中学受験は家族みんなで臨みたい!役割分担と気をつけたい接し方

中学受験は「親の受験」ということばを聞いたことがある空も多いのではないでしょうか。中学受験はほかの高校受験、大学受験とは異なります。義務教育中の受験であるため一生に一度しかない受験であること、受験生がまだ小学生なので体力的、精神的にも未熟なので受験生自身ですべて管理することが難しいこと、そして志望校についても、なかには「どうしてもあの学校に行きたい」と決めている受験生もいますが、多くの場合、自分で調べて志望校を決めていくことはまずできないでしょう。

とくに中学受験は3年間にわたる長丁場のカリキュラムが組まれているので、日々の学習、1週間の学習、学期ごとの学習、そして年間の学習計画をどのように作るか、またそれらを確実にこなしていくためのスケジュール管理を含めた受験生の勉強の環境管理が非常に重要になってきます。これを本当は受験生自身ができれば一番いいのですが、精神的成長途上にある小学生の場合、これを自分だけはできません。できても一部になってしまうでしょう。

そこで、重要になってくるのが保護者の存在です。だからこそ中学受験は親の受験、と言われることが多いのです。受験勉強自体は受験生自身が行わなければどうしようもありませんが、その学習がスケジュール通りに、また定着率を上げながらスムーズに行われることが受験勉強では重要です。そのため、保護者の方がいわば「プロデューサー」になり、塾選びからはじまり、毎日、1週間ごとの学習計画を立てること、そしてそれが順調に進んでいるかというスケジューリングを行うことが非常に重要になってくるのです。

また、志望校探しや受験校探しについては、普段の受験勉強でいっぱいいっぱいになっている受験生任せにはできません。中高6年間という多感な時期を過ごすわけですから、「わが子の力を伸ばしてくれるか」「わが子の性格に合っているか」「わが家の教育方針に合っているか」という観点から、冷静に志望校・受験校を決めていく必要があります。そのため、学校見学や学校説明会、個別訪問などを通して「学校の生の声」を聞き、親子で話し合って志望校や受験校を決めていくことが大切です。

つまり、中学受験においてはまだまだ幼い部分の多い受験生であるお子さんを、保護者の方がうまく誘導し、場合によっては引っ張り、場合によってはサポートに徹するという、カメレオンのようなさまざまな顔を持って受験生を支えていくことがとても大切になるのです。だからこそ中学受験は親の受験、と言われることが多いのです。

ただし、中学受験は、親だけが頑張る受験ではありません。もちろん受験勉強を実際にする受験生を中心に、周りを取り囲む環境全体をうまく調整していくことが必要です。たとえば中学受験をお考えであれば塾にお通いのことが多いのではないかと思いますが、塾と良好な関係を築き、気になることがあれば何でも相談できるような関係、塾側がとらえた変化を教えてもらうことができる関係を作っておくことも受験勉強をスムーズに進めるためには大切です。

また、家族は保護者だけでないこともよくありますよね。兄弟姉妹を含め、家族全体が受験生のために、家族全体で受験をバックアップしていく体制を取ることが中学受験では重要です。中学受験は受験生を抱える家族にとっていわば家族全体を巻き込んだ一大プロジェクトでもあるのです。もちろん、受験生自身がしっかりカリキュラム通りに着実に受験勉強をしていくことが核になりますが、それだけではなかなか合格まで持っていけないのが中学受験の怖いところです。ご家族のかかわりかたひとつで中学受験の合否が大きく変わってしまうこともあるので知っておきましょう。

そこで今回は、中学受験において家族が果たす役割やサポート体制、何かあったときの接し方の注意点などについて解説します。当たり前のように思えていてもなかなか実際にはできないことも多いものです。わが子の中学受験成功のため、周囲を取り巻く全員が同じ方向を向いて進んでいくこと、それが3年間という長丁場の中学受験では大切にしたい姿勢です。ぜひ、ご家族皆さんで受験生を支えていける体制を作っていきましょう。

中学受験=家族の一大プロジェクト!

中学受験の中心にいるのは、もちろん実際に受験勉強をする受験生本人です。しかし、特に中学受験の場合においては、受験生ひとりが頑張って勉強しただけで合格が勝ち取れる種類の問題ではないので注意が必要です。つまり、受験生ひとりだけで合格を勝ち取ることは簡単なことではないのです。

中学受験の特殊性

中学受験は、義務教育中に実施される特別な入試ですから、学年を下げることができないので、やり直しの聞かない「一生に一度」の受験です。1回しか受けることができない一発勝負なので、綿密に学習管理をスケジューリングすることや、塾を活用するのであればその費用、また合格後に必要になる学費などの経済的な側面からも受験生を支えていくことが不可欠になるでしょう。

高校からは国の補助金があるので授業料の減免措置がありますが、義務教育である中学校ではそうした制度はなく、一部の学校の特待生制度を除いては私立中学校の学費は決して安いものではありません。そのことを考えても「受験する価値がある」と思うからこそ行うのが中学受験だということをいま一度確認しましょう。

中学受験はスポーツに似ている?

中学受験は、よくスポーツにたとえられます。実際に試合本番でプレーをするのは選手自身ですが、選手は試合までにコーチの指導を受けますし、作戦会議を開いて相手チームをどう攻略するか監督を中心に考えていくチーム体制を整えていくものです。つまり、選手、コーチ、監督、マネージャーなど、かかわる人全員が試合の勝敗を左右する重要な役割をそれぞれ持っているわけです。

では、これを中学受験で考えてみましょう。選手はもちろん受験生本人ですね。コーチは、知識や技術面を指導してくれる人、つまり塾の先生や家庭教師の先生ということになります。作戦や相手(=志望校・受験校)の攻略法を考えてスケジュールを管理し、選手のコンディションを整えていく監督は保護者の方、ということになります。

また、どのスポーツにもサポーターと呼ばれる観客、応援団がいますよね。中学受験においては、受験生を見守り、ときに励まし応援するサポーターの存在が意外と重要なのです。そんなサポーターの役割を果たすのは兄弟姉妹や祖父母、ということになるでしょう。スポーツでも選手インタビューで「サポーターの皆さんのおかげで」と答えている光景をよく目にしますが、中学受験においてもサポーターによる応援は非常に大きな支えになるので侮れないのです。

選手=受験生、コーチ=塾や家庭教師の先生、監督=保護者、サポーター=家族、皆が一丸となって受験プロジェクト推進のためのチームをつくって、同じ方向を向いて受験本番に向けて進んでいく、それが中学受験が一大プロジェクトだという意味です。

こうしたチーム体制をどのようにうまく作っていくか、そして継続してその体制を保って行くか、ということは非常に大切ですが、うまく回していくためには選手に対する周囲の接し方が重要になってくるわけです。では、それぞれの役割はどのようなもので、どのように果たしていくべきものなのでしょうか。ここでは、特に保護者や家族の役割について確認していきましょう。

保護者=監督の果たすべき役割

中学受験生は、まだまだ幼い小学生です。ですから、最も頼りになるのはやはり保護者の存在だと言えるでしょう。一緒に過ごす時間も多いですし、受験生をサポートするために保護者が良いタイミングで、適切な働きかけをすることは中学受験では非常に重要です。では、保護者が受験生をサポートし、またマネジメントするためにはどのようにしていけばいいのでしょうか。

保護者の役割としては、大きく以下の3つに分けられます。

  • 学習面・生活面におけるサポートとマネジメント
  • 経済面におけるサポートとマネジメント
  • 精神面のフォローアップ・励まし

学習面・生活面におけるサポートとマネジメント

受験勉強を行う受験生は、多くの場合塾に通いますよね。塾通いをすでにしていらっしゃるご家庭では、塾の勉強が入ることによるスケジュールの忙しさは実感されていることでしょう。毎日、毎週大量の宿題に追われることにもなるので、やはり保護者の方がスケジュール管理をする必要が出てきます。

たとえば、1週間の塾の授業の教科に合わせて何曜日には何を勉強するか計画し、そのスケジュール通りに進んでいるか進捗状態を確認してまた次の週につなげていく、ということは保護者が行うべきスケジューリングの中心になります。

また、4年生のときはそうでもないかもしれませんが、学年が上がると夕方5時から夜の9時ごろまで塾で過ごすことになるので、お弁当を持っていく必要がある塾もあります。四谷大塚や早稲田アカデミー、日能研などはそうですね。お弁当を食べる休憩時間が設けられています。サピックスは休憩時間のないぶっ通しの授業なので、お弁当は持って行かず、塾の前、あるいは塾から帰宅後食事をとることになるでしょう。

いずれにしても、成長期である中学受験生の心身の健やかな成長のためにも、食事の管理は非常に重要です。栄養バランスを考え、体力をつけていけるように気を配ることは保護者ならではの役割だと言えるでしょう。

また、塾から帰ってくる時間は夜9時以降と遅くなることが多いので、家の近くの塾であれば心配なくても、少し離れた距離にある塾の場合、お迎えに行く必要が出てくることもあります。

このように、受験生の勉強をスムーズに進め、安心して勉強できるようにする体制を整えること、それが監督である保護者が果たすべき重要な役割です。

経済面におけるサポートとマネジメント

中学受験に限らず、高校受験や大学受験には費用が掛かります。受験勉強中は塾や予備校に支払う授業料が中心的にかかりますが、中学受験の場合3年間のカリキュラムがセットなので、3年分の塾の通常授業の費用は決して安くはありません。また、季節ごとの講習会にも費用が掛かります。学年が上がるごとに塾の費用は高くなり、6年生では月の月謝が10万を超えることも少なくなく、夏期講習では20万円以上かかることもあります。また、模試を受ける回数も増えていきますので、その受験料も必要です。

こうした塾の費用だけでなく、受験そのものにも費用が掛かります。いわゆる「受験料」ですね。中学校によって差はありますが、多くのご家庭では志望校1校だけでなく、併願校も受験しますから、受験する学校の数だけ受験料はかかります。また、第一志望校の受験日が後であれば、さきに受けて合格した中学校に入学金を納める必要も出てきます。

なかには、たとえば浦和明の星女子中学校など、2月の御三家受験の結果が出るまで入学金の納入延期を申し出れば猶予してくれるという学校もありますので、入学金納入スケジュールを確実に把握し、費用を用意しておくことも必要です。受験の合否結果によって複数回入試を行っている学校の受験を急遽決めることもあるので、その場合はいつまでにいくら受験料を支払うかといったスケジュール把握も重要です。

さらに、入学先を決めた場合には、入学金以外に授業料、施設管理費などのいわゆる「学費」が必要です。特に中学校の場合は義務教育であえて私立を選んでいる、ということから、公的な補助金などはありません。ですから、高校生になってからのほうが学費が安くなるということも多いです。私立中学校の授業料はこれも学校によってケースバイケースですが、安いところで年間70万円台から、高いところでは100万円、150万円近くかかるとこともあります。しかも在学中毎年支払うわけですから、資金計画を保護者が立てておくことも大切です。

精神面のフォローアップ・励まし

これは保護者でないとできない重要な役割のひとつです。受験勉強を続けていると、成績が上がったり下がったりして、場合によっては塾のクラスが下がってしまうこともあるでしょう。模試の結果を見て一喜一憂することも少なくありません。しかも3年間の長丁場なので、その間に何度も気をもむことになります。

保護者の方が気をもむことももちろん多いですが、実は成績の上下に一番ドキドキしているのは実は受験生であるお子さんです。成績が下がってもまったく気にしていないように見える、あるいは模試の結果を見ても平気に見える、わが子は受験を一体何だと思っているのだろう、というご相談を受けることがよくあるのですが、お子さんは気にしないように自分に言い聞かせて何とか自分を保とうとしているのです。中には真剣に取り組んでいない方も残念ながらいるので、その場合は叱咤することも必要ですが、通常の場合は、成績に一番一喜一憂しているのは受験生自身なのです。

そこで頭から「なんでこんな問題も取れないの」「いったい何を勉強していたの」と責めてしまうと、お子さんのモチベーションは一気に下がってしまいます。そうすると、成績はずるずると降下を続けていくことになるでしょう。お子さんは本能的に自分のメンタルを崩さないように「気にしていない」ふりをしています。

それを見抜かずに、「成績が悪かったのにへらへらしている」と決めつけて叱り続けると、模試のたびにそうした保護者の方の発言が頭によみがえり、「間違えたらまた叱られる」と委縮して実力が出せなくなったり、当日体調を崩してしまったりすることもあるのです。

もちろん、お子さんを一番身近で見ている保護者の方ですから、その成績の上下に保護者の方自身が一喜一憂してしまうのはある意味仕方のないことです。しかし、お子さん自身も悩んでいます。ですから、保護者の方はドーンと構えて冷静に、「今回はこういう結果だったね。じゃあ、これからどこを直していこうか」「ここができるようになったら次回は成績が上がるよ!」といったように前向きに引っ張ってあげて精神的な支えになってあげるようにしましょう。

サポーター=兄弟姉妹の影響には注意

中学受験においては、保護者は監督でありサポーターでもありますが、受験生を支える存在は保護者だけではありません。兄弟姉妹も、受験生にとっては大切なサポーターという存在になり得ます。

ただし、大人である保護者と異なり、兄弟姉妹は受験生と同じまだまだ未成年であることがほとんどです。ですから、保護者は受験生のケアをしながら、兄弟姉妹のケアもしていかなければいけない点には注意が必要です。もしそこをおろそかにしてしまうと、「○○(受験生の名前)ばっかり!ずるい」などと兄弟姉妹から不満が出てしまい、家庭の雰囲気が不穏になってしまうことにもなりかねません。

そうすると、中学受験を素直に応援できないケースや、家庭内の空気が良くなく、受験生がストレスを感じてしまうケースなど、受験勉強に悪影響が出てしまう可能性があるので注意が必要です。受験生が安心して受験勉強を進めていくためには、こうした兄弟姉妹のケアをしっかり行い、兄弟姉妹が「頑張って!」というサポーターになってくれるような雰囲気作りが大切です。

では、年上の兄、姉がいる場合と年下の弟、妹がいる場合に分けて注意すべきポイントを見ていきましょう。

兄・姉がいる場合

なかには年が離れていて、兄や姉が大学生以上、というケースもありますが、多くの場合、中学受験生の兄や姉はまだまだ幼い未成年であることは少なくありません。つまり、兄や姉と言っても「こども」なのです。弟や妹が中学受験をすると決まったら、保護者の方が受験生のほうばかり向いてしまって、自分に対して目を向けてくれない、と考えてしまうことも少なくありません。こどもですから、やはり保護者に目を向けてもらいたいものです。

ですが、受験生が頑張っているようすを見たり、保護者の方が頑張っている姿を見ると、「自分は年上だからガマンしないといけないかな」と考え、本当は保護者ともっと話したい、甘えたいのに本音を話さなくなってしまうこともあり得るのです。こうした気持ちを持ち続けるのに保護者が気づいてあげられないと、受験が終わってみると親子のコミュニケーションが取れなくなってしまう状態になっていた、ということにもなりかねません。

まだまだ甘えたい盛りの兄・姉がいる場合には、受験生が塾に行っている間の時間は兄や姉のケアに使うようにして、短い時間であってもその日あったことや気になっていることを話してくれるように働きかけることが大切です。すべて完璧にすることは難しいのですが、できる限り兄や姉にも目を向けて、こまめに声をかけたり、表情や行動をよく見て対処してあげたりといったように、ご家庭の中で受験生以外にも目を向け、ケアすることを忘れないようにしましょう。

とくに、兄や姉が中学受験をせずに公立中学校に進学した場合や、中学受験はしたけれど第一志望校ではなく滑り止め校に進学した場合は注意が必要です。そうした場合、中学受験をする・しないによって保護者に区別されていると感じたり、受験生の志望校が自分のときと同じであったり自分が通っている学校よりも偏差値が高かったりすると、どうしても自分と受験生を比べてしまい、「自分はだめだ」と自己肯定感が下がってしまい、劣等感や受験システムからはじかれたような疎外感を感じてしまう可能性があります。そういうことにならないような心のケアは非常に大切なので、ぜひ意識してください。

弟・妹がいる場合

受験生の弟や妹の場合、小学校低学年、あるいは幼稚園生や保育園生というケースがほとんどでしょう。つまり、受験生よりさらに「こども」なわけです。ですから、兄・姉よりもむしろ直接的なスキンシップを含めたケアが重要になってくるでしょう。

これは実際にあった話ですが、保護者の方が受験生にばかり一生懸命世話をやいて、自分のほうを向いてくれていないと思うと、弟や妹が保護者の気をひこうとして、「赤ちゃん返り」してしまうケースがあります。「わたし、ぼくのほうを見て!」というアピールなのですが、ちょっとしたことでも保護者にやってもらいたがったり、膝に載って抱っこしてもらいたいと言ったりするなど、時間に追われている保護者の方からすれば「なんでこんな時に…」と思うようなことが起こります。

かといって、「今忙しいからあとでね」と言えば、弟や妹は泣き出したり暴れたりするものです。エスカレートすると、受験勉強している受験生の髪を引っ張ったり、テキストに落書きをしたり、テキストやノートを破ろうとしたりすることも、受験あるあるなのです。言って聞かせても赤ちゃん返りしている弟・妹には逆効果です。「全然遊んでくれない」とかえってへそを曲げて、行動がエスカレートしてしまう可能性もあるでしょう。

こうした場合には、弟や妹を受験生の応援団の代表にしてしまうという工夫が意外と効果的です。いわば「サポーター代表」みたいなもので、受験の輪の中に入れて一緒に頑張っていこう、と気持ちを上げていくのです。

たとえば、受験生が一休みしているときにおやつや飲み物を弟・妹にもっていってもらったり、塾に行くときには「がんばってきてね!」と声をかけるなど、年齢が幼い弟・妹でも簡単に、また積極的にできる役割を上げると良いですね。小さなお子さんは、「お手伝い」が大好きです。ですから、「受験で頑張っているお姉ちゃん/お兄ちゃんを応援する」というように誘導すれば、意外と張り切ってサポーターとして働いてくれます。

自分から進んで活躍できる場所、役割があると、弟・妹は幼いながらも自己肯定感を持つことができ、なにかひとつできたらその自己肯定感がアップしていきます。ですから、何かひとつサポートを頼んで、しっかりやってくれたらぜひ大いに褒めてあげてください。

「自分のことも忘れずに見てくれている」「お姉ちゃんやお兄ちゃんの役に立てている」という気持ちが持てると、弟や妹の「自分の存在を認めてほしい」という欲求が満たされるので、さらに頑張ってサポーターの役割を果たしてくれるでしょう。幼いながらも一生懸命に応援してくれる弟や妹の姿を見ると、受験生のモチベーションも上がっていきます。

受験生が孤独にならないようなサポートを心がけよう

中学受験は、ほぼ学力一発勝負です。つまり、受験生が努力して受験勉強をした結果、合格がついてくるという受験です。一部の学校を除いては面接を行う学校も減ってきており、まさに学力勝負です。そのため、コツコツ3年間受験勉強をし続ける孤独な闘いこそが中学受験の大きな特徴だと言えるでしょう。

しかし、まだまだ幼い小学生である中学受験生にとって、孤独というのは非常につらいものです。ふと気づいたときにどうしたらいいかわからないことが出てきて、誰にも相談できずに自分だけで解決しなさい、と言われては勉強をするモチベーションは持てないでしょう。ですから、戦いを乗り切るためにも周囲のサポートは欠かせないのです。

10歳~12歳という多感な、また幼いお子さんが受験という高い壁を越えていくためには、保護者、兄弟姉妹、家族が一丸となって受験生を見守り、励まし、受験生が「孤独感」を感じずに、皆に応援してもらっていると前向きな気持ちで受験勉強を進めていくことが大切です。孤独感を感じていると、「自分は何で毎日こんなに勉強しなきゃいけないのかな」と中学受験そのものに疑問を持ってしまい、勉強に身が入らなくなってしまいます。

中学受験が家族の一大プロジェクトなのは、受験生を孤独にさせず、家族みんなが同じ方向を向いて頑張っていく必要があるからです。ぜひ一大プロジェクト実現のために家族を巻き込んで受験に向かっていきましょう。

直前期の接し方として意識したいこと

現在、受験学年となった6年生の方も少なくないでしょう。いわば受験までのカウントダウンが現実のものになってくるはじまりの時期、それが今です。受験学年のお子さんのモチベーションやメンタル面の状態は、保護者の接し方で驚くほど変化します。

ですから、お子さんが前向きな気持ちで受験勉強の追い込みをできるようにするためには、ネガティブなことばを使わずに、ポジティブな言い方にすることや、保護者の方が受験生の前で疲れた姿を見せずに、笑顔でリラックスしている、精神的に安定している姿を見せ続けることが大切です。では、具体的に見ていきましょう。

ネガティブな内容はポジティブに言い換えよう

受験学年になり、入試直前もそうですが、模試の受験や長時間にわたる講習会のタイミングなど、いくつかの重要なタイミングがあります。直前期の学習においては、お子さんは非常に緊張しています。そこにネガティブな発言を保護者の方がしてしまうと、あっという間にお子さんのモチベーションは下がり、「これ以上勉強してもうからないや」といった気持になってしまいかねないので注意が必要です。

模試、保護者の方が「この調子では受からないんじゃないか」と思ったとしたら、そのまま「このままじゃ受かりっこないよ」と言うのではなく、「いまからでも遅くないよ、ここが弱点になっているからこれができるようになれば合格が近づくよ!」などと、できることを一緒に探してみるようなポジティブなことばに変換して伝えることが有効です。

中学受験で大切なのは、受験生が「安心して」勉強できること。不安な気持ちにさせてしまっては本末転倒です。本音をぶつけたくなる時もあるでしょうが、やはりここはお子さんの頑張りを認めた上で、できるだけポジティブ表現を心がけてあげてください。

保護者がリラックスしている姿を見せるのも効果的

6年生になり、お子さんの緊張感も保護者の方の焦りもピークになってくるこの時期、保護者の方が浮足立っているとお子さんは不安感を持つものです。ですから、意識してお子さんの前では平気な顔をして、むしろリラックスして毎日頑張ろうねーといったような姿勢を見せることもとても大切です。

もちろん、結果が気になって保護者の方も親として不安な気持ちになることも多いものです。ですが、そうした気持ちを顔やことばに出すのではなく、できるだけ明るく、「今日も頑張っていこう!」とふるまって見せる、ある意味「演技する」ことも大人だからこそできることです。お子さんは、自分が不安になっているときでも、保護者の方がドーンとリラックスしていると思えば、気持ちを前向きに持っていくことができる力を持っています。心強さを感じられるからです。

とくに終盤、秋以降になるとより疲れがたまり、感情を抑えるのも難しい時があるかもしれませんが、その場合はお子さんに直接ぶつけるのではなく、ワンクッション置いて塾の先生に相談してみるなど、保護者の方がリフレッシュできるような工夫をしてみるのも有効な方法です。「意識して行動すること」これが保護者だからこそできることなのです。

中学受験・親の心構え

中学入試には、子供を成長させる要素がたくさん詰まっています。もちろん第一志望校合格は大事な目標ではありますが、「人生のゴール」ではありません。たとえ第一志望校に進めなかったとしても、「この学校でよかった」と思えれば、それは受験成功といえるのです。そして子供が「受験をして良かった」と思えるかどうかは、入試前後の親の心構えが大切です。

「一緒だよ」という安心感を与え続ける

毎日受験勉強にいそしむわが子の姿を見ると、「頑張っているな」「成長したな」と思うことも多いでしょう。たしかに、中学受験はお子さんが大きく成長する機会のひとつです。ですから、その頑張りは必ず何らかの形で報われるでしょう。

しかし、そうはいってもまだまだ10歳~12歳という幼いわが子。大人びて見えるお子さんであっても、中身はやはり小学生です。長丁場の中学受験期間を駆け抜けてくると言っても、入試本番が近づいてくるとどうしても不安な気持ちになるでしょう。ならないはずがありません。

そうしたときに、保護者が一緒に不安になってしまうと、親子で浮足立ってしまい、解ける問題も解けなくなってしまうことも少なくありません。こうしたお子さんの不安な気持ちを保護者の方はぜひ汲み取ってあげてください。そして、何があっても、保護者が一緒だよ、最後まで一緒に頑張るよ、という姿勢をお子さんに見せ続けてあげてください。受験生が「自分はひとりじゃない」と思えることにより、お子さんは本当の勇気を手に入れることができます。

よくスポーツの大会などで優秀な成績をおさめた選手が「楽しんで本番を迎えられました」と言うことがありますよね。もちろん合否のどちらかしかないと思えば、そんな気持ちの余裕を持つのは難しいあもしれませんが、親子で受験をゲームのようにとらえ、楽しみながらやっていく部分、息抜き部分を持っていくくらいの心構えで行くほうが良い結果が出ることが多いです。

保護者の方も肩の力を抜き、お子さんに接することによってお子さんも安心して勉強し、実力を出し切ることができるでしょう。ぜひ意識して「一緒だよ」と伝え続けてあげてください。

受験生の頑張りを認めてあげる

入試の合否ももちろんですが、模試を受けてきたときの成績結果などが返ってきたときなども、まずはお子さんの頑張りを褒めて、認めてあげることも大切です。

とくに受験の合否は厳然と決められるもので、もう一度やり直したいと思ってもそれはできません。中学受験では、第一志望校以外に併願校をいくつか受けることが多いですが、第一志望校に合格できず、併願校に進学することになった場合は、やはり心のケアが大切です。「受からなかったから自分はだめだったんだ」と思ってしまうと、お子さんが今後の人生を自信がないまま、自分を否定したまま生きていくことになりかねません。

ですから、もし第一志望校に届かなかった場合でも、お子さんが努力してきたことを保護者の方が見てきたこと、併願校であってもあなたの力を伸ばしてくれる学校だからそこで頑張ろうよ、とまず褒めて、将来に向けての期待感をアップできるように接してあげてください。

入試期間中も大切です。まだこれから第一志望校の入試が控えている場合は、目の前の入試にお子さんが前向きに臨めるようにする環境を整えてあげるのも保護者の重要な役割です。そして、どういう結果になったとしても、保護者の方があわてすぎないこと、結果を冷静に受け止め、またポジティブに気持ちを切り替えて、お子さんがこれから送るであろう学校生活を一緒に迎えようと意識してみましょう。

入試が終わり、第一志望校以外の学校に進学することになったとしても、3年間と言う長い期間にわたってお子さんが受験勉強をがんばってきたことに変わりはありません。もちろん波はあったでしょうが、それでも最後まであきらめずに頑張り切った事実はあるわけです。受験生活を通して、お子さんはさまざまな経験をし、成長してきました。ですから、保護者の方としては中学受験の結果をお子さんの大切な人生の一通過点であるというスタンスを持ち、今後の頑張りにさらに期待していると、お子さんの自己肯定感を上げてあげてください。

受験生が安心して勉強できる体制つくりが大切!

中学受験をするなら、やはり結果を出したいですよね。第一志望校合格はもちろん一番良い結果ですが、お子さんを通わせたい・通わせても良いと思った併願校の合格も十分な成功体験です。

どんなに入試直前期に不安になっても、保護者の方が前向きに、リラックスして受験生に接することにより、お子さんは安心して勉強を続け、本番を迎えることができます。焦ることがあってもあわてないように意識することが大切です。

そしてなにより、「家族があなたと一緒に受験に臨んでいるよ」というメッセージを伝え続けることが大切です。それはつまり、受験生に安心感を届け続けるということです。

中学受験は、お子さんの幸せな将来のためにするものです。本番で実力を発揮し、努力に結果がついてくるためにも、ぜひ接し方を意識しながら、家族全員で応援し続けていきましょう。

おわりに

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一橋大学卒。 中学受験では、女子御三家の一角フェリス女学院に合格した実績を持ち、早稲田アカデミーにて長く教育業界に携わる。 得意科目の国語・社会はもちろん、自身の経験を活かした受験生を持つ保護者の心構えについても人気記事を連発。 現在は、高度な分析を必要とする学校別の対策記事を鋭意執筆中。