模試を受ける上で最も大切なポイントは?~改善点を見つける~

いよいよ夏休みもあと少し。受験生の皆さんは、夏期講習を受け、弱点補強のための勉強などを頑張るなど、目標をもって天王山である夏休みを乗り切ってこられたと思います。まだ講習が残っている受験生も多いと思いますが、最後まで集中して学習を進め、復習を必ずしておきましょう。

夏休みが終わればいよいよ入試までのカウントダウンが本格化します。中でも、入試を意識した総合模試が本格的に始まりますので、それも意識しながら学習を進めていく必要があります。これからの模試は、夏休みまでで受験に必要な一通りの基礎知識は学んでいることを前提に、また近年の入試の出題傾向をふまえて問題が作られているので、本番を意識する大切な機会です。

これまでも模試や塾のテストなどをたくさん受けてこられた方も多いと思いますが、比較的単元が絞られていたこともあり、あまり目的意識を持たずに受験したこともあったのではないでしょうか。むしろ、気になるのは偏差値や点数といった結果数字で、その後の学習に模試をどう活かすか、という点まで考える余裕はなかったかもしれません。

しかし、この「目的意識」こそが、模試を受けるうえでこれから最も大切になってきます。その中でも特に大切なのは、「自分の弱点・改善点を見つけるために模試を受け、活用する」という視点です。今回は、模試を受ける際にどのようなことに気をつけて受けるべきか、受けてきた後にどのように活用していくか、についてまとめていきたいと思います。

模試は目的意識をもって受けることが何より大事

受験ポイント①結果数字だけを見て一喜一憂しない

最初にも書きましたが、模試を受けるとどうしても偏差値や点数といった結果数字にばかり目が行きやすくなります。親御さんが偏差値や点数だけを見てお子さんに「なんでこんな成績しか取れないの!」と責めてしまうと、お子さんは委縮してしまい、これからの学習計画上も悪影響が出てしまいます。

たしかに偏差値や点数は、志望校の合格可能性を測る上で切って切れないものです。ですが、模試の偏差値や点数は、あくまでその模試を受検した時点のものですから、それがすべてではありません。大切なのは、その結果を受けて、志望校までの距離を再確認し、今後どのような学習をしていくか、仕切り直しをしていくことです。

受験ポイント②模試を受ける一番のポイントは、反省・改善材料を見つけること

では、模試を受ける上で一番大切にしなければならないポイントとは何でしょうか?それは、「今の自分の弱点や反省点、改善材料を確認すること」です。それを意識してはじめてそのあとの学習で気をつけるべき点が見えてきます。具体的な例を挙げると、

  • 志望校に合格するラインに達するには全体的にあとどれくらいの勉強が必要なのか
  • 時間配分に問題はなかったか
  • 各教科でできなかったところはどこか、それは普段から苦手としている分野なのか、その問題に限ったことなのか
  • どのような形式の問題が苦手なのか、それを克服するためにはどのような勉強が必要か
  • ケアレスミスはなかったか、どのようなケアレスミスをしてしまったか
  • 前回の模試と比べてできるようになったところ、続けてできなかったところはどこか

などが考えられます。

模試を受けている最中に、お子さんも「この問題の意味が分からなかった」「この問題にすごく時間をとられた」「覚えているはずだったのだけど、思い出せなかった」など、いろいろ考えながら問題を解いているはずです。模試を受けたらなるべく早く、出来なかった問題が「どうしてできなかったのか」をチェックするようにしましょう。単に解き直して終わりにするのではなく、「できなかった理由」を確認することがポイントです。

受験ポイント③復習は何のためにする?分析したうえで解き直しを!

模試を受けたあと、解き直しをしないのは論外ですが、解き直しをするうえでも気をつけるべきことがあります。それは、ただ間違えた問題をやみくもに「もう一度解く」のではなく、ポイント②で書いたように、模試を受けたらなるべく早く「できなかった理由」を確認し、分析した上で解き直しをする、ということです。そのような解き直しこそが効果的な復習と言えるものであり、今後の学習に活かすことができる復習なのです。

「その問題ができなかった理由」を分析するには、「時間をかけたら解けたのか」「そもそも知らない知識だったのか」などの視点を持つことが大切です。そのような視点をもってできなかった問題を仕分けし、弱点・反省ポイントを解き直しをしながら確認します。ここで弱点ポイントがわかれば、今後の学習計画を立てる上で受けた模試を大いに活用することができます。

受験ポイント④その間違い、本当に「ケアレスミス」?

また、多くの受験生が悩まされる「ケアレスミス」ですが、ケアレスミスにも様々な種類があります。字の書き間違い、正解を出したけれど写し間違えた、分母と分子を書き間違えた、などがよくあるパターンでしょう。ここで注意しなければならないのはさまざまなミスを、全て「ケアレスミス」の一言で片づけてはいけない、ということです。

ケアレスミスというと「ちょっと間違えてしまったから、次は気をつければ大丈夫」と思いがちです。ですが、たとえば問題の読み間違いなどは、これはもうケアレスミスではありません。立派な「間違い」です。たとえば算数で「Aさんの速さを答えなさい」と問題に書いてあるのに、「Bさんの速さを求めて満足してそれを答えにした」などは非常によくあるパターンです。これを「ケアレスミス」として片づけてしまう受験生や親御さんは非常に多いのですが、もっと根本的なところに問題が潜んでいることから目をそむけてはいけません。

また、計算ミスもケアレスミス、と思われがちですが、中学によっては途中式を書かずに答えだけを解答欄に書く学校もあります。その場合、考え方は合っていたのに・・・と言い訳しても点数はもらえません。0点です。漢字を正確にかけていない場合も同じようなことが言えます。どちらも中学受験の基本中の基本です。だからこそ、「次に気をつければ間違えない」と軽視されがちですが、思わぬ落とし穴になることに注意しておきましょう。

そのほかの受験ポイント

多くの場合、模試は午前中に行われることが多いです。受けたらなるべく早く分析を、と書きましたが、午前中に模試を受け、午後にできなかったところの分析を行い、解き直しまでできると理想的です。解いていた時の状況を受験生がまだ覚えているからです。そして、そのタイミングで今回受けた模試から見えてくる弱点や改善ポイントを見つけられれば、学習計画の立て直しもよりやりやすくなります。時間がたつと記憶が薄れてしまいますので、模試を受けてきたらその午後は休みたいと思うのはやまやまでしょうが、なるべくすぐにとりかかったほうが良いでしょう。

塾によっては解説授業をその日の午後に行うところもあります。ただし、扱われる問題には限りがあるので、科目を絞って受けるなど、その後の復習時間計画も視野に入れて解説授業を受けるのが賢明です。自分ができた問題の解説授業を聞くよりも、できなかった問題の分析をする方を優先する方がよいでしょう。

今回は6年生、受験生を意識して記事を書いていますが、できれば5年生までにこの方法を頭に入れて模試をうまく活用できると理想的です。ですが、いまからでも悲観する必要はありません。これからの学習に向けて弱点整理をする、そういう視点を持って復習をするようにしましょう。

オススメ復習法~正答率学習法

模試を受けた際に、結果数字だけに一喜一憂しないでいただきたいということは最初に書きましたが、結果数字の中にも復習の参考にしていただきたい大切なものがあります。それは、各設問の「正答率」です。模試の結果が返却されたときの資料や、最近は模試直後にネットで正答率が発表されることもありますので、手元に来たらぜひ参考にしていただきたいものです。

解き直しをすると言っても、正答率0.1%などという超難問の解き直しに時間をかけすぎてはいけません。それより、まずは正答率70%以上の、「受験生の多くが確実に正解すべき問題」を落としていないかをまず確認し、なぜ間違えたのか考えることの方が大事です。それが終わったら次は50%以上、偏差値でいうと50ラインの問題ですが、そこでどのくらい間違えてしまったのか、なぜ間違えたのかを確認します。

さらに、正答率30%~40%台の問題は、いわゆる「差がつく」問題です。特に難関校を志望するなら、このラインの問題をどれだけ正解できるかが合否の決め手になります(難関になればなるほどその正答率ラインは下がっていきますが、まずはこのラインを目安にするといいでしょう)。

まずは「受験生なら誰もが正答すべき問題」→「受験生の半数は正解してくる、落としてはいけない問題」→「差がつく問題」の順に、正答率を意識して復習をすることをオススメします。ここでもただやみくもに解き直すのではなく、解説もしっかり読み、理解を深めるようにしましょう。そして、自分が目指す志望校に合格するにはこのような問題を解けるようになる必要がある、という意識を高めることにより、復習をより効果的なものにしていきましょう。

模試も勉強の一環であることを忘れずに!

模試はあくまで模試

どうしても「模試」というと緊張しすぎたり構えたりしてしまいますよね。たしかに、入試本番のような雰囲気、時間制限の中で問題を解くという模試の場は、日常の受験勉強とは別物のように思えることもあるでしょう。

しかし、模試はあくまで模試であって、入試本番に向けた「勉強」の一環であることを忘れないでください。入試本番は合否の結果がものを言いますが、模試はそうではありません。自分の弱点を見つけ、それを克服するためにはどうしたらよいか分析し、その後に活かすという目的を持った勉強、それが模試なのです。

模試を受ける適度なペースを作りましょう

各大手塾では、総合模試、学校別模試など、様々な名前の模試を今後ハイペースで開催していきます。サピックス、四谷大塚、日能研、首都圏模試・・・。すべて受験しようとすると毎週、午前午後模試ばかり受けるということになり、復習の時間も十分に取れないので不完全燃焼を起こします。また、受験生の層も模試によって様々ですから、どういう受験生相手に受けるのか、という視点も忘れないようにしましょう。

通っている塾の模試以外の出題形式に慣れるために、「他流試合」(ほかの塾の模試も受けること)はぜひ経験していただきたいですが、模試はあくまで今後の方針を決めていくためのものです。受けすぎても方針が立てられなくなったり、受験生本人も疲弊してしまいますので、模試を受けるペースは受験生の体力、模試の種類なども考慮して計画を立てておきましょう。

塾ではいろいろな模試を受けるように勧められると思いますが、お子さんのやるべきことが見えていれば、あれもこれも受ける必要はありません。模試を受ける目的を決め、必要なものを確実に受け、復習を重ねていきましょう。

まとめ

模試は、受験勉強の一環として、試験慣れしつつ、今後の学習の方針を検討していくための材料です。まずは受験する模試での目標を設定し、目的意識(「今回はこのタイプの問題は間違えない」「この分野はしっかり勉強したから満点をとろう」など)をもって受験しましょう。結果数字のみに一喜一憂せず、弱点がないか、まだ手をつけられていないところはないか、また、志望校合格までの距離は、合格のためには何をすればよいのか、そういったことをしっかり分析しましょう。

そして、間違えた問題は自分の弱点を克服するための宝物です。入試本番前にそれがわかってよかった、という気持ちでしっかり復習をしていき、一つ一つ弱点をつぶして入試本番で戦えるように実力をつけていくのだ、という意識をわすれずに、模試を受験していただきたいと思います。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。