皆さん、夏休みの宿題はもう終わりましたか?
小学校も、中学校も、高校も、夏休みの宿題の定番と言えば読書感想文ですね。
毎年毎年、当たり前のように夏休みや冬休みなど長期休暇になると宿題として出されるのに、読書感想文の宿題ほど楽なものはない、なんて思っている人はほどんど聞いたことがありません。
なぜいい加減、慣れないものなのでしょうか?笑
それには理由が大きく二つあると思うのです。
1つは、当たり前ですが毎回題材が違うこと。課題図書は毎年違いますし、学年が進めばどんどん活字の量が増えて行きます。去年やった課題図書はよく理解が出来てとても良い感想文が書けたのだけれど、今年のものは内容があんまり頭に入ってこなくて上手く感想文が書けない…なんていうことも大いにありえるでしょう。それはしかたのないことで、防ぎようのないことですから、やはり普段から出来るだけ読書の習慣をつけるようにして、文章を読み慣れておく必要があると思います。
どんな本に対しても、感想を持つためにはまずは内容が理解出来なければならないわけで、内容を理解するにはある程度の(その学年に応じた)読解力が求められるわけなのですから、少なくてもその学年で内容理解が必要と示されている書籍について、読み慣れておいて決して損はありません。
では2つ目は、というと、そもそも『読書感想文』とは何かの定義がぼんやりしていることだと思います。特にわかりにくいのが、あらすじと要約と感想文の間の違いです。
あらすじというのは、”その本のおおまかな内容”ということです。つまり、どういう主人公が、いつ、どういう出来事を通して、どこで何をどうしたか、5W1Hで簡単に書いてあることをかいつまんで述べて、その本を読んだことがない人でも何が書いてあるのかが容易に想像つくように紹介するようなこと、と思えば良いと思います。
要約というのは、”その本の『要点や要旨』をくみ取ってわかりやすい言葉にまとめる”ということです。要点や要旨は、筆者がその文章を通して読者に最も伝えたい点のことですが、筆者もそっくりそのまま書いてしまっては短い文章で終わってしまう為わざわざ物語文や論説文にする必要がなくなってしまいますし、書くおもしろさや読むおもしろさも失われてしまいますから、ある程度は想像力を膨らませてそこを読み取ってもらうように工夫してあります。したがって、必ずしもその要点や要旨というのは文章中に文字で書いてあるとは限りませんから、それを見つけて読み取ることは結構難しいと思います。
では最後になりましたが感想文はどういうものかというと、”その物語なり文章を読んで読者が考えたことを他人に伝わりやすく書く”というだけの、上記の3つの作業の中では一番シンプルで簡単なものになります。何故簡単かというと、読者が考えたこと、つまり読者それぞれの心の中に浮かんだことを書けば良いわけですから正解や良い解答例といったものがあるわけではなく、つまり何を書くかは100%読者の自由、ということになるからなのです。(少し前にSNSで、学校から示された感想文のお手本が話題になっていましたが、感想文本来の意義を考えると少し疑問の残る対応とも言えます)
人が何を思うか、何を考えるかに正解はありませんよね。だからこそ、自分と違う考えを持っている人に出会うのは面白いのですし、色々な人の色々な考えかたを聞くと勉強になるのです。読書感想文も同じようなもので、課題図書になっている同じひとつの文章を例えば200人の生徒が読んだら、1つも同じ感想文は出てこないでしょう。ですから、人と少しではなく大幅に異なった感想や考えを書けば書くほど、その感想文は読む人にとってとても面白く、貴重なものになるはずです。わざと奇抜にする必要はもちろんありませんが、そういうことなので、出来るだけ思ったままをストレートに、正直に、ためらわないで書いてもらえたら良い感想文が書けるのではないかな、と思います。感想文でも日記でも、自分が考えていることを文章にして他人に伝えるって、とっても素敵なことだと思いませんか。
今年の読書感想文は、ぜひ世界の中であなたしか思い浮かばなかったことを文章にしてみてくださいね。
健闘をお祈りいたします。