いよいよ中学受験まであと2か月(首都圏では4か月)となりましたが,受験生のご家庭は準備万端でしょうか? 体調など崩されてはいませんか? 今日は,苦手な子が多い算数について,やっている時は苦しいけれど,いったん克服してしまった後は算数だけでなく色々なことに役立つという,いいことだらけの『算数を勉強することのメリット』をお話ししてみたいと思います。
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算数とは『物事を整理して考えること』
算数が苦手な子の頭の中では,算数というとその出題形式が計算問題か図形か文章題か,というだけで,基本的には数をあれこれ操作するめんどうくさい科目だというイメージを持っているケースが多いと思います。
確かに,計算は算数の大部分を占めるのですが,それは計算を手早く正確に出来れば問題を解くスピードが速くなり,時間がかからなくなるというだけで,実際は計算をしなくても,問題を絵や図に描いて考えたり,文章題から考えられるすべてのケースを書き出してそれらを数えたり,という作業を行えば計算した時と同じ答えにたどり着くことが出来るので,計算は必ずしも『必須』の事項ではないのです。
それよりも,算数を学ぶことのメリットは『物事を整理して考えること』が出来るようになることだと言えるでしょう。
例えば,次のような文章題があったとします。
ある八百屋さんで,原価100円のりんごを100個仕入れ,2割の利益を見込んで定価をつけましたが,ひとつも売れなかったので翌日に定価の一割引きで売り出したところ,すべて売り切れました。このりんごで得た利益はいくらですか。
この問題の式をたてると,
100×100×1.2×0.9 ー 100×100
となりますね。これは式をたてているので一見,計算問題のように思いますが,計算自体は極めて基本的なものです。しかしながら,いくら素早く正確に計算したとしても,そもそも立式を誤っていたとするとこの問題には正解できませんね。ということは,文章題は「いかに素早く正確に計算するか」よりも,「いかに文章を正しく読み取って,いかに立式するか」にかかっているということになります。
つまり,文章題を読んだ時に,素早く頭の中で言っていることを理解し,それをイメージ化して考え,なるべくシンプルな式を作ることが必要になる訳です。そしてこのプロセスこそが『物事を整理して考える』ことなのです。
物事を整理して考えるには,まず状況や相手の意図することをくみ取る必要がある
では物事を整理して考えるには,自分がただ頭をひねって考えれば良いのかというとそうではなく,その問題が起こった時の状況,いきさつ,日付や時間帯,相手の意図することなどを考えあわせた上で,最終的にどうしたいか,というところから,そこにたどり着く最も良い手段を考えていくことが必要になります。ということは,単純に自分の世界や自分の考えの範疇で一生懸命考えても,その時の状況や登場人物にとって望ましい手段が思い浮かぶ訳ではない,むしろ思い浮かばない可能性の方が高い訳です。その時の状況や登場人物にとって望ましい手段は,つまり自分の世界や考えの範疇の外にあるのですから,主観的でなく『客観的に』打ち出して行く必要があるのです。したがって,算数を学び,物事を客観的にとらえられるようになってくると,
- 冷静な状況判断ができる
- 相手の言うことをよく理解できるようになる
- 物事を解決するための最も望ましい手段を素早く考えだすことができるようになる
と,長い人生を要領よく歩んでいく上で必要なスキルを身に着けることができるのです。
算数が伸びると,他の教科も伸びる
こうやって,算数の経験を積んで徐々に算数ができるようになってくると『生きる要領』が身に着いてきます。当然その中には『勉強の要領』というものも含まれます。
勉強の要領がよくなるということは,算数だけでなく他のどの教科に取り組む時でも,その教科の特性や最終着地点(テストでよい点をとることが目的なのか,あるいは特定の知識を身に着けることが目的なのか等)から逆算して,最善の手段を考えだすことができるようになるので,その時々の必要性や状況に応じて最も効率の良い学習方法を選択できるようになります。
ということは,結果としてどの教科もダラダラと時間をかけることなく,必要最小限の作業を経て習得することが出来るのですから,当然成績が上がって来ます。
こんなに望ましいことはありませんね。
算数は計算じゃなく,頭をひねること
以上,お話ししてきたように,算数はただ単に数を計算をすることではないのです。
問題を理解してみて,そしてしばらく頭をひねってみて,良い考えが頭に浮かんだら,それを文字ではなく数字で答える,という教科なのですね。こう聞くと算数って,なぞなぞみたいで面白いと思いませんか?
算数が苦手な人は,ひたすら計算をすることだと思っているから苦しいのだと思うのです。今日からは,家族や友達の悩みを,親身になって相談に乗ってあげて,一緒に解決方法を見つけてあげるようなつもりで,ぜひ算数の問題に取り組んでみてください。
解答例にある正解にこだわらず,自分が最も良いと思った方法でかまいません。その方法で出した答えが,正解と同じであればその方法はあっていることになります。解答例と違っても全然かまわないのです。百人いれば百通りの解決方法がある,と思って,少し気楽に算数に取り組んでみて下さいね。
その気持ちの余裕が生まれれば,残り2カ月で算数を伸ばすことだって十分可能です。
あなたなりの『合格する最良の手段』を見つけて,願いを叶えて下さい。
心から応援しています。
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