前回は、中学受験にまつわる費用面について書きました。(前回の記事がまだの方はこちらから→避けては通れない!中学受験では、どれぐらいの費用が必要なのか?<その1>)
しかし、中学合格はゴールではなくスタートです。私立中学生となった多くのご家庭では6年間、大学付属校ともなれば10年間、年間教育費を出し続けなければなりません。
今回は、学校のHPや説明会だけではチェックしきれない、入学後の出費について書こうと思います。
気になった学校の学費はきちんと把握しておく
中学受験に関するネット上の掲示板などで、「年収どれくらいで私立中学へ行けるか」と質問されていらっしゃる方がいますよね。兄弟のこともあったり、よほど裕福なご家庭でない限り気になるところだと思います。ご家庭にもよると思いますが、私立中学に行っても家族旅行もしたいしたまにはおいしいものも食べに行きたい、生活感は今と変えたくない、そんなご家庭が多いのではないでしょうか。
中学受験をする際に、「年間費用が安いから」という理由で学校を選択する人は少ないと思いますが、私立中学と一口に言っても年間の学費が30万円~120万円くらいまでとかなりの幅があります。中でも、大学付属校は学費が高めです。また、直前になって急きょこれまで考えていなかった学校を受験し、その時は費用のことなど考えていられず、とりあえず合格してからよくよく学費をチェックすると・・・そんなケースもあると思います。
わが家の場合は第一志望校の学費が高めだったので、第二志望以下になった場合の費用面をそれほど気にしなかったのですが、受験する可能性がある学校の学費はすべて把握しておくべきです。その中で、学費が一番高いところに通うことになっても問題がなさそうか、まず検討する必要があると思います。
予想外の出費が多い私立中学
私立中学の学費計算は基本オールインクルーシブで、出費の予測がしやすいですよね。それでも、やはりHPや説明会だけでは(実は私は2校くらいしか説明会には行けなかったのですが・・・)見えない出費もそこそこあります。
予想できるところかもしれませんが、子どもたち同士の付き合いはダイナミックになります。お子さんにもよりますが、愚息はアクティブなので、友達同士で新幹線に乗ってスキーに行ったりもしています。また、息子の学校の場合、いわゆる修学旅行では海外へ行きますが、これは学費とは別に40万円~50万円ほどかかります。
留学制度も充実しており、休学しなくても長期留学できる制度も整っていますが、その場合学費以外に留学費用を自己負担しなければなりません(学校内で成績がトップ10に入るレベルだと学校が負担してくれるのですが)。
部活も、息子の場合は部費はほんのわずかですが、私学の場合は著名コーチを雇っているケースもあり、その費用を各家庭で負担することもあります。同じ学校でも、部活によってその辺は様々です。とある千葉県のスポーツ強豪校で、部員一人当たりの部費がひと月5万円という話も聞きました。
また、授業のフォローのために塾に通うお子さんも多いですよね(息子は行っていませんが、周りには結構多いです)。私見ですが、最低でも学費+年間60万~70万円ほどは見ておいたほうがいいかな、という印象です。
各種制度も見逃せない!東京都は手厚い制度もある
私立中学も、一応所得に応じた補助金制度があります。詳細は各自治体のHPや学校で調べていただければと思いますが、わが家のある地域では、年収750万円未満であれば年間118,800円の補助が受けられます。また、東京都では2017年から、年収760万円以下の家庭へは私立高校の平均学費である442,000円が支給されることになりました。
ニュースでは「無償化」となっていましたが、完全に無償化ではないとはいえ、かなり画期的な制度だと思います。このあたりが都内の私立中学の人気が上がる要因になる可能性も高く、学校選びの際のポイントになってくるかもしれません。
今回のまとめ
私立中学は高校受験とは(基本的に)無縁ですが、さまざまな追加出費が予想されます。費用面を考える際には、高校、大学卒業まで見据えてどれくらい必要なのか、また余裕を見ておいたほうがいいか、学校選びの際にあわせて考えておくことが必要だと思います。
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一橋大学卒。
中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。
得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。
現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。