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はじめに
この記事で、日本語の単語は10種類の「品詞」に分けられることを説明しました。この「品詞」を分類するうえで、キーポイントとなるのが「活用」の有無です。
「活用」とは、ある単語が後にくる言葉に合わせて形を変えることです。日本語では動詞・形容詞・形容動詞・助動詞という4つの品詞のみ活用があります。今回はそれぞれの品詞についてどのような活用をするのか見ていきましょう。
活用とは
はじめにでも書いたように、活用とは
ある単語の語尾が、後に続く言葉に合わせて形を変えること
です。
まず、品詞の分類を思い出してみてください。日本語では、自立語のうち述語になれる用言の3種類(動詞・形容詞・形容動詞)が活用をします。また、付属語のうち活用があるのが助動詞です。それでは、それぞれの品詞の活用のパターンを勉強していきましょう。
動詞の活用
動詞の活用には5種類のパターンがあり、それぞれの形を覚える必要があります。ただし、ふだんの生活でどのようなことばづかいをしているかを思い浮かべれば特別むずかしくはありません。
五段活用
まずは基本の活用パターンです。多くの動詞はこの五段活用のパターンにそって活用します。
表の上にある未然形や連用形というのは活用の形を表しています(中学校で習う範囲なので、覚えなくても構いません)。カタカナ(これは助動詞です)が後にくるような形を考えながら覚えましょう。なお、このような表のことを「活用表」といいます。
① 五段活用の動詞
(髙橋作成、転載は記事名を明記の上で許可)
上一段活用
上一段活用は「起きる」「見る」「着る」などの動詞の活用です。五段活用の表と比べてみてください。上一段活用の活用表にはア段の活用(「学ば」など)がありません。これが上一段活用のポイントです。
② 上一段活用の動詞
(髙橋作成、転載は記事名を明記の上で許可)
下一段活用
下一段活用は「食べる」「入れる」「出る」「得る」などの動詞の活用の仕方です。この活用ではエ段の音だけで活用するのがポイントです。
③ 下一段活用の動詞
(髙橋作成、転載は記事名を明記の上で許可)
カ行変格活用
カ行変格活用は「来る」という単語のみで見られる活用です。「変格活用」という名前からも分かるように、今までの3つの活用とはちがいやや不規則な活用の仕方をします。
漢字で書くと同じ「来」という字ですが、それぞれの形で異なる読み方をすることに注意してください。
④ カ行変格活用の動詞
(髙橋作成、転載は記事名を明記の上で許可)
サ行変格活用
サ行変格活用はカ行変格活用と同じく、やや不規則な活用の仕方をします。動詞は「する」とその複合動詞(旅する・成功する・軽んずるなど)のみです。
⑤ サ行変格活用の動詞
(髙橋作成、転載は記事名を明記の上で許可)
形容詞・形容動詞の活用
形容詞と形容動詞の活用パターンはどちらも1通りです。どちらも命令形(他の人や物に命令・指示するときの形)はありません。
形容詞の場合は「い」の部分が活用をします(「大きい」の「大き」の部分は形が変わりません)。
⑥ 形容詞の活用
(髙橋作成、転載は記事名を明記の上で許可)
形容動詞で活用するのは「だ」の部分です。
⑦ 形容動詞の活用
(髙橋作成、転載は記事名を明記の上で許可)
助動詞の活用
助動詞も活用する単語です。しかし、入試問題で助動詞の活用について問われることはほぼないと思います。「助動詞は活用する」ということだけ頭に入れておき、他の品詞との区別をしっかりできるようにしましょう。
演習問題
ここからは、品詞の活用に関する演習問題を解いてみましょう。
問題編
カッコの中の動詞・形容詞・形容動詞を、○○に合うように活用させてください。また、他の活用の形も考えてみてください。
例
彼はめったに本を○○ない。(読む)
答:読ま
⑧ 「読む」の活用
(髙橋作成、転載は記事名を明記の上で許可)
1.あの字を○○たのは誰ですか。 (書く)
2.私からの○○プレゼントです。 (ささやかだ)
3.時間通りに○○ばごほうびをあげるよ。 (来る・ひらがなで)
4.すっかり夜も○○なったね。 (長い)
5.その仕事は田中君に○○せなさい。 (する)
6.どっちにするのか、早く○○! (決める)
7.それだけ○○ば○○う。 (楽しい・満足だ)
8.図書館で○○ば、その本を読むことができる。 (借りる)
9.何が起きたのかまったく○○ない。 (知る)
10.お母さんが○○たケーキはとても○○た。 (作る・おいしい)
解答・解説編
1.書い
「書く」は「思う」などと同じく五段活用のパターンです。「た」が続く形は「書いた」になります。
2.ささやかな
「ささやかだ」は形容動詞で、「プレゼント」は名詞であるため「とき」が続く時と同じ活用になります。そのため「ささやかな」が答えです。
3.くれ
「来る」はカ行変格活用の動詞です。読み方のパターンに注意しましょう。
4.長く
形容詞「長い」の「なる」を後に持つパターンは「長く」です。
5.さ
「する」はサ行変格活用の動詞であり、「せる」が続く時は「さ」に変化します。
6.決めろ
「決める」は「食べる」などと同じく下一段活用の動詞です。これは命令するときの形(命令形)で、「決めろ」となります。
7.楽しけれ/満足だろ
「楽しい」は形容詞、「満足だ」は形容動詞です。
8.借りれ
動詞「借りる」は「起きる」などと同じ上一段活用の動詞であり、「ば」が後に来るときは「借りれ」という形になります。
9.知ら
「知る」は五段活用の動詞です(「見る」などとちがうことに注意)。そのため、「ない」が来るときは「知ら」が正解になります。
10.作っ/おいしかっ
「作る」は五段活用の動詞、「おいしい」は形容詞です。下の表を見て活用をしっかり確認しましょう。
⑨ 問題の解答(活用表)
(髙橋作成、転載は記事名を明記の上で許可)
分からなかったところや覚えづらかったところは、しっかり解説を読んで復習してください。
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おわりに
この記事では品詞の活用について説明してきました。活用そのものが問われることはめったにないと思いますが、文法を考える上で非常に大切になります。また、今しっかりと勉強しておけば中学以降の勉強にも役立ちます。
5つの動詞の活用のパターンについてはくりかえし声に出して覚え、いつでも思い出せるような状態にしておきましょう。
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参考
初めまして。髙橋利弥と言います。
武蔵中・高校から一年浪人を経て今年東京大学文科三類に入学しました。中高時代はサッカー部に所属し、高校では主将を務めていました。現在は体育会サッカー部のスタッフとして主にプレー分析などを担当しています。趣味は音楽を聴くことで、[ALEXANDROS]などの日本のバンドのほか、QUEENも好きです。ボヘミアン・ラプソディーは浪人していたにも関わらず公開直後に観に行ってしまいました。また、ライブに行くのも大好きです。高校時代は部活で忙しくてあまり行けず浪人の時も我慢していましたが、大学に入ったからには行きまくりたいと思います。今ハマっていることはハリウッド版のGODZILLAシリーズです。オリジナルのゴジラは見たことがないのですが、興味がわいてきて見てみたいと思っています。最後に、自分は昔から文章を書くことが好きでこうやってライターとして仕事ができることがとても嬉しいです。まだまだヘタクソですが、これから経験を積んで成長していきたいです。
よろしくお願いします。