圧力 ~圧力の計算式は何? 圧力、気圧、水圧の基礎を確認し、問題を解いて理解しよう~【中学受験理科】

みなさんは圧力と聞いてどのようなことを思い浮かべるでしょうか? 理科の実験でよくみるシリンダーを思いうかべる人や、大気圧水圧も圧力だなと考える人もいるかもしれません。圧力は力に関係することのため、身近に存在するほとんどのことには圧力が関わっています。食材を包丁で切ることや、スマホで画面をタッチすること、あるいは飛行機が飛ぶ原理まで、すべて圧力に対する理解がなければ、その仕組みを知ることはできません。

その反面、小学校のカリキュラムとしては決してメインの内容ではないので、理解があまり進んでいないという人も多いのではないのでしょうか。

今回はそんな圧力の基礎事項を説明します! 「圧力についてほとんど知識がない……」という人でも読み進められるように、ところどころに確認問題を用意して、理解度を確かめられるようにしてあります。まずは基礎的な内容を確認してから、練習問題で知識を定着させていきましょう!

この記事では、以下のことを解説します。

 

  • 圧力は、同じ面積あたりの力(重さ)の大きさである
  • (圧力)=(力)÷(力のかかる面積)
  • 水圧、大気圧はそれぞれ、水と空気によってかけられる圧力のこと
  • 水の深さが深ければ深いほど、水圧は大きくなる
  • 標高が高ければ高いほど、大気圧は小さくなる

 

それでは早速解説していきます!

圧力とは何か? 基礎事項を確認しよう!

圧力とは何か

日常で圧力という言葉はよく聞くと思います。圧力と聞いて何となくものがパンパンにつまっているイメージをすることもできますよね。では早速、次の問題に答えてみてください。

問題

圧力とは何か説明してください。

ヒント:圧力は力と面積に関係しています!

解答

さて、答えが出たでしょうか。日常何気なく発している言葉でも、いざ説明しようとすると難しいですよね。この問題の答えは

(圧力)=(力)÷(力のかかる面積)

となります。ここで、力と書きましたが、中学受験の範囲ではこの重さと置きかえても大丈夫です。圧力は、「同じ面積あたりの力(重さ)の大きさ」という情報を教えてくれる値です。具体例をみながら考えましょう。

以下のように木片が床に置いてあります。木片の重さは\(100\,\mathrm{g}\)で、床に接している面積は\(100\,\mathrm{cm^2}\)です。

このとき、圧力は

\(100\,\mathrm{g} \div 100\,\mathrm{cm^2} = 1\,\mathrm{g\,/\,cm^2}\)

と求めることができます。

これまで「力」や「重さ」といえば、物体全体に影響するものでしたが、圧力の分野では物体の中のある面積にどの程度の力(重さ)がかかっているかに注目します。このように、個々の場所における力のかかり具合を考えることで、何となく物体全体に力がかかっていると考えているよりもたくさんのことを知ることができます。では、どのような情報を得ることができるのでしょうか。次の問題で見てみましょう。

問題

次の図のように、重さ\(100\,\mathrm{g}\)の木片が2つあります。一つの木片は床との接地面積が\(100\,\mathrm{cm^2}\)です。もう一つの木片は床との接地面積が\(25\,\mathrm{cm^2}\)です。このとき、次の問いに答えなさい。

(1) それぞれの木片が床にかける重さはどの程度でしょうか。

(2) それぞれの木片が床にかける圧力はどの程度でしょうか。

解答

(1) 簡単すぎて逆に深く考えてしまった人がいるかもしれませんが、答えは両方とも

\(100\,\mathrm{g}\)

です。木片の重さが\(100\,\mathrm{g}\)なので、当たり前ですね。

(2) 圧力の計算式は覚えているでしょうか。(圧力)=(力)÷(力のかかる面積)でしたね。これを使うと、

面積\(100\,\mathrm{cm^2}\)の木片……\(100\,\mathrm{g} \div 100\,\mathrm{cm^2} = 1\,\mathrm{g\,/\,cm^2}\)

面積\(25\,\mathrm{cm^2}\)の木片……\(100\,\mathrm{g} \div 25\,\mathrm{cm^2} = 4\,\mathrm{g\,/\,cm^2}\)

となります。

結果から何がわかるでしょうか。同じ重さの木片なのに、床に与える圧力は4倍も異なっています。先ほど、圧力は同じ面積あたりに与える力を教えてくれると書きました。つまり、個々の木片全体で見れば、床に加える力(重さ)同じですが、木片の中のある同じ面積(例えば\(1\,\mathrm{cm^2}\))で考えれば、力を加える面積が小さい方がより大きな力を加えるということになります。

単に木片の重さだけを考えていたのでは、同じ面積に対する力のかかり具合を知ることはできないですよね。圧力は、単に力や重さを考えるよりもいろいろなことを伝える、大切な数値の一つなのです。

日常にある具体的なもので圧力を感じてみましょう。

例えば、台所にあるとうふに上からはしを刺してみることを考えます(実際にやったら怒られるかもしれませんが……)。はしの食材を食べるとがっている方と、持ち手の平べったい方の2つの方向でとうふにはしを落としてみましょう。

同じ高さから落とせば、とうふにかかる力は同じはずですよね。でも実際は、はしのとがっている先を落とした方が、とうふに深く入り込むことになります。

なぜかというと、先がとがっていると、小さな面積に力をかけることができるためです。小さな面積に力をかけると、同じ力でも、大きな面積に力をかけるよりも圧力が大きくなります。とうふの同じ面積当たりの強さは同じなので、結果的に圧力の大きいはしの先の方がとうふに深く刺さるのです。

水圧、大気圧とは何か

圧力の勉強をしていると、圧力の問題には水圧大気圧の問題が多いことがわかります。水圧や大気圧はいったい何者なのでしょうか。今一度考えてみましょう。

問題

水圧、大気圧とは何か説明してください。

解答

まず、水圧と大気圧は圧力の一つであるということを押さえておきましょう。その上で、次のような決まりがあります。

(水圧)=(水による力)÷(力のかかる面積)

(大気圧)=(空気による力)÷(力のかかる面積)

要は、力を加えるものの違いによって水圧や大気圧とよび方を変えているだけです。それぞれについてもう少し具体的に見てみましょう。

水圧は水の中に物体を沈めたときに、水が物体にかける力のことです。お風呂に入っているときに、深くまでお湯に浸かると、少し内臓が押されているような感じがしませんか? お風呂の中に沈められた体は、水から水圧を受けているのです。

水圧について大事なポイントをお伝えしましょう。それは、水の深さが深ければ深いほど、水圧は大きくなるということです。つまり極端な話をすれば、浅瀬を泳いでいる熱帯魚と深海を泳いでいる魚とでは、同じ海水でも、深海魚の方が大きな圧力を受けているということです。

今は極端な例をあげましたが、もっと身近にも深さによる水圧の違いは生まれます。

下の図では、水中に木片が沈んでいます。まず、木片は水に囲まれているので、木片の上側だけでなく、木片の下や横からも水圧を受けます。そして、圧力の大きさは、木片のような大きくない物質でも場所によって違います。

木片の上に乗っている水の量が少ない①の部分はもっとも水圧が弱く、次に木片の横の部分、最後に木片の下の部分がもっとも大きな水圧を受けます。

この上下の水圧の違いが浮力となるわけですが、ここでは深追いしないことにします。詳しく知りたい人は、浮力に関する記事を参考にしてください!

水圧とは、単に水による圧力のことに過ぎないのですが、水は物体を取り囲んで全体から力をかけるので、通常考える力とは違っていることが問題を難しくしているといえます。

次に大気圧とは、空気が物体にかける力のことです。空気から力を受けるということを想像できないかもしれませんが、台風のときなどは、立っていられないほどの強風が吹きますよね。このとき、体は空気から大きな圧力を受けていることになります。新幹線や飛行機などの素早く移動する物体では、空気による圧力を小さくするために、先がとがった形をしています。これにより、断面積を小さくすることができます。

また、空気の移動がなくても我々はすでに大気圧の影響を受けています。なぜかというと、我々の住んでいる地上は、まさに深い大気のなかに存在しているからです。私たちの上空に積み重なった大気は、かなりの大きさ圧力を持っています。

大気圧の大きさはパスカル(Pa)ヘクトパスカル(hPa)という単位で表されます。標準的な大気圧は1013.25 hPaです。これがどれくらいの大きさかというと、\(1\,\mathrm{cm^2}\)あたり約\(1\,\mathrm{kg}\)の重さです。指1本で\(1\,\mathrm{kg}\)のおもりをもつことを想像すると、かなり大きな値であることがわかりますよね。

これだけ大きな力がかかっても人が押しつぶされないのは、人の体にも空気が入り込んでいて、大気圧と同じ力で押し返しているからです(お菓子の袋にも大気圧がかかっていますが、同じ原理で潰れません)。大気圧との力のつり合いが保たれないと、体に大きな負担がかかります。

大気圧も水圧と同じように、深さ(高さ)によって値が変わります。例えば、高い山の上は、空に積み重なる大気の量が少なくなるので、大気圧は小さくなります。世界一高い山エベレストの標高は8849 mで、大気圧は約300 hPa程度しかありません。つまり、標高0 mの地点と比べて3分の1の力しかかかっていないことになります。

大気圧の違いを説明するときによく使われるのがポテトチップスの袋の話です。地上では普通だったポテトチップスの袋は、山の頂上で食べようとリュックから出してみたらパンパンにふくらんでいるのです。標高の高い場所では大気圧が低いというのがこの現象の原因です。

ポテトチップスは開封されていないので、標準的な大気圧をもった工場の空気が中に入っています。この袋を大気圧の低い場所の中に持っていくと、袋の中の空気の圧力の方が大きいので、袋の中の空気が袋を外に押し出すような力をかけ、ふくらんでいくのです。

ここで、鋭い人は大気圧も水圧と同じように高さによってかかる力が違うのかと気づくかもしれません。もちろんそれは正しいです。ですが、大気圧は水圧に比べて、同じ高さあたりの圧力が弱いです。なので、本来は人間の体でも、頭と足とでは大気圧が異なりますが、それは無視できるくらい小さいもの(\(1\,\mathrm{m}\)で\(0.1 \mathrm{hpa}\)程度)なので、通常は考えません。

練習問題に挑戦!

それでは、これまで学んだ知識をいかして、次の練習問題を解いてみましょう。

問題

次の図のように床に積み木が積み重なっています。このとき、積み木全体が床にかける圧力はどれくらいでしょうか。床に接している部分の積み木は断面積が\(500\,\mathrm{cm^2}\)であり、一つの積み木の重さは\(50\,\mathrm{g}\)とします。

解答

単純な圧力を求める問題です。積み木が様々な場所におかれているので、迷ってしまった人もいるかもしれませんが、下から2個目以降の積み木の積み重ね方は圧力に関係しません。力がかかっている面積と全体の重さがわかっていればよいので、積み木が4つあることと、床との接地面積が\(500\,\mathrm{cm^2}\)であることだけ確認しておきましょう。今回の場合の圧力は

\(50\,\mathrm{g} \times 4 \div 500\,\mathrm{cm^2} = 0.4\,\mathrm{g}\,/\,\mathrm{cm^2}\)

と求めることができます。

問題

次の図のように\(50\,\mathrm{kg}\)の重たい石が地面においてあります。この石をばねばかりを使って引っ張り上げたところ、ばねばかりは\(5\,\mathrm{kg}\)を示しました。このとき、石が地面にかける圧力はどれくらいでしょうか。石の地面に接している部分の面積は\(1\,\mathrm{m^2}\)とします。

解答

この問題は、地面にどれくらいの力(重さ)がかかっているかを正確にとらえる問題です。ばねばかりがなければ、石の重さは\(50\,\mathrm{kg}\)なので、地面に\(50\,\mathrm{kg}\)の力を与えます。

ですが、今の場合、石はばねばかりによって上に引っ張られています。上に引っ張られているということは、石が地面に与える力(重さ)もそれだけ小さくなるということです。ちなみに、ばねばかりの重さが石の重さよりと同じになったとき、石は地面を離れて宙に浮きます。このとき、圧力はゼロとなります。

ばねばかりの値は\(5\,\mathrm{kg}\)を示しているので、石が地面に与える力も\(5\,\mathrm{kg}\)だけ小さくなります。

(石が地面に与える力)……\(50\,\mathrm{kg} – 5\,\mathrm{kg}\)

したがって、石が地面に与える圧力は、

\( (50\,\mathrm{kg} – 5\,\mathrm{kg}) \div 1\,\mathrm{m^2} = 45\,\mathrm{kg}\,/\,\mathrm{m} \)

と求めることができます。

問題

次の図のようなシリンダーの中に、水が入っています。十分に長い棒の先端にゴムボールを取りつけ、ゴムボールを水中に沈めます。ゴムボールの内側は空洞になっており、中は空気でつまっています。また、ゴムボールの中に水は入ってこないとします。ボールをシリンダーの中に入れたとき、次の文章に当てはまる言葉を答えなさい。

・水中の深くに行くほど、水圧が(  )なるため、ゴムボールの体積は(  )。

解説

水圧(大気圧も同じ)の重要な特徴を覚えているでしょうか。それは、水深が深くなればなるほど水圧が大きくなるということです。ゴムボールの中に含まれる空気の大気圧は、水の圧力がない状況で、外の大気圧とつりあっています。水中では大気圧に加えて水圧もかかるようになるので、ボールの中の大気圧よりも水による圧力の方が大きくなります。結果的に、ゴムボールの表面には、内側に押されるような力がはたらき、体積が小さくなります。したがって答えは、

・水中の深くに行くほど、水圧が大きくなるため、ゴムボールの体積は小さくなる

となります。

問題

高い山の頂上でカップラーメンを作ることを考えます。いつものようにふっとうしたお湯を入れ、3分間たってから食べ始めたところ、カップラーメンの食感が普段食べているものと違うことに気がつきました。一体何が起こったのでしょうか。カップラーメンの種類は同じとします。理由を説明した次の文章の空欄にあてはまる言葉を答えなさい。

・高い山の上では、標高ゼロメートルの地点と比べて大気圧が(  )なる。したがって、水が液体から気体になろうとする圧力を押さえる力が(  )なり、水の沸点(ふっとうする温度)が(  )ため。

解説

この問題は、ふっとうの原理を知らないと難しいかもしれませんが、高い山の上では、ふっとう温度が低くなるという話を聞いたことがありませんか? この理由を説明します。

水が常温で液体の理由は何でしょうか。それは、水が大気圧によって常に押されているからです。大きな大気圧が存在する限り、ある程度温度が高くなってもほどんどの水分子は液体のままです。

しかし、水の温度が高くなると、水が気体になろうとする力がだんだんと大きくなります。そして、水の温度が100℃になったときに、水が気体に変化しようとする圧力と、大気の圧力がおなじになります。このときに、ふっとうが起こるのです。

つまり、ふっとうには圧力の存在が欠かせません。水はつねに100℃でふっとうすると思ってしまいがちですが、極端な話、水に大きな圧力をかけていれば、100℃、200℃、300℃になってもふっとうしない状況を作り出すこともできるのです!

一方で、高い山の頂上では大気圧が低くなります。記事の中で説明した通り、山の上にかかる大気の重さが小さくなるからです。したがって、山の上では、水が気体になろうとする圧力は、水の温度が100℃に達する前に、大気圧よりも大きくなります。よって、水の沸点は低くなるのです。答えは

・高い山の上では、標高ゼロメートルの地点と比べて大気圧が低くなる。したがって、水が液体から気体になろうとする圧力を押さえる力が小さくなり、水の沸点(ふっとうする温度)が低くなるため。

となります。

最後に

本記事では、「圧力」に関して、基礎的な内容を解説しました。圧力とはいったい何なのか、水圧と大気圧の言葉の意味、またそれらの特徴について理解することができたでしょうか。特に、水圧と大気圧は身近な力ですが、目で見ることはないため、直感的に納得しづらい内容だったかと思います。視覚的に理解しづらい事柄は、何度も練習問題を解くことで、だんだんと理解に近づくことができます。この記事に乗せた図などを見返しながら、学習を進めるとよいと思います。それでは、引き続き中学受験理科の勉強を頑張ってください!

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