【中学受験】今後の模試はどうなるの?今の実力を知る方法 その1

新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、塾でおこなわれるはずだった模試や授業内の小テストといった、自分の実力を試す場が中止されてしまい、このままどうなるのか不安に思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。なかにはオンラインや問題の郵送などで、自宅で模試を受けるチャンスがあることもありますが、受験生が一堂に会して、本番さながらの状況で実施される模試とは環境が違い過ぎるので、判定結果が正確に出ないこともあります。

本来であれば、受験学年の6年生は、春から合不合判定テストなど、さまざまな模試で自分の実力を確認し、できているところとできていないところをしっかり把握して次回に備える、ということを繰り返す時期です。その結果により、第一志望校や併願校選びをおこなっていくことも少なくありません。ですが、今年は様相が異なるため、本来の形で実力を見極めてこれからやるべきことを考えていく、ということがやりにくい状況です。

このような状況の中で、今のお子さんの実力を把握し、今後進めていく受験勉強の指針を立てるために方法はないのでしょうか。今回は、例年とは異なりますが、過去問を使ったいまの実力の把握方法について解説します。

模試がないと実力が把握できず計画が立てられない

模試や日々の小テストが実施されないと、点数や偏差値など、目安になるものがなく、受験生も保護者の皆さんもいま、自分の力がどの程度なのか、志望校との距離がどれくらいあるのかがわかりませんよね。そうすると、そのままの状態で夏期講習に突入することになり、学習計画を立てることなく夏期講習を受けるということにもなりかねません。

小学校が休校した影響で、夏休みは縮小される可能性が高いため、夏期講習の期間も例年より短くなってしまう可能性があります。短い期間で夏期講習がおこなわれる場合、かなりの詰め込みになることが予測されるので、自分の弱点となっているところがどこなのか、それを克服するために何をやったらよいのかということを考える暇もなく毎日が過ぎていくことになってしまうことも考えられます。

また、夏期講習期間中の自宅学習の目標や学習計画を立てることも難しくなってしまいます。秋以降実戦形式で過去問やそれに類似する問題をたくさん解いていくことになるのですから、夏期講習期間中に基礎基本を徹底し、落としてはいけない問題は必ず解けるようにする、自分がいまどこまでできているのか確認する、などの目標を決め、達成しておくことが前提です。ですが、模試がないとその指標がないため、どのように目標を設定し、それを着実につぶしていくために学習計画を立てることが難しくなってしまうのです。模試が受けられないいま、どのように自分の実力を把握すればよいのでしょうか。

志望校の過去問を少し解いてみる

本来、志望校の過去問は秋以降、学校別コースなどを利用しながら解いていくため、特に第一、第二志望校あたりの過去問は受験基礎が固まってから解くほうが望ましいです。早すぎる時期に過去問を解くと、まだ基礎が固まっていない可能性があるので点数が取れなかったり時間がかかりすぎたりして、受験生にとってかなりの負担になってしまうからです。また、あまり早く志望校の過去問を解いてしまうと、直前期にやることが無くなってしまい、何をしたらよいのか目標を見失ってしまうことがあり得ます。

ですが、今年は未曽有の混乱状態にある時期なので、模試でいまの実力を測るという、本来の受験生がおこなう実力把握のための方法をとることはまだ難しいです。模試で力を測ることができず、志望校合格といまの実力の距離が測れないと、いまなにをしたらよいのかさえ見失ってしまいます。

志望校の過去問を時間制限なしで解く

本来いまごろの時期の模試であれば、受験レベルの定番問題も多く含まれます。それを解いて受験生は実力と志望校の距離を測るわけですが、それができないのであれば、「志望校の過去問を解く」というのも一つの方法です。

第一志望校の問題は、できれば秋以降にとっておきたいところですが、1年分から2年分、実力をみるために使ってみるのもいまの事態を打開するためのひとつの方法です。場合によっては、併願校として考えている中学校の過去問を同じくらいの量解いてみるのもおすすめです。

過去問演習をする際には本来各教科の制限時間通りに解いていくことになりますが、夏期講習前のこの時期に、最終ゴールの入試問題レベルの問題を制限時間通りに解くことはまだ受験生にとっては荷が重いです。ですから、「解いて点数が取れること」よりも、「自分の志望校の問題はこういう形で出題できるんだ」ということに主眼を置いて取り組むようにしましょう。

そのためには、時間制限はあえて設けずに1、2年分に限ってやるのがおすすめです。いまのうちにすべて解いてしまうと、解いても解いても解けなくてかえってお子さんのモチベーションを下げてしまう可能性がありますし、目的はあくまでいまの実力と志望校との距離を測り、今後の学習の指針とすることにあるからです。

いまの時期に過去問を解くなら、各教科制限時間は設けずに、時間に追われない形で取り組むことがポイントです。時間制限を設けないことにより、お子さんが焦らずにじっくりと1問1問取り組むことができます。もちろん、1日かけて1年分、というのではさすがに時間をかけすぎなので、目安としては1教科ごとに本来の制限時間の2倍程度を見ておくと良いでしょう。

たとえ本来の制限時間の2倍ほどの時間をかけてしまったとしても、お子さんは志望校の入試問題に集中して取り組んでいるわけですから、保護者の方は焦らせるのではなく、じっくり解いている姿勢を見てあげてください。たとえ時間がかかったとしても、集中力を持続させ、いまの時期にはまだ難しいと考えられる過去問に取り組み切ったことをまずは褒めてあげてください。

そのうえで、どういう問題ができているか、あるいは手が付けられなかった問題はどういったものか、ということを親子で分析してみましょう。いまの時期、入試問題で点数を取れる受験生の方はほとんどいません。ですから、点数が取れないと言って怒るのではなく、「ここはできたね」「ここは次の課題に使用」という建設的なアドバイスをしてあげてください。

また、もし歯が立たない状態で、いくら時間をかけても最初の1問も解けていないような状況であれば、短時間で切り上げるのもひとつの方法です。その場合も、解けないことを叱るのではなく、まずは頑張って取り組んだことをほめてあげてください。そのうえで、基礎知識や考え方といった部分で足りていないところを一緒に洗い出し、自宅学習でおこなうことを見つけていきましょう。

いまの時期なら合格最低点の半分くらいが目安

過去問を解いたら、その答案の採点は保護者の方がおこなってください。まだこの時期に解いている場合は点数が取れていないことがほとんどですから、お子さんが採点すると持ちベーションが下がってしまいます。

目安としては、合格最低点が過去問集の最初に出ていることが多いので、その半分くらいの点数を目指すと良いでしょう、そのくらいの点数が取れていれば、志望校として十分受験対策をする価値がある学校だと言えるでしょう、

半分じゃあ・・・と思われるかもしれませんが、過去問はあくまで入試問題ですから、いまの時期に全て溶けるわけがありません。お子さんが、その学校に行きたい、というモチベーションを持ち続けるためにも、あまり点数にこだわりすぎずに、「ここまでできたね」という姿勢でお子さんに接してください。そして、今後やるべきことを洗い出していきましょう。

次回は、過去問や模試の過去問を利用した実力の把握方法を解説します。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。