高校生物を基礎からわかりやすく! 光合成 の基本・4つの詳しい反応について

同化とは

同化…生物が外界から取り入れた物質(=簡単な物質)をもとにして、エネルギーを使って生物体に必要な物質(有機物などの複雑な物質)につくり変えるはたらき。 今回は、その中でも 光合成 について解説していきます。

図 1 同化の種類の一例

光合成のイラスト

光合成 (緑色植物、シアノバクテリアが行うもの)の反応過程

光合成の化学反応式

6CO2 + 12H2O + 光エネルギー → C6H12O6 + 6O2 + 6H2O

光合成 が行われる場所

チラコイドの膜には光合成色素タンパク質が複合体をつくっており、光エネルギーを吸収している。

図 2 葉緑体の構造

光合成 のしくみ(まず簡単に)

光合成 のしくみ

図 3 光合成のしくみ(簡単に)

4つの反応からなる。①〜③はチラコイドで行われ、④はストロマで行われる。

光化学反応

(が必要、温度は無関係)

葉緑体に光が当たると、光化学ⅠおよびⅡに含まれる反応中心クロロフィルが光エネルギーを吸収する。
このエネルギーは次の②、③の反応を引き起こす。

水の分解

(は不要、温度は関係)

光化学反応で生じた反応中心クロロフィルのエネルギーによって、12H2Oが6O224H+と24eに分解される。生じた6O2は、細胞外に排出される。

24e電子伝達系(シトクロム)を通って12NADP+に運ばれ、24H+と共に12NADPH + H+となってカルビン・ベンソン回路に運ばれる。

光リン酸化

(は不要、温度は関係)

水の分解で24eが電子伝達系を通るときに生じるエネルギーがともなって、ADPとリン酸からATPが合成される。

生じたATPは、カルビン・ベンソン回路に運ばれる。

カルビン・ベンソン回路

(不要、CO2濃度温度は関係)

光化学反応で生じた12NADPH + H+と、光リン酸化で生じたADPと、外から取り入れた6CO2を使って、C6H12O6を合成する。
このとき、6H2Oが生じる。

光合成 のしくみ(詳しく)

図 4 光合成のしくみ(詳しく)

光化学反応

チラコイド膜上の光合成色素はタンパク質などと複合体をつくり、光化学系Ⅰと光化学系Ⅱを形成している。
光化学系Ⅰ光化学系Ⅱの中心にある反応中心クロロフィルは、光エネルギーを受け取るとeを放出する。

光化学系Ⅱから放出されたeは、電子伝達系を通って光化学系Ⅰに渡される。
光化学系Ⅰのクロロフィルは、光化学系Ⅱから運ばれてくるeによって還元される。
光化学系Ⅱのクロロフィルは、水の分解によって生じたeによって還元される。

水の分解

光化学系Ⅱではが分解され、6O224H+24eが生じる。
光化学系Ⅰから放出された24eを12NADP+に運ばれ、24H+と共に12NADPH + H+となってカルビン・ベンソン回路に運ばれる。

光リン酸化

光化学反応でeが電子伝達系を通ると生じる多量のエネルギーを利用して、H+がストロマ側からチラコイド膜内側へと能動輸送される。

チラコイド膜内側のH+濃度が高くなるとH+は濃度勾配に従ってチラコイド膜にあるATP合成酵素を通ってストロマ側に戻る。
このとき、18ATPが合成される。

図 5 H+濃度勾配を利用したエネルギー合成の模式図(呼吸・光合成)

カルビン・ベンソン回路

気孔から取り入れた6分子のCO2は、C5化合物であるリブロース二リン(RuBP)6分子と結合して2つに分解され、C3化合物であるホスホグリセリン酸(PGA)12分子となる。これが初期産物である。

この反応はRuBPカルボキシラーゼオキシゲナーゼ(RubisCO、ルビスコ)という酵素により触媒される。

生じたPGAは、ATPや12NADPH + H+の作用でグリセルアルデヒドリン酸(GAP)となり、このあと炭水化物であるC6H12O6(グルコース)が生じる。
この反応によりCO2還元され、CO2固定される。

図 6 カルビン・ベンソン回路の反応

 

☆C3植物
カルビン・ベンソン回路で最初にできる化合物がC3化合物である場合、このような植物をC3植物という。
カルビン・ベンソン回路は葉肉植物で行われる。

図 7 C3植物の反応経路の模式図

C4植物

カルビン・ベンソン回路は維管束鞘細胞で行い、その前に葉肉細胞でC4ジカルボン酸回路C4回路を行う植物。

熱帯地方の植物に多い。例.トウモロコシサトウキビ、ススキ、アワ

熱帯地方…気温はく、光の強さは強いが、CO2濃度が変わらないため、CO2を葉肉細胞に蓄えておくことで、効率よく光合成ができる。

気孔から取り込んだCO2をC4ジカルボン酸回路でオキサロ酢酸に変え、リンゴ酸として蓄えておく。

リンゴ酸維管束鞘細胞に運ばれてCO2を放出する。これを用いて効率よくカルビン・ベンソン回路を行う。

図 7 C4植物の反応経路の模式図

CAM植物(ベンケイソウ型有機酸代謝植物)

カルビン・ベンソン回路と同じ葉肉細胞でCAM回路を行い、夜間に気孔を開く植物。砂漠などの乾燥地の植物に多い。
例.ベンケイソウサボテンパイナップル

乾燥地…昼間は特に乾燥しているため、水分の蒸発を防ぐために気孔を開かない。そのため、夜間に気孔を開き、まとめてCO2を取り込む。

夜間は、気孔から取り込んだCO2をCAM回路でオキサロ酢酸に変え、液胞の中にリンゴ酸として蓄えておく。昼間は、蓄えたリンゴ酸を使ってカルビン・ベンソン回路を行う。

図 9 CAM植物の反応経路の模式図

同化産物の輸送と貯蔵

光合成で生じたグルコースは、葉の中で同化デンプンとして、根・茎・果実の中で貯蔵デンプンとして貯蔵される。

また、師管を通って運ばれるときには、グルコースが低分子のスクロースとなる。これを転流という。

図 10 転流 模式図

 

おわりに

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