【中学受験】進む入試の多様化!英語入試の増加傾向

これまで、中学受験では、入試科目は国語・算数・理科・社会の4教科入試が中心でした。国語・算数を重視した2教科入試も、午後入試が増えるにつれて増加傾向にあります。

また、公立中高一貫校が開校してから、科目横断型の思考力や図表・データの読み取りとその分析を行わせる問題が取り入れられるようになり、2020年の大学入試改革に向けて、さらにそのような入試は公立中高一貫校以外の私立中学校の入試でも増加していくと考えられます。

「思考力」は中学入試のキーワードの一つですが、ただその場で思ったことを書けばいいというわけではなく、あくまで与えられた「お題」にそって、多方向から問題を考え、思考過程を表現し、自分なりの解答を導き出すというものが主流です。

そしてそのような入試を受験して入学した生徒さんたちは、中学校・高等学校で「アクティブ・ラーニング」に重きを置いた授業を受け、さらに思考力・プレゼンテーション能力・表現力をはじめ、コミュニケーション能力も磨いていくというカリキュラムにそって学習していきます。このようなアクティブ・ラーニングを実施するため、中学校・高等学校はそれぞれ中学校・高等学校の授業カリキュラムを一新し、学校ならではの特徴を前面に出して生徒を募集するようになってきました。

当然のことながら、入試もそのようなカリキュラムがスムーズに進められることを考えて作問され、実施されているので、中学入試は入学してからの学校の教育方針がより反映されてきているということがわかります。

このように、さまざまな学校が、特徴ある入試を次々と始めている近年の中学入試ですが、中でも特に近年目を引くようになっているのは、入試科目に英語を取り入れる学校が非常に増えてきている、という傾向です。

帰国生入試ではこれまでも英語が入試科目に入っていることはありましたが、帰国生ではない生徒を選抜するための一般入試の科目に英語が取り入れられてきているということは大きな変化といえるでしょう。

最近では、慶應義塾湘南藤沢中等部が2019年度の入試から英語の試験を導入すると発表したことが注目を集めています。今回は、このニュースにも目を向けながら、2019年度以降、英語入試がどのような動向を見せていくのか、予想も含めてお伝えしていきたいと思います。

慶應義塾湘南藤沢中等部が英語入試を導入する背景は?

先ほど書いたように、慶應義塾湘南藤沢中等部が、2019年度の入試から入試科目に英語を取り入れるというというニュースは、中学受験生をお持ちのご家庭だけではなく、入試を行う中学校からも大きな注目を集めています。

慶應義塾湘南藤沢中等部の校風の特徴にも関係が

もともと、慶應義塾系の中学校のなかでも、慶應義塾湘南藤沢中等部は、帰国子女の生徒さんが多く入学するという特徴があります。帰国子女でない生徒さんが、入学してから、帰国子女の生徒さんが多いことや、授業でも英語の授業はかなりハードであることに驚いた、とおっしゃっることも少なくありません。

むしろ、そのようなさまざまなバックグラウンドを持つ生徒さんが多く入学してくる学校であるという特徴があることに魅力を感じたり、将来英語を当たり前に使えるようになりたい、親御さんもお子さんにグローバルに活躍してもらいたいと期待する、などとという理由で志望する受験生もとても多い学校ではありました。

そして、入学後のカリキュラムも、私学ならでは、という枠にはまらないような特徴ある授業を用意していました。通常、私学であっても、何年生ではどの科目のどの単元を学習して、という「一般的な進度」にそったカリキュラムで授業が行われることが多いのですが、慶應義塾湘南藤沢中等部では、高等部や大学での学習への取り組みも意識した、工夫された授業が行われてきました。そして、その中でもやはり英語の授業は単に座学で習う一般的なものとは一線を画しているという特徴がもともとありました。

小学校で英語が正式な教科となるという背景も

2020年度は、大学入試改革が行われるという節目になる年ですが、同時に、小学校5年生・6年生で英語が正式教科となるという年でもあります。2018年度、つまり今年度より移行措置が始まりますが、私立小学校では、このような変化にかかわりなく、すでに英語教育をとりいれているという学校がかなり多くあります。慶應義塾系の小学校も例外ではありません。

慶應義塾湘南藤沢中等部の場合は、2019年4月に、2013年に開校した、慶應義塾横浜初等部の最初の卒業生が内部推薦によって進学してきます。2019年度に慶應義塾湘南藤沢中等部で英語が入試科目に取り入れられる背景には、この、最初の初等部からの内部生の中等部への進学のタイミングに、いわゆる外部生(中学受験をして入学する生徒)の一般入試を合わせる、という学校事情が大きく関係しています。

このような背景のもと、2019年度の慶應義塾湘南藤沢中等部の入試では、一次試験(学力試験)の教科が、従来の4教科(国語・算数・理科・社会)と、3教科(英語・国語・算数)の選択制となったわけです。

内部進学生、つまり慶應義塾横浜初等部の卒業生は、初等部ですでに英語を学んでいます。中等部の入試科目に英語が導入されるということは、内部進学生と同等の英語力を持つ外部生を一定程度入学させ、特徴あるカリキュラムをさらに推進させようという学校側の意図を読みとることができると言ってもよいでしょう。

慶應義塾湘南藤沢中等部の英語入試のレベルはどのくらい?

また、慶應義塾湘南藤沢中等部のホームページでは、2019年度に行われる入試の英語の試験のレベルを、「英検2級から準1級程度」とし、試験時間は60分としています。一口に英語の試験といってもいろいろな要素がありますが、その内訳は、リスニング・リーディング・ボキャブラリー・グラマーで40分、エッセイが20分と発表されています。どのような問題が出題されるのか、サンプル問題も公開されていますのでご興味のある方はぜひご覧になってみてください。

すでに英語入試を導入しているほかの私立中学校の入試の場合には、英検4級・5級程度というケースも少なくなく、求める英語力のレベルには幅があるのが現状です。中学に入ってから英語をしっかり学習させるために、あえてそれほどハードルを高くしていないという学校の考え方もあるでしょうし、帰国生入試があるので、一般入試ではそこまで高い英語力をあえて求めないけれども、入試の多様化に合わせて英語入試を取り入れている学校など、さまざまです。

そのような私立中学校の英語入試の中で、「英検2級か準1級」というレベルは、かなり高いものです。大学入試で求められる英語力に迫るものです。それでもあえて、中等部に入学する時点で、志望者にかなり高い英語力を求めているのは、「異文化交流と情報教育」を教育の軸とし、帰国生の受け入れにも熱心な慶應義塾湘南藤沢らしい姿勢といえるのではないでしょうか。

他の大学附属(付属)校、進学校、国公立中高一貫校の動向は?

現時点では、他の有名大学附属(付属)校で2019年度入試から英語入試を導入するという情報は入っていません。しかし、附属(付属)の小学校をもち、英語に力を入れている大学附属(付属)校は、慶應湘南藤沢中等部と同様、今後、中学入試に英語を取り入れる可能性は十分考えられますひとつの目安の時期としては、小学校で英語が正式教科として導入される2020年度ではないかと考えられます。

附属(付属)小学校をもたない、いわゆる中高一貫の進学校においては、今すぐに一般入試の科目に英語を導入するということまではせず、入学後に英語教育に力を入れる、という方針の学校が多いのではないかと思います。ですが、そう遠くない将来、入試に英語を導入する中学校が増えてくる可能性は十分あると考えられます。

東京の男子御三家中学のひとつ、開成中学校では、まだ現時点で中学入試に英語を導入すると決定したわけではありませんが、導入するとしたらどのような形が考えられるか、など、学内で研究を始めており、検討をしていることを公表しています。私立中学校をけん引している有名進学校が英語を入試に取り入れることを検討しているということは、追随する学校も増えてくると考えられますので、今後の動向が注目されます。

国立や公立の中高一貫校は、学習指導要領の影響を受ける立場にありますから、2020年度に、小学校で英語が正式な教科として導入された以降に、順次入試に英語を取り入れていくことになるのではないかと考えられます。公立中高一貫校の適性検査は、科目横断型のものもありますので、実際にどのような形で英語の能力をはかるのか、単独の検査として行うのか、スピーキングやリスニングなどはどうするのか、など、さまざまな点で試行錯誤が続くのではないでしょうか。

中学入試とは少し異なりますが、都立高校の入試では、これまでの英語の入試に加え、独自にスピーキングのテストを実施することが検討されています。2019年度以降の入試で試験的に導入されるという意向が発表されています。これを受けて、公立中高一貫校の適性検査でも、従来の適性検査と併せて、どのような英語の検査を行うか、求められる英語力のレベルの基準なども設けられていくのではないかと考えられます。

英語入試には「国語力」も重要

慶應湘南藤沢中等部の英語の入試では、リスニング・リーディング・ボキャブラリー・グラマー、エッセイと、さまざまな方法で総合的な英語力を試そうとするものです。学校ごとに、どこまでの英語力を入試で見たいと考えるかはさまざまだと思いますが、英語入試に際して、忘れてはいけないことがあります。それは、「国語力」を磨くことです。

学校で必修っとなっていなくても、幼稚園や小学校のころから、お子さんに英語を習わせている、というご家庭も多いのではないでしょうか。将来、たしかに英語力はさまざまな場面で必要となる能力なので、早くから身につけさせたいとお考えになり、英会話教室や英語塾などに通わせるなどされていると思います。

ですが、早くから英語を習わせていたのに、中学に入ってみたら英語の成績はさっぱり・・・ということが多いのをご存知でしょうか。せっかく将来のことを考えて早くから英語に触れていたのに、中学入学とともにリセットされ、そこからリーディングやライティング、文法や単語中心の英語の勉強が始まると、興味をもつことができず、かえって英語嫌いになる生徒さんは実はとても多いのです。

そのような状況になってしまう理由にはいろいろありますが、一つ挙げるとすれば、「国語力の養成を軽視したから」ということが言えると思います。英語には時間を書けるけれども、国語の力は自然につくだろうと軽視してしまうのです。

いわゆるネイティブの英語力とは、英語で考え、英語で読み書き、話す、ということですが、現状の中学からの英語の学びは、まず単語を覚え、文法事項を学び、長文読解問題を解けるよう訓練していく、というものです。そして、長文読解問題の中には和訳や英訳、英作文などが含まれています。これらのような英語の問題をしっかり解くために必要なのは、実は「国語力」なのです。

英語力が身につかないのはなぜか、いうと、「英語」と「国語」を全く別のものと考えてしまい、英語は初めて触れるものなので時間をかけて勉強するけれども、そこに国語力が必要であるということを忘れてしまうからです。

今後、小学校での英語教育がネイティブレベルの英語力をつけるためのものになれば、「英語」と「国語」は別の教科として、別々に勉強する、というように変わる可能性がないとは言いませんが、日本で学校教育を受ける以上、また、通常使う言語が日本語である以上、国語力がベースになる状況は続くでしょう。国語力がなければ、英文和訳や和文英訳を正確にできるようにはなりません

たとえば、英文和訳をするということは、英文の意味を、分かりやすい日本語に直すことです。和文英訳をするということは、まずその和文を正確に読みとり、それを英語に直すということです。つまり、どちらも「正しい国語力」が身についていないとできないんおです。

もちろん、英語以外の教科においても、国語力がしっかりしていないと、問題文を読み誤ったり、正確に説明したりということができません。現状では、すべての教科の学力の根本に必要なのは、「国語力」なのです。

英語も国語も語学です。どちらも自由に使いこなすことができなければ、英語力を身につけることはおろか、すべての教科の力を伸ばすことはできません。

これから始まる英語教育の改革、英語入試の増加に対処するためには、「国語力」をしっかり養成しておく必要があるということを意識して学習する必要があります。英語と国語を切り離して英語ばかりを優先するのではなく、国語の学習をしっかり行っておくことが重要です。それができなければ、これから本格化する英語入試に対応することは難しくなります。ぜひ、国語力の養成は意識して行うようにして学習を進めましょう。

まとめー中学入試と英語の位置づけはどうなる?

先ほど、慶應湘南藤沢中等部の英語入試を例に、今後の英語入試の動向について書きました。今回、慶應湘南藤沢中等部の英語入試が注目を浴びているのは、帰国生入試ではなく一般入試の教科として英語が入ったこと、そして求められる英語力のレベルの高さ、という点も大きいのではないでしょうか。

これまでも、英語入試を取り入れている私立中学校は年々増加傾向にあります。ただし、求められる英語力のレベルは英検4・5級程度から準1級と学校によって非常に幅があるので、中学入学後の英語の学習にどのようにつなげていくかは、学校ごとの教育方針によって異なります。入口の英語力と、入学してからの英語力の養成の関連性は、今後各中学校が試行錯誤を重ねていくことになるでしょう。これまでの中学校・高等学校の英語学習のカリキュラムそのものを見直す必要もあるからです。

また、英語入試の形式も、従来の4教科入試と国語・算数・英語の3教科入試のどちらかを選択、あるいは国語・算数・英語の中から2教科を選択する(必ずしも英語の入試を受けなくてもよい)、または英語のみの1教科入試を行う、など様々です。

受験生がどの形式の入試を選ぶかによって、入学時の英語力にも大きな差がある状態から英語教育をしていくため、能力別クラス編成をして生徒のレベルに合わせて指導を行うか、それとも入試で英語を選択したかどうかに関係なく同じ英語教育を行っていくのか、など、中学校の側も手探りです。英語入試を受験することをお考えの場合は、ぜひしっかりと学校が英語入試を行う意図がどこにあるのか入学してからの英語教育の方針などについてしっかりリサーチしておくことをオススメします。

また、これまで英語入試といえば帰国生入試でよく用いられてきました。ですが、帰国生入試を受けられるかどうかは、いつ帰国したか、海外で暮らしていた期間はどれくらいか、など、学校によって条件が異なります。条件に合致しなければ、いくら英語で入試を受けたくても受けることはできませんし、帰国生であっても英語を入試科目に入れていない学校もあります。

海外で暮らしていた経験があるけれども、日本に帰国してから数年たってしまい、志望校の帰国生入試の受験資格を得られないという方もいらっしゃいます。その場合、一般入試で志望校の入試を受けることになるわけですが、ギリギリで帰国生枠の資格を得られなかったという受験生の場合、4教科の学習を十分に行うことができていない場合もあります。

最近は、海外にいても日本の大手塾のカリキュラムやテキストを取り寄せて学習することができるようにもなっていますので、十分対策ができている方もいらっしゃいますが、そうでない方は、やはり自分の得意な科目で受験できる選択肢が増えてほしいと思われると思います。近年の英語入試の増加は、帰国生入試は受けられないけれども英語が得意というお子さんにとっては、入試のレベルにもよりますが、一般的には有利だといえるでしょう。

このような英語が得意なお子さん以外は、現状ではまだ、「中学受験のための英語を学ばせる」というのは難しいかもしれません。高校入試や大学入試のように、「入試のためにどこまで勉強すればよいか」があまりはっきりせず、「英検〇級レベル」というくらいしか目安がないからです。

ですが、これから小学校で英語が正式教科になるので、試行期間を経ていくにつれて、中学受験における英語入試がどのような出題形式になっていくのか、傾向が見えてくると思います。ただし、小学校で学習する英語の範囲をふまえて、中学入試でどのように問題を作るのかがわかってくるにはまだ時間がかかるでしょう。また、中学受験をするには塾で受験勉強をしていくということは今後も続いていくでしょう。

公立中高一貫校が開校されたときも、塾側もどのように受験対策をすればいいのか分析するのにかなり試行錯誤を重ねましたし、対策に使える問題集もまだ数少ないのが現状です。英語入試が本格化してくるにつれて、大手塾が英語の中学受験指導を行うかどうか、あるいは英語だけは異なる形で受験に備えるのかなど、いまはまだ不明なことがだんだん明らかになっていくのを待つ段階といえるかもしれません。

今後、本格的に小学校での英語教育が正式導入されてから、小学校3年生・4年生くらいの時点で、お子さんが、「英語が得意」「好き」といった適性を示すかどうかを、英語入試を考える一つの判断材料とするのが現実的なのではないかと考えられます。また、志望校が英語入試を以前から行っている場合、過去問などを分析してどのように学習を進めていくかを低学年のうちから考えていく必要が出てくる可能性もあります。

現在、日本の英語教育は過渡期の真っただ中にあると言えます。大学入試改革によって測られる英語力の幅が広がるなどの変化や、中学入試に英語入試を取り入れる学校が増えてきているけれども、まだ定番の出題傾向が固まっているとはいえないことも、その現れといえるのではないでしょうか。

中学入試の英語入試は、特に私立中学校の場合、学校によって対策も変えなければいけないことになっていくと考えられます。また、英語入試=4教科入試より易しくなる、という保証もありません。英語入試の受験をお考えの場合は、実施している学校に足を運んで学校の考え方をよく調べ、さらにお子さんの英語に対する適性の双方をしっかり考えたうえで、中学受験のひとつの選択肢として、英語入試を行っている学校を志望校として検討してみることをオススメします。

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