絶対におさえておきたい!くだもの・工芸作物の3つのポイント

前回に引き続き、今回も農業に関する内容を説明していきます。

くだものと工芸作物は、野菜に比べて入試問題として出てくることの少ない分野です。覚えることはそれほど多くないですが、生産量上位の都道府県や主な生産地、また問題点などをしっかり学習しましょう。

くだものの生産

 くだものの生産について覚えておきたいことがらは主に「生産量上位の都道府県」「有名な産地」「生産と輸入における問題点」の3つです。一つ一つ、ていねいに見ていきましょう。

主なくだものの生産

 まずは、主なくだものの都道府県別の生産量を見ていきましょう。赤字の都道府県は必ず、上位3つの都道府県についてはできるだけ覚えるようにしてください。

表1 主なくだものの生産量が多い都道府県

(農林水産省「作物統計」をもとに髙橋作成、転載は記事名を明記の上で許可

出典

 りんごは青森県長野県での生産が有名です。特に青森県は日本全体の生産量のうち半分以上をしめており、県西部の津軽(つがる)平野(へいや)での栽培がさかんです。また、愛媛県では段々畑(だんだんばたけ)でみかんの栽培が行われています。

 生産量の多い都道府県を見ても分かるように、りんごは北の方の地域、みかんは南の方の地域で生産が多くなっています。りんごはすずしい気候を好み、逆にみかんはあたたかい気候を好むのがその理由です。このように、気候と関係させることで上位の都道府県も覚えやすくなります。

図1 愛媛県の段々畑

(出典:せいよじかん

主な生産地

 山梨県はももとぶどうという2つのくだものの生産量が日本一となっています。甲府盆地(こうふぼんち)扇状地(せんじょうち)でくだものの生産がさかんであることを頭に入れておいてください。

山梨県、長野県、山形県は様々なくだものの生産量ランキングで上位に入っています。山梨県や長野県は水や空気がきれいで、「昼と夜の温度差」「長い日照時間」「降水量の少なさ」というくだものの生産に適した条件がそろっています。そのため甘くておいしいくだものが育つのです。

 図2 くだものの主な産地

 (髙橋作成、転載は記事名を明記の上で許可)

くだものの生産と輸入

 日本では、生活が豊かになった1970年ごろからくだものの生産がさかんになりました。それから長らく輸入を制限していましたが、1991年にオレンジの輸入が自由化されました。それから輸入されるくだものの種類や量は増え、日本のみかん農家にとっては大きな問題となります。1996年ごろには、みかんの国内消費量は最も多い時の3分の1近くにまでへりました。

 外国産のオレンジに対抗するため、みかん農家も工夫を行っています。その一つが生産の多様化です。キウイフルーツなど、栽培するくだものを変えたり種類を増やしたりすることで売り上げを増やそうとしています。また、品種改良により高くてもおいしいみかんを作ったり(高級化・ブランド化)、ハウス栽培を行うことで出荷の時期をずらしたりといった工夫も見られます。

工芸作物の生産

 工芸作物とは、食料品や工業製品などに加工されてから人に用いられる農作物のことです。あまりふだんは気にしたことがないかもしれませんが、お茶や砂糖、たたみなど生活の中で欠かせないものになります。

中学受験では、特に6種類の作物について生産がさかんな都道府県を覚えましょう。

主な工芸作物の生産

 中学受験で覚えるべき工芸作物は、いぐささとうきびてんさいこんにゃくいも紅花(べにばな)の6種類です。工芸作物の生産と加工は各地の伝統的な産業・文化ともなっていて、地域の農業を支えています。また、静岡県の茶畑のように作っている景色が観光客を集める役割も持っています。

 茶(日本茶)の生産量は、長年静岡県が1位でした。しかし最近では鹿児島県での生産量も増えており、1位と2位が入れかわるかもしれません。なお、お茶というと京都府のイメージも強いかもしれませんが、生産量はそれほど多くないので注意しましょう。

図3 静岡県の茶畑

(出典:ハローナビしずおか

 いぐさは、たたみの原料となる作物です。熊本県の八代平野(やつしろへいや)で生産がさかんです。

 さとうきびてんさいは砂糖の原料となります。さとうきびは暖かいところでの生産が多く、沖縄県が有名です。てんさいはさとうだいこんとも呼ばれます。こちらは寒いところでの生産が多く北海道で特に生産がさかんになっています。

 こんにゃくいもはその名の通りこんにゃくに加工されます。群馬県の下仁田町(しもにたまち)というところでの生産がさかんです。ちなみに、下仁田町は「下仁田ねぎ」というねぎの生産も有名なので、合わせて覚えるようにしましょう。

 紅花は染め物の材料として用いされます。山形県での生産が有名です。

 表2 主な工芸作物の生産量が多い都道府県

 (農林水産省「作物統計」をもとに髙橋作成、転載は記事名を明記の上で許可

出典

主な工芸作物の生産地

 工芸作物の産地としては、2.1で書いた八代平野や下仁田町のほか、静岡県の牧ノ原を覚えましょう。台地状になっている地域で、茶の国内最大級の生産地です。

 図4 工芸作物の主な産地

 (髙橋作成、転載は記事名を明記の上で許可)

まとめ

 この記事ではくだものと工芸作物の生産について説明しました。

これらの「暗記もの」はつまらなく感じてしまうかもしれません。しかし、入試問題では正答率が高く万が一まちがえてしまうと差がついてしまいます。まずは、くだものについては上位3つの都道府県について、工芸作物については1位の都道府県についてしっかりと覚えるようにしましょう。

農業の分野について不安のある人は、合わせて米づくり野菜づくり、畜産についても確認してください。

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初めまして。髙橋利弥と言います。 武蔵中・高校から一年浪人を経て今年東京大学文科三類に入学しました。中高時代はサッカー部に所属し、高校では主将を務めていました。現在は体育会サッカー部のスタッフとして主にプレー分析などを担当しています。趣味は音楽を聴くことで、[ALEXANDROS]などの日本のバンドのほか、QUEENも好きです。ボヘミアン・ラプソディーは浪人していたにも関わらず公開直後に観に行ってしまいました。また、ライブに行くのも大好きです。高校時代は部活で忙しくてあまり行けず浪人の時も我慢していましたが、大学に入ったからには行きまくりたいと思います。今ハマっていることはハリウッド版のGODZILLAシリーズです。オリジナルのゴジラは見たことがないのですが、興味がわいてきて見てみたいと思っています。最後に、自分は昔から文章を書くことが好きでこうやってライターとして仕事ができることがとても嬉しいです。まだまだヘタクソですが、これから経験を積んで成長していきたいです。 よろしくお願いします。