特徴は機械・化学・繊維産業の今回の記事は,日本全国に存在する工業地域・工業について一つずつご紹介していくシリーズの第1本目, 瀬戸内工業地域 編になります。日本全国にはたくさんの工業地帯・工業地域が存在しますが,それらについて細かいことまで覚えていくのは難しいです。しかし中学受験でこの範囲は必ず問われます。そのためこの記事では簡単にわかりやすくその特徴についてまとめていきます。一緒に工業地帯・工業地域について学んでいきましょう.
Contents
瀬戸内工業地域 の場所は?
まずは瀬戸内工業地域の場所について確認しておきましょう。中国・四国地方の真ん中にある瀬戸内海の周辺に位置しているのですが,これだと分かりづらいと思いますので,次の地図を参考にしてみてください。
オレンジ色の点は代表的な都市を,都市と共に書かれている()の中身はその都市で盛んな産業を指します。都市名までは覚えなくても良いですし,産業についてはこの記事で後ほど触れていきますが,まずは「瀬戸内工業地域=中国・四国地方」ということを覚えてしまいましょう。
瀬戸内工業地域 の工業の特徴!
ではここからは瀬戸内工業地域の工業の特徴について見ていきましょう。工業地帯・工業地域の特色を掴む上で大切なことは,①出荷額の高さと②工業種類別の割合です。①はモノがどのくらい作られているのかを,②は全てのモノの中で多く作られているのは何かということを指します。
出荷額について
初めに確認するのは瀬戸内工業地域の出荷額です。下の図は全国の工業製品出荷額に占める工業地帯・地域の割合についてのグラフです。この割合が大きければ大きいほど,たくさんモノを作って売っていることを表します。(データは教育出版株式会社からの引用です。)
水色が瀬戸内工業地域を指します。このことから,瀬戸内工業地域は全国の工業製品出荷額のうち9.6%を占めているということがわかります。この数値は中京の17.9%・阪神の10.3%・関東内陸の10.0%に次ぐ全国第4位ですので,全国における影響力の強さをお伝えできるのではないでしょうか。
この図はシリーズを通して全ての記事で載せていくので,見るたびに思い出しておくと良いでしょう。なおこのグラフは2017年のデータですが,これより昔のデータまたは現在に近いデータだと順位が若干違うかもしれません。そのため細かく数値を覚えるというよりも,「だいたい10%くらい」「3位とか4位とかその辺り」と大雑把に覚えておくのが良いでしょう。
瀬戸内工業地域 で盛んな産業について
次に瀬戸内工業地域の工業種類別の割合を見ていきましょう。「工業種類とはなんだろう?」と疑問に思われる方もいると思うので,軽く説明していきます。
まず工業の種類は,重化学工業と軽工業の2種類に分けられます。これらの大きな違いは重くて大きなものを作っているか,軽くて小さなものを作っているかということです。そのため例えば造船業などは重化学工業に入りますし,IT産業などは軽工業に当てはまるというわけです。日本全国で見ると重化学:軽工業=7:3ほどの割合で,重化学工業の割合が高くなっています。
そしてこの分類の中に,さらに個別の産業が分類されます。重化学工業だと,金属・機械・化学が当てはまります。金属は文字通り鉄などの金属を生み出して加工する製造業のことを,機械とは金属から自動車や船などの機械を製造する産業を,化学とは石油などを加工してプラスチックなどを作り出す産業を指します。
他方軽工業には食料品・繊維があります。食料品はイメージがつきやすいですね。パンやお菓子などの食料を作る産業のことです。対して繊維とは,糸や織物を生産する工業のことを指します。この他セメントやガラスなどを作るよう業・紙を作る製紙・パルプ工業などもありますが,代表的なのは食料品・繊維ですので特に覚えなくて良いでしょう。
では瀬戸内工業地域の産業は何が発達しているのでしょうか。先程の出荷額と同じようにグラフを見ていきます。(データは教育出版株式会社からの引用です。)
このように比較すると,瀬戸内は全国と比較したときに,金属・化学・繊維を生産している割合が高いとわかります。特に大事なのは化学・繊維の割合の高さです。瀬戸内工業地域における化学・繊維の割合は,すべての工業地域・工業地帯の中で最も高いです。そのため大事な特徴として覚えておきましょう。特に繊維が2.1%と一見低い数字に見えることにも注意が必要です。
瀬戸内工業地域 ではなぜ金属・化学・繊維が盛ん?
ではなぜ金属・化学・繊維の割合が高いのでしょうか。上のようなグラフだけ・数値だけを覚えるのはなかなか厳しいものがありますので,理由と一緒に覚えていきましょう。
まず金属・化学についてですが,これらは金属や鉱物や石油を加工する産業のことを指しました。日本国内でこれらは採れないので,海外から輸入する必要があります。ここで,上で挙げた瀬戸内海の地図を見ていただきたいのですが,瀬戸内というのは海上交通の便がよい地域になっています。そのため外国船から材料が輸入しやすく発達したと考えられます。また海に面したこの地域では埋め立てが行われ,工場が集まる石油化学コンビナートが建設されました。このことも金属・化学の産業を支える一因となっています。
繊維については,古くから繊維産業が盛んだったことの名残が続いていることが理由として挙げられます。瀬戸内は江戸時代,織物を作る材料となる綿花が集まる地域でした。そのため瀬戸内の人たちはこの綿花を使って糸を紡いで織物を作り,それを売ることでお金を稼ぐようになります。そうして根付いてきた伝統や技術が今も続いているということですね。
またここからは余分な話になりますが,瀬戸内工業地域では機械産業も盛んです。他の地域に割合では負けているものの,マツダ自動車の町である広島を中心に自動車製造業も発達しています。「余裕があったら」で良いので,セットで覚えておくと良いでしょう。
工業以外産業の特徴!
ここまでは工業の特徴を見てきました。ここからは農業・漁業といった工業以外の産業についても触れていくことにしましょう。このような産業・人口・気候などの要素は地域ごとにまとめて覚えてしまった方が得だといえます。優先度が高いものは工業ですが,以下の産業についても軽く頭の中に入れておきましょう。
農業の特徴は?
まずは農業の特徴についてです。農業を見る上で欠かせない観点が瀬戸内の気候です。瀬戸内海は山地に囲まれているため,年間を通して比較的雨が少なく温暖な気候となっています。そのためこの温暖な気候を活かした農業が行われています。
具体的には果物の生産が盛んです。例えば広島県ではみかん,岡山県ではもも・ぶどうなどが作られています。その他には雨が降らなくても平気に育つ小麦が香川などで栽培されています。この小麦がうどん文化に繋がるわけですね。
栽培方法だと,促成栽培というものが行われています。「成長を促す」と書くこの栽培方法は,暖かいところで作物を育てることで,旬の時期より早く市場に出すというものです。促成栽培という単語は中学受験で聞かれてもおかしくありません。ぜひ覚えておきましょう。
また段々畑が見られることもこの地域ならではといえる特徴の一つになります。瀬戸内は山に囲まれていますから,斜面に沿って畑を作るのは難しいです。そこで斜面を階段上に整備することで,育てやすく広い面積の畑を作ることができます。育てられているもの・特別な栽培方法の両者を覚えておくと受験に役立つでしょう。
漁業の特徴は?
次に漁業の特徴について見ていきます。瀬戸内海は気候の影響があって穏やかであるため,養殖業が盛んです。代表的な生産物としては広島のかき・愛媛の真鯛・真珠などが挙げられます。みなさんも耳にしたことがあるのではないでしょうか。
その他遠洋漁業も行われています。遠洋漁業とは,遠くまで大型の船を出して世界の海を駆け回る漁業のことです。例えば高知のかつお・まぐろ漁などが挙げられます。農業・漁業ともに工業よりは覚えやすいでしょうが,似たようなものを栽培している他の地域と混ざらないようにしっかり記憶しましょう。
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まとめ
今回は中国・四国地方にある瀬戸内工業地域の特徴について触れていきました。初めて触れる人だと情報量が多くてなかなか覚えられないかもしれませんが,初めは生産額・種類別の割合を覚えることに専念していくと取り付きやすいでしょう。他の工業地域・工業地帯についての記事も今後投稿していきますので,よろしければそちらもご確認ください。本記事が今後の学習の手助けとなれば幸いです。
(ライター:大舘)