【中学受験】変わりつつある出題傾向をつかむ!国語編

中学入試の国語では、さまざまなテーマの文章が出題されます。普遍的なテーマの文章や、その年の世相を反映した内容の文章など、年によって出題される文章のテーマの傾向は変わります。ただし、どの学校はどのテーマの文章を出す、といった決まりがあるわけではないので、どのようなテーマの文章が出題されてもしっかり読解をし、設問に答えていく訓練を積んでおく必要があることには変わりません。

国語で出題される文章の種類には、説明文、論説文、物語文、随筆、詩といったものが中心です。なかには、詩を題材とした論説文といった複合的な文章などといった文章も出題されることがあります。また、文章量が長文化しているのも近年の特徴です。

ですから、長文の文章を速く正確に読み解いていって、重要な部分を理解しながら設問に答えていく必要があります。制限時間は50分であることが多く、その中で大問が1~3、4問出題されることがあります。そして、大問ごとに設問がいくつもあり、それも正確に読み取らなければいけないため、全体的に読まなければならない文章量は増加傾向にあります。

設問は、選択肢問題、書き抜き問題、記述問題、そして漢字やことばに関する問題などが出題されます。その割合は中学校によって異なりますが、選択肢問題の設問自体も長くなってきており、また、書き抜き問題や記述問題といった「書かせる」問題が増えてきています。そのため、「書く」ことに苦手意識がある受験生の皆さんは、早めの時期に少しずつ訓練をして、慣れていくことが必要だと言えるでしょう。

これまでにも、中学受験で出題された文章の中には、大学受験のセンター試験で出題された文章が出たことがありました。もちろん設問などは異なりますが、高校生が読む文章を小学生が読むということも珍しくありません。ただし、難しい文章が出たらどうしよう、と必要以上に警戒する必要はなく、それぞれの文種ごとの読解方法で正確に読み解くことができれば、確実に点数を重ねていくことが可能なので、まずは読解の基本に立ち返って一つひとつの文章を丁寧に読むことを心がけましょう。

今回は、変わりつつある国語の出題の傾向や、近年多く見られる出題テーマなどについて解説します。どのようなテーマの文章が出題されてもくらいついて読解できるように、さまざまなテーマの文章に触れながら読解練習を積んでいきましょう。

出題される文種の傾向は?

中学入試で主に出題される文種としては、説明文・論説文、物語文、詩・俳句などの韻文、随筆文(説明的随筆、物語的随筆)が中心です。なかでも、説明文・論説文、物語文は特にどの学校でも出題されると言っても過言ではないくらいに出題される頻度が高いです。

近年の傾向として、説明文・論説文といった説明的文章の出題率が少し減少傾向にあります。反対に、詩の出題率が少し増加傾向にあります。

特徴的な学校としては、筑波大学附属駒場中学校では「詩」が出題され、駒場東邦中学校では「物語文」が頻出です。駒場東邦中学校の入試担当の先生に以前お話を伺ったところ、物語文を出題するのにはわけがあるということでした。それは、駒場東邦中学校は算数が難しいことでも有名ですが、将来理系に進みたいという小学生が多く受験してくることに物語文を出題する理由があるというものでした。理系というと医師や研究者などがありますが、どちらも診療科目や研究室単位でコミュニケーションをとりながら仕事を進めないと、人の命に関わったり、実験が成功しなかったりといったことにつながりかねません。チームワークが重視されている世界に将来飛び込むのであれば、本質的にコミュニケーション能力が必要とされるので、人の気持ちを読み取ることのできる物語文を出題している、ということでした。

どのような文種、どのようなテーマの文章を出題するか、という点には出題する中学校側のアドミッションポリシー、つまりどのような教育をするので、どのような生徒に受験して入学してほしいか、というメッセージの表れです。各教科その傾向は表れているのですが、国語の場合特にそのメッセージ性が強く出ていると言えるでしょう。

良く出題される設問の「形」は?

国語の入試問題では、漢字やことばに関する設問は必ずと言っていいほど出題されます。漢字の書き取りだけを最初に何問か出題したり、読解問題の中で漢字を書かせたり、ことばの知識を聞いてきた理、ということがあります。

漢字は意外と配点が多い

男子難関校の海城中学校では、漢字の問題が必ず出題されます。配点はもちろん公表はされていないのですが、入試担当の先生によると、12~13点の配点があるということでした。この点数をまるまるとれるか、それともとれないか、によって大きく差がつくことがわかりますね。海城中学校では、入学後全員が漢字検定を受けます。漢字の学習は毎日のようにコツコツおこなわなければ身につかないですよね。漢字検定の合格率も非常に高い中学校なので、入試問題でも漢字を重視していることがわかります。

選択肢問題は難化傾向

また、読解問題の設問の形としては、選択肢問題、書き抜き(抜き出し)問題、そして記述問題といったものがほとんどです。これまで、「難しい設問」というと記述問題、というイメージがあったかもしれません。たしかに、記述問題は、文章全体を読んで重要部分を理解し、文章を自分で組み立てて書かなければならないので、難しいことに変わりはありません。

一方で、近年増えてきているのが選択肢問題の難問です。選択肢問題というと、正解が中にあるので、それを選べばいい、と軽く考えられがちです。模試でも、選択肢問題で間違えると保護者の皆さんも「なぜこんな問題で間違えるんだろう」と思うことも多いのではないでしょうか。しかし、最近では、選択肢問題の難易度が上がってきているという特徴があります。

選択肢問題に正解するためには、文章を正確に読み、さらに複数の選択肢を読み、そのなかから正解を選ぶ、という手順を踏まなければなりません。長い文章を読んだ上に、さらに選択肢を正確に読み取らなければならないのですが、選択肢一つひとつの文章量が100字を超えることも珍しくないので、4~5つの選択肢を読むとそれだけで400~500字を追加で読む形になります。しかも、1問ではありませんので、結果として読まなければならない文章の全体量が増えるのです。

ようやく長い文章を読んだのにさらに選択肢問題の文章を読まなければならない、と思うと根気が続かない、ということがよくあります。そのため、選択肢を吟味するころには集中力が切れてしまい、「正しいもの」を選ぶのか「正しくないもの」を選ぶのか、「1つ」選ぶのか「当てはまるものをすべて」選ぶのか、といった設問の指示を読み飛ばしてしまうこともあります。

難関校では選択肢問題の出題率が増加傾向にあるのも、選択肢問題で「差がつく」から、ということが考えられます。ですから、選択肢問題を正確に答えられるよう、自宅学習でも意識して勉強を進めることが大切です。それが文章を深く読み込むということになり、記述問題においても文章の構成を考えるために必要なことだと言えるでしょう。

文章のテーマで増えているのは「第三者との関係」

では、どのような内容の文章が出題されているのでしょうか。これまでも、「人と人との関係」は頻出のテーマでした。多くは、親子や家族であったり、同級生などの同年代との関係をテーマにしたものでした。そこに、近年増えているのが、家族などではない「他人」や、「大人」との関係、また、「大人目線から見た子どもたちの関係性」といった出題も増えています。

大人の目線が求められている

数年前、麻布中学校では、子どもたちの関係性を、大人である記者が見た文章が出題されました。それを読解していくためには、「大人の視線」が求められます。

物語文では特に、主人公(私)と他の人との関係が描かれているものが多い傾向にありました。たとえば、親子、友人、ペットといった、身近な関係性をテーマにした文章が出題されることが多かったのですが、そういった身近な関係性を超えて、家族や学校の先生とも違う、第三者としての大人との関係を考えさせる問題が増えつつあります。

世の中に出たら、さまざまな他者との関係性を作っていくことが求められますよね。まだ小学生ではピンと来ないかもしれませんが、大人の目線が求められるような文章が出題される傾向はこれからも続いていくと考えられます。文章を客観的に読むことが国語の読解では重要ですが、そういったことが身についているかどうかを図る上でも大人の目線を意識できるかどうかということは中学校側としても確認したいポイントであると考えられます。

社会的弱者をテーマにした文章も

人と人との関係についてのテーマを扱った文章が多く出題される傾向ですが、中には病気の人や障がいを持った人など、いわゆる「社会的弱者」をテーマにした文章も多く見られるようになっています。今の日本では、少子高齢化、世代間格差、家庭間格差などの社会的現象が起こっています。そうした世相を反映して、社会的弱者を扱った文章は今後も増えていくと考えられます。

社会的弱者に関する文章は、説明・論説文でも、物語文でも、どちらでも出題される可能性があるテーマです。見せ方が違うだけなのです。少子高齢化や世代間格差などについて考えさせる論説文や、社会的弱者との心の交流を描いた物語文などが出題される傾向にあります。ただし、そういった文章ばかり読めばいいというものではありません。そういったテーマについて、文章を通してどれだけ学べるか、ということも求められていることを忘れないようにしましょう。

設問の聞き方にもひとひねり

近年の国語の設問には、「深化」と「広がり」がキーワードです。「深化」は設問の聞き方に直接関係するキーワードです。たとえば、選択肢問題でもひとつだけ選びなさい、というのではなく、「当てはまるものをすべて選びなさい」といった、複数の解答を選択肢の中に用意していたり、「すべて選びなさい」としながら実は正解はひとつ、といったような質問のしかたです。

ただし、こういった設問の傾向はこれまで続いていたので、大幅に増えるということはあまり考えられません。逆に言うと、難関校だけではなく、すべての中学校においてこのような「深化」した聞き方をする設問が増えているという傾向にあることは知っておきましょう。そのためには、選択肢問題であれば一つひとつの選択肢の吟味がより重要になってきます。

また、選択肢問題の選択肢自体が非常に長くなっているということも注意点のひとつです。おおむね100文字以上の長文の選択肢を出題する中学校は増加しています。長い文章を読んだ後に選択肢をさらに読まなければならないので、受験生にとってはなかなか骨が折れます。

一方、短い選択肢を出題する中学校もあります。その場合、短い選択肢の中で細かく内容を入れ替えたりして、受験生の間違いを誘うといった問題もあるので、短い選択肢、長い選択肢、どちらも対応できるようにしておきましょう。選択肢問題にも「読解力」が必要だという意識はぜひ持つようにしてください。

科目横断的な出題も増えている

ここでは、設問の「広がり」について解説します。国語の出題の「広がり」とは何でしょうか。単に文章を読み、各設問に答えていくだけ、という形ではない、ということです。近年、自分で考えたり想像したりすること、そして発想するという問題が出題される傾向が目立つようになってきました。以前は想像力は読解においてじゃま、と考えられていたところがありました。客観的な読解が重要だ、とされているからです。

国語の読解において、客観的な読解力は非常に重要であり、文章を読む際の基礎基本であることに変わりはありません。それができているうえで、「もしこういうことが起こったら主人公はどのような心情になるか」ということを想像させたり、「少子高齢化」について例を挙げて説明しなさい、といったような「広がり」のある設問も出題されるようになってきています。

なかには、絵やグラフを出して考えさせたり、なかには計算をする必要があったりするような問題も出題されることがあります。このような「科目横断的」な設問が出題されるようになってきています。ただし、こういった問題が国語の大問で出題されることは考えにくいので、設問として出題される可能性があります。今後おこなっていく過去問演習の中で、どのような傾向があるのか対処できるようにしていけば良いでしょう。

まとめ

国語という教科は、配点が高いのですがあまり意識して勉強する受験生が少ない教科でもあります。文種ごとにしっかりと読解方法があるにもかかわらず、ただ急いで文章全体を読み、設問ごとにまた文章にかえって答え探し読みをする、という受験生の方は少なくありません。そのような学習のしかたをすると、テンスは伸びませんし、第一、非常に大切な国語の文章一つひとつを無駄にしてしまっていることになってしまいます。

近年の国語の問題では、選択肢問題でいかに正解できるかがひとつのカギになります。問題数が多く、選択肢も長い文章でいくつもあり、選択肢一つひとつの吟味が難しくなっている傾向にあるので、しっかり対策することが必要です。

また、出題されるテーマもさまがわりしてきています。どのようなテーマの文章が出題されたとしても、しっかりとした読解方法ができていれば、それほど怖がる必要はありません。出題傾向を踏まえながら、さまざまな文章を一つひとつ丁寧に読み、設問の吟味をおこなう、といった基礎基本の学習方法をおろそかにしないようにして国語の学習をすすめていきましょう。

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