中学受験はスタートライン。大事なのはスタートダッシュ!

中学入試もほぼ終盤、公立中高一貫校の発表などを残すのみとなりました。見事志望校に合格された受験生の皆さん、おめでとうございます。また、第1志望はかなわなかったという受験生の方もいらっしゃると思います。悔しい思いをされたと思います。

ですが、中学入試は決してゴールではありません。これから新しい環境で、新しい仲間と、先生と、勉強や部活動などに力を入れていく、そのスタートラインに立ったにすぎません。

そのスタートラインから、どのように学校生活を過ごしていくか、それがとても大切なことなのです。

今回は、学習面に重点を置いて、中学に入学するまでにやっておくとスタートダッシュを決められるポイントについてお伝えしていきたいと思います。入学手続きも済ませ、制服の採寸などいろいろ忙しい中だとは思いますが、すっかり勉強のことを忘れて中学に入学・・・などということのないように、準備をしっかりしておきましょう。

計算練習、漢字の学習、読解練習はコツコツ続けよう

計算練習の大切さ

中学受験のときは、毎日のように計算問題を練習し、漢字の学習を続けてきましたよね。どちらも、これから中学に進学したときに身につけておかなければならない底力です。

入試で、計算問題は解答欄しかないことがほとんどだったと思います。それは、中学校側が、「正確で、速い」計算能力が、入学してから必要になるため、複雑だけれども必ず正解を出してほしい、という思いから出題しているからです。

今後の中学高校の学習や、大学受験でも、長い文章題を解くときにも、図形の問題を解くときにも、必ず正確な計算力がものを言います。解法を見切ったら、あとは正確に計算をし、ミスをしなければ完答できますし、完答できなくても、途中の計算が正確にできていればそこまでの部分点をきっちり稼ぐことができます。

中学に入ると、まず学習することの中に、算数とは違う、「正負の数」という概念があります。算数とは違い、数学は、「学問」です。なぜこのような概念があるのか、それをどう使うのか、ということが中学受験のときよりもずっと増えてきます。そのような新しい概念を学ぶときも、まず必要なのは計算力です。それに、符号を正確につけられるか、ということが加わってきます。

このような新しい概念を学びつつ、数字一つ一つの意味を考えて、さまざまな組み合わせに合わせて正確に計算する力が必要になってきます。

また、中学受験のときには使うことのできなかった「方程式」が出てきます。これも一つの関門になってきます。もしかすると方程式でご家庭でお子さんに教えていた・・・ということもあったかもしれませんが、中学に入ってからは、未知数をx、yといった記号に置き換えて自分で式を立てていくことが重要になってきます。これも、立式したら計算を正確に行うこと、それによって正解にたどり着くまでのプロセスをしっかり身につける必要があります。

図形の問題でも、計算量は中学受験よりもかなり複雑に、量も多くなってきます。計算練習は、学校からも日々の学習として宿題に出されることも多いと思います。一つひとつ、雑にすることなく、ていねいにやるようにしましょう。

日本語能力が低下している?読解力の養成のために

先日、衝撃的な発表がありました。「上に書いてある文章としたに書いてある文章の内容が一致しているか、違うか」を問う問題です。2行くらいの文章です。使われていることばはほぼ一緒で、順番が入れ替わったりして、少し混乱させるような作りになっていました。

このような問題の正答率が、実は5割を切ったのです。つまり、半分以上の生徒が、文章を丁寧に読んでいない、あるいは読めていないということがわかったわけなのです。なぜ混乱してしまうのでしょう?文章の内容、主語や述語、文章全体の意味が読み取れないということは、日本語はしゃべっていても理解できていない、字の意味はなんとなく分かっても正しい意味は分かっていないということです。

これには、「文脈にそって」「客観的に」読む訓練ができていないことと、文章の中にあることばが少し違っていると「違う」と決めつけてしまうくせがついてしまっていることが原因として考えられます。

また別の記事で、国語の読解方法について解説していきますが、普段使っている日本語でできている文章を読むわけですから、全く手段を持っていないわけはありません。ただ、最近は何かことばを交わすときにも略したことばでかいわしたり、長い文が作れなかったりして、大人からすると何をしゃべっているんだろう、と思うようなことが出てきていると思います。

中学に入学するまでに、まずはしばらくできていなかったであろう「読書」をしてみてください。難しい文章を読む必要はありません。ただし、たとえば青い鳥文庫のようなわかりやすい文章であっても、ただ斜め読みするのではなく、読み終わったら「どういう内容だったの?」「作者の人はなんて言ってた?」というように、内容をきちんと把握して読み終わっているかどうかを確かめてあげるようにしましょう。内容について、親御さんとお子さんで話し合ってみることも、理解が深まるのでオススメです。

中学受験で、国語が苦手だったというお子さんは多かったのではないかと思います。そして、それが足をひっぱり、他の科目の長い問題文を読みきることができず、不正解になってしまうケースも多かったのではないでしょうか。文章を正確に読むことは全ての科目の基本です。これは、ずっと続いていく力です。中学受験が終わったからもうやらなくてもよいというものではないことに気をつけましょう。ぜひ、読書や、受験のときに読み切れなかったなあという文章があれば、そういったものを一緒に読んでみてもいいですね。

漢字の学習は確実に

中学受験の間、お子さんの漢字の実力はどうだったでしょうか?毎回漢字テストで満点、という方もいらっしゃったでしょうし、どうしても棒1本、点1つで間違えてしまい、正解がもらえなかったということもあったのではないでしょうか。

漢字の練習は、大学受験、大学に入ってからも続きます。大学受験をするにあたっても、漢字だけを書かせる問題もありますし、今後は難しい漢字を読ませるという問題も増えてきます。漢字も日本語だから、最後に詰め込めばいい・・・そういう考え方で中学受験時代を過ごしてしまった方は、より注意して漢字の学習に取り組みましょう。

学校で、おそらく漢字練習帳が配布されると思います。漢字テストも定期的に行なわれ、漢字検定を学校全体で受けることもあると思います。残念ながら、受験率は上がっているけれども、実力差が非常についてしまうという現実があるようです。ある私立中学校の先生がおっしゃっていましたが、もちろん自分でやらなければいけない練習だけれども、一度書いただけで覚えられないものももちろんある。でも、最近のお子さんには一度書いたら満足してしまい、「できるようになるまで」練習することを軽視する方が非常に多い、ということでした。

目的は色々あると思いますが、漢字の学習は、先ほどの読解や、数学などの問題を読むにあたってもとても重要なものです。一度書いただけでできた、できなかった、で終わらせるのではなく、漢字の意味、1画ずつの大切さ、そういったことをきちんと身につけなければいつまでも不正確な知識で終わってしまいます。

これから漢字を学習する際には、送り仮名や読み方も含めて、一つひとつ大切に学習するようにしましょう。もし不安があるようなら、中学受験で使ったテキストやドリルで構いませんので、中学受験レベルで当然身につけていなければいけない、中学校もそれを期待しているであろうレベルの漢字をしっかりおさらいしておきましょう。

後で述べますが、中学入学準備でおろそかにされがちなのがまさにこの「国語」です。ですが、国語は一朝一夕で実力がつくものではありません。そのことをぜひもう一度振り返っていただきたいと思います。

スタートダッシュするにはどんな方法がある?

塾の中学受験準備講座に通う

塾、特に集団塾にお通いだった方は、中学受験準備講座の案内を受けていらっしゃるのではないでしょうか。中学受験準備講座は、英語と数学の基本を勉強することがほとんどです。ここでもあまり国語は選択されないのが残念なところではあるのですが、英語と数学は進度が速いので、何かしらの準備をしておく必要はあると思います。

テキストは非常に薄いと思います。また、塾の場合、これまで一緒に受験勉強をしてきたお友達と一緒に受けることが多いので、楽しみに行って、あまり内容を覚えてこないことが多いので注意が必要です。内容としては、数学では正負の数、一次方程式、英語はアルファベットと簡単な単語から始まると思います。

英語で注意したいのは、なんといっても「アルファベットを正確に覚える」ことです。とくに、大文字と小文字がありますが、小文字は混乱するお子さんが多いです。「bとd」などはその代表です。間違ったアルファベットを使っても正しい単語にならないので、正解になりません。中学に入るまでにたくさんの単語を身につける必要はありません。何よりもまず、アルファベットを正確にかき、発音できるように練習しましょう。

数学は先ほども述べましたが、計算練習が一番大切です。テキストは薄いと思いますから、それは完璧にできるようにして、プラスアルファで計算練習の問題集をやるのも良いと思います。

できるだけ先取りするには・・・

私立中学校の場合、独自のテキストを使うなど、公立中学校とは異なる教材で授業が進められます。たとえば、英語なら「ニュー・トレジャー」や「プログレス」、数学なら「体系数学」といった教科書です。中には、学校にもよりますが、学年によって担任の先生が自由にテキストを選んだりプリント授業を行うことがある、つまり毎年使う教材が決まっていない学校もあります。

「中高一貫校用の教科書で、内容もしっかり入っているんなら、それをしっかりやればいいのでしょ」と思われるかもしれません。たしかに、体系立てて必要なカリキュラムを終えるように作られていますから、それを「完璧に」理解し、副教材となっている問題集などをしっかり解いていけば、成績も上位でしょうし、その後の大学受験の勉強にもそれほど苦労しなくて済む、つまり「学校の勉強をしっかりやっていれば大乗」といえるでしょう。しかし、残念ながら、そういった教材には解説が親切なものばかりとは言えません。ですから、「自学自習」が実はとても大変なことが多いのです。そうすると、教科書の内容が理解できず、スタートダッシュしたくても点数がとれない、といったことになりかねないこともあります。

ただし、中学校は義務教育なので、必ず学習指導要領に合致した一般の教科書も配られます。どの出版社のものが配られるかは、学校からお知らせのプリントなどがあると思いますので、そちらを参照していただきたいのですが、もし早く教科書が配られたら、それを英語と数学、国語の3教科自分で進めてみてください。

中には、春休みの間に数学だけは中学3年生の分まで進めたという方もいらっしゃいます。それは極端かもしれませんが、できるだけていねいに教科書の解説を読んでおくことをぜひおすすめします。これは数学に限ったことではありません。

教科書が配られるのが遅い場合には、教科書販売会社がありますので、そちらで手に入れることも可能です。目に通して、解説を読んでおくだけでもずいぶん入学してからの授業の理解度が変わります。ぜひ、やってみてください。

英語に関しては、会話がかなり入ってくるので、ラジオの基礎英語を聞いてみるのもおすすめです。耳から入ってくる情報は、意外と忘れにくいものです。

国語に関しては、やはり教科書を使って、ていねいに文章を、時間をかけてもいいので正確に読む習慣を身につけて先取りするのが良いでしょう。

まとめ

中学受験が終わってひと段落、少し休みたい・・・もちろん休む時間、卒業まで学校生活を楽しむ時間はとても大切です。忘れていたコミュニケーションを取り戻す大切な時間です。

それとともに、中学校に入って苦労しないように、スタートダッシュを決めたいところです。最初のテストで

2月中に説明会があり、教材や宿題を渡される学校も多いので、それらはできるだけ早めに進めるようにしましょう。テスト前にあわててつめこむ、というような学習方法からは離れましょう。

これから必要なのは、主体的に、言われなくても、手を差し伸べられなくても自分で問題点を見つけて学習を進めていく力です。このことを忘れずに、中学に入ってからの学習、そしてクラブ活動などの学校生活を思い切り楽しんでください。今まで知らなかった世界が待っています。親御さんも、お子さんをぜひ励ましてあげてください。

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。