SDGsとも関連!近年注目されている再生可能エネルギーと持続可能な発電!

本記事では資源に関する記事として,再生可能エネルギーについて注目していきます。近年環境問題への取り組みを色々なところで耳にします。そのような傾向から,中学受験でエネルギーや環境に関する事柄が出題されてもおかしくありません。今回は特に再生可能エネルギーに焦点を当てていますので,その辺りの単元が苦手な方は是非一読いただければと思います。

再生可能エネルギーとは?

以前の発電についての記事および化石燃料の記事で,現在世界は化石燃料に依存しているとお伝えしました。この化石燃料とは温暖化の原因になるだけでなく埋蔵量に限界があるため,できる限り使用を控える脱炭素化が唱えられています。

そしてこれらの一度使ってしまえば取り戻せない,いわば再生不可能なエネルギーの代わりのエネルギー源として注目されているのが際限なく使える再生可能エネルギーというわけです。そしてこの再生可能エネルギーを使うことで可能になる,将来に対するコストを抑えた発電方法のことを持続可能な発電と呼ぶことがあります。

このような発電は脱炭素化の影響で広まってきている側面もありますが,それと同じくらい東日本大震災の影響も考えられます。原発での事故に伴い,もっとリスクの低い発電方法はないかと注目されたのが再生可能エネルギーというわけです。

再生可能エネルギーを使った発電方法

ではこの再生可能エネルギー及びそれを使った発電方法にはどんなものがあるのでしょうか。ここからは中学受験に望むに当たって覚えておいてほしい再生可能エネルギーを取り上げていくことにします。

太陽光発電

まずは太陽光を見ていきましょう。太陽光発電とは文字通り太陽から降り注ぐ光で電気を生み出す仕組みのことを指します。太陽の光がソーラーパネルと呼ばれる半導体の組み合わせに当たることで電子の移動が起きて電流が生まれるという仕組みになっています。(画像は中部電力からの引用です。)

この太陽光発電に関して,一時期ソーラーパネルを学校の屋上や家の屋根に取りつけることが東日本大震災以降ブームとなり,再生可能エネルギーのうち一番使われるようになったエネルギー源になります。その理由は大規模でも小規模でも設置可能であり,日が当たる場所であればどこにでも設置できるという利点があって随所に設置しやすかったからでしょう。

風力発電

続いて取り上げる風力発電とは,風の力を利用して電気を生み出す発電方法を指します。以前の記事で発電所ではタービンを回すことで電気を生み出していると説明しましたが,風力発電でも同じようなことが行われています。下の図が風力発電のモデルになるのですが,ここでは風でプロペラ(ブレード)が回り,その回転によって電力が得られます。(画像は中部電力からの引用です。)

風力発電の装置は強い風が安定して吹き続ける場所に建てなければいけないのですが,逆に言えば風が吹けば陸上でも海上でも問題ないことが最大の利点です。日本だと東北地方の山間部や千葉県の海岸線がこの条件を満たしていて,たくさん装置が集まっています。

地熱発電

次に紹介するのが地熱発電です。地熱とは地球内部の熱のことを指し,その熱を使って電気を作り出すのが地熱発電になります。地球の中心部には5000度から6000度もの温度があると言われており,この熱がドロドロのマグマを作り,それがマグマ溜まりとなって火山を形成するのですが,この地熱発電ではマグマ溜まり周辺の熱で水を温めて水蒸気を作ってタービンを回すことで電気を得ているというわけです。仕組みとしては火力や原子力に近いです。(画像は地熱資源情報からの引用です。)

この地熱発電は火山を構成するマグマ溜まりを利用するという性質上,火山の近くに建てる必要があります。日本には火山が多いため,その点で地熱発電に向いている地形だと言えますね。特に多く立てられているのは火山が集まっている東北地方や九州地方です。

バイオマス発電

最後にご紹介するのはバイオマス発電です。バイオマスとは動植物から生まれた資源のうち再利用可能なものを指します。例えば木を切ったときに出てきた余りや動物のフン,稲のもみがらなどが当てはまるのですが,このように普通だったらそのまま捨てられてしまうような資源を使って電気を生み出すのがバイオマス発電になります。この発電方法ではバイオマスを燃やすことで水蒸気を作り出し,タービンを回して電気を作るので火力や原子力と仕組みは変わりません。

バイオマス発電ではあくまで資源を燃やすので二酸化炭素が排出されてしまうのですが,カーボンニュートラルの考え方からバイオマス発電で出された温室効果ガスは気にする必要がないと言われています。このカーボンニュートラルとは,植物が光合成を行なって二酸化炭素を吸収することと関連して生み出された理論です。

カーボンニュートラルとは?

バイオマスとは動植物由来の資源ですが,このうち植物は成長過程で二酸化炭素を吸収します。そのため植物が生まれてから加工されるまでの間に二酸化炭素を吸収し,加工されてから燃やされるまでの間に二酸化炭素を排出するというサイクルが出来上がります。このサイクルに基づくと,バイオマスを使うことは大気中から減った二酸化炭素を元に戻すだけだと説明でき,±0だから気にしなくていいというわけです。(画像はEMIRAからの引用です。)

その他の発電+水力発電

以上が再生可能エネルギーを用いた主力な発電方法になります。これ以外にも,海の潮の満ち引きで電気を生み出す潮力発電や波の高さの変動を利用する波力発電といったたくさんの方法があるのですが,あまり一般的でないことと中学受験レベルでは登場しづらいことから割愛します。興味がある人は調べてみてください。

また前回の記事で紹介したため今回は重点的に取り上げなかったのですが,水力発電も持続可能な発電の1つだと言えます。川の水の流れは大元を辿れば海から蒸発した水にたどり着きますから,決して枯渇しないエネルギー源だと言えるでしょう。仕組みやメリット・デメリットを確認したい方はそちらの記事を参照していただけますと幸いです。

再生可能エネルギーの利点

ではこれらのエネルギーや発電方法はどのような点で優れているのでしょうか。

環境に悪影響のある物質を出さない

まずは環境に影響が出にくいという利点があります。火力発電では温室効果ガスの一つである二酸化炭素が出され,原子力発電では土地や生物に害をもたらしうる放射性物質が出されてしまいます。しかし再生可能エネルギーの使用はこのような物質の排出につながらないため環境に優しいといえます。唯一バイオマス発電は二酸化炭素を出しますが,前述したカーボンニュートラルの観点から火力や原子力よりは安心安全なものだと言えるでしょう。

資源に限りがない

2つ目の利点が,ここ100年近くで無くなってしまう化石燃料とは反対に,再生可能エネルギーの源となっている太陽や海や風や火山は失われる心配がないということです。もちろんこれらのエネルギーはずっと安定して供給されるわけではなく,後述するように天気などの影響で多少は量が左右されてしまうのですが,それでも限りがないということは安心した使用につながるでしょう。

再生可能エネルギーの問題点

しかしこの再生可能エネルギーとは決して完璧なものではありません。化石燃料が効率よく電気を生み出せる一方環境に悪影響を及ぼしてしまうのと同様に,再生可能エネルギーは地球にやさしいというメリットがある反面,以下で述べるようなデメリットも存在します。

効率が悪い

大きなデメリットが効率の悪さです。上で挙げたような発電方法は,十分なエネルギーを得るために大規模な施設を必要とする点で効率が良くありません。そのため狭い場所でも大量の電気を低コストで作り出せる火力発電や原子力発電には一歩引けをとってしまいます。

また大規模施設を必要とするということはそれだけお金がかかるということでもあります。これだけ環境保護が訴えられている地球の電力の大部分がいまだに火力や原子力で補われている理由の1つはこのような要素にあるのかもしれません。

天候に左右される

また天気によって発電量が左右されてしまうというのもデメリットの一つです。例えば太陽の光を使う太陽光発電では,曇っていて太陽が見えなかったり日が出ていない夜の間だったりは発電することができません。風力発電も強い風が吹いていないと,水力発電も十分な降水量がないと発電につなげることができず,地熱やバイオマスは気候に影響されないものの,この不安定さが再生可能エネルギーの弱点だと言えます。

景観を損ねる

そして景観を損ねてしまうという点でも発電所はデメリットを持っています。例えば地熱発電の発電所は火山周辺に建てられますが,火山周辺が温泉街などの観光地になっていることが多く,発電所の存在は観光客をがっかりさせてしまうかもしれません。また風力発電のプロペラなども山の豊かな自然の見た目を損ねてしまうため,見た目の面から望ましくないと思われることがあります。

水力発電のダムなどは一部のマニアから人気があったりするのですが,全ての発電方法・全ての発電所がこのように人々に受け入れられるのは難しいでしょう。

まとめ

今回は発電方法の記事の続きとして再生可能エネルギーについてお話ししていきました。繰り返しになりますが,近年環境問題への注目度が高まっていることから,中学受験の社会を攻略する上でもこの範囲は対策が欠かせません。しかしそれ以上に,地球の将来を考える上で必要な教養でもあります。メリットもデメリットもあるということを意識してしっかり覚えておきましょう。この記事が今後の学習のお役に立てば幸いです。

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