学力の3要素と大学入試改革

2020年に大学入試改革が行われるというニュースは、皆さんご存知のことと思います。ですが、具体的にどのような改革が行われるのか、詳細については明らかになっていませんから、とても気になりますよね。

また、今回の大学入試改革では、要求される学力の要素が話題になっています。それを見据えて中学校もカリキュラムや入試に変更を加えてきています。

今回は、大学入試改革と、求められる学力の3要素についてまとめていきたいと思います。

2020年の大学入試改革

文部科学省は、これからは知識の量だけではなく、主体性をもって問題に取り組み、答えを生み出し、新たな価値を創造していくことのできる人間を育てることを目指すことを明言しています。それに伴い、大学入試改革が行われることになりました。

今回の大学入試改革では、学力の3要素、というのがキーワードになっています。学力の3要素とは、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」とされています。この学力の3要素は、学校教育法で定められているのですが、これまでの大学入試センター試験では、この3要素のうち、「知識・技能」に偏った評価しかできなかった、だからさまざまな入試制度の変更が行われることになったのです。

「知識・技能」の評価

学力の3要素のうち、「知識・技能」は、簡単に言うと「基礎力」の評価のことです。

基礎的な知識と技能の定着度を評価するために、「高等学校基礎学力テスト(仮称)」が導入されます。高校生の基礎学力を確かめるために行うテストです。つまり、高校在学中に行われるテストということになります。

これは、2019年度から始まる予定です。ただし、これは現段階では大学入学者選抜には利用されないということになっていますが、将来的には利用される可能性は十分考えられます。

このテストをいつ実施するのかについては、各高校が独自に決めてよいということになっているようです。時期や回数、対象学年も高校が決定します。多くの場合、導入当初は高校2年生と3年生が夏から秋にかけて受験することになるようです。

テストの内容についてですが、その名の通り、基礎的な知識・技能の評価のためのテストです。英語、数学、国語の3教科で実施されます。出題範囲は、英語が「コミュニケーション英語Ⅰ」、数学は「数学Ⅰ」、国語は「国語総合」が内容の上限ということになっています。特に英語では、「読む」「書く」「聞く」「話す」の4技能を評価する、とされています。

また、このテストではCBT、つまりコンピューターを使ったテストが導入されます。パソコンやタブレットでのテストが実施されるわけですね。

「思考力・判断力・表現力」の評価

「思考力・判断力・表現力」は何を評価するかというと、「応用力」の評価です。「自分の持っている知識・技能を、問題を解決するために活かすことができるかどうか」、つまり「知識を応用する力」を評価する、ということです。

この評価を目的とするテストとして、「大学入学希望者学力評価テスト」が導入されます。このテストは、大学入学希望者を対象に実施され、現在の大学入試センター試験に代わるテストとなる予定です。2020年度に導入される予定です。大学入試改革の中心的な役割を担うテストです。

センター試験のようなマークシート式問題は継続して出題される予定ですが、これまでより思考力・判断力が求められる問題が出題されると考えられます。また、国語・数学では記述式の問題が出題されます。英語では、「高等学校基礎学力テスト」と同様、「読む」「書く」「聞く」「話す」の4技能が問われます。先日の報道では、民間の検定試験の活用が検討されていることが明らかになりました。

「大学入学希望者学力評価テスト」については、上述したような記述式問題が導入や民間検定試験の導入など、試験の形式の変更に注目されがちですが、その目的は「思考力・判断力・表現力」の評価をすることにあります。この目的に注目するべきです。「マークシートのテストでなくなるので大変だ」あるいは「記述問題のための対策が必要だ」といった、形式だけに注目していては、このテストの本質を見落としていることになってしまいます。

問われているのは、「主体性」です。「主体的に」問題の解決を思考し、判断し、その過程や結果を表現する能力が問われているのです。そういう目的から考えると、このテストは、テクニックに依存できるテストにはならないと思われます。長期間にわたって訓練されてきた、幅広い学力が求められているのです。

「主体性・多様性・協働性」の評価

「主体性・多様性・協働性」の評価とは、簡単に言うと「学ぶ態度」を評価するということです。主体性をもって、他者と協働して学ぶ態度が評価されるわけです。この要素の評価は、個々の大学の個別試験において、この評価を導入する改革が行われる予定になっています。

実は、この改革はすでに一部の大学で進められています。一般的な学力試験だけでなく、特色入試や推薦、面接・プレゼンテーション、小論文の評価などという形で導入している大学は以前からありました。一部の私立大学ではセンター試験利用入試を廃止し、その学校独自の入試のみで合格者を選抜するということがすでに行われています。

各大学は、学生の学力を育てるための方針、つまりアドミッション・ポリシーを確立して、それに沿った選抜方法を考えていくことになります。ですから、入試は多様化しますが、「理にかなった」試験と選抜が行われることになります。大学がほしい学生像がはっきりしていて、それに合った学生が選抜される(合格する)というシステムになるのです。ただ単に、「上手な」面接ができたり、「上手な」小論文が評価される、ということにはならないでしょう。

まとめ

学力の3要素のうち、「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」は、短期間では身につかないことは明らかです。大学受験の勉強は高校生になってから、では間に合いません。中学生、小学生のうちから意識すべきでしょう。

この大学入試改革を見据えて、各中学校も入試問題にこのような学力の要素を取り入れる傾向にあります。また、入学後の授業にも反映されています。いわゆる「アクティブ・ラーニング」ですね。アクティブ・ラーニングは大学入試改革を見据えて各学校が工夫をして行う教育です。

志望校を決めるにあたっては、大学入試も見据えて、学校の授業と、お子さんの能力を伸ばしてくれる試みがされていそうか、という点もしっかりリサーチして行う必要が高くなるでしょう。これまでも、生徒を刺激して、一方的ではない、生徒が自分の頭で問題を抽出し、解決までのプロセスを考えていくような授業を行う学校はありました。ですが、生徒の能力によっていたところも大きかったので、すべての学校で取り入れられていたわけではありません。意外かもしれませんが、御三家など、伝統のある上位校では、大学の授業のような双方向授業が以前から取り入れられていました。

最近人気を集めている新興校は、アクティブ・ラーニングを学校の教育改革の目玉に据えて、そのことを学校説明会などでもアピールしています。中学入試でも思考力入試、適性検査型の入試が増えてきていますが、そのような入試改革は、入学後のアクティブ・ラーニングへの対応力を見たり、出口の大学入試で結果を出すためです。ですが、結果が出るのはこれからです。

受験を考えている中学校が、どの程度本気で教育内容の改革を行おうとしているか、説明会や個別相談などでしっかり情報収集をして、学校側の理念や方針を知っておきましょう

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