めた時間配分をメモする
大問ごとの時間配分を決めることは、お子さんにとっては最初は難しいかもしれません。そこで、模試の過去問を解く際などに、実際にこうやるんだよ、と一緒に配分の方法を考えてみましょう。最初のうちは、模試の現場で想定していたのと違う時間配分になって焦ったとしても叱らず、何度も時間配分を一緒に決める訓練をしていきましょう。目安は問題数と制限時間です。
コツ1と2を押さえながら、お子さんと模試を受けるときに守りたいコツ3と4について、毎回の模試の前に親子で確認しておきましょう。具体的には以下の通りです。
・解ける問題から先に解き、難しい問題は後回しにする
・迷っている問題はいったん解答を書いて保留にし、印をつけておいてあとでもう一度考える
最初のうちは時間配分ミスを連発することは仕方のないことです。模試は制限時間が短いうえに、解かなければいけない問題の数が多いため、わかっているつもりであっても時間配分に失敗してしまうことは上位生でも少なくありません。
もし、時間配分がうまくいかなかった、という場合には、限られた制限時間の中で、1点でも多く点数を積み重ねることがいかに大切であるかということを保護者の方から伝えてあげてください。決して「こんな問題も解けないから点数が取れない」「なんでこんなところで止まったの!あとがまったく白紙じゃない」といったように、責めることは言わないようにしてください。
点数を積み重ねることができるということは実力がついているということ、それを繰り返していけば志望校への合格が近づく、というようにポジティブになれるように、お子さんのモチベーションアップを図りましょう。
また、時間配分ミスは、通常の受験勉強でも克服できます。塾の宿題をするときに時間を決めてどこまでやるか、あるいは問題に応じて制限時間を設けてやってみるなど、できることはたくさんあります。また、塾の授業で問題演習の時間がありますが、その際にも最初に自分なりに時間配分を決めて取り組むことができれば、それだけ時間配分ミス撲滅のきっかけになります。
時間内にできるだけ得点を積み重ねること、それが模試の目的であり、普段の学習の目的でもあります。ぜひ時間配分ミスの撲滅を意識して、問題演習などの実践を行う中で時間配分の感覚を養っていきましょう。
時間配分ミス撲滅には解き直し!現状分析が大切
今後も何度となく受けるであろう模試ですが、厳しい制限時間内に多くの問題を解ききるためには、模試の結果が返ってきてからの解き直しでも時間配分を意識することが大切です。時間が足りなかった原因が、解答スピード不足にあるのか、時間配分ミスにあるのかを把握すると、次回に活かすことができるでしょう。
設問ごとの解答時間を客観的に把握する
模試が返却されたらそのままにするのではなく、解き直しは非常に重要です。時間配分ミスを撲滅するためには、解き直しの際に、大問ごと、また小問ごとに、どれだけ解き直しに時間がかかったかを細かくメモしておきましょう。模試の問題の横にメモするので十分です。
もしわからなくて飛ばした問題があった場合は、「なぜわからなかったのか」を確認しましょう。「どこまでわかっていて、どこからわからなくなったのか」「最初からまったくとっかかりがつかめなかったのか」など、わからなかった理由についても確認します。そして、「この問題は解けないから飛ばす」と判断するまでにどれくらい時間がかかったかもメモしておきましょう。
このように時間配分を細かく再確認することによって、解き方のクセが分かりますし、どの部分を克服すれば制限時間内に解ききることができるかのヒントを得ることができます。
最初のうちは少し面倒に感じるかもしれませんが、ミスを撲滅するためには、やはり客観的に、そして細かく原因を分析することが大切です。時間配分ミスの原因追究のためにも、一つひとつの問題を大切に解き直し、時間配分の問題点を書き出して克服していきましょう。もちろん、解き直しですから、知識や解法の確認、知らなかったことを改めて確認することは忘れないでくださいね。
時間と得点の相関関係から優先順位をつけてみる
次に意識したいのが、時間をかけている割に得点が低かった問題はどれかを見極めることです。解くのに結構な時間を割いているのに得点が低い場合は、その問題の難度が高いなど、時間効率が良くない、ということが言えるでしょう。つまり、時間の使い方に問題があったと言えるわけです。そうした問題をピックアップしてみて、実際の難易度と書けるべき時間の相関関係を考えて、優先順位をつけてみるのがおすすめです。
反対に、短時間で解けた問題であったのにもかかわらず、しっかり得点できている場合は、その単元、時間配分とも今のところ大きな問題はないと判断してよいでしょう。
こうしたことを考慮すると、現状を以下のように分析することができます。
1.問題ごとに時間配分の偏りはなく、全体的に時間がかかってしまっている場合→原因は「解答スピード不足」
2.ひとつの問題にかけた時間が極端に長い、または短い場合→原因は「時間配分ミス」
模試の時間配分については、解答スピード不足と時間配分ミスの両輪で考え、克服していく必要があります。ですから、問題ごとにどちらのパターンに当てはまるかを良く分析し、克服のために復習をしっかりして、次回の模試に備えましょう。原因が分かれば、どのように時間配分していけばいいのかが体感できるようになってきます。
得点力を上げるために時間配分力をアップしよう
実際に入試本番では、配点が分からないことも多いですし、独特の緊張感の中で普段の実力が発揮できないということにもなりかねません。そうした状態にならないために受けるのが「模試」です。
模擬試験ですから、本番ではありません。しかし、本番に応用できる要素がたくさんあるので、1回ごとの模試を有効活用していくことがとても大切です。
今回は、模試の時間配分ミスを撲滅するための克服法について、原因とともに解説しました。試験の時間配分を考えることは、制限時間の中でいかに高得点をたたき出していくかに直結する重要な問題です。模試だからと雑に解くのではなく、本番だったらどうかな?という意識を持ちながら解いていくことも大切です。
そして、入試本番でも当然制限時間がついて回ります。本番では、それまでに学習してきた知識や解法を駆使して、解ききりたいですよね。だからこそ、時間配分ミスには気を付けたいものです。普段の受験勉強の中でも、設問ひとつ特に当たって時間配分を意識するクセがつけばしめたものです。模試、そして入試本番でも必要以上に緊張することなく得点を重ねることができるようになるでしょう。
得点力を上げるためには時間配分力をアップすることが大切ですが、時間配分力をアップするためには得点力をアップしなければならないのもまた自明の理です。模試の時間配分ミスを撲滅するためには、やはり解けなかった問題を解き直し、振り返って当日の状態の分析をすること、また解けなかった問題の原因を確認し、同じ問題が出てきたら解けるようにしておくことが必要です。
今の自分の実力以上の点数はとれるものではありません。だからこそ、現状を把握し、練習を積むことが何よりも重要なのです。制限時間を効率よく使えるようになると、高得点も狙えるようになります。
時間配分ミスに悩む受験生は少なくありません。しかし、悩むことだからこそ、克服すると一気に成績が伸びることもあるのです。地道にコツコツ1回1回の模試の現場と返却後の振り返りを通して、時間配分力をアップし、得点力につなげていきましょう。
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一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。