生体を構成する物質
生物体の基本単位である細胞は、タンパク質、核酸、炭水化物、脂質などの有機物や、水、無機塩類などから構成される。
これらのうち、細胞に最も多く含まれる物質は水であり、次に多いのは動物細胞ではタンパク質、植物細胞では炭水化物である。
水
構造: 分子式( H2O ) 構造式( H-O-H )
働き: 溶媒としていろいろな溶質をよく溶かす。化学反応の場。比熱が大きく、急激な温度変化を防ぐ。
炭水化物
エネルギー源として利用されたり、生体物質の骨組みになる。
種類と構造と働き
◎単糖類:糖の基本形
- 六単糖(炭素数6) 分子式(C6H12O6)
↓グルコース(ブドウ糖)
エネルギー源
↓フルクトース(果糖)
果実やはちみつに含まれる
↓ガラクトース
- 五炭糖(炭素5) 分子式(C5H10O5)
↓リボース
RNAやATPの構成成分
↓デオキシリボース
DNAの構成成分
◎二糖類:単糖が2個結合したもの
- マルトース(麦芽糖)=グルコース+グルコース 水あめの成分
- スクロース(ショ糖)=グルコース+フルクトース 砂糖の主成分
- ラクトース(乳糖) =グルコース+ガラクトース ヒトの母乳の成分
↑マルトース
◎多糖類:単糖が多数結合した高分子化合物
・デンプン…植物のエネルギー貯蔵物質
アミロース:タイ米の成分 と アミロペクチン:もち米の成分↓
↑アミロペクチン
- セルロース…植物の細胞壁の主成分
- グリコーゲン…動物の一時的なエネルギー貯蔵物質
脂質
水に不溶。比重が小さい。
構造 グリセリンと脂肪酸からなる。
種類と構造と働き
↓脂肪:エネルギー源
↓リン脂質:細胞膜の成分
脂肪酸の例:オレイン酸(オリーブオイル・ナッツ)、リノール酸(マーガリン)、αリノレン酸(ごま油)、DHA(魚)
タンパク質
種類と働き 非常に多くの種類がある(ヒトでは10万種類以上)。酵素、ホルモン、抗体、筋肉、皮膚の成分。
構造 20種類のアミノ酸がペプチド結合によりつながった高分子化合物。
アミノ酸の例:グリシン(側鎖がHのみ)、システイン(硫黄[S]がついている)、ロイシン、イソロイシン、バリン、アルギニン…
核酸
構造 多数のヌクレオチドが結合した高分子化合物。
種類と働き
↓DNA:遺伝情報をもつ
↓RNA:遺伝情報の発現に関わる
無機塩類
◎少量含まれるもの
- S(硫黄)…タンパク質に含まれ、S-S結合により立体構造を形成する。
- P(リン)…核酸や脂質に含まれる
◎場所によって含まれるもの
- Na(ナトリウム)…細胞外に多量に存在し、活動電位を発生させる。動物の濃度調節も行う。
- K(カリウム)…細胞内に多量に存在し、静止電位を発生させる。
- Cl(塩素)…細胞外に多く、細胞の濃度調節を行う。胃液に含まれるHCl(塩酸)をつくる。
- Ca(カルシウム)…骨の成分であり、筋肉の収縮、血液凝固にはたらく。
- Fe(鉄)…ヘモグロビンの成分
- Mg(マグネシウム)…クロロフィルに含まれる
◎微量含まれるもの
Mo、Co、Zn、Cu、I
↓地殻、ヒトのからだに含まれる元素
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