小学4年生・5年生の春期講習は必要ない?春休みにやるべきこととは

今回は、小学校4年生や5年生のころの、わが家や周囲の受験仲間のご家庭の受験生としての過ごし方を振り返った上で、春休みの過ごし方について考えていきたいと思います。

「春期講習は受講するべき?」「中学受験するのに遊ばせていいの?」「春休みは何をしておくべき?」などとお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。

息抜きは必要?

息抜き

多くのご家庭では小学校4年生に上がる直前、小学校3年生の2月から塾に通い初め、本格的に中学受験勉強を始めると思います。

中には、小学校1年生から学習習慣を身につけさせるために塾に通わせ、4年生になったら本格的な受験勉強を始めるというご家庭もあるでしょう。

中学受験が他の受験勉強と異なるのは、受験生が小学生という、まだまだ幼い子どもだということです。

自分で勉強のスケジュールを決めて確実に宿題をこなし、受験校まで決めてくる・・・そんな素晴らしい受験生ばかりなら、親御さんとしては心配する必要はないと思いますが、そううまくはいかないのが中学受験です。

ちょうどそのころは、反抗期に入るお子さんもいたり、学校の友達との関係性で悩んだり、中には受験をする意味を見出せなくて主体的に勉強ができないというお子さんも多い年頃です。

効果的に学習を進め、長丁場の中学受験を乗り越えるためには、適度な息抜きは必要不可欠です。1日も休まずに、ろくに休息もとらずに勉強を続ける、そんなことは大人である親御さんでもできないですよね。

入試までの2年、3年という長い準備期間を費やすのですから、お子さんも、そして親御さんも、上手く息抜きをしていくことが乗り切るコツです。

小学校6年生ともなれば、受験学年なのでなかなか息抜きをゆっくりする、ということは難しいかもしれませんが、4年生や5年生の間は、比較的息抜きもしやすい時期です。

まだ受験まで時間があるだけに、息抜きだけでなく、受験について親子で話し合う貴重な時間をとることもできます。

4年生・5年生は「受験生」であることをあまり意識しなかった

「受験生」であること

わが家の場合、小学校4年生・5年生のころは、あまり「中学受験をするんだから」という意識を持ちすぎないようにしていました。

たとえば、長期休暇を家族でどのように過ごすか、どこに旅行に行こうか、などの予定を立てたりしていました。まるで講習会などないかのように計画を立てたものです。

そうとは言っても、サピックスの夏期講習や冬期講習、習い事として続けていたアイスホッケーや野球などの練習や試合、合宿、遠征もありました。

学校の自由研究などの宿題もありましたから、塾の講習、宿題と学校の宿題、あとは習い事、それだけでほぼ長期休暇の予定は埋まってしまっていたので、実際はあまり遊ぶ予定は立てられませんでしたが・・・。

意識して息抜きの時間を作る

「よく遊び、よく学べ」

塾の講習や宿題、学校の宿題、習い事で正直いっぱいいっぱいのスケジュールではありましたが、そんな中でも、意識して時間を作っていたことがありました。

それは、家族で「キャンプ」「スキー」「映画」に行く時間でした。

キャンプやスキーは毎年の恒例行事でしたので、子どももとても楽しみにしていました。楽しみにしている年中行事を、中学受験があるからといって全くなくしてしまっては、かえって勉強をがんばろうというやる気にも影響しかねないと考えて意識してスケジュールの中に取り入れたのです。

受験期間中の息抜きの考え方はご家庭それぞれだとは思いますが、私としては「よく学び、よく遊べ」をモットーにしていました。勉強も習い事も、やるときは思いっきりやり、逆に遊ぶときは思いっきり遊ぶことを徹底するくらいでいいと思っていました。

特にわが家の場合は「キャンプ」や「スキー」を年中行事にしていましたが自然と触れ合うということは、大人にとっても子どもにとっても、いろいろな意味で「心のデトックス」になり、生きる力を与えてくれる原動力になっていたのではと今でも思います。

どんなことでもいいと思います。受験のことが全く頭から離れることはないかもしれませんがお子さんが見聞を広めたり、親御さんが少し受験勉強のプレッシャーから解放されてリラックスする時間を作ったりすることができれば、親子の関係も良好に保ちながら中学受験を乗り越えることができるのではないかと思います。

長期休暇期間中などは、お友達からのお誘いも多いかと思います。わが家では、半日程度で済むようなお誘いは、塾の時間と重なっていない限り、基本的に全てOKにしていました。

子ども、しかも小学生ですから、ときにはお友達と時間を忘れて遊んで、塾の宿題が間に合わなかった・・・ということももちろんありました。

宿題が間に合わずに、実際に痛い思いをするのは子ども自身です。一度痛い目を見ると、だんだんと「塾の宿題をいつまでに終わらせたい」という気持ちや計画性が自然と身につくようになり、お友達からのお誘いがあっても、塾の宿題を優先させる日も増えてきました。

少しずつ子ども自身にも、受験生であるという自覚が芽生えるきっかけになったのではないかと思います。

塾の春期講習をどう考えるか

春期講習

わが家では小学校4年生が終わった後、5年生になる前の春期講習は受講しませんでした。

当時通っていたサピックスからは受講をすすめられ、言葉は悪いですが、半ば脅されました。今となっては笑い話ですが・・・。

息子の友人で、御三家に合格したご家庭でも、5年生の春季講習は受講しない、という選択をした方もいらっしゃいました。そのご家庭では、5年生になる春休みは家族旅行に行かれたようです。

正直なところ、5年生の4月以降の塾のカリキュラムには、その直前の春期講習の内容はそれほど影響しないように私には思えました。

どちらかというとそれまでにやったことの復習が中心で(もちろんそれは大切なことですが)、日数も少なく、「それを受講しないと中学受験は絶対失敗する」とは思いませんでした。

それよりは、子どもらしく楽しく遊ばせるなり、苦手科目や分野の自学自習をするなり、個別対策をするなり、お子さんの状況に合わせることが大切です。

ご家庭の判断によって、皆とそろって講習を受けるよりも、自分に必要なこと、今しかできないことを重視して、汎用性を持たせてもよいのではないかな、と思います。次の年には間違いなくできないことですから・・・。

ときどきひとりでぼーっとさせるというのもあり?

ぼーっとする

息抜きの方法は、何もお友達と遊ばせるだけではありません。大人でもそうではないかと思うのですが、「何もする必要がない時間」、1日何に追われることもなく、ぼーっとしていい日を作るのもありなのではないかと思います。

6年生になると、そのようにぼーっとする時間を作ることも正直厳しいですから、そういう時間を作るなら、4年生、5年生のうちです。

実は著名な脳科学者や精神科医の先生の著書にもあるのですが、「ぼーっとしている」時間の方が実は脳は活性化しており、脳の健康のためにいいのだとか。

もちろん、毎日ぼーっとして何もしないでいいということではありません。勉強の合間に、ちょっとだけぼーっとしてもいい時間を作ると、その後の勉強もかなりはかどると言われています。

とはいえ、実のところ親である私自身にそのような勇気がなくて、子どもがぼーっとしていい時間を作ることは実際にはあまりできなかったのですが・・・。

大人でも、ずっと仕事のことばかり考えて緊張感が高じると、頭が働かなくなり、焦りばかりが募ることがありますよね。

1日ぼーっとする時間を作る勇気がなくても、何時から何時までの間は好きなことをしていい、あるいはぼーっとしていてもいいという時間を作ることができると、親子ともどもリラックスできて良い影響があると思います。

映画・動画・ゲームも効果的

記憶に残す

これもみなさんご存知なのではないかと思いますが、言葉や文書と映像を両方同時にインプットすると、人間の記憶に残りやすいです。

そこでわが家では、社会や理科の暗記ものなどは、取り組んでいる分野に関係がありそうな映画や動画を探して、一緒に見て、説明と一緒にインプットするように心がけていました。

また、受験生なんだからゲームはNG!というご家庭もあるかとは思いますが、実はファイナルファンタジーなどのRPG(ロールプレイングゲーム)は、ワーキングメモリという、記憶力や判断力を養うのに非常に有効なのだそうです。

そのような効果があるということを考えると、ゲームも種類を選べば、息抜きと同時に脳を鍛えられる道具になりそうですね。

もちろん、子どもは楽しさのあまり時間を忘れてしまいますから、制限時間を設けて、時間がきたらここまで、という約束は親子の間できちんとしておく必要があるでしょう。

まとめ

周りのご家庭をみても、遊びと勉強のメリハリをうまくつけられていたご家庭の方が、満足のいく受験結果が得られていたな、と感じています。

どうしても、親からすると受験準備中に子どもを自由に遊ばせたり、自由時間をたっぷりとったり、ひいては家族での旅行や行事などに時間をとったりすることについて、本当に大丈夫だろうかと心配になり、実行するには結構な勇気が必要だと思います。

でも、健全な親子関係を保つためにはもちろん、効率的にメリハリをつけて受験勉強を進めていくためにも、小学校4年生・5年生の春くらいまでは、ときにはとことん遊ばせたり、家族で出かけてリフレッシュしたりすることはとても重要なことだと身にしみて感じています。

普段と違う環境に身を置くことによって、親も子も少しだけ立ち止まって、これからの過ごし方を考えてみる、それは子どもにとっても自立に必要な時間です。

勇気のいることではありますが、ただ目的もなく遊ぶのではなく、リフレッシュして脳を活性化しよう、今しかできない経験を家族でしてみよう、などとご家庭なりの息抜き方法を考えてみてはいかがでしょうか。

息をつめて勉強に追われがちな中学受験も、また違って見えてくるようになるかもしれません。

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参考

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。