2科目受験と4科目受験はどちらが有利?少科目受験・適性検査・英語入試について

中学受験といえば、「国語、算数、理科、社会」の4教科での入試が最も主流です。

しかし学校によっては、4教科でなくても受験ができる特定の日程を定めていることもあります。

4教科での入試以外で最も多いのは、「国語、算数」の2教科受験です。学校によっては、1教科での入試日を設けているところもあります。都立と同じ「適性検査型入試」を行う私立中学も珍しくありません。

また、2020年からのセンター試験廃止と学習指導要領グローバル化に伴い、帰国枠以外でも英語を使った入試を行う学校も増えてきました。

この記事では、4教科受験と2教科受験の比較と、東京都内の学校で国算理社のいずれかを使用する少科目受験適性検査型受験英語を使用する受験などを紹介していきます。

この記事で紹介されているデータは2021年7月現在のもの、学校名はそれぞれ五十音順です。

2科・4科選択の場合はどちらが得?

同日同時間の試験で、「2科・4科選択」を可能としている学校もいくつかあります。

一般的には、午前受験の場合は2科受験の生徒も4科受験の生徒も朝同じ時間に集合し、2科受験の生徒は算数と国語を受験したら退室します。

午後受験の場合は、午前受験と同様のパターンのほか、学校により2科受験の開始時刻が4科受験より遅く、終了時刻が同じというような場合があります。

さて、2科・4科を選択できる場合、どちらで受験するのが有利なのでしょうか?

答えは、「基本的に4教科での受験の方が有利」です。これは、合格者を選抜する際、一般的に2段階に分けて合格者を決定することが多いためです。

例えば、次のような合否の選抜方法があります。

1段階目 2科・4科選択に関係なく、国語と算数の2教科の合計点で合否を決定
2段階目 1段階目で合格となった受験生以外の中から、4教科の合計点で合否を決定

このように、2科で受験した場合には1段階目でしか合格を取ることはできませんが、4科で受験した場合には、1段階目と2段階目で2回のチャンスがあるのです。

ただし、受験勉強を開始した時期があまりにも遅い場合には、そこから4教科の受験に必要な学習時間を確保するのが難しいこともあり得るため、2教科に絞ったほうが良い場合もあり得ます。

しかし、中学受験で必要な理科と社会の知識は、中学校に入学した以降にも必要な知識でもあります。後々のことを考えれば、小学生のうちに学習内容を狭めてしまうのはあまり得策とは言えません。

例えば試験当日、午前に受験した学校からの移動で午後の4教科の開始時刻に間に合わない、というような場合に2教科受験を選択するのは仕方がないとは思います。

その他にもやむをえない事情がある場合を除いては、基本的には4教科で受験ができるように準備をしておいたほうが、現段階ではよいと言えます。

とはいえ今後については、受験科目がさらに多様化していくことも考えられるため、4教科の学習のみに限らずとも、自分の個性や能力をうまく活かした形で受験できる可能性が高くなっていくと思われます。

多様化していく受験科目

<国算理社からの少科目受験を行っている学校例>

学校によって、特定の試験日に受験科目を限定した入試を行うことがあります。

これは2科・4科選択を含めた一般入試とはやや性質が異なり、受験科目は学校側で指定されてる場合もあれば、得意教科を選択して受験できる場合もあります。

4教科のいずれかの入試でも一般入試の問題よりも難易度が高かったり、思考力・記述力を必要とするような問題を出題してきていたりする場合が多く、その科目に特化して強い受験生の獲得を目的としていることが考えられます。

少科目受験を行っている学校例として、このような学校があげられます。ここでは少ししか紹介していないので、気になる方は他にどんな学校があるか調べてみてください。

【少科目受験を行っている学校例】

少科目受験を行っている学校例

(各中学校の募集要項より。学校名は省略しています。)

<適性検査型入試を行っている学校例>

都立の中高一貫校の受験で行われている適性検査と同じような形式の「適性検査型入試」を導入している私立の中高一貫校も増えてきました。都立を第一志望とする受験生が、都立受験の前の練習として受験するパターンも多いようです。

「適性検査型入試」とは、国算理社のくくりをなくし、教科別の力ではなく総合的な力を見るタイプの入試になります。

算数と理科を合わせたような理系の問題、算数と社会を合わせたような文系の問題、そして作文があります。理系・文系の問題の中には、与えられた表やグラフなどの条件から考えさせたり計算させたりする問題が多いです。

知識を問われるというよりも、その場の条件に応じて考える力や自分の考えを相手に伝える力を問われていると思ったほうがよいでしょう。

都立入試と全く同じような形式で「適性検査型入試」を行う学校もあれば、「思考力入試」や「記述型入試」というような形で、独自の入試を行う学校もあります。

形式としては独自のものになりますが、問われる力としては適性検査型の入試と同じように、「考える力」と「相手に伝える力」が必要になります。

そのような入試を行う学校を何校か紹介します。

【総合力を見る入試を行っている学校例】

総合力を見る入試を行う学校例

(各中学校の募集要項より。学校名は省略しています。)

<英語を使用した入試を行っている学校例>

中学受験入試では、以前は帰国生枠の入試でしか英語を使用した入試はなかったのですが、現在は一般入試でも英語を使用した入試を行う学校が増えてきました。

小学校でも、現在5年生・6年生で扱っている英語の授業を3年生からに早めて開始し、実現されれば英語が算数や国語と同じように小学校でも重要科目となっていくようです。

学校により、「英検〇級以上、もしくは同等の英語力を有する」などの出願資格を設けている場合があります。また、「英検〇級以上の合格証のコピーを提出した場合は希望により英語の試験を免除」などの対応を取っている学校もあります。

入試形式は、記号選択制の問題が多く、学校によりリスニングや英作文が入ることもあります。

英語入試を実施している学校を数校紹介します。

【英語入試を行う学校例】

英語入試を行う学校例

首都圏模試センター資料より。学校名は省略しています。)

今後は形式や出願資格が変更していく可能性も高いため、詳細については学校説明会などへ参加したり、募集要項を必ず確認するようにしましょう。

まとめ……の前に

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まとめ

英語を使用した入試の導入は、今後も増えていく可能性が高いと思われます。

帰国生枠では、学校によって「帰国後〇年以内」などの条件が課されているため、英語能力が高くても一般入試で受験せざるを得ない場合もありました。

しかし近年は、一般入試でも英語を導入している場合には、帰国した時期に関わらず得意の英語を活かして受験することが可能になってきました。海外在住経験がなくとも、幼少期から英語を習っていたなど、英語が得意な生徒にとっては、今後ますますチャンスが広がることになるでしょう。

学校側も、より優秀な生徒を獲得するために、今後も入試日や入試形式を変更する可能性があります。気になる学校については、学校説明会へ参加しておきましょう。

特に、受験学年になった年には学校説明会へ参加するなどして、入試形態などが変更になっていないか必ず確認してください。

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