「最近、AO入試や推薦入試という言葉をよく聞くけれど、自分が受けられるのかがよく分からない…。」このような悩みを持っている方は多いのではないでしょうか。
今回は、AO入試や推薦入試を受験するかどうかを決める前に考えておきたいことをまとめていきます。
そもそもAO入試、推薦入試とは何か
推薦入試と一言で言っても色々なものがあります。
例えば、よく耳にする「指定校推薦」というものは、今回ご説明するAO入試、推薦入試には含まれません。
指定校推薦の場合は、「〇〇高校の中で何人」というように、学校単位で推薦する人数が決まっています。
評定平均がボーダーとして設定されており、この数値が年によって変わることもある点に注意が必要です。
また、4.1以上が条件の学校に希望を出しても、同じ学校で評定平均が自分よりも上の人が複数いた場合は学校の推薦を得ることができません。
学校からの推薦が受けられた場合、その後の小論文試験や面接試験で相当なミス(例えば0文字で小論文を出す、面接中に一言も話さないなど)をおこさなければ合格できます。
一方、AO入試はアドミッションズ・オフィス入試の略称です。
大学のアドミッションポリシーに沿った人を取ることを目的とした入試です。
AO入試と推薦入試は、学校長推薦の有無などで違いがあると言われますが、実際はその学校がどの名称を使うかによって中身の違いは明確ではありません。
AO入試なのか推薦入試なのかというような名称の違いではなく、各大学の募集要項を確認して中身を確認することが重要です。
そのためこの記事では、今後「AO・推薦入試」と表記することとします。
AO・推薦入試に向いている人はどんな人か
では、AO・推薦入試に向いている人はどのような人でしょうか。
- 部活や委員会、生徒会など勉強以外に頑張ったことがある
- スポーツや芸術活動など何らかの分野で高い評価を得ている
- 英語資格や簿記などの何らかの資格を持っている
- 評定平均がとても高い
などは、出願資格になっていることが多くある項目です。
もちろん出願資格として求められている場合は満たしていなくてはいけません。
しかし、このような資格以上に重要なことは、学問に対して強い興味を持っていることです。
AO・推薦入試は大学とのマッチングを見られる入試です。ですので、大学にそこまで行きたいわけではない人や、学ぶことが好きではない人は決定的にAO・推薦入試に向いていません。
逆に言うと、学ぶことが好きな人、それも高校で教わるような「勉強」ではなく、本を読んだり実験をしたりと自ら調べることが好きな人には最適の入試です。
強いこだわりを持って興味がある分野を追求していけるのであれば、出願資格以上の華やかな経歴は必要ないのです。
何かにこだわって追求してきたということでも、十分な経歴になります。経歴がすごくないから受けられない、ということはありません。
AO・推薦入試を受験するかを決めるために考えるべきこと
先ほども書いたように、AO・推薦入試は学問に対する興味の有無が問われています。
経済学部を受けるのであれば、経済学に対する興味がなくてはいけません。
興味を持つというのは、「なんとなく面白そう」と漠然と考えることではなく、実際に経済学を知るために一歩を踏み出すことです。
自分で本を読んだり、大学の公開授業に行ったりと、興味関心を深めることが必要になってきます。
そのため、本が嫌いな人はAO・推薦入試の受験には向いていないと言えるでしょう。
さらには、ただ「興味がある」だけでもいけません。その学問に興味を持った上で、大学で研究したいことが決まっている必要があります。
多くの場合、大学への出願書類に「なぜその大学学部を志望するのか」を書きます。
経済学部であれば、「志望する理由」は「経済学に興味があり、経済学について学びを深めてきた結果、大学で〇〇を研究したいと考えた」になるわけです。
大学で学びたいことを定めるのは簡単ではありません。定められるようになるためには、たくさんの読書や研究が必要です。
その時間を取ることができるか、自分から研究を深める努力ができるかを考えましょう。
また、AO・推薦入試は二次試験で小論文試験を行っていることが多いです。文章を書くことに苦手意識がある人は、早い段階で克服しておきましょう。
国語が著しく苦手な場合、小論文の課題文を読み解くことができません。
一般入試よりも学力が重視されない試験であるとはいえ、「勉強が苦手だからAO・推薦入試にする」と選択するのは危険です。
小論文をやる必要があるのだとということをきちんと認識しておきましょう。
最後に
AO・推薦入試は非常に残酷な試験でもあります。一般入試であれば、ある程度は努力と合格が比例します。しかしAO・推薦入試はそうではありません。
点数が出ない分、不合格になった場合でも何がいけなかったのかが明確に分からないため、次の入試で改善するということもできないのです。
AO・推薦入試は、活動実績がどれだけあっても、どれだけ研究を深めても、合格する保証は無い試験です。
ですので、AO・推薦入試一本で受験を考えると危険です。
うまくタイムマネジメントをし、一般入試と並行して進めるんだと、強い意志を持って臨んでください。
AO・推薦入試と一般入試の併願戦略についてはこちらの記事でお話しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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参考
AO・推薦入試に関しては各大学の募集要項を確認しましょう。例として2校あげておきます。
1995年生まれ。東京都出身。
中高一貫の女子校出身で、高校時代は部活動で部長を務める他、学外で学生団体を立ち上げるなど活動。活動歴を活かせるかもしれないと、高校2年生からAO入試を視野に入れる。同時に、一般入試では早稲田大学を目指して勉学に励む。受験期の国語の偏差値は70以上で、センター模試では現代文・古文は常に満点。AO入試で慶應義塾大学総合政策学部に入学後は、研究会活動のほか、大学受験予備校や書店でのアルバイトに励む。専門分野はジェンダー学、倫理学(主にケアの倫理)、労働法。大学卒業後はコンサルティングファームなどを経て独立し、現在は予備校講師やライター、個人コンサルタントとして活動中。書店と映画館と美術館と歌舞伎座をこよなく愛し、芸術文化全般に関心を持っている。