新小学6年生必見!データでスッキリ整理[畜産業・農業についてのまとめと覚え方のポイント]

これまで、「農業」にかかわる分野についていくつかの記事で説明してきました。今回は畜産業についての説明と、農業分野についてのまとめを書いていきます。畜産業については、「生産の特色」「都道府県」「問題点」という3つのポイントから勉強していきましょう。また、農業分野のまとめは入試前の知識の総ざらいや、初めて勉強する前の予習などにお使いください。

畜産物の生産

それでは、畜産業(ちくさんぎょう)について説明していきます。畜産業とは家畜(かちく)を育てて肉や乳製品、卵などを得る産業のことです。牛、ぶた、にわとりなどの肉の生産や、日本の畜産業における問題点などをしっかりと勉強しましょう。

肉の生産量

肉類の生産量は、昔と比べて大きく増えています。肉類の生産量・消費量が増えた背景には「食生活の洋風化」があります。稲作の記事でも触れたように、米や魚の消費量が減った一方で肉類の消費量が増え、それをまかなうために国内の生産量や輸入量も増加しました。

  •  ① 肉類の国内生産量

 (農林水産省HP「2018年度食料需給表」より髙橋作成、転載は記事名を明記の上で許可)

種類別に生産量を見ていくと、にわとりの肉の生産量が最も多くなっています。

  • ② 主な肉類の生産量

(農林水産省HP「2018年度食料需給表」より髙橋作成、転載は記事名を明記の上で許可)

主な家畜の飼育数

それでは、肉牛、乳牛、ぶた、肉用若鶏(わかどり)(ブロイラー)の飼育数を都道府県別にみていきましょう。酪農(牛乳などを生産すること)に用いられる乳牛と、食べるための肉牛を区別するところに注意してください。

下の表を見ても分かるように、北海道宮崎県鹿児島県が色々な順位でトップ3に入っています。これらの3つは畜産が非常にさかんな都道府県として覚えるようにしましょう。

  • ③ 主な家畜の飼育数が多い都道府県

(農林水産省「畜産統計」をもとに髙橋作成、転載は記事名を明記の上で許可)

牛肉の輸入・畜産業における問題点

オレンジと同じように、日本では国内の畜産業を守るために牛肉の輸入を制限していました。1991年に輸入が自由化されると、アメリカやオーストラリアなどからの安い牛肉の輸入が増えています。その一方で、日本の畜産農家では高級でおいしい「和牛」ブランドを作る動きも見られています。日本の「和牛」は海外にも輸出されており、とても人気となっています。

畜産業における問題点は、「えさ」に関する事がらです。家畜のえさはとうもろこしなどの穀物や大豆などが使われますが、これらは日本国内での生産量が少なく多くの部分を海外からの輸入にたよっています

そのため、畜産物の「食料自給率」(国内での消費量のうち、国産のえさを使って生産された畜産物の割合)は牛で10%、ぶたで6%、にわとりで8%と非常に低い値になっています。

一方で「食料国産率」(えさの生産地にかかわらず、国内で生産された畜産物の割合)は牛が42%、ぶたが48%、にわとりが64%です。つまり、たとえば牛では32%が輸入したえさに頼っているということになります。(2018年のデータ。農林水産省「食料需給表」参照)

「農業」のまとめ

それでは、「農業」の分野についておさらいしていきましょう。これから学習するという人も予習用にもぜひ読んでみてください。ポイントは「都道府県」「生産地」「生産の特色と問題点」の3つです。

生産量の多い都道府県

生産量の多い都道府県は、トップ3を覚えるようにしましょう。これがこの分野の基本になります。

主な作物の生産量トップ3の表(2枚目は穴埋め用になります)を付けておいたので、ぜひ印刷して使ってください。

主な作物の生産量トップ3

 (農林水産省HPをもとに髙橋作成、転載は記事名を明記の上で許可)

重要な生産地

米づくり(稲作)において重要なのは、「平野と川」をセットで覚えることです。特に、東北地方や新潟県の平野についてはまちがえないようにしてください。

野菜づくりについては、独特な生産方式をとっている地域を覚えましょう。たとえば、高冷地農業を行っている嬬恋(つまごい)村や野辺山原(のべやまはら)促成栽培を行っている高知平野や宮崎平野などです。逆に、野菜づくりで場所を覚えなければならないのはこれくらいです。

最後に、くだものや工芸作物についてです。これらの分野は問題となることが少ないので、覚える地域も少なく、特に重要なところだけ確実に覚えれば米づくりや野菜づくりの後に回しても構いません。ただし、難関中学を受験する予定の人はしっかり学習しましょう。

  •  ⑤ 主な作物の生産地

 (髙橋作成、転載は記事名を明記の上で許可)

これらのように具体的な場所を覚えないといけないときは、必ず地図帳を見ながら勉強するようにしましょう。

生産における特色と問題点

最後に、それぞれの分野で覚えた方が良い特色と問題点についておさらいします。

米づくりでは、客土(きゃくど)暗渠排水(あんきょはいすい)といった生産上のくふうがされていること、「あきたこまち」や「ひとめぼれ」といった産地ごとのブランド米が生産されていることがポイントです。また、

田起こし→代かき→田植え→中干し→稲刈り(いねかり)・脱穀(だっこく)

という生産の手順も頭に入れておきましょう。

一方の問題点は、「食生活の欧風化」が起きたことでお米の消費量が減っていたことです。お米が余るようになってしまったため、減反政策を行って生産量を調整していました。

野菜づくりの特色は、近郊農業促成栽培といった生産上のくふうです。2.2で説明した主な生産地とセットで覚えるようにしましょう。

野菜ではありませんが、小麦や大豆といった穀物の生産量が少ないことは問題点と言えます。これらの作物は食べるため以外にも家畜のえさなどにも使われますが、海外からの輸入にたよっている状況です(1.3も確認してください)。

くだものの分野では、1991年にオレンジの輸入が自由化されたことがとても大事です。安いオレンジが売られるようになり日本のみかん農家は大きな影響を受けましたが、それに対抗する形で生産の多様化や品種改良などのくふうも行ってきたこととあわせて覚えましょう。

  • ⑥ 生産の特色と問題点

 (髙橋作成、転載は記事名を明記の上で許可)

覚え方・考え方のコツ

さて、ここまで農業分野の重要ポイントをまとめてきました。

これらの分野は、まず生産地などを「暗記」するところがスタート地点です。しかし、なかなか覚えられない、覚えることが多すぎて大変…という人も多いと思います。

そこで、最後に農業分野について「覚え方・考え方のコツ」を紹介していきます。やみくもに覚えるのではなく、少しの「コツ」をつかめば楽に覚えられるようになります。これから社会を学習する人、途中でつまずいてしまった人などはぜひ参考にしてみてください。

ごろ合わせ

「暗記」といえばまず思いつくのはごろ合わせでしょう。ぼくも、受験生の時には野菜の生産地などをよくごろ合わせを使って覚えていました。

ごろ合わせで大事なことは、「自分で作ること」だと思っています。参考書やインターネットで見たものや先生に教えてもらったものを使うのもいいですが、自分で頭を使って思いついたごろ合わせはなかなか忘れません。また、ごろあわせを作る中でいつの間にか覚えていることもあります。

ごろ合わせを作る時には「迷うようなごろを使わない」ことに注意してください。たとえば、「長野県」を覚える時に「なが」というごろを使ったとします。しかし、いざ問題で出てきた時、「長野」と「長崎」で迷ってしまうかもしれないのです。なので、一目で「この都道府県だ」と分かるような言葉を使いましょう(もちろん、どちらかが分かるのであれば「なが」を使っても問題ありません)。

ぼくが昔使っていたごろあわせを一つ紹介すると、「もりのて」というものがあります。これはりんごの生産量トップ3(あおもり、ながの、いわて)のごろ合わせです。このように、自分で作ったごろ合わせは大学生になった今でも忘れずに覚えていました。自分で作るのはなかなか面白いですし、友達と教えあうのもいいかもしれません。

気候との関係で覚える

最初にごろ合わせを紹介しましたが、ごろ合わせはあくまで「最後の手段」だと思ってください。まずはしっかりと考えて答えをみちびけるようにするのが大事です。

農業を行う際にもっとも重要なのは「気候」です。なぜなら、その土地の気候に合っていない作物は、効率よく育てることができないからです。このことを頭に入れておけば、気候とセットで野菜やくだものの生産地を覚えることができます。

たとえば、美味しいりんごの栽培に適しているのはすずしく一年中降水量の少ないような地域です。そのため、平均気温の低い青森県や長野県(長野県は「内陸性気候」であり降水量が少ないのも特色です)でりんごの生産量が多くなっているのです。

また、ももやぶどう、おうとうといったくだものも、降水量が少なく1日の気温の寒暖差が大きい気候を好んでいます。この条件を満たしている山梨県や山形県、長野県(「内陸性気候」)は色々なくだものの生産量のトップ3に入っています。

はくさいやレタスなどはすずしい気候で良く育つため、日本では秋から冬にかけて栽培されることが多い野菜です。しかし、長野県や群馬県の標高の高い地域は夏でも気温が低いためこのような野菜の栽培ができます。これを活かし、他の地域とは季節をずらして野菜を出荷するのが「高冷地農業」です。

このように、気候と農業は切っても切れない関係を持っています。生産量が多い都道府県がどこなのか迷ったら、気候から考えてみるのもいいでしょう。

  • ⑦ 気候と農業の関係

 (髙橋作成、転載は記事名を明記の上で許可)

地図帳をチェック!

地理分野を勉強する時には地図帳を必ず手元に置いてください。オススメは、学んだことや覚えたことを地図帳に書き込んでいくことです。重要な地名に赤ペンなどで丸を付け、関連する事がらを近くに書いておきましょう。勉強していけば地図帳に色々なことが書き込まれていき、とても達成感があると思います。また、入試直前には地図帳だけ見返せば地理分野の復習が一気にできるはずです。

中学受験用の地図帳をよく見ると、地名の近くに野菜やくだものなどの絵が描いてあるものもあります。入試では地図を使った問題が出されることも多いので、地図帳を上手く使って効率よく勉強をしていきましょう。

日ごろからアンテナを張っておく

日ごろから、覚えられるように地理分野に触れておくのも一つの作戦だと思います。たとえばスーパーマーケットや八百屋に行けば色々な野菜やくだものが置いてありますが、その産地を注意して見てみてください。おそらく生産量が上位の都道府県が書いてあるものが多いと思います。また、東京都の近くに住んでいる人は千葉県や茨城県など(近郊農業)でできた野菜も多いはずです。

この記事に付いている生産量トップ3の表は印刷して机の前などに貼っておいて、毎日の勉強の前後にながめることをオススメします。お母さん・お父さんに問題を出してもらうのもいいですね。

まとめ

この記事では畜産業と農業分野についてまとめました。どちらも「産地」「都道府県」「生産の特色・問題点」という3つの軸にそって学習していきましょう。また暗記が難しいという人は3章を参考にしながら少しずつ覚えていってください。

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参考

  • 記事内の各リンクを参照してください。

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初めまして。髙橋利弥と言います。 武蔵中・高校から一年浪人を経て今年東京大学文科三類に入学しました。中高時代はサッカー部に所属し、高校では主将を務めていました。現在は体育会サッカー部のスタッフとして主にプレー分析などを担当しています。趣味は音楽を聴くことで、[ALEXANDROS]などの日本のバンドのほか、QUEENも好きです。ボヘミアン・ラプソディーは浪人していたにも関わらず公開直後に観に行ってしまいました。また、ライブに行くのも大好きです。高校時代は部活で忙しくてあまり行けず浪人の時も我慢していましたが、大学に入ったからには行きまくりたいと思います。今ハマっていることはハリウッド版のGODZILLAシリーズです。オリジナルのゴジラは見たことがないのですが、興味がわいてきて見てみたいと思っています。最後に、自分は昔から文章を書くことが好きでこうやってライターとして仕事ができることがとても嬉しいです。まだまだヘタクソですが、これから経験を積んで成長していきたいです。 よろしくお願いします。