【中学受験】増加する英語入試!なぜ増えているのか理由を探ろう

近年、入試形式は非常に多様化してきています。最初は午前だけの入試がほとんどだったところから午後入試が始まり、4教科が原則の入試教科が2教科入試が可能になったり2教科・4教科から選択できたりといった形で変化してきました。

最近特に目立つのが、入試教科を算数・国語・理科・社会の4教科に限らない入試です。男子校で増加してきましたが、算数1教科入試はその代表例です。ただし、算数入試はそれまでの中学受験カリキュラムから逸脱するというわけではなく、算数が得意な受験生が、ほかの中学校も受験しつつプラスアルファを狙う併願校としての位置づけが強い傾向にありました。

また、2教科入試も、算数・国語のみ、という形から、算数・理科・国語から選択、といった学校も見られます。加えて、公立中高一貫校に代表される適性検査型の入試が私立中学校の入試に取り入れられてきたのも近年の入試形式の傾向として押さえておきたいところです。それでも、受験カリキュラムにある程度の独自性はあっても、基本は従来の4教科入試の流れを汲んできました。

ところが、近年、入試に英語を取り入れる中学校が増加する傾向があります。英語入試というと、従来は帰国子女入試の入試教科としての位置づけが強かったですよね。英語と国語、そして面接というのが帰国子女入試の王道でした。しかし、近年増えている英語入試は、帰国子女ではなく、いわゆる一般入試において、受験科目として英語を配置するというものです。つまり、海外に行ったことがない受験生でも英語が得意なら英語入試を受けられるように変化してきているのです。

特に、2019年度入試から、慶應義塾湘南藤沢中等部が英語試験を導入したことによって注目を集めているのです。慶應義塾湘南藤沢中等部は附属校として不動の人気を誇り、難易度も非常に高い中学校です。そこが英語試験を導入したことによって、ほかの中学校でも英語入試をはじめるといったことがはじまり、英語入試で受験できる中学校が増えています。

今回は、今注目を集める英語入試について、動向や普段からの学びについてご紹介します。もし英語が得意なら帰国子女でなくても受験できる、そんな幅の広い入試にチャレンジしようとお考えなら、ぜひ参考にしてください。

慶應義塾湘南藤沢中等部がはじめた英語試験の内容と背景

慶應義塾湘南藤沢中等部が英語試験を導入したことによって、帰国生かどうかにかかわらず英語で受験できると非常に注目を集めました。中学受験において、本格的な英語試験の導入は慶應義塾湘南藤沢中等部が最初だと言っても過言ではありません。それは、英語技能4分野を網羅しているだけでなく、レベルも非常に高いことも要因として挙げられます。

慶應義塾湘南藤沢中等部のホームページによると、同校の英語試験のレベルは英検2級から準1級程度とされています。帰国生でない小学生にとっては、このレベルはかなり高いと言えるでしょう。

試験時間は60分で、リスニングが10分、リーディング・グラマー・ボキャブラリーで40分、ライティングで20分となっています。ライティングはテーマに沿ったエッセイを書かせる内容です。これだけ見ても、大学入試改革で掲げられている英語技能を意識していることが分かりますね。また、試験時間が60分というのも、従来の4教科型入試と比べても長いことが分かります。

慶應義塾湘南藤沢中等部のホームページでは、英語試験のレベルを知ってもらうために、例題や音声サンプルを公表しています。同校は以前から、帰国生の受け入れにっも熱心で、異文化交流や情報教育に力を入れています。そのような校風・教育理念から、受験生に求める英語力のレベルは非常に高いと言えるでしょう。

2020年度から、小学校5年生・6年生では英語が正式教科となっています。新型コロナウィルスの影響で予定通りにカリキュラムが進んでいないという現場の声も聞こえてきますが、この潮流は今後ますます推進されると考えられています。すでに2018年度から移行措置が始まっており、英語教育を小学校で受けているという受験生も少なくないでしょう。また、公立小学校では最近始まった英語教育ですが、私立小学校は独自のカリキュラムで教育をおこなっており、今回公立小学校に英語教育が導入されるずっと以前からすでに英語教育をおこなっているという学校も少なくありません。

私立小学校の場合、そのまま附属の中学校に進学することがほとんどです。ですから、学びを分断しないためにも小学校時代から英語教育に熱心な学校は少なくありません。

慶應義塾湘南藤沢では、初等部を解説したのは2013年です。つまり、2019年4月には初めての初等部卒業生が、学校の推薦によって中等部に進学したわけです。そこで、そのタイミングに合わせて2019年度に、中等部の外部受験生向け入試において英語試験が導入されたのです。従来の算数・国語・理科・社会の4教科入試と、英語・算数・国語の3教科入試を選択できる入試となっています。

英語に自信がなければ、無理に英語試験を受験せず、従来通りの4教科型入試で受験することもできますし、英語が得意ならば3教科入試を選択してより自分の自信のある教科で勝負することもできます。ただし、レベルは相当に高いことには留意が必要です。慶應義塾湘南藤沢中等部の初等部である慶應義塾横浜初等部では、小学校ですでに英語教育を高いレベルでおこなっているので、内部進学組は英語を学んで進学してきています。

そのため、同校の英語試験のレベルは、内部進学生徒と同レベルの英語力を持つ受験生に入学してきてほしいという思いが込められているため、中学入試であるにもかかわらず高いレベルを要求しているのです。

ほかの中学校も追随する?

2020年の中学入試において、帰国生入試以外の一般入試で英語試験を取り入れた私立・国立中学校は141校となっています。2014年から2019年にかけて、15校→33校→64校→95校→112校→125校と倍々ゲームで増えてきた英語試験の導入ですが、2020年においても増加傾向は続いていることが分かります。慶應義塾湘南藤沢中等部は万を持しての参入だったと言えるでしょう。

大学入試改革で要求される英語4技能と中学入試の関係

現在の中学受験生は、まさに2020年の大学入試改革に直面している世代です。もちろん、従来から大学入試では大学独自の英語入試がおこなわれてきましたが、ライティング・リーディング・リスニング・スピーキングの英語4技能をすべて評価する入試だったとは言えなかったのが現実です。特にスピーキングについては後れをとっていました。

そこで、2020年の大学入試改革においては、従来の日本の英語教育で課題とされていた英語の4技能を総合的に評価することを掲げています。たとえば、民間の英語資格や検定のスコアを英語試験に変えて点数化することもそのひとつです。東京大学など、民間英語試験のスコアは加味しないという発表をしている大学もありますが、特に受験生の多い私立大学においては英語外部試験を活用した入試がすでにおこなわれています。英語外部試験とはたとえば、英検、GTEC-CBT、IELTS、TEAP-iBT、TOEIC、TOEFLなどです。上智大学などはいち早くTEAP入試を導入するなど、すでに具体化の姿は見えつつあります。

文部科学省の発表によると、準備が十分でないことや大学によって意見がまちまちであり統一合意できていないということを理由として、従来の大学入試センター試験に代えて来年の1月から新たに実施される大学入学共通テストに英語民間検定を導入することは見送られました。新型コロナウィルスによる混乱も理由のひとつだと考えられますが、今の中学受験生(6年生)が順当にいけば大学入試を受験する2025年度以降は、こういった英語民間検定の導入を含め、大学入試における英語試験の位置づけも大きく変化することが予測できます。

中学入試で英語試験の導入が増加傾向にある背景には、このような2020年の大学入試改革や新学習指導要領の適用といった学校教育全体をとりまく大きな変化の波と、小学校においても英語が正式教科とされたことがあります。以前から英語教育に力を入れてきた私立・国立中高一貫校の教育姿勢にようやく大学入試が追い付いてきた、と言えるかもしれません。

私立小学校などですでに英語を学んできていて、英語に非常に興味を持ち、自分でも勉強して英検などの資格を取っている小学生も少なくありません。従来英語教育を受けたいならインターナショナルスクールに行く、というケースも多かったですが、いまや小学生での英語学習は決して珍しいことではありません。

英語が好きで、これからも頑張って勉強したいという意欲のある受験生に向けて、英語試験を導入した中学校は、入学後の中高6年間の間にさらに英語が好きになって、実力を伸ばしてほしい、というメッセージを発信していると言えるでしょう。英語が好きな小学生に門戸を開き、得意な・好きな教科で中学受験ができるようにするというトレンドは今後も続くと考えられます。

新しい英語試験も続々!

続々と英語試験を導入する中学校が増えてきていますが、特に注目すべきなのは、ここ1~2年の間に新しく英語試験を導入した中学校の英語試験の形式です。従来、英語試験というと筆記試験という印象があったかもしれませんが、たとえば慶應義塾湘南藤沢中等部ではリスニングも導入しています。

そのほかにも、英語でのインタビューや対話形式の面接や、グループワークで英会話をするなど、受験生のリスニングとスピーキングの力を評価する英語試験を導入している私立中学校も現れました。ここで言う英語の力とは、あくまで今後中高6年間に実力を伸ばしていくことが前提なので、そうした勉強についてこられる「資質」といっても良いでしょう。

こうしたリスニングやスピーキングに取り組む姿勢を評価する英語試験の導入によって、これまで英検など、いわゆる英語の筆記試験を受けたことのない受験生でも中学入試で英語試験にチャレンジすることが可能になったと言えます。たとえば、英語が大好きで英会話スクールに通って頑張って会話できる素地ができている受験生にとっては、こうした英語試験は自分の資質を評価してもらえる良い機会だと言えます。

もちろん、英語の筆記試験で一定程度の資格を持っている場合、それを評価してくれる中学校も多くあります。英検をはじめとした検定試験で資格を取得していれば、多くの英語試験あるいは英語選択入試をおこなっている中学校が示している英語力の目安を知ったうえで英語試験を受験するかどうか決めることができるという点で選択肢の幅は広がります。たとえば英検4級以上、3級以上、2級あるいは準1級と、中学校によって求めるレベルは異なるので、自分の持っている資格に合わせて受験校を選択すると良いでしょう。

また、特色ある英語試験をおこなっている中学校として、さいたま市に新設された公立中高一貫校である「大宮国際中等教育学校」の適性検査も注目です。大宮国際中等教育学校は、首都圏では初めて公立中高一貫校としてIB(国際バカロレア)プログラムを導入した学校です。同校の入試にあたる適性検査では、開港初年度から英語が出題されています。

これまで、中高一貫校の適性検査は一般的な私立中学校の4教科入試とは一線を画してきましたが、英語を適性検査に含めたのは大宮国際中等教育学校がはじめてでしょう。こういった動きからも、今後の中学入試において英語試験が増加する傾向はますます広がると考えられます。

英語力で特待生制度がある学校も

なかには、英検の資格を取得している受験生の場合、「特待生制度」を適用するという私立中学校もあります。おおむね英検3級あるいは2級程度が目安ですので、中学校のホームページなどで目安を調べておくことをおすすめします。英語の資格で特待生になれれば、特典が加えられる状況が出てきたのも英語試験の導入から目が離せないポイントのひとつです。たとえば京華女子中学校では、英検準2級を取得済みで入試の結果が良かった受験生に対して、学費の全額または半額を免除する特待生制度があります。

英語はいつから始めるのが有利?

2020年度以降、小学校5年生・6年生で英語が正式教科となり、大学入試改革によって英語の外部検定の導入も近い将来行われる可能性があります。このような動きを察知した保護者の方の中には、英語熱が非常に高い方もいらっしゃいます。大学入試に向けて、いつから英語の4技能を身につける対策をしたらいいのか、中学受験でも英語をやっていた方が有利ならいつから勉強したらいいのか、というご質問を受けることも良くあります。

大学入試に関しては、どの外部検定が導入されるかはまだ決まっていませんし、大学によっては外部検定を加味しないと発表しているところもあるほどです。ですから、英語を勉強するタイミングは、やはり本格的に学校での英語教育が始まる中学校に入ってからでも遅くはありません。もちろん、中学入試で英語試験を受けるなら、それに対する対策は必要です。ですが、中学校によって求めるレベルは異なりますし、英語1教科試験よりも算数や国語といったほかの教科との合わせ技で英語試験をおこなっている中学校がまだほとんどなので、急ぎ過ぎる必要はありません。

まず大切なのは国語力の養成とお子さんの意欲

筆記試験を重視する中学校の場合は相当な対策が必要になるでしょうが、会話や面接で英語の資質を見るといった形の英語試験で評価されるのは、一生懸命取り組んでいるか、英語が好きか、といった部分です。英語の勉強で疲弊してしまっていてはそういった試験に対応することができません。基本的に中学校に入って高度な英語教育についてこられるかどうかが学校側が見たいところなので、そこからずれるほど高度なことをする必要はないでしょう。

それよりもやはり中学受験で重要なのは高い思考力です。与えられたヒントに対して試行錯誤しながら自分なりに正解にたどり着くプロセスの方を中学入試では重視しています。そのような思考力は、まずは国語力を通してでないと身につくものではありません

将来中学入試で英語試験を受験しようとお考えの場合は、まずはお子さんが英語に親しみたい、やってみたいという気持ちがあるかどうかで学習を始める時期を判断しましょう。あまりにスパルタで叩き込もうとするとかえって英語嫌いになり、将来の大学受験に対しても悪影響になります。まずは語学力のベースとなる国語力をしっかりつけたうえで、英語に親しむようにしてあげるのが良いでしょう。

中学入試で英語試験が増えるワケ

大学入試に向けた英語学習を始めるタイミングについてお伝えしましたが、目前の中学入試で英語試験を導入する中高一貫校が増えているのも現実です。では、なぜいま、英語試験を導入する中学校が増えているのでしょうか。

英語に強い生徒にたくさん来てほしいから、というのは少しずれている考えです。もちろん、私立の附属校などで小学校から高度な英語教育を受けている内部生と互角に戦うために、中学入試で高い筆記能力を求めている慶應義塾湘南藤沢中等部のような学校もありますが、それは内部進学生とのバランスを測るという同校ならではの考え方があるからです。

なかには、帰国生の受け入れとともに、幼少期を海外で過ごすなどして英語学習の素地がある受験生向けにグローバル入試、という形で入試をおこなっている中学校もあります。帰国生入試は帰国後何年以内、という縛りがあるので、そこからこぼれたけれど英語が好きで話す素地もできているという受験生にはおすすめの入試です。

しかし、こういった入試がなぜおこなわれるかというと、入学時点で英語ができる生徒ばかりほしいからではありません。中高6年間というのは、お子さんが心身ともに大きく成長する重要な時期であり、多様な価値観を受け入れ、自我を確立していく時期でもあります。つまり、グローバル入試などをおこなっている中学校の狙いは、異なる価値観やバックグラウンドを持つ多種多様な受験生を受け入れることにあると言えるでしょう。

海外生活の経験によって、日本では得られなかったものの見方を養ってきた受験生もいるでしょうし、そういった異なる風が校内に入り、ほかの生徒との交流によって相互に刺激し切磋琢磨し合って成長してほしいという中学校側の考えがそこには透けて見えます。そのような姿勢こそが、これから求められる思考力や判断力、協働性や社会性といったものにつながるからです。

求められているのはコミュニケーション能力

このように、海外生活経験があったり、英語が好きで学んできた受験生にとっては、中学受験でその資質を活かすチャンスが広がっていると言えるでしょう。英語も国語も語学ですが、語学に求められるのはコミュニケーション力です。国語の長文読解問題も、筆者と受験生が対話しながら文章を読み、各設問に答えることによってコミュニケーションしていますし、中学校も「このような受験生に入学してもらいたい」という思いを込めて文章を選び、設問を作っています。このように求められる能力はどんなものかというところに立ち返って英語試験がお子さんに向いているか考えてみる良い機会が訪れていると前向きに考えると良いでしょう。

保護者の方も、普段のお仕事の中で英語によるコミュニケーションをおこなっていらっしゃる方も多いでしょう。また、それ以前に日本語によるコミュニケーションが日々発生しますよね。英語にも日本語にも共通することですが、コミュニケーションの基本は、自分の考えを相手にわかりやすく、具体的に伝えることです。そのためには、自分が話す内容が的確である必要がありますし、相手の話す内容の要点を瞬時につかむことがとても重要です。いわば、具体化と抽象化をどうじにおこなっているわけですが、中学入試においてもその力は非常に重要です。

大学入試でも、たとえば東京大学などの難関国立校では、英文の要約や、英作文で具体例を挙げながら自分の考えをまとめるという問題が多く出題されます。この潮流は、すでに中学入試の現場にも影響していると言っても過言ではありません。

英語試験をお考えの場合は、セットとして日本語を自由自在に操れる能力が必要だということをいま一度意識してください。入試においては国語がセットになっていることがほとんどです。学校側が何を求めているのか理解しながら問題に取り組む姿勢が英語試験においても非常に重要だと言えるでしょう。

まとめ

中学入試で英語試験を導入している中学校は増加傾向にあり、求められるレベルも中学校によって英検4級レベルから準1級レベルなど幅広いです。また、同時に受験する教科もあるので、入試のための土台づくりをしっかりおこなっておくことは英語試験を受験する場合であっても欠かせません。

海外経験があるけれど帰国から時間が経ってしまい、帰国生入試は受けられない、あるいは海外で生活したことはないけれど英語が好きで勉強してきたというお子さんにとって英語入試は選択肢の幅を広げてくれる入試方式だと言えるでしょう。

現在、日本の英語教育は過渡期にあります。大学入試はもちろん、中学入試の形式変化もその現れと言えるでしょう。お子さんの適性や志望校で英語試験をおこなっているか、またどのような学校でわが子を学ばせたいかを意識したうえで、選択肢のひとつとして英語入試を実施している中学校の受験を考えてみることをおすすめします。

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