中学受験では、算数の得点力が合否の結果に大きくかかわってきます。
算数でもっと得点を取れるようになりたい、というのは中学受験生であれば誰しもが思うことです。
この記事では、「算数はそこまで苦手ではないけれど、もっと算数で点数を取りたい!」という受験生のために、算数の得点力を成長させるのに有効と思われる問題集をご紹介していきます。
なお、今回ご紹介する問題集は、「受験勉強の基礎はすでにある程度積み重ねてきている6年生」を対象としてご紹介しますので、ご注意ください。
Contents
得点力を上げるのに必要なこと
算数で得点力を上げるには、
- 「見たことのある問題は素早く正確に解けること」
- 「見たことのある問題に似ている問題だと気づけること」
この2つが必要となってきます。
前者が出来ても後者が出来ないのでは、思うように得点は上がらないでしょう。「解法の引き出しを増やす」、といえばおわかりでしょうか。つまり問題を一目見て、「あ、この問題は解けそう!」と、解法の道筋がすぐに思い浮かんでくるかどうかということですが、これは訓練次第で鍛えられるものなのです。どのような訓練をすればよいのかというと、単純に「同じパターンの問題を定着するまで何度も練習する」ことと、「色々なパターンがあることを身をもって知る」ということです。要するに、実際解いてみるのが一番ということです。
「結局、量をこなすしかないのね」とがっかりされた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、急がば回れ、です。努力なくして学力は鍛えられません。ただし、量をこなすのであれば質の良い学習で量を積みたいものです。この記事では、質の良い学習を行うのにおすすめの問題集をご紹介していきます。
おすすめ問題集の紹介
【分野別に鍛えたい人のための問題集】
「〇〇の分野が他に比べて弱いかも」と感じている人は、分野別の学習で強化しましょう。弱い分野については、基礎・基本の問題から徐々に応用・発展へとレベルを上げて学習していく形が効果的です。
<まずは各分野の基礎・基本を確認>
算数で平均を下回らない人の中でも、単元によっては極端に弱い場合があります。例えば、上記のような規則性・場合の数・立体図形・平面図形のあたりは、速さや割合と違い、「読んで考えればわかる」という問題よりも、一定の解法知識を必要とする問題が多いです。(なお、こちらの記事で紹介していないだけで、らくらく算数シリーズは各単元あります。)
このシリーズのよいところは、「分量が多くないので、すぐ終えられる」という点と、「見たことがあるような典型題」に出題が絞られている点です。自信がない分野のみ購入し、さらっと典型題を確認できるので、それほど大きな負担に感じないうちに学習できると思われます。
<次に各分野の応用・発展を鍛える>
題名の通り、難関中学入試で差が付きやすい問題の解法知識を多く掲載しています。多くの問題集とは構成が異なり、前半が例題と実戦問題の解説となっており、後半に実戦問題が掲載されています。前半の例題を読み物として読んでから、後半の実戦問題に実際に取り組み、また前半の解説を確認するというような流れでの学習となります。実戦問題は別冊として取り外しができるようになっているため、例題を見ながら解くことも可能です。
この問題集のよいところは、実戦問題がA・Bとあり、Aの問題のちょっと異なるパターンの類題をBで演習できる点です。まさに、得点力をあげるために効果的な構成となっています。
【総合的に鍛えたい人のための問題集】
下剋上算数は基礎編もありますが、こちらは難関校受験編です。テキストの作りはほぼ同じですが、中身の難易度や内容が異なります。著者である桜井先生の「板書」というページでは、100ページ以上にわたる手書きでの解法知識がてんこもりなので、まずは読み物として目を通してみましょう。
問題用のページは、基礎編と同様に計算問題を含めて1回分が10問ずつ、全部で100回分あります。1日1回分ずつ進めるのであれば3か月半かかりますので、日々の演習として進めるとするなら遅くとも6年生の10月後半までには手を付け始めないと終わりません。使い方の例としては、7月の首都圏模試で偏差値55以上あるようでしたら、8月から始めて年内中に終えるように進めていくのがよいと思います。
初級用から上級用まで5つのテストにより構成されています。スピードアップを目的として作られていますので、「なるべく暗算で」「式・計算はメモ程度に」という内容の注意書きがあります。一般的な問題集ではまずありえないので、少し不安になる方もいるかもしれません。しかし、この言葉の意図するところは、「この問題集に出てくる問題は、解法知識があれば暗算もしくはメモ程度の計算で解ける問題が多い」ということです。
とはいえ、暗算でやろうとするあまりに、時間がかかりすぎるのであれば素直に計算を書いた方が速い場合もあります。そのあたりは臨機応変に進めていきましょう。初級用からの最初の3つのテストは制限時間50分で50問ありますので、1問に対してあまりじっくりと悩む時間はありません。
また、すべての単元の学習をひと通り終えた状態で取り組むことを想定しているため、未習分野が残っている場合にはこちらの問題集よりも先に未習分野の学習にきちんと取り組みましょう。この問題集に取り組む時期としては、小6受験生の夏以降をおすすめしています。
プラスワン問題集は、昔ながらの非常にシンプルな問題集です。2000年に発売されてから根強い人気のある1冊とも言えます。少なくとも中堅上位校を目指す受験生にとっては、出てくる問題は定番とも言うべきレベルの問題ばかりが400問以上掲載されています。小6受験生の総まとめとしても利用できます。単元別のような構成になっており、1つのページの中で類題がいくつか出てくるため、パターンを増やした演習を行いたい場合にはうってつけです。
ステップアップ演習は、プラスワン問題集と同じく2000年に発売され、こちらも人気のある問題集の1冊です。問題の横に一言ヒントがあり、その数ページ後ろに解答と解説があります。解答解説と問題部分とが交互に入ってくる形式なので、慣れないうちは使いにくさを感じるかもしれません。難易度としては中堅上位校を目指すのであれば定番レベルの問題で、346問掲載されています。
どちらも、カラーが全く入っていないので、最近出てきている問題集と比較するとちょっと古臭く見える部分があります。問題と問題の間の空白が狭く、解答欄もないため、使用する場合には専用のノートを作るなどして取り組みましょう。未習分野がない状態であれば、6年の夏前から取り組み始めても問題ありません。
【偏差値70以上を目指す人のための問題集】
灘中学や男子御三家などを受験する予定で、中学への算数を定期購読していない場合には購入しても損はないでしょう。中学への算数と同じような作りとなっており、章ごとに4つほどの単元がまとまっていて、章末に解答解説があります。ステップアップ演習以上に、慣れるまでは教材としての使いにくさは感じるかもしれません。また、ある程度の解く力が備わっていないと楽しんで解くことはできないと思います。算数が得意であれば小5の後半あたりから取り組んでみてもよいと思いますが、出てくる問題は難関中学の入試問題ばかりなので、小6の夏以降がおすすめです。
他教科よりも算数が得意で、算数によって得点を稼ぎたいという生徒にとってはとても良い教材です。逆に、算数が苦手な生徒にとっては、これを使っても時間がかかってしまって、思うような効果は得られないと思われますのでご注意ください。
問題集の使い方
問題のパターンを知るには実際に色々と解いてみるのが一番ですが、解法知識を増やすための学習は、ただ闇雲に問題量をこなすだけでは不十分です。解法知識を増やすためには、解説に掲載されている解き方を自分自身のものにできるかどうかが重要です。
- 繰り返し解き直すことを前提として、なるべく書き込まずに専用のノートを用意する。
- 時間をかけすぎることのないように、目標時間を設定するか取り組み始めてからの時間を計測する。
- その問題に取り組み始めてから5分以上経っても解法の糸口が見えないようであれば、それ以上は時間をかけない。
- 解き終わった問題には必ず〇×をつける。
- 間違えた問題だけでなく、すぐに解答の糸口が見えなかった問題や、時間がかかってしまった問題については必ず解説を確認する。
- 解説を確認した問題について、もう一度その解き方を使って解き直しをする。
解説を確認してみると、「なるほど、こういう解き方があったのか!」と目からウロコが落ちるような気持ちになることもあります。そういう場合には、その解き方で解き直しをしておくと、次に似たような問題に出会ったときにその解法が出せるようになっていきます。1回ではなかなか定着しにくいタイプの場合には、解き直しをしてから1週間後など時間を置いてから、再度解き直しをしてみるとよいでしょう。
(ライター:桂川)
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