酵素の種類
酵素の種類 |
酵素名 |
はたらき |
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加水分解酵素 |
炭水化物 分解酵素 |
アミラーゼ
マルターゼ スクラーゼ ラクターゼ セルラーゼ ペクチナーゼ |
デンプン(アミロース)→デキストリン→マルトース マルトース→グルコース スクロース→グルコース+フルクトース ラクトース→グルコース+ガラクトース セルロース→グルコースなど ペクチンを分解 |
タンパク質 分解酵素 |
ペプチン トリプシン キモトリプシン ペプチダーゼ |
タンパク質→ペプトン(胃液に含まれる) タンパク質→ポリペプチド タンパク質→ポリペプチド ペプトン・ポリペプチド→アミノ酸 |
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脂肪分解酵素 |
リパーゼ |
脂肪→脂肪酸+モノグリセリド |
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尿素分解酵素 |
ウレアーゼ |
尿素(CO(NH2)2) →アンモニア+二酸化炭素 |
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ATP分解酵素 |
ATPアーゼ |
ATP→ADP+リン酸 |
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核酸分解酵素 |
DNAアーゼ RNAアーゼ |
DNA→ヌクレオチド RNA→ヌクレオチド |
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酸化還元酵素 |
酸化酵素 |
オキシダーゼ |
基質に酸素を結合させる |
脱水素酵素 |
デヒドロゲナーゼ |
基質または有機物から水素と電子を切り取ってNAD+、FADなどに渡す |
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過酸化水素 分解酵素 |
カタラーゼ |
過酸化水素(H2O2) →水+酸素 |
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脱離酵素 (リアーゼ) |
脱炭酸酵素 |
デカルボキシラーゼ |
有機物のカルボキシ基からCO2を取り出す |
炭酸脱水酵素 |
カーボニックアンヒドラーゼ |
炭酸(H2CO3) →水+二酸化炭素 |
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転移酵素 |
アミノ基転移酵素 |
トランスアミナーゼ |
アミノ酸からアミノ基を取って他の物質に移す |
合成酵素 (リガーゼ) |
アセチルCoA合成酵素 |
酢酸+CoA+ATP→ アセチルCoA+ADP+リン酸 |
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DNA連結酵素 RNA連結酵素 |
DNAリガーゼ RNAリガーゼ |
DNAをつなぐ RNAをつなぐ |
温度と反応速度
酵素は、35~40℃で最もよくはたらく。この温度を最適温度という。
55~60℃の高温では、酵素タンパク質が変性し、酵素は失活する。
図1
pHと反応速度
一般に、中性付近でよくはたらく酵素が多く、強い酸性や強いアルカリ性では失活する。
各酵素の最もよくはたらくpHを最適pHという。
例外.ペプシンの最適pH…pH2、トリプシンの最適pH8
図2
基質濃度と反応速度
図3
★シミュレーション
基質(個) |
0 |
1 |
2 |
… |
10 |
… |
20 |
… |
30 |
酵素(個) |
10 |
10 |
10 |
|
10 |
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10 |
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10 |
酵素-基質複合体(個) |
0 |
1 |
2 |
|
10 |
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10 |
|
10 |
生成物(個) |
0 |
2 |
2 |
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10 |
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10 |
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10 |
- 基質が0~9個のとき
- 基質が10個のとき
- 基質が11個以上のとき
それぞれこのような状態となる。
- 基質が少ないので、すべての基質は酵素と結合し、酵素は余っている。
- すべての酵素と基質が結合して酵素–基質複合体となっており、酵素も基質も余っていない。
- すべての酵素が基質と結合して酵素– 基質複合体となっており、基質が余っている。
基質を増やしても反応速度は一定であり、酵素を増やせば反応速度は大きくなる。
時間と生成物量
図4
時間が経つにつれて生成物の量が一定になるとのは、基質がすべて分解されてしまったからである。基質を追加すれば生成物の量は再び増加する。
- 酵素の量を2倍にしたとき
→反応速度は大きくなるが、基質の量は変わらないので生成物の量も変わらない。 - 基質の量を2倍にしたとき
→反応速度は変わらないが、生成物の量が2倍になる。
練習問題
例題1 基本例題7 酵素の反応速度
図5
右のグラフ中のAは、トリプシンによるタンパク質の加水分解反応において、反応時間とタンパク質分解速度との関係を示したものである。次の⑴~⑶の解答として最も適当となるものを図中B~Eから選び、それぞれ記号で答えよ。
- 他の条件は変えずに、反応開始時にトリプシンの量を2倍にすると、結果はどのようになるか。
- 他の条件は変えずに、反応開始時にタンパク質の量を2倍にすると結果はどのようになるか。
- 他の条件は変えずに、温度をさらに下げて実験した場合はどのようになるか。
解答
- C 反応速度が上がる
- B 反応速度は変わらず、タンパク質分解量が増える。
- E 一般的に反応速度は温度とともに上昇する。
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