塾講師から見て勝負強い生徒、そうでない生徒

中学受験ナビの中で、「受験生の母親の立場からの体験談」はたくさんご紹介させていただいていますし、「塾講師の立場からの指導ポイント」も数多くご紹介させていただいていますが、「塾講師の立場からの体験談」についてはあまり書いてこなかったので、少し書いてみようかと思います。

個人がなるべく特定されないように書いていくので、曖昧になる部分もあるかと思いますが、よろしければお付き合いくださいませ。

なお、私の担当は算数なので、算数の話がメインになってしまうことが多いと思います。

好きこそものの上手なれ

算数が得意になる生徒は、いくつかの共通点があります。

  • 計算が速い、暗算が得意
  • 考えればわかることを考えるのが楽しいと思える
  • チャレンジ精神旺盛
  • 自発心が強く、負けず嫌い
  • パズルゲームに限らず、ゲーム性のある遊びが好き

この辺りは非常に納得がいくのではないでしょうか。必ずしもすべて当てはまるとは限りませんが、傾向としてこのような性格の子が多いのは確かだと思います。

上のような性格に加えて、「面倒くさがり」という一面もあります。これについては意外に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、「たくさん書くのが面倒くさいから、なるべく工夫して簡単に解こうとする」という発想につながります。

算数が好きな子は、自ら進んで算数の問題を解きたがります。たくさんの問題を解いて、もう解けるようになってしまった問題には魅力を感じず、もっと難しい謎に立ち向かいたくなるような性質を持っています。

他の教科でも同様に、国語が好きな子は読書をたくさんしている子が多いですし、理科や社会が好きな子は暇さえあれば図鑑や資料集を眺めています。好きだから触れている時間が長くなり、触れている時間が長いからどんどん知識を増やすことができ、さらに得意な状態になっていきます。

 

好きな教科によって成績の振れ幅が変わる

算数が得意な子は、テストのときは算数の問題の難易度によって成績の爆発度が大きく変わります。算数が難しいテストのときは好成績を取ってきますが、算数が簡単なテストのときは満点を取っても平均が高いのでさほどよい成績ではなかったりします。

これは算数に限った話ではなく、すべての教科において言えることではありますが、算数が一番その要素が強いことは確かです。なぜなら、4教科の中でも傾斜配点で理社より算国の方が配点が高いことが多く、なおかつ一問あたりの配点も高いためです。

理科や社会が得意な子は、算国のどちらかは武器になるように磨いておかないと、せっかく得意でもあまり他と点差を大きくつけられません。

国語が得意な子は、成績が大きく爆発することは少ないですが、大きく下がることもまた少ないはずです。国語は極端に平均点が下がるようなテストになることが少なく、記述があると満点を取ることが難しいために平均点が極端に高くなることも少ないためです。

 

さて、では4教科の中で一番全体の成績に大きく関わるのは、どの教科だと思いますか?算数だと思われる方が多いのではないでしょうか?

実は、一番影響力があるのは、国語です。

国語の成績が悪い生徒は、「文章を読み取れない」「漢字や語句の意味を正しく理解できていない」などの状態であることが多いです。6年生になっても国語が苦手な状態を放置しておくと、得意だったはずの算数や他の教科でも、点数が取れなくなっていきます。それは、他の3教科でも、文章の長い問題がどんどん増えていくので、成績が下がったとしても当然の結果なのです。

一番勝負強いのはどんな子か

ここまでの話でおわかりかと思いますが、勝負強いということは「国語が苦手ではない」ということが大前提にあります。国語が苦手な場合には、全体的に成績が下がり気味になることが多いです。

どんなに算数が好きでも、国語が苦手な子は入試でうまくいかないことがあります。2018年の開成中の入試がそうであったように、算数が極端に簡単な年に当たってしまったらそれまでです。

かといって、算数で得点できない子が勝負強いかというと、そんなはずはありません。また、理科や社会を疎かにしている場合は、それだけでマイナスからのスタートと同じ状況になります。

要するに、一番勝負強い子は、「4教科ともバランスよく学習しており、その中でも突出した得意科目がある子」です。そのようにバランスよく学習する背景には、「自己分析をきちんとできるかどうか」という部分があります。

自分が今、どの教科が得意で、どこが苦手なのかをきちんと把握し、苦手分野を極力潰していこうと努力している子。あくまでもバランスは崩さないように、得意科目も手を抜かないままに、苦手分野の学習に時間を割くことができる子です。

勝負強い生徒の一例

  • 範囲のあるテストより、範囲のないテストのほうが成績が良かった女の子。

サピックスのテストで、範囲があるマンスリーテストだと平均点そこそこの点数なのに、組み分けなどの実力テストだと毎回偏差値60超えという女の子がいました。休み時間にはいつも何かしら本を読んでいて、非常にマイペースな印象の子でした。

サピックスでαコースにいたことより、真ん中ちょっと上くらいのコースにいたことのほうが多かった子でしたが、女子学院中に合格していました。

  • 毎回のように質問をしに来ていた子たち。

質問に来るということは、自分のわからないところが把握できているということです。毎年、「質問教室常連」となる子たちが一定数いますが、そういう子たちはやはり勝負強い子が多かった印象です。

5年の途中から入って、最初は一番下のコースだったのに、テストのたびに着々と成績を上げて最終的に開成中に進学した男の子。

集団でやってきては先生に質問するだけでなく、お互いに教えられるところを教えあっていた女子集団は、女子学院、豊島岡に進学しました。

質問教室が混み合いすぎて思うように質問ができないため、個別指導を併用して麻布に合格した男の子もいました。

  • 文句なしに4教科バランスよく勉強していた子。

4教科とも偏差値60超えが当たり前の子たちも当然います。当然そういう子たちはほとんどが志望校に文句なしに合格しています。

豊島岡の入試激励の朝、「算数で満点取ってきまーす!」って笑顔で入試に立ち向かった女の子は忘れられません。(その子は桜蔭中に進学しました。)

2月1日からインフルエンザにかかって保健室受験だったけど開成中も筑駒中も合格したという生徒もいました。

別の年には、大手塾はほぼ使わずに独学と個別指導で開成中と筑駒中に合格した子もいました。

こういう子たちはちょっと別格すぎて、あまり参考にはならないのかもしれませんが…こういう子たちがトップ校に進学している中にはいるということです。

  • 自分に合った学校に出会えた子。

勝負強い、というのとはまた違う話になってしまうのですが、学校との相性の良し悪しが影響することもしばしばあります。

成績は常に平均前後をウロウロしていた女の子ですが、「過去問をやると、相性が良いみたいでなぜか点が取れる」と言って雙葉を受験し、実際に合格した女の子がいました。

また、毎年何人かは、「第一志望だけ合格できた(それ以外は不合格だった)」という生徒もいます。それって実力的にはどうなの?と不安に思うところもありますが、中学に入ってからちゃんと頑張ってくれているといいなと思います。

 

最後に

「勝負強さ」ということで、入試での合格不合格における話をメインにしましたが、人生における本当の勝負強さはそのあとの過ごし方で決まるのではないかと思います。

中学受験で培った「勉強をする姿勢」が中学に入ったあともずっと継続できるようであれば、それがよいのではないでしょうか。

中学受験はあくまでも通過点です。志望校に入っても入ってみてから「やっぱり合わなかった」ということもあり得ます。実際、そのような理由で中学受験をしたけれど高校受験もする、という場合もあります。大学付属に入ったけれど大学受験をする、という決意をした子もいます。

どの中学に入っても、そこから先の人生は決まっていません。決まったレールの上を走るわけではなく、自分の人生は自分で決めて進むべきです。

すでに中学受験を終えた方も、これから中学受験に立ち向かう方も、明るい未来に向かって進んでいってもらえたらと思います。

(ライター:桂川)

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