入試直前期に成績低下?模試と過去問を活用して成績アップ!

受験学年の6年生の皆さんにとって、入試本番があと2ヵ月後に迫ってきました。今年は新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、例年とは異なる受験になることが考えられますが、入試日程に大きな変更があるわけではないので、これからの追い込みの時期は粛々とやるべきことやっていくことが必要です。

この時期にご相談を受けることが多いのですが、9月以降毎週のようにある模試で思うように点数が取れず、成績がダウンしてきている、という受験生が見られます。直前期で過去問も解かなければならず、模試を受けるたびに成績が伸びないと不安でたまらない、という方は少なくないでしょう。

では、なぜこの時期、成績が下がってしまうのでしょうか。今回は、直前期に成績が下がってしまう理由と、克服する方法について考えてみたいと思います。もう2ヵ月しかない、ではなくまだ2ヶ月あります。前向きに解決していきましょう。

直前期は相対的に成績が下がることもある

6年生になると、9月から12月にかけて、総合模試や志望校別模試など、毎月いくつもの模試を受験しますよね。そしてその結果を見て、第一志望校を変更せずにチャレンジする、志望校を変更する、あるいは併願パターンを変える、などと志望校・受験校の受験スケジュールを立てていくことになります。

今年は新型コロナウィルス感染拡大の影響により、春は小学校や塾も休校になり、夏休みもイレギュラーなものになりました。それでも受験生は、毎日本当に頑張って受験勉強に向かってきたことと思います。それなのに、秋以降の直前期に模試でなかなか思うように点数が取れず、合格可能性が低く出たり、偏差値が下がったりといったデータが出てしまうと、今までの頑張りは何だったんだろう・・・という気持ちに親子でなってしまうかもしれません。

みんな頑張っているので相対的に成績が低下

では、なぜ頑張っているのに成績が上がらない、あるいは下がってしまうのでしょうか。それにはこの時期だからこその要因があります。一番大きいのは、頑張っているのは中学受験生みんなだということです。夏期講習の時期以降、受験生全体の意識は高まってきます。つまり、みんな頑張っているために、全体的なレベルが上がるわけです。同じ志望校を持つ生徒さんがみんな頑張れば、全体的な成績が上がり、その中で少しミスをしただけで相対的に成績が下がる、あるいは上がりにくくなってしまうのです。

やることが多すぎて消化不良になっている

また、模試を受けるだけでなく、塾の通常授業、志望校別対策講座など、1週間のスケジュールが秋以降非常にタイトになっています。そして、頭を切り替えながら大量の問題演習をしていくわけですが、その量が多すぎてついていけず、復習も思うようにやる時間がない、という状況に陥っている可能性もあります。

また、過去問演習もおこなわなければなりませんよね。受験する学校が多ければそれだけ解かなければいけない過去問の数が増えます。塾での授業、週末の模試の合間をぬって過去問を解き、点数を出してできるまでやる、これも非常に時間がかかります。

直前期の受験生はやることが非常に多く、計画立ててやらないと消化不良になってしまうのです。ですが、これはみんな同じ状況です。

大切なのは、どう挽回していくか、ということです。模試を受験し、過去問演習をしているのなら、その中で成績を上げていく、安定させていく方策を探り、実行していくことが大切です。模試と過去問演習で留意したい点について、ここから解説していきます。

模試は弱点分析と克服に使おう

直前期、やらなければいけないことがたくさんあるからこそ必要なのが、得点を上げるための勉強法です。模試を受けて結果が返ってくると、まずどこを見ますか?つい偏差値や合格可能性のパーセンテージにばかり目が行ってしまい、データだけを見てご家庭の雰囲気が悪くなってしまう、といったことはないでしょうか。

もちろん、今の立ち位置を知るために偏差値や合格可能性を把握することは大切なことです。ですが、模試が返ってきたときにまず見るべきポイントはそこではないのです。まず見るべきなのは、どの問題ができていてどの問題ができていなかったか、その原因はミスなのか、それとも自分が苦手な単元なのか、といったような点を細かく見ていくことが必要です。そして原因が究明できたら、克服するべく弱点を強化することが模試を受ける本当の意味です。

理科社会はこの時期差がつきやすい

この時期、差が非常につきやすいのが理科や社会です。特に理科は6年生の9月以降、模試などで扱う問題の難度が格段に上がります。普段から理科に苦手意識があるなら、模試でどの分野、どの単元が出題され、どこが苦手で、どの問題ができたかできなかったか、途中まではできたのかそれともまったくわからなかったのか、といったことを細かく分析しましょう。

特に理科の物理分野の「力学」は苦手な受験生が多いのですが、てこなのか滑車なのかばねなのか浮力なのか、といった単元ごとに得手不得手も異なるものです。また、てこなら棒の太さが一様なのかそれとも違うのか、によって解き方も異なりますよね。出題された問題がどのようなものだったのかについても具体的にチェックすることが大切です。

模試の分析は保護者の重要な役割

こうした模試の分析は、今後の対策において非常に重要ですが、これをお子さん任せにするのは危険です。お子さんは思うような成績が取れないと委縮してしまい、冷静に分析することなどなかなかできるものではありません。そこで、模試の分析は保護者の方が、冷静な目でおこなってください。そのことによって、これから入試本番までに克服すべきことが見えてくるので、建設的な勉強法を考えることができます。

模試はあくまで模試、本番ではありません。目的は時間配分に慣れることなどもありますが、弱点を発見するための道具だということを忘れないようにしましょう。この時期やることがたくさんある中で、特にどこを強化しなければならないのか、弱点を発見できるのは模試だからこそです。結果が良くなかったからと言って落ち込むよりも、「やるべきことがみつかってよかった」という意識を持つことが大切です。

直前期になると塾でもご家庭でも大量の問題を解きますよね。また、塾の宿題の量も非常に多くなるでしょう。しかし、ただ宿題をこなすだけでは成績アップには繋がらないことに注意が必要です。できるものもできないものも一律同じ時間をかけてやるのは無駄というものです。得意分野やできているものはさらっと確認するか後回しにして、まずは弱点となっているところの洗い出しとその教科が急務です。ひとつでも弱点となっているところを潰し続ける、それがこれから入試本番までにやっていくべき一番大切なことです。

模試でも入試でも、自分の得意分野ばかりが出題されるわけではありません。もちろんそういうものばかりが出題されれば点数も取れますし、気分も良いでしょう。しかし、苦手分野が立て続けに出てしまったら、点数をとることは難しいですよね。だからこそ、苦手なところを得意に変える、少なくとも解き負けないようにすることが大切です。

×を〇にするのは、これからの努力次第で十分できます。〇が増えれば解ける問題がさらに増え、苦手意識も払しょくされていきます。入試本番は独特の緊張感があります。その中でも平常心で問題を解かなければならないので、少しでも弱点を克服しておくことが必要です。だからこそ、〇をひとつでも増やしていくことを意識しながら勉強していきましょう。

模試で見るべきなのは正答率と本人の解答のギャップ

模試が返ってきてまずチェックしたいのは偏差値や合格可能性ではない、とご紹介しました。もちろん気になる気持ちはわかりますが、それはあくまで模試の結果、今後の頑張りの指標にしよう、という意識にとどめておきましょう。

模試が返ってきたらチェックすべきなのは、各教科、お子さんができた問題、できなかった問題とその分野・単元をチェックし、間違えた問題については「どのように間違えたか」ということです。そこに宝の山があるのです。

そして、間違いをチェックするのと同時に、各問題の正答率表があると思いますので、正答率をしっかり確認しましょう。正答率は、今できていなくてはいけない問題とそうでない問題を見極めるのに非常に役立ちます。模試の復習をする場合は、正答率を意識することが大切です。

たとえば、志望校が偏差値50台の中学校だったとしましょう。もちろん幅はありますが、その場合は正答率50%以上の問題は解けていなければいけない、という目安になるのです。その問題が解けていないということは、ほかの受験生に差をつけられてしまっているということですから、真っ先に克服しなければいけないところだということが分かるわけです。同じように、偏差値60台以上の志望校を狙うなら、正答率20~30%以上の問題は解けるようになっているのがひとつの目安になるでしょう。

模試偏差値50台の第一志望校の場合、模試で正答率30%の問題が解けていたら、それはほかの受験生に差をつけられたということになるので、大いに褒めてあげてください。入試本番でもそういった1問、2問が合否の結果を分けるのです。反対に正答率70%以上の問題であれば、受験生なら誰でも解けなければいけない問題なので、気持ちを引き締める必要があります。早急にもう一度解き、なぜ間違えたのか分析しましょう。

このように、模試が返ってきたら正答率を参考に、各教科しっかりお子さんの答案をチェックして、弱点はどこか、なぜ間違えたのか、ということを冷静に把握して克服していくようにしましょう。

穴になっているところは基礎に戻る

正答率をヒントに、弱点、穴となっているところを見つけるのが模試の大切な役割、活用法です。そして、もし正答率が高い基礎的な問題を間違えてしまっていた場合、なぜできなかったのか原因をしっかり把握することが何よりも大切です。

単純なケアレスミスで落としてしまった場合もあるかもしれませんが、そういったミスは致命傷になる可能性がありますので、二度としないように注意することも必要です。そういうケアレスミスなら間違いの原因が分かりやすいので良いのですが、実はその単元そのものがしっかり理解できていないために間違えるケースがほとんどです。正答率70%以上の問題で正解できなかった場合は、基礎中の基礎に穴ができている可能性があります。もしそういった基礎の穴が見つかった場合は、必ず基本テキストに戻って、例題から解き直し、理解度を確認することが必要です。

受験勉強をしていると、毎週違う単元をひたすら進んでいくので、どうしても理解不足のままになっている単元はあります。それを発見できたのですから、ぜひわかった時点で手を打ちましょう。お子さんがひとりでやるのは難しいかもしれないので、親子でテキストを見返し、覚えるべきポイント、解けなければいけない問題、そういったものを仕分けしてつぶしていくことが大切です。

成績が安定している受験生は、振り返りがきちんとできています。いまからでも遅くはありません。弱点だと分かったところは振り返りをしっかりして、克服していくことが次につながります。模試を受けるうえで最も大切なのは、こういった「基礎の穴」を見つけることです。できなかったことを責めても成績は上がりませんよね。それよりも見つかった基礎の穴を埋めていくこと、それが本当の入試のための自分の勉強です。

過去問で得点が取れないのは注意が必要

模試の活用法、弱点発見の意味についてお伝えしましたが、この時期要注意なのは「模試の成績はとれているけれど、過去問を解くと点数が取れない」という点です。模試で成績がとれているので安心していたら、過去問演習で足をすくわれ、合格できない!と焦るご家庭は少なくありません。

模試の合格可能性の判定が70%あるのに、過去問を解いたら合格最低点に及ばないのはなぜなのか、とご相談されることも多いのですが、模試と実際の学校ごとの入試問題は全く構成が異なります。中には模試のように易しい問題から難しい問題へ進んでいくという出題傾向の中学校もありますが、基本的には入試問題ではそのような配慮はありません。

模試では点数が取れるけれど過去問で点数が取れないのはひとえに出題傾向がまったく違うからです。模試はさまざまな中学校の入試問題の類題が集められていますが、志望校によってはそういった出題をせず、すべて横綱級の問題が出題されていたり、記述問題が多かったりと、学校の数だけ出題傾向は異なるのです。その点に注意して過去問対策をしっかりおこなうことが大切です。模試はあくまで模試、基礎の穴を見つけたらしっかり克服し、最終的に攻略すべき目標は過去問です。

では、過去問演習はどのようにおこなっていくものでしょうか。留意ポイントをいま一度押さえて、足りないところは補って進めていきましょう。

出題傾向と時間配分をつかむ

過去問演習は受験勉強で必須ですが、では過去問は何のためにやるのでしょうか。時期が来たからなんとなく、ではありません。必ずやるべき必要があるから解くのです。

第一に意識したいのは、志望校の出題傾向をつかむ、という点です。中学受験のカリキュラムは4年生から6年生の入試本番まで3年間で構成されています。過去問演習を始めるまでの勉強と言うと、塾で毎回の単元ごとにカリキュラムに沿った内容を学習し、その単元ごとの問題演習をおこなう、というものですよね。ですが、直前期にやる過去問演習は、カリキュラム1回ごとの問題演習とはまったく違います。

過去問演習でやるべきなのは、実際の入試で得点力を上げるための、より実践的な学習です。自分の志望校でどのような問題が出題され、その難易度がどれくらいか把握し、今の自分の実力でどこまで解けるか試す、それが過去問演習でまず意識すべきことです。

また、過去問演習に取り組む際は、入試本番を意識することがとても大切です。そのため、制限時間を守って時間を計って解ききることを忘れないようにしてください。もちろん、一度解いて復習するときには1問に時間をかけて構いません。ですが、初見で解く場合は必ず制限時間内でどこまで解けたかをチェックしてください。時間内に解ききらなかった場合は、どこまで制限時間内に解けたか印をつけておいてから、残りの問題も時間を計って解くようにしましょう。

最初のうちは入試の問題を解くわけですから時間がかかってしまい、最後まで解ききれないことも少なくありません。しかし、そういう経験をするからこそ、どういう問題で時間をかけずにさっと解き、どこに時間を確保するべきか、という時間配分を身をもって理解することができるのです。

たとえば計算問題に時間がかかりすぎて最後の図形の問題まで解ききれなかった、あるいは途中に苦手単元の問題があって詰まってしまって最後までいかなかった、こっちを先に解けばよかった、など解く順序についても戦略的に考えることができるようになります。入試でよく言われる時間配分に慣れるとは、解く順序を現場で臨機応変に変えたりして対処できる力も含まれていることを意識しましょう。

本番に近い環境で過去問を解く

受験直前期のいま、弱点補強も並行してやらなければならないので、やることがたくさんあってまとまった時間が取れない・・・と思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。しかし、過去問演習をする際には時間配分を身をもって経験することが大切ですから、やはり時間を確保したいところです。

第一志望校、併願校、それぞれ何年分過去問を解かなければならないかを把握したうえで逆算し、制限時間分のまとまった時間を確保しましょう。教科ごとにばらばらに解かざるを得ないこともあるでしょうが、できれば週に1回程度は、本番の予行演習を兼ねて、4教科セットで過去問を1年分、入試本番と同じスケジュールで解く日をつくることをおすすめします。

たとえば、志望校の入試の教科の順番通り、スタートの時間や休憩時間も本番と同様にしましょう。そのことによって、入試本番を疑似体験できます。その経験もまた、過去問演習をするからこそできることであり、これからの時期に必要な勉強です。

実際に4教科を一気に解いてみると分かるのですが、休憩時間が入るとしても4教科頭を切り替えながら連続して入試問題を解くというのは、非常に肉体的・精神的にハードなことです。それを入試本番にいきなりやるというのは無理な話ですから、やはりご家庭での過去問演習で慣れておくことが重要です。

4教科解ききるためには「脳の体力」がとても大切です。集中力も含まれますが、たとえば50分算数を解いて次に50分国語を解く、さらに理科社会も解く、となると肉体的にも脳にも負担がかかります。だからこそ脳の体力をつけておくことは非常に重要です。そのためにも時間を計り、本番通りに過去問を解くことが必要なのです。

過去問の解きっ放しは厳禁!

過去問演習をすると、解いて点数をつけて終わりにしてしまうケースがときどき見られます。しかしそれは厳禁!過去問はただ解いてそれで終わりではないのです。模試で正答率を見ながらできなかったところをできるようにしていくのと同じように、過去問でもできていないところ、弱点を洗い出すことはとても重要であり、過去問演習の最大の目的はそこにあると言っても過言ではありません。

間違えた問題はしっかり解き直し、なぜ解けなかったのかを分析します。また、自身がないけれど合っていた、という問題も要注意です。そうしたあやふやな部分も含めて、解き直し、基礎の穴が見つかったり解法で迷いがあったところはテキストに戻って基礎を徹底して確認し、また解けるかどうかやってみる、ということが必要です。

過去問は1問1問非常に大切ですから、1問に対する執着心を持ちましょう。間違えた問題については、納得し、理解でき、もう一度解いて解けるようになるまで徹底的に活用することが大切です。そして基礎に戻ってみて分からない、ということが出てきたら、まず解説をしっかり読み、もう一度できるかどうか解いてみましょう。それでも理解できない場合は、塾や個別指導で解決することをおすすめします。

中学受験の合格点は、100点ではありません。満点を取れるということはまずないでしょう。学校によって差はありますがおおむね7割~7割5分程度を目安にしておくと良いでしょう。なかには8割以上という学校もあるので、公表されている学校については目安を確認しておきましょう。

このように「すべて解けなければいけない」「満点でなければいけないわけではない」のが中学入試ですから、過去問も同じことが言えます。もしいくら考えても解けないような超難問については、手を付けなくても構いません。解説を読んでみて、塾や個別指導の先生に解けた方がいいのかアドバイスをもらいましょう。

逆に、受験生なら誰でも正解するであろう、正答率の高いであろう問題については、確実に解けなければいけません。つまり、捨ててはいけない問題と捨て問を判断し、捨ててはいけない問題を確実に正解していくことこそが過去問演習では重要であり、合格力を上げていくためのカギです。

過去問演習をしていて、できないことがたくさん見つかると、このままでは合格できないのではないか、と親子で不安になるものです。特に保護者の方は見守るしかできないので不安が募ってしまう傾向にあります。もちろん入試は不安と紙一重なのですが、そこでお子さんが頑張っているのに結果について叱るのはやめましょう。カツを入れたい気持ちはわかりますが、勉強を実際に頑張って、過去問を解いて結果が出なくて落ち込んでいるのはお子さんです。保護者の方は冷静に、解決方法を塾などで相談したりしてアドバイスをもらうなど建設的に事を運ぶ方が賢明です。

過去問を徹底活用するのが合格への近道

志望順位によって、各学校の過去問を何年分解くかを決めておきたいところですが、第1志望校、第2志望校は最低5年分は解いておきましょう。ただし、注意したいのは出題傾向が変わる学校かどうかです。御三家などはあまり傾向が変わりません。そういった学校の傾向に合わせ、10年分程度は演習しておくと良いでしょう。ただし、社会についてはデータが古い可能性があるので、地理以外、歴史や公民について集中的にやるなどの工夫も必要です。

また、過去問について良くご相談を受けるのは、新しい年度のモノからやるべきか、古いものからやるべきか、という点です。これは塾や講師の先生によって指示が分かれるところですし、途中で傾向が変わっているかどうかによっても異なります。

近年、記述問題を出題するように傾向が変わっている学校もあるので、直近の1年分は最後にやることにして、2年前の過去問から解いていくと良いでしょう。傾向が変わっている学校の場合、あまり古いものを解いても解く問題は増えても対策という意味では効果が薄いと言えるでしょう。ただし、傾向が変わっていない学校については古いもの、5年前程度のものから直近まで解き、さらにさかのぼるという方法もおすすめです。

志望校の出題傾向が変わったかどうかを確認するためには、解答用紙を見てみると良いでしょう。解答欄を見ると、以前は記号で答える問題が多かったのに記述問題の解答欄がある、途中式を要求するようになっている、あるいは逆で解答だけを書くようになっている、などを観ることができます。記述式の解答欄が増えている場合は、大きく傾向が変わっていると言えるでしょう。

また、2月校が第1志望校の場合、過去問演習は1月半ばまでに一通り終わらせるのが理想的だと言えるでしょう。ただし、1月10日から埼玉を皮切りに首都圏入試がはじまるので、入試を受けながら過去問を解くのは順序が逆ですし時間が取れません。ですから、できるだけ1月初旬に終わらせましょう。

一通り解いたから過去問演習は終わり、ではありません。直前期は過去問を問題集代わりにして徹底活用しましょう。たとえば、大問4だけ何年分解く、図形の問題だけ何年分解く、といったように、苦手なタイプの問題だけを集めて、問題集代わりにして弱点を潰していくのです。直前期まで受験生の実力は伸びます。そのためにも過去問を徹底的に活用し、出題傾向に慣れるだけでなく、弱点克服にも役立てていきましょう。

中学受験の目的は、志望校に合格することですよね。ですから、過去問演習でどのくらい点数がとれるか、解けないものをどう克服するかが何よりも大切です。穴となっている弱点を見つけるためにも、また入試本番を疑似体験するためにも、大切に、そしてしっかり活用していきましょう。

プレッシャーのかけすぎと生活リズムの乱れはNG!

塾の授業に志望校対策、過去問演習、模試の受験・・・この時期のお子さんは目の回るような忙しさの中で必死に勉強しています。だからこそ、保護者の方にはお子さんが勉強に安心して集中できる環境づくりをしていただきたいと思います。

やるべきことが多すぎてどうしても口を出したくなり、終わらないからと夜中の2時まで勉強させてしまう、といったご家庭をたくさん見てきましたが、中学受験生は小学生ですから、成長著しい時期です。心身の発達と受験が重なるので、無理は禁物です。入試本番は朝早くから始まりますから、早寝・早起きを心がけてできるだけ朝型の生活リズムを作ると良いでしょう。

ただし、夜型だからと言ってそれがお子さんのペースなのであれば、無理に超朝型に変える必要はありません。小学校を直前期はお休みするという方もいらっしゃるかもしれませんが、せめて小学校に行くのに支障がないような生活リズムを整え、乱れないように保護者の方が気を配ってあげてください。

また、この時期は疲れがたまってくる時期です。卒業を目前にし、小学校で行事があったりすることもあるかもしれませんが、つかれている様子があったら、塾のない平日を1日、休養日とすることもひとつの方法です。健康管理ができてこその中学受験です。本番を目前にして体調を崩さないよう、サポートしてあげてください。

体力面だけではなく、精神的な面でもお子さんは疲れてきています。過去問で点数が取れなくてもへらへら笑っている、と言って怒る保護者の方もいらっしゃるのですが、表面はへらへらしているようでも、お子さんは精神的に衝撃を受けていますし焦っています。そこで保護者の方が必要以上に敏感になって焦り、プレッシャーをかけすぎるのは避けるべきです。

模試の成績や過去問演習の結果を見て、「なんでこんな問題も解けないの!」「こんな成績じゃ合格できないじゃない!」と一方的に責めるのはやめましょう。これらは勉強内容にかかわることであり、お子さんが一生懸命問題を解いたことを否定するに等しいことばです。

もちろん学習態度が悪い場合は注意することも必要ですが、勉強したことそのものを否定するような声掛けはやめてください。また、保護者の方が模試や過去問の結果を見てお子さんの前でため息をついたり悲観的なことばを口にするのはやめましょう。やるならお子さんのいないところでお願いします。お子さんは保護者の方の顔色を常に気にしています。精神的プレッシャーをかけすぎないよう、保護者の方もお子さんへの接し方は注意してください。

まとめ

入試直前期、お子さんは頑張って勉強していますが、なかなか成績が伸びないと保護者の方としては心配になりますよね。ですが、お子さんが一番不安を抱えています。

そこで、結果に一喜一憂するよりも、弱点を克服する、前向きな直前期にして行きましょう。1問解けなかったからと言って目くじらを立てるのではなく、「これを克服したら〇点アップするよね!次に向けて頑張ろう」と明るい前向きな声掛けをしてあげてください。

この時期、保護者の方の笑顔が、お子さんの何よりのエネルギーになります。励ますことばとニコニコした笑顔、それを見て、お子さんは安心し、頑張ればなんとかなるかもしれない、自分ならできる!という前向きな気持ちを持つことができ、入試本番の最後の最後まで頑張ることができるのです。

これからの時期、未知のウィルス対策などで不安な日々は続くかもしれませんが、今こそ踏ん張りどきです。志望校合格を勝ち取り、親子で満面の笑顔になれるよう、一緒にタッグを組んでいくことが大切です。ぜひ模試や過去問は徹底活用してやる、くらいの気持ちで強気にいきましょう。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。