振り子の基本を理解する~振り子が物体を動かす力を決める2つの量について理解しよう~

以前の記事で、振り子の長さ周期速さについて基本について解説してきました。振り子の基本は、

「振り子の周期は振り子の長さによって決まり、おもりの重さや手を離す高さは周期とは無関係」

「振り子の速さは手を離す高さによって決まり、振り子の長さやおもりの重さとは無関係」

ということでしたね。この意味が理解できないという人は過去の記事で勉強してみてください!

今回は、振り子が物体を動かす力について解説していきます。

「振り子が物体を動かしてどうするの?」という疑問をもつ人もいるかもしれませんが、衝突によって物体が物体を動かすという現象は物理では良く扱われます。

もちろん、中学入試で問われることもある内容ですので、この記事で出てきた法則をしっかりと理解して、いつでも問題が解ける状態にしておきましょう! それでは解説していきます。

振り子が物体を動かす力は速さと重さに依存する!

さて、結論から書いてしまいましょう。

「振り子が物体を動かす力はおもりの重さとおもりの速さによって決まる」

周期や速さでは無関係だったおもりの重さがここでやっと出てきましたね。この結果について、イメージはつくでしょうか。それぞれ考えてみましょう。

おもりが重い方が物体を遠くに飛ばす

次の問題の答えを考えてみてください。

振り子のおもりを、支点の真下で木片に衝突させた。木片を最も遠くに飛ばした振り子はどれか。木片はすべて同じ種類であるとする。

結論を見た人には簡単ですね。答えは②です。

①はおもりが\(10\,\mathrm{g}\)なのに対し、②はおもりが\(20\,\mathrm{g}\)です。おもりの重さが大きいほど、振り子が物体を動かす力は大きいため、このような答えになります。

これは直感的に理解できると思います。例えば、軽自動車とトラックが同じ速度で走っていた場合、トラックに衝突する方が危険だということは簡単に想像できますよね。

おもりが速い方が物体を遠くに飛ばす

次の問題の答えを考えてみてください。

振り子のおもりを、支点の真下で木片に衝突させた。木片を最も遠くに飛ばした振り子はどれか。木片はすべて同じ種類であるとする。

これも結論を見た人には簡単ですね。答えは②です。

①はおもりが\(5\,\mathrm{cm}\)の高さから落ちているのに対し、②はおもりが\(15\,\mathrm{cm}\)の高さから落ちています。以前の記事で解説したように、おもりの速さは手を離す高さが高い方が速くなります。おもりの速さが速いほど、振り子が物体を動かす力は大きいため、このような答えになります。

それでは、「手を離す高さがが高いほど、振り子が物体を動かす力は大きい」といえるのでしょうか? これは部分的には正しいです。しかし、おもりの速さが重要であるという原則には変わりがありません。

例えば、おもりと木片を衝突させる場所を、支点の真下ではなくおもりが一番高い位置と変更してみましょう。このとき、おもりが木片を動かす力はゼロ、つまり、木片の位置は変化しません。なぜそうなるのでしょうか?

これは、おもりの速度がゼロになっているからです。おもりの速度はおもりが一番高い位置ではゼロになり、支点の真下で最も速くなるのでした。おもりの速さが速いほど、振り子が物体を動かす力は大きいため、木片が最も遠くに飛ばされるのは支点の真下です。つまり、木片が飛ぶ距離はおもりと木片が衝突する位置によって変化します。必ずしも手を離す高さが振り子が物体を動かす力を決めないという点には注意しましょう。

この記事では「手を離す高さ」という表現をしていますが、場合によっては「おもりが落ちる高さ」「振り子の振れ幅」という表現をされることもあるので、気をつけてください。言いまわしが違っていても、図を見れば理解できると思います。

「おもりの速さが速いほど、振り子が物体を動かす力は大きい」ということも、直感的に理解できると思います。例えば、ボウリングの球を速く転がした場合とゆっくり転がした場合では、球の速さが速いほどピンは遠くまで飛ばされますよね。

練習問題を解いてみよう!

では、これまでの知識を使って練習問題を解いてみましょう!

振り子のおもりを、支点の真下で木片に衝突させた。木片を最も遠くに飛ばした振り子と木片を最も飛ばさなかった振り子はどれか。木片はすべて同じ種類であるとする。

まずは、振り子が物体を動かすことについての法則を思い出しましょう。

「振り子が物体を動かす力はおもりの重さとおもりの速さによって決まる」

また、おもりの速さを考えるには次の法則も必要です。

「振り子の速さは手を離す高さによって決まり、振り子の長さやおもりの重さとは無関係」

「手を離す高さ」は「振り子の振れ幅」と同じでしたね。

木片を最も遠くに飛ばした振り子はどれでしょうか。①~④の中でおもりの重さが重いのは\(20\,\mathrm{g}\)の③と④です。さらに、振り子の振れ幅が大きいのは\(60^{\circ}\)の④となり、これが答えです。

次に、木片を最も飛ばさなかった振り子はどれでしょうか。①~④の中でおもりの重さが軽いのは\(10\,\mathrm{g}\)の①と②です。さらに、振り子の振れ幅が大きいのは\(30^{\circ}\)の①となり、これが答えです。

皆さんは全問正解できたでしょうか?

最後に

本記事では、振り子が物体を動かす力について解説しました。この手の問題に苦手意識を持っていた人も、意外と単純なことだということを理解できたのではないかと思います。最初の方でも述べた通り、衝突によって物体が物体を動かすという現象は、物理では重要なことで、高校の物理でも詳しく勉強します。興味のある人は、さらに詳しく調べてみたり、身近な人に聞いてみるとより理解が深まると思います。それでは、引き続き理科の勉強を頑張ってください!

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