物語文の読解のコツ~求められるのは「客観性」

中学受験の国語の読解問題では、論説文・説明文、物語文、詩や随筆などがあります。多くの学校で出題されるのが論説・説明文、物語文です。

論説・説明文の読解というと、身構えてしまうお子さんがとても多いです。難しい言葉がちりばめられ、何が書いているのかわからないで終わってしまった・・・そういう経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

では、物語文の読解はどうでしょう。比較的平易な言葉で書かれており、また、お子さんと同年代の登場人物が主人公であることも多く、感情移入できれば「読む」ことに抵抗感はそれほどないでしょう。

しかし、これが「物語文の読解」となると話は別です。ただ楽しんで読むだけでは、設問に答えることができず、「読めたはずなのに点数が取れなかった」ということが非常に多いのです。

物語文の読解にも、論理的な「根拠」をつかむことが必要です。今回は、物語文の読解のポイントについて説明していきます。

「どんな場面が描かれているか」をおさえる!

物語文は、最初に書いたように、登場人物の感情の変化を読み取ることが中心になります。ですから、感情を表す部分だけに気を取られてしまいがちです。

ですが、国語の読解問題では、長文の一部を切り取って読み取らせる形をとっていますから、前後があるわけです。出題されている文章が、どんな「場面」を描いているのか、それをつかまなければ文章の流れを読み誤ってしまいます。

「場面」と言っても難しいことを読み取るのではありません。基本は、

  • いつ
  • どこで、またはどんなときに
  • だれが
  • なにをした

これを押さえられればいいのです。

よくある形として、「今日、みちこさんが学校に来なかった。私はもしかすると昨日の出来事が原因なのではないかと思って心配になった。」という、「今日」のことの次に、「実は昨日、このようなことがあった・・・」と、回想シーンとでもいいましょうか、「昨日」の出来事が書かれている部分が続いていることがあります。そのときに、ある出来事が「今日」起こったのか、「昨日」起こったことなのか、そこを読み飛ばしてしまうと、途中で読んでいて混乱してしまうということがあります。

登場人物の気持ちは決して単独で描かれるものではありません。「場面」が続いていき、その中で「気持ち」が描かれているのです。

物語文の読解では、「いま、どのような場面なのか」ということを正確に押さえながら読み進むようにしましょう

一番のポイント~登場人物の「気持ちを表すことば」を探し出そう

物語文は、ストーリーが具体的に展開していくので、比較的読みやすいはずですが、物語文の一番のポイントである「登場人物の気持ち」をつかむのが苦手というお子さんは非常に多いです。それは、普段から感受性が豊かなお子さんであっても同じです。

なぜでしょうか?物語文の読解に求められていることは、「登場人物の気持ちを客観的に読み取る」ことであり、しかも答えやヒントはすべて文中に書かれているからです。

読みやすい文章だからと、お子さんが自分の目線で「あ、これはこういうことだ」と勝手に思い込んで読み進み、設問では間違いを連発してしまう原因は、ここにあります。「物語文」であっても、読解するにあたっては、フィーリングで読んでは正解は遠のいてしまいます。

ですが、「客観的に」読み取るということは小学生にはなかなか抽象的でピンとこないものです。そこで、「登場人物の気持ちを探そう!」という宝探しゲームのように、「気持ちを表すことば」を読み取っていく方法を実践することをお勧めします。

「気持ちを表すことば」は、文章のどのような部分に現れているでしょうか?大きく分けて。

  1. 感情語
  2. 言動(セリフと行動)
  3. 情景描写

が挙げられます。

1.の感情語とは、登場人物の気持ちを直接表している言葉です。「楽しかった」「悔しかった」など、親しみのある言葉が多いでしょうから、見つけるのもそれほど難しくないでしょう。

2.の「言動」は、登場人物の発言(セリフ)や行動で気持ちを表すものです。たとえば、「もういいよ!と言って、彼は思い切り部屋のドアを閉めた」などです。「もういいよ!」「思い切り」というセリフと行動から、「彼」が怒っている、いら立っていることが読み取れます。

3.の「情景描写」は少し難しいかもしれませんが、風景や様子を描写して気持ちを表している部分のことです。たとえば、「それはある大雨の夜のことだった。」などはどうでしょう。なにか事件が起こりそうな気がしますね。また、「空を見上げると、さっきまで曇っていたのに、雲の間から太陽の光がさしこんできた」という描写では、なにか明るい将来が待っているように感じるでしょう。

ちょっと俗な話にはなりますが、サスペンスドラマの最後で犯人が刑事に、「もう逃げられないぞ!」と断崖絶壁に追い詰められている場面がよくありますが、これも犯人の「追い詰められた、もうどうにもならないという絶望的な気持ち」を表す情景描写の例といえます。

このような、「気持ちを表すことば」をどれだけ正確に、文章から読み取れるかが物語文の読解の一番大きなポイントになります。

「気持ちを表すことば」をチェックして残しておこう

せっかく「気持ちを表すことば」をみつけても、何もチェックしないで読み飛ばしてしまっては、そのあと待っている設問に答えることはできません。大事なのは、みつけた「気持ちを表すことば」が登場人物にとってどのような意味をもっているのかチェックして、文章に残しておくことです。

チェックといっても、簡単なことです。みつけた「気持ちを表すことば」(感情語、言動、情景描写)を、「プラス」と「マイナス」に分けながら読み、書き込んでおくのです。「楽しい」「うれしい」はプラス、「悲しい」「いやだ」はマイナスになりますね。「頑張ろう」などの前向きなことばはプラス、「ほっといてよ!」などの後ろ向きなことばはマイナスに分類できます。情景描写については、「大雨の夜」「雲の間から光がさしこんでいた」の例を思い出してください。

ただし、なかにはプラスなのかマイナスなのか一読しただけではわからないものもあります。その場合は△をつけておき、読み進んでわかったらプラス、マイナスと書き加えておきましょう。

この「プラス」「マイナス」チェックを行うことで、今の登場人物の気持ちがどういう状態なのか、客観的に、しかも細かくつかむことができるのです。これを習慣にしておくと、文章全体を見たときに、登場人物の気持ちがどのように変化していったのか、理解しやすくなります。

ご家庭で文章を一緒に読む機会に、対話しながらプラス?マイナス?と聞いてみてあげるのも良いでしょう。

登場人物がなぜそのような「気持ち」になったのか整理しよう

ここまでで、どのようなポイントに気をつけて登場人物の気持ちをチェックするか概ねわかってきたと思います。ですが、まだ「気持ち」そのものの部分だけです。「気持ちを表すことば」を読み取れたら、今度はそのことばをヒントにして、登場人物がなぜそのような「気持ち」になったのか整理し、説明できるようにする必要があります。

つまり、そのような「気持ち」になった理由を本文中から読み取るのです。

ここで役に立つのが、最初に挙げた「場面の読み取り」です。そこには、どのような出来事があり、だれとどんな会話を交わしたか、などヒントがたくさん書かれています。それらがあるから、登場人物は「気持ち」をもつのです。ですから、文中に書かれている場面と気持ちを表すことばを整理しながら読み進んでいれば、「○○だったので△△な気持ちになった」ということが説明できるようになります。

「気持ち」は単独で存在するものではありません。必ず、そのような気持ちになった「理由」があります。場面を読み取りながら気持ちのプラスマイナスを考え、整理しながら読み進めることができれば、「そのような気持ちになったのはなぜですか」といった設問にも答えることができますし、記述問題にも対応することができます。

設問の選択肢にもプラスマイナスチェックをしてみよう

文章中の「気持ちを表すことば」にプラス、マイナスのチェックを入れる方法をさきほど書きましたが、設問の選択肢にもプラス、マイナスのチェックを入れてみると、正答率がアップします。

たとえば、本文中に「太郎はうきうきした気持ちになった」という部分があり、そこに傍線が引かれて「太郎がうきうきした気持ちになった」のはなぜですか、という設問になっていたとします。太郎は「うきうき」した気持ちになったのですから、その気持ちは「プラス」ですよね。選択肢には、「うきうき」した気持ちになった理由の候補が複数並んでいるはずです。

そうすると、まず、マイナスのことが書かれている選択肢はプラスの気持ちの理由になりませんから、省くことができます。あとは、文章中に書かれているプラスの内容の、「うきうき」の理由を選べばよいわけです。

ひっかからないようにしなければいけないのは、気持ちの理由を聞いているのに、プラスもマイナスも選択肢中に書かれていないものが混ざっている場合です。それも、選択肢にプラス、マイナスのチェックを入れてみることによって選んではいけない選択肢だ、とわかるのです。

読解問題で読まなければならないのは、問題文だけではありません。選択肢も立派な文ですから、読み飛ばさずに細かくチェックする習慣をつけてください。

まとめ

さきほども書きましたが、物語文の読解であくまで求められているのは「登場人物の」気持ちを「客観的に」よみとることです。お子さんの「自分の気持ち」を「主観的」に聞いているわけではないのです。論説・説明文より読みやすい物語文、そこには「客観的」「主観的」という決定的な違いがあり、主観的に読んでしまっては文章の内容がわかった気になっても、設問に答えることはまずできません。聞かれているのは登場人物の気持ちであって、お子さんの気持ちではないからです。

あくまで、「気持ち」も「理由」も、問われる要素はすべて文章中に書かれているという意識を忘れずに、「登場人物は」「なぜ」「そう思ったのか」を、文章中に根拠を求めて読み取る姿勢を忘れないように心がけてください。

 

 

 

 

 

 

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