【中学受験】国語力で合否が分かれる!漫然と勉強していませんか?

今年は新型コロナウイルスの影響もあって、例年以上に夏休みの学習が受験に及ぼす影響は大きくなると考えられます。先の見えない不安もあり、受験生の皆さんは何から手を付けたらよいのか悩んでいるのではないでしょうか。

知識や問題演習をしなきゃ、ということで算数、理科、社会については比較的具体的な学習すべきことが見えているかもしれません。ですが、国語はどうでしょうか?何を、どのように進めようという計画は立てられていますか?

国語は、普段から使っていることばを運用することに特化している教科であるため、直前期に過去問を解けば何とかなる、と考えるご家庭は非常に多いです。しかし、それは間違いです。なぜなら、算数、理科、社会を解く際にも、文章を正確に読まなければ条件を読み誤ってしまい問題が解けません。また、記述問題が各教科で出題される傾向にあるので、国語力がなければ伝えるべきことを過不足なく書くということができず、結局点数を落としてしまうことになるのです。

ですから、入試においては、「国語力」の有無が合否を分けると言っても過言ではありません。読む力、書く力、整理する力、語彙力、そういった力を総合的に見につける必要がある、それが中学受験で求められる国語力です。後回しにしても大丈夫、そういう教科ではないことをまず意識しましょう。

今回は、夏休み前のこの時期に押さえておくべき、自宅での国語の学習のポイントについて解説します。漠然としていてあまり考えたことがない、という方も、ポイントを押さえた学習をして国語力を上げ、合格に向けて邁進していきましょう。

学習する内容を取捨選択するのがポイント

新型コロナウィルスの影響で、今年は小学校の夏休みが短くなると考えられます。夏休みを短縮して授業時間にあてるので、受験生はそれも踏まえて夏休みの学習を組み立てる必要があります。一方、塾の夏期講習もおこなわれますが、このように夏休みが短縮される影響で、限られた時間、日数で夏期講習で組まれているカリキュラムをこなすことになるので、1日の拘束時間が長くなったり、スケジュールが非常に過密になる可能性があるので注意が必要です。

場合によっては、小学校で短縮時間授業をうけ、そのあと塾に行って夏期講習を受け、さらに帰宅してから宿題をする、という目の回るようなスケジュールに追われる、ということも考えられます。そうすると、自分の弱点克服等、自分のペースで自分のための学習を取り組むことができる時間はあまりとれないかもしれません。だからこそ、夏休み中にやるべきことに優先順位をつけて、ときには取捨選択して、「いま、何をするべきか」ということを常に意識して学習を進めることが非常に重要です。

国語力はすべての教科の土台

なかなか自宅学習の時間が取れない可能性がある今年の夏休みですが、だからこそ、時間の使い方がいかに効率的にできるか、ということが学習の質量ともに上げていくポイントになります。そのために、やはり学習計画を立てて着実に毎日進めていくことが必要になってきます。

特に国語は、ほかの教科を意識するあまり、どうしても後回しにされがちです。受験生や保護者の皆さんが気になるのは何といっても受験算数でしょう。算数に一番力を入れ、その次に社会や理科の暗記をする、というところまではイメージできるかもしれませんが、受験勉強における国語についてはどのようにお考えでしょうか?

一番の問題は、「国語は勉強してもあまり点数が伸びないから」という理由で、学習時間をあまりとらず、テストや模試の復習もしない、といったように学習をおざなりにしている受験生が非常に多い、ということです。

しかし、国語力は、すべての教科の土台となる重要な力です。いくら算数に時間をかけても、問題文を正確に読むことができなくては、前提条件や重要な数字を見落としたり、場合によっては速さの問題でAさん、Bさんが出てきたときに求めるのが「Aさんの速さ」なのか「Bさんの速さ」なのかを勘違いしてしまい、できているのに答えの欄に違う答えを書いてしまったりして点数を失う、といったことも良くあります。それでは、いくら算数に時間をかけて問題をたくさん解いても得点力を養うことはできませんよね。

だからこそ、長文読解をしっかりおこない、選択肢を吟味するなどのしっかりした読解力を身につけ、語彙力や記述力を身につけるといった国語の学習は、夏休みに最も意識しておこなうべきなのです。

国語の学習計画を立てよう

国語の学習にとって夏休みは、漢字や慣用句、四字熟語などのことばの知識を問題集などで総チェックし、読解問題については細かく正確に読む「精読力」を高めるように意識しながら、入試レベルの難しく長い文章に挑戦する時期であるはずです。しかし、ほかの3教科の学習に追われてしまい、国語のこういった学習を軽視しているとそれら3教科にも影響が必ず出てきます。だからこそ、おろそかにしてはいけません。

塾の夏期講習では、入試問題の演習をおこない、そのあと解説、という形式で進んでいきますが、国語力のアップのためにはその講習頼みは通用しません。自宅学習でいかに精読できるか、知識を繰り返し頭に叩き込めるか、「書く力」を養成できるかが非常に大事です。

ですが、今年の夏休みは短縮されるでしょうから、当然自宅学習の時間も限られてしまうでしょう。ですから、効率よく学習をおこなうことがいつも以上に要求されます。効率よく学習を進めるためには、自分がどのような文種の読解で点数が取れないのか、読解力がどこまで身についているのか、語彙力は足りているか、といった、いま何を克服しなければいけないのか、ということを把握することが何より大切です。ただやみくもに問題を解いても力はつかないので、取り組むべき課題をきちんと決め、計画立てて学習を進める必要があるのは、国語もほかの教科も同じです。

夏休みが始まる前に、これまでの模試や塾の授業で解いた読解問題の結果などを振り返りましょう。そして、親子で「どういうところができていないのか」「どこまではできているのか」ということをしっかり話し合い、確認してください。また、読解力が必要だからとやみくもに問題を解けばいいというものではありません。もしかすると語彙力不足が読解問題を解く際のネックになっている可能性もあります。ことわざや慣用句に自信がない、ことばの意味を聞かれる問題で間違えることがあるので語彙力が不足している、物語文が苦手、論説文が苦手、など、受験生一人ひとり抱えている課題は違いますし、それが当然です。

このように自分がどういうところが弱点なのか、ということを押さえたうえで、夏休みの間に何を重点的に学習するのが良いのかを一緒に絞り込んでいきましょう。読解問題を解くときにはまとまった時間が必要になりますが、週に2~3本は読解問題を解く時間を確保できるようにすることをおすすめします。また、語彙力やことばの問題については、隙間時間を上手く使うのがおすすめです。このように、毎日どこかで国語に触れる、といったように学習計画を立てましょう。

やることの取捨選択が重要

国語が重要な教科である以上、ある程度の時間をかけて夏休み中に学習を進める必要があります。ですが、学習計画を立てるにあたっては、あれもこれもやらなければ、と焦って詰め込んでしまうご家庭が多いです。しかし、欲張りすぎると4教科の学習の兼ね合いが取れず、かえってうまく時間を使うことができなくなってしまいます。そこで必要なのが、「やるべきことを取捨選択すること」です。

たとえば、これまでの模試でも漢字はほとんど間違えてこなかった、というなら、夏休みの間の漢字学習は塾の授業の復習をしっかりやるにとどめてあまり時間をかけない、選択肢問題でよく間違えるのなら、なぜ間違えるのかというところまでさかのぼって考えるように時間をとる、といった具合です。逆に、漢字で毎回間違えている場合は、その間違えた漢字を集めて復習することも必要になるでしょう。

読解問題については、志望校の過去問の傾向を塾の先生などに分析してもらい、詩や文法の問題は出題する学校が限られているので、夏休みには特別な対策の時間はとらない、むしろほかの文種に時間をあてる、といった割り切りも必要です。塾の夏期講習のカリキュラムには文法や詩を扱うところもありますが、それは授業中に集中して学習し、家ではほかの単元の学習をする、などメリハリをつけましょう。

また、記述問題を心配する保護者の方は非常に多いですが、たしかに模試では必ずと言っていいほど記述問題が出題されるので、これまで模試で足を引っ張っていたから何とかしなければ、とお考えになるのももっともなことです。「うちの子、記述問題が全然できないんです。どうやったらできるようになりますか?」といいうご質問も良く受けます。

たしかに、記述力は非常に大事なことですし、いずれ身につけなければならない力ではありますが、これも志望校が選択肢問題中心で記述問題をほとんど出すことがない場合は、いくら模試の記述問題ができるようになっても、入試ではあまり力を発揮できないでしょう。もし、志望校の毎年の出題傾向を見て、記述問題のウエイトが低ければ、無理に夏休みの間に記述練習をする必要はありません。むしろほかの弱点補強に時間を使いましょう。

まとめ

国語はどうしても後回しになってしまう教科ですが、すべての教科の土台になる教科です。国語力がなければ、ほかのどの教科の成績もいずれ伸びなくなってしまいます。そのことに夏前に気づくことができれば、実力をアップし、相乗効果でほかの教科の成績も上がっていきます

今回は、夏休みの国語の勉強をする際に必要な視点をご紹介しました。次回は、国語の過去問の扱いについて解説します。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。