前回の記事では日本の稲作(米づくり)について説明しました。次は、畑作について説明していきます。農業は中学入試でも良く出る分野の一つとなっています。この記事で取り上げるのは小麦などの穀物といくつかの野菜についてです。特に、主な産地を正確に覚えるようにしましょう。
Contents
穀物の生産
日本では米以外の穀物の生産があまり盛んではありません。特に小麦や大豆、とうもろこしなどは外国からの輸入が多くなっています。
おもな穀物の生産地
米、小麦、大豆、とうもろこしは合わせて「四大穀物」と呼ばれています。それでは、小麦、大豆、とうもろこしの主な生産地を見ていきましょう。
小麦はうどんやパンなどの原料に使われる穀物です。北海道と九州の2県での生産が多く、特に北海道の生産量は日本全体のうち65%以上をしめています。
表1 小麦の生産量が多い都道府県
(農林水産省HP「作物統計」をもとに筆者作成、転載は記事名を明記の上で許可
出典)
続いて大豆の生産量を見ていきましょう。大豆も北海道での生産が多いのが特ちょうです。食用のほかに、油をとるのにも使われます。
表2 大豆の生産量が多い都道府県
(農林水産省HP「作物統計」をもとに筆者作成、転載は記事名を明記の上で許可
出典)
穀物の自給率
米以外の穀物は日本国内での自給率がとても低く、消費量の多くを外国からの輸入に頼っています。(輸入量、自給率のデータは2019年のもの)
小麦は外国から約530万tを輸入しており、国内での自給率は約16%となっています。主な輸入先はアメリカ合衆国とカナダ、オーストラリアの3か国です。
図1 小麦の主な輸入先
(農林水産省HP「農林水産物輸出入統計」をもとに筆者作成、転載は記事名を明記の上で許可
出典)
大豆の自給率は更に低く、およそ6%です。海外からの輸入のうち70%以上をアメリカがしめています。
図2 大豆の主な輸入先
(農林水産省HP「農林水産物輸出入統計」をもとに筆者作成、転載は記事名を明記の上で許可
出典)
同じく、とうもろこしも海外からの輸入が多い作物です。家畜などの飼料(えさ)用として使われますが日本国内での生産量はほとんどなく、ほぼすべてを海外からの輸入にたよっています。およそ1,600万tを輸入しており、そのうち70%近くがアメリカ合衆国、約30%がブラジルからの輸入です。
いもの生産
いも類はカロリーが高く、穀物と同じように主食として食べられることもあります。入試問題としてはじゃがいもとさつまいもの生産を覚えましょう。
じゃがいもの生産
じゃがいも(ばれいしょ)の生産がさかんなのは北海道です。2019年の国内生産量235万7,000tのうち80%以上をしめています。2位以下の都道府県については覚えなくても大丈夫ですが、4位・5位の2つは関東地方で農業がさかんな県であり、東京など大都市向けに野菜などを生産しているということを確認しておいてください。
表3 じゃがいもの生産量が多い都道府県
(農林水産省HP「作物統計」をもとに筆者作成、転載は記事名を明記の上で許可
出典)
さつまいもの生産
さつまいも(かんしょ)の「さつま」とは鹿児島県の昔の名前で、外国から鹿児島県に伝わってきたことに由来しています。今も鹿児島県での生産がさかんです。
表4 さつまいもの生産量が多い都道府県
(農林水産省HP「作物統計」をもとに筆者作成、転載は記事名を明記の上で許可
出典)
野菜の生産
続いては、野菜づくりについて見ていきます。主な野菜の生産地については上位3都道府県まで覚えるようにしてください。また野菜を作るためには様々なくふうが行われています。
主な野菜の生産地
ここでは、入試問題として出てくることが多い9種類の野菜について生産量が多い都道府県を見ていきます。
ピーマンやなすは暖かい宮崎県や高知県での栽培がさかんです。一方でレタスやはくさいは標高が高く涼しい長野県や群馬県での生産量が多くなっています。
たまねぎとにんじんの生産量1位は北海道です。北海道はじゃがいもと小麦の生産量も1位で、お米の生産もさかんです。「北海道はカレーを作れる」と覚えましょう(カレーのルーは小麦粉などからできています!)。
また、緑色で書かれているのは関東地方にある都道府県です。これらの都道府県では大都市向けに野菜を生産する「近郊農業(きんこうのうぎょう)」が行われています。
表5 主な野菜の生産が多い都道府県
(農林水産省HP「作物統計」をもとに筆者作成、転載は記事名を明記の上で許可
出典)
覚えた方が良い野菜の産地
野菜全体の生産額が多い都道府県を見ていきましょう。先ほど確認したようにたまねぎやにんじんなどの生産量も多い北海道が1位となっています。また、近郊農業を行っている茨城県と千葉県が2位と3位、人口の多い愛知県が5位であることもチェックしておきましょう。
表6 野菜の生産額が多い都道府県
(農林水産省HP「生産農業所得統計」をもとに髙橋作成、転載は記事名を明記の上で許可
出典)
続いて、特色ある野菜づくりを行っているいくつかの地域を見ていきます。
図3 野菜づくりがさかんな地域
(筆者作成、転載は記事名を明記の上で許可)
- 嬬恋村(つまごいむら)(群馬県)…浅間山(あさまやま)のふもとにあります。標高が高いため夏もすずしく、その気候をいかしてキャベツを栽培しています。(高冷地農業)
- 野辺山原(のべやまはら)(長野県)…高冷地農業がさかんで、八ヶ岳(やつがたけ)のふもとでレタスを栽培しています。このレタスのような野菜を「高冷地野菜」と呼ぶこともあります。
- 淡路島(あわじしま)(兵庫県)…大阪(おおさか)など近畿(きんき)地方の大都市向けに近郊農業を行っています。たまねぎの栽培で有名です。
- 高知平野…暖かい気候で、ビニールハウスを利用してなすなどの促成栽培(そくせいさいばい)を行っています。高知県はなすの生産量が日本一です。
- 宮崎平野…高知平野と同じように暖かい気候が特ちょうで、ピーマンなどの促成栽培を行っています。
野菜づくりのくふう
野菜を効率よく育てるためには色々なくふうが見られます。
- 近郊農業…大都市近くで行われる農業です。大都市向けの野菜などをより新鮮な状態で届けることができ、また運ぶための費用も低くすることができます。千葉県や茨城県、兵庫県の淡路島などでさかんです。
- 高冷地農業…夏でもすずしい高原で、レタスやキャベツ、はくさいなどの葉野菜を育てる農業です。3.2で説明した嬬恋村や野辺山原が有名です。
- 促成栽培…暖かく、日照時間の長い地域で行われる農業です。ビニールハウスを使い、なすやピーマンなどの野菜をふつうよりも早く育てます。他の地域と出荷の時期をずらすことで、より高く売ることができるのが長所です。高知平野や宮崎平野でさかんです。
- コールドチェーン…保冷車で野菜を運ぶことで、新鮮な状態のままで野菜を運ぶことができる仕組みのことです。
野菜の輸入
野菜は新鮮であることが大事なので輸入・輸出に向かない食べ物です。しかし最近では輸送技術の発達などにより野菜の輸入が増加しています。最も輸入額が多いのは中国で、次いでアメリカからの輸入が多くなっています。
まとめ……の前に
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まとめ
この記事では野菜づくりのポイントについて説明しました。主な産地はなかなか覚えるのが大変だと思います。まずは生産量が第1位の都道府県と3.2で書いた主な産地を覚えましょう。また、自分は生産量のランキングはごろあわせで覚えていました。自分だけのごろあわせを考えてみるといいかもしれません。
初めまして。髙橋利弥と言います。
武蔵中・高校から一年浪人を経て今年東京大学文科三類に入学しました。中高時代はサッカー部に所属し、高校では主将を務めていました。現在は体育会サッカー部のスタッフとして主にプレー分析などを担当しています。趣味は音楽を聴くことで、[ALEXANDROS]などの日本のバンドのほか、QUEENも好きです。ボヘミアン・ラプソディーは浪人していたにも関わらず公開直後に観に行ってしまいました。また、ライブに行くのも大好きです。高校時代は部活で忙しくてあまり行けず浪人の時も我慢していましたが、大学に入ったからには行きまくりたいと思います。今ハマっていることはハリウッド版のGODZILLAシリーズです。オリジナルのゴジラは見たことがないのですが、興味がわいてきて見てみたいと思っています。最後に、自分は昔から文章を書くことが好きでこうやってライターとして仕事ができることがとても嬉しいです。まだまだヘタクソですが、これから経験を積んで成長していきたいです。
よろしくお願いします。