国会とは何をするところなの?三権分立の立法権を司る国会の役割についてわかりやすく解説します!

みなさん、よくテレビで国会議員の人たちが話し合いをしているのを見たことがありますよね。みなさんは、国会議員がどんな人たちで、どんなお仕事をしている人たちなのかを知っていますか。また、テレビでよく目にする「国会」は、どういう場所で、どんなことを話し合っている場所なのかを知っていますか。何か、偉い人たちが大切なことを話してそうだなということはなんとなくわかりますが、具体的にどんなことを話し合っているのか、話を聞いていても難しすぎてわからないですよね。そこで、ここでは、国会議員というのはどういう人たちで、また国会ではどのようなことを話し合っているのかということを、一緒に考えていきたいと思います。

国会議員ってどんな人?

みなさん、今の内閣総理大臣がだれか、知っていますか。2021年10月4日に菅総理から政権を受け継いだ、岸田文雄(きしだふみお)さんですね。まだまだ記憶に新しいと思います。では、岸田さんはどうやって内閣総理大臣に選ばれたかしっていますか。それは「国会」という国会議員の人たちがあつまる会議で岸田さんが指名をされて、最終的に天皇が岸田さんを内閣総理大臣に任命したことで、晴れて岸田内閣が誕生しました。岸田さん自身も国会議員の一員です。実は、内閣総理大臣は国会議員の人じゃないとなることができないんですね。だから、もしみんなの中に「将来は内閣総理大臣になって国を変えたいんだ」と思う人がいたら、まずは国会議員のなる方法を考えなければいけません。

では、国会議員にはどうやってなるのでしょうか。それは、選挙に立候補して、国民の人たちから投票をしてもらい、そこで多数の票を獲得して、当選することで、国会議員になることができます。たくさんの票を獲得するためには、たくさんの人に顔と名前を覚えてもらわなけらばいけないから、とても国会議員になるのは大変なのですよ。(なので、オリンピックのメダリストや芸能人など比較的知名度の高い職業だった人が国会議員になることもあります)

そして、国会議員になった人たちが、国の政治を行うために集まって話し合いをする場所のことを「国会」といいます。では、「国会」は具体的にどんな仕事をしていて、どんなことを話し合っているのかを次に考えてみましょう。

日本の国会は二院制

日本の国会が行われる国会議事堂は、東京都千代田区永田町にあります。国会には、衆議院参議院の2つのグループがあって、その2つのグループが話し合いを行って政治をしています。このように、2つの院から成る国会のことを「二院制」といいます。国会議員は、衆議院か参議院のいずれかに属して、国会で話し合いを進めています。

ちなみに、衆議院の国会議員になるのと、参議院の国会議員になるのとでは、少し違いがあります。まず年齢は、衆議院議員には満25歳以上から立候補できますが、参議院議員には満30歳以上からでないと立候補できません。また、議員でいられる期間も、衆議院議員は4年間ですが、参議院議員は6年間(3年に1回選挙が行われて半分の人が入れ替わります)です。また、内閣総理大臣は基本的には衆議院議員の中から選ばれます。これは、衆議院議員のほうがより国民の意見を反映し、よりフレッシュで若い意見を取り入れながら政治を行っていき、一方で参議院議員のほうは、より大人な良識な意見をもって衆議院議員を支えていくということから、このような制度になっています。こうして衆議院と参議院の2つが存在することで、慎重に相互の視点から意見を出し合って、より正しい結論に導けるようにということを目指しています。

では、衆議院と参議院の二つの議員からなる国会は、どのようなことをするのでしょうか。

国権の最高機関・立法機関としての国会

まずは、国会の立場について、憲法の条文から確認しておきましょう。

第41条

「国会は、国権の最高機関であって、唯一の立法機関である」

憲法では、国会は国の権力の中でも最も強い力を持つ機関であるといっています。また、国のルールである法律をつくることができる、唯一の機関であるとも言っています。国のルールをつくれて、また国の政治を動かす最高権力を持っているというので、国会がいかに私たちの生活に大きな影響を与えているかということがうかがえますね。なぜ、国会はこれほどの力を持つことができるのか、みなさんはわかりますか。

憲法の三大原則をみなさんは覚えていますか。「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」の3つでしたね。その中で「国民主権」の原則を守るために、国会に最も強い権限を与えているのですね。えっ、どういうこと??って思いますよね。

国民主権」というのは、国民が主体となって政治を行っていくという原則のことです。つまり、国民が政治をやって国を動かしていくというのが憲法で定められている原則です。でも、みんなが全員国会に集まって、全員の意見を聞いて、全員の考えをまとめて、一つの結論を導き出すというのは、簡単にできることだと思いますか。これはとても難しいですよね。日本には今、約1億2000万人の人が住んでいます。これほどの人数が一つの場所に集まって、意見を言い合って、最後に一つの結論を出すというのは、どれだけ時間があっても無理な話です。理想はそうかもしれませんが、やはり、もっと迅速に、効率的に、よりよい結論を導き出す方法が必要なわけです。だから、1億2000万人のひとのなかで、18歳以上の人全員に選挙権が与えられて、選挙に立候補をしている人の中から、「この人なら私たちの代表者として国の大切な決定をしてくれるはずだ」という人に投票をして、国会議員を選ぶわけです。そしてその国会議員が国民全員の代表者として国会で国の重要事項を決めていくわけです。このように国民の代表者が主体となって政治を行っていく体制のことを「間接民主制(議会制民主主義)」といいます。ちなみに逆に全員が政治に直接参加して国の方針を決めていくやり方を「直接民主制」といいます。みんなが国会議員を選んで、その人たちが国民の代表者として国会で重要な話し合いをするため、間接的にせよ国民全員が政治に参加していて「国民主権」になっているということで、みんなが選んだ国会議員が話し合う場である「国会」が国権の最高機関となっているわけです。

そして、その国のルールである法律を決めるのもまた、「国民主権」の原則であるがゆえに、「国会」が唯一決めることができる機関として定められているのですね。

国会が「国権の最高機関」であるということと、「唯一の立法機関である」ということは、国会の大きな立場として重要な2つの原則なので、まずしっかりと覚えておいてください。

国会の役割とは?

では、そんな国で最も大きな国の決定ごとを行う権限を持っている国会は具体的にどんなお仕事をしているのでしょうか。一つずつ見ていきましょう。

①法律の制定

まずは、「唯一の立法機関」と憲法でもいっているように、国のルールである法律をつくります。法律の案をまず、国会議員などが作成をして、それを国会で審議をして、最終的に賛成する人が多ければ、その法律が制定されます。

②予算の議決と予算の審議

予算というのは、1年間でどれくらいのお金を何にどう使うのかというのを決めることです。通常は、毎年1月に国会議員の人たちが集まって、1年間の予算について話し合います。時々、最初に決めた予算が足りなくて、途中でもう一回予算を組みなおすということもあります。そういった、国のお金の使い方を話し合ったり、決定したりするのも、国会のお仕事の一つです。

③条約締結の承認

条約というのは、外国との取り決めや約束のことです。みんなもよく内閣総理大臣の安倍さんや菅さんが、世界に飛び立って外国の大統領たちと会って話しているのをみたことがありますよね。そういうふうにして、日本と外国との約束事を取り決めるということをしていくのです。そして、実際にその条約を締結するのは、内閣総理大臣をトップとして存在している「内閣」という組織なのですが、最終的に「その条約でよいでしょう」とお墨付きをあたえて承認を与えるのが「国会」です。「条約の締結」は内閣のお仕事だけど、「条約締結の承認」は国会のお仕事なのですね。

④内閣総理大臣の指名

2020年の9月に菅さんが内閣総理大臣に就任しました。この時に、内閣総理大臣をこの人にしようと指名したのは「国会」です。内閣総理大臣を指名することもまた、国会のお仕事の一つなのですね。

⑤憲法改正の発議

憲法を変えるためには、国会で「憲法を変えましょう」という意見をまとめてそれを国民に提示して、そのあとに国民投票が行われて賛成が過半数であれば、憲法を変えることができます。国会が「憲法を変えましょう」と国民に提示することを「発議」といいます。憲法を変えるための発議を行うこともまた国会の仕事の一つです。しかし、発議を行うためには、衆議院で3分の2以上の賛成、参議院で3分の2以上の賛成がなければならず、これが達成できなければそもそも憲法を発議することができません。憲法を変えたいと思う国会議員が全体の3分の2以上を占めることはとても難しく、いまだかつて憲法改正の発議が行われたことは一度もありません。

⑥衆議院の内閣不信任決議

法律を作って国を動かしているのは「国会」ですが、実際にその法律に基づいて政治の実務を行っているのは、内閣総理大臣を中心とする「内閣」という組織です。今だったら、「官房長官」とか「文部科学大臣」とか「環境大臣」とか、○○長官・○○大臣と呼ばれる人がよくテレビに出てきますよね。彼らも内閣の一員です。内閣というのは、内閣総理大臣とその他の国務大臣から構成される組織で、その大半は国会議員の中から選ばれます。だから、みんなが選挙で選んだ国会議員の中から、さらにそこから大臣や内閣総理大臣が選ばれて内閣が組織されてという流れで、それぐらい、国民・国会・内閣の関係性は強いつながりを持っているのですね。ちなみに、国会と内閣が切っても切れない強いつながりをもっている政治体制のことを「議院内閣制」といいます。日本では国会と内閣が強く密接につながっていて、国会の中の衆議院は「この内閣はあまり信用できないから、解体してください」と命じる権限を持っています。これを「内閣不信任決議」といいます。内閣はこれが決議されると、それが出されてから10日以内に、内閣を総辞職して新しい内閣総理大臣をトップとする内閣を組みなおすか、または衆議院の国会議員全員を解散させて、衆議院議員を国民が選びなおす選挙を行わなければならなくなります。内閣総辞職をすると、その時点でその内閣は解体になりますが、衆議院の解散であればそのあとの選挙でもう一度勝利することができれば、そのまま内閣の組織を継続できるようになります。

⑦両議院の国政調査権

国政調査権とは、国が行っている政治について、それが適切かどうかを調査する権限のことで、この権限は、国会の衆議院と参議院の両方がそれぞれ持っています。国の行っている政治について調べるために、衆議院と参議院の両院は、そのことに関することを知っている人を証人として国会に出頭させたり、証言や記録を証人に国会に提出してもらうように求めることができます。これは憲法第62条で定められています。つい最近で記憶に新しいものだと、「森友学園」問題で、学園の理事長である籠池泰典氏が証人として国会に出頭し、証人喚問が行われました。森友学園というのは、学校法人森友学園に国の持っている土地(国有地)が不当に安い値段で売られたという問題で、これについて籠池氏は証人喚問で実際に政治家の関与があったのかどうかなどの証言をしました。このように、国政に関する重要な問題があったときに、証人を国会に呼び事実を調査する権限を国会は持っています。

⑧弾劾裁判所の設置

弾劾裁判とは、裁判官としてふさわしくない行動をした裁判官に対して、その裁判官を辞めさせるかどうかを判断するための裁判のことです。この裁判所が国会に設置されています。「弾劾」というのは、罪や不正を暴いて責任を厳しく問うという意味があって、まさに罪や不正を行った裁判官に対してその責任を追及する裁判になっています。裁判官が特別な事情がない限り、だれかに職を奪われるということはありません。裁判官の身分は最大限に保障されているのです。それはなぜかというと、裁判官は憲法や法律という、国の大事なルールをちゃんと守り、そのルールに基づいて正しく判決をくだす身分だからです。これが自由に国が裁判官を承認したりクビにしたりしていたら、政治家の人たちがい自分たちの都合の良いように法律を判断して、悪い政治を行ってしまうかもしれませんよね。そうならないように、国会や内閣の暴走を防ぐためにも、裁判官の身分は最大限に保障されているのです。しかし、裁判官も体が悪くなって仕事ができないような状態になってしまったり、不正や罪を犯してしまった場合は、例外的にクビになるケースがあります。その中でも不正や罪を裁判官が侵した際に、裁判官を辞めさせる裁判が、国会に設置された弾劾裁判というわけですね。弾劾裁判では、国会の参議院と衆議院から選ばれたそれぞれ7名、計14名の国会議員が裁判員となって判決を行います。

まとめ

国会は、国民が主体となって政治をやるという原理を守るために、とても大切な機関であり、国の政治を法律というルールをつくることによって動かしていく重要な場所です。一人の主権を持つ公民として、しっかりと国会のと役割や仕事内容を覚えておきましょう。

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