「工業地帯」と「工業地域」はまとめて覚えよう!位置と特徴を図で確認

中学受験の社会、地理分野では、工業に関する正確な知識を身につけることが大切です。特に工業地帯、工業地域はそれぞれの特徴、地理的背景、位置も含めてしっかり覚えておくことが必要です。

それぞれの地域を勉強したときにばらばらと出てくる知識は整理し、まとめて覚えておきましょう。そうすれば、その知識を様々な方向から聞かれるような総合問題でも使うことができます。

工業地帯・工業地域

「工業地帯」と「工業地域」の違いは明確ではありません。

かつては京浜・中京・阪神・北九州の「工業地帯」が「四大工業地帯」と呼ばれていましたが、最近では北九州をのぞいた3つで「三大工業地帯」と呼ばれることが多いです。

北九州は工業生産額が低迷し、近年は「北九州工業地域」とされようになっています。(この下の図では工業地帯の方に入れています)

有名な工業地帯・工業地域は位置も問われることが多いので、実際に地図に書き込んだりしながら覚えておきましょう。

工業地帯

ここからはそれぞれの特徴や地理的背景などを学んでいきます。まずは工業地帯からです。

京浜工業地帯

出荷額順位は現在第5位の工業地帯です。かつては日本最大の工業地帯でした。人口の多さ、交通の便の良さ東京湾埋め立てにより工業用地がつくられたことがその理由でした。現在は、自動車を中心とした中京工業地帯が第1位の出荷額となっています。

神奈川県の横浜市、川崎市で生産される輸送用機械がこの工業地帯を支えています。日産自動車、カワサキの工場がありますので、これもセットで覚えておきましょう。

また、東京都は印刷・出版業の割合が高いのが特徴です。日本の情報はまず東京に集まるので、自然と出版業が多くなりました。

京浜工業地帯を地図で見てみましょう。貿易港として東京港、横浜港があります。輸出入合計で東京港は第2位、横浜港は第4位です。横浜港の輸出品の特徴としては、先ほど挙げた工場がある関係で、自動車関連品目が多いということがあります。

(京浜工業地帯についての記事はこちらから)

中京工業地帯

現在ダントツでトップの工業生産額を誇る工業地帯です。

愛知県の工業出荷額は約47兆円で、第2位の神奈川県の約18兆円の約2.4倍という高さを誇っています。

世界最大級の自動車メーカーであるトヨタ自動車のおひざ元ですから、当然輸送用機械を中心とする機械工業が出荷額の大部分を占めています。機械以外にも1位を占める工業製品が多いのも特徴です。鉄鋼、プラスチック製品、繊維工業も1位です。

綿織物・陶磁器も有名です。陶磁器のことを「せともの」と呼びますよね。それは、愛知県瀬戸市で陶磁器の生産が行われていたことに由来しています。ほかに多治見の陶磁器、一宮の毛織物などは有名ですから、しっかり場所とともに覚えておきましょう。

名古屋港は自動車の輸出を行っており、輸出額は第1位です。また、三重県四日市市には石油化学コンビナートがあり、重化学工業も発達しています。

(中京工業地帯の記事はこちらから)

阪神工業地帯

工業製品の出荷額は全国第2位です。都道府県別でみると大阪が第3位、兵庫県は第5位です。

戦時中までは、日本最大の生産額を誇っていました。様々な工業が発達し、「総合工業地帯」と呼ばれることがあります。しっかり押さえておきましょう。

中心となるのは重化学工業です。鉄鋼業の割合が高いという特徴があります。また、堺市付近に石油化学コンビナートがあります。地理的な特徴と結び付けて、理解しておきましょう。また、繊維工業が多いことも特徴です。

貿易港としては神戸港が有名ですが、輸出入額は全国第7位です。また、関西国際空港が第5位に入っていますので、輸出入の要の一つの地帯ということも覚えておきましょう。

北九州工業地域

かつての四大工業地帯の一つです。今は見る影もなく、全国第9位に生産額が凋落しています。そのため、「工業地帯」からは除かれ、「工業地域」として呼ばれることが多くなりました。

もともとは、1901年に、官営の八幡製鉄所が作られたのが始まりです。福岡県でとれる石炭と中国から輸入する鉄鉱石を利用していました。

エネルギー資源が石炭から石油に変化したことによって産業構造が変わり、そのあおりを受けました。自動車メーカーの工場があるため、輸送用機械の生産の割合が高いです。

(北九州工業地帯の記事はこちらから)

工業地域

続いて、工業地域も見ていきましょう。

瀬戸内工業地域

全国第3位の工業出荷額です。第2位の阪神工業地帯、第4位の関東内陸工業地域と出荷額も肉薄しています。

石油、鉄鉱石を大量に運び込むことができるという海上交通の便の良さと、埋め立てによる工業用地の確保が容易だったことで、重化学工業が発達しました。

広島はマツダ自動車の町ですね。また、岡山県倉敷市水島地区は石油コンビナートが有名です。それらの工業が中心産業ですから、輸送用機械を中心とする機械国業と化学工業が多いという特徴がわかるでしょう。

石油化学コンビナートは、山口県周南市にもあるので、両方覚えておきましょう。そのほかにも、広島県呉市の造船業、山口県宇部市、山陽小野田市のセメント工業も有名です。

(瀬戸内工業地域の記事はこちらから)

関東内陸工業地域

関東では京浜工業地帯が有名ですが、工業用地の不足や環境破壊が問題となりました。そこで、関東内陸に工場が移転されて重工業が発達したという経緯があります。阪神工業地帯に迫る工業生産額(全国第4位)です。

輸送用機械の割合が多いという特徴もあります。群馬県太田市はスバル自動車発祥の地ですので、自動車工業で有名です。自動車工業と言えば、輸送用機械は切っても切れない関係です。セットで覚えておきましょう。

「内陸」ですから、海がありません。ということは、「石油化学工業」の割合が少ないです。瀬戸内工業地域と比べてみるとよくわかりますよね。ほかには秩父のセメント工業が有名です。

(関東内陸工業地域の記事はこちらから)

東海工業地域

京浜工業地帯に次ぐ前項第6位の工業生産額の工業地域です。ホンダ、スズキ、ヤマハなどの特色のあるメーカーがあるので、これまた輸送用機械の生産額が多く、自動車、オートバイの生産が盛んです。

また、楽器の生産をしているというのが大きな特徴です。ヤマハ、カワイの工場があります。浜松駅を降りるとヤマハのピアノがありますので、機会があったら見てくださいね。

富士山からの水資源を利用した製紙・パルプ工業も有名です。静岡県富士市に工場があります。特徴的な工業が多いので、しっかり覚えておきましょう。

(東海工業地域の記事はこちらから)

京葉工業地域

全国で第7位の工業生産額の工業地帯ですが、出荷額の割合は非常に特徴的で、化学工業が約50%を占めます。その分、機械工業の割合が少ないです。

このような特徴を持つ工業地帯・工業地域はほかにないので、特徴をしっかりつかんでおけば、グラフの判別は容易です。

また、京葉工業地域のある千葉には、成田国際空港があります。輸出入額は日本第1位です。科学工学装置や通信機、集積回路など、軽量で高価な品目が扱われています。

(京葉工業地域の記事はこちらから)

学習する際に、保護者の方に気をつけていただきたいこと

北九州工業地帯については、保護者の方が受験勉強あるいは学校で学んだ統計、知識とは大きくかけ離れていますので、ご注意ください。

また、関東内陸工業地域は、保護者の方の世代によっては習っていない可能性もあります。しかし、関東内陸工業地域は現在では全国第4位の工業生産額を誇りますので、必ず覚えておかなければならない知識です。

つまり、社会の変化に伴い、データも大きく変わっているということです。この部分を無視して、昔はこうだったという話をすると、お子さんが混乱するので、家庭学習を一緒にやるときは、必ず最新のデータを意識してください。

※この記事は2020年度までのデータを参照して書いています。申し訳ありませんが、細かく覚える際は教科書や参考書などの最新のデータの方を信頼するようお願いいたします。)

中学受験の偏差値がこの10年で大きく様変わりしていると言えばわかりやすいかもしれませんが、それだけ産業、工業など地理的データは変化が速いということです。ぜひ、気をつけてください。

工業地帯も工業地域も、有名なメーカーや伝統的な工業、地理的な特性と結びつけると、統計の特徴が覚えやすくなります。統計の数字だけでなく理由も確認して知識の定着をはかりましょう。

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参考

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、一橋セイシン会にて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。